2020年7月27日更新

『借りぐらしのアリエッティ』の結末や都市伝説をネタバレ解説!アリエッティの正体って?

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借りぐらしのアリエッティ
© Walt Disney Studios Motion Pictures

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『借りぐらしのアリエッティ』の謎を解き明かす!都市伝説も紹介【ネタバレ注意】

米林宏昌監督が初めて手がけた長編ジブリアニメ映画『借りぐらしのアリエッティ』。本作は「人間に見られてはいけない」というルールのもと、床下で借りぐらしをする小人たちと14歳の少年の交流を描いた作品です。 本作の完成披露試写を観終えた宮崎駿は、鈴木敏夫に向かって「俺、泣いちゃった」と絶賛の一言を発したそう。それを聞いた米林監督が、「宮崎監督が褒めるなんて、どういうことなんだろう」と困惑のコメントを残したというエピソードも有名ですね。 そんな裏話の多い『借りぐらしのアリエッティ』ですが、実はネット上ではいくつもの都市伝説がささやかれています。 この記事ではそんな本作の都市伝説や、アリエッティと翔のその後について解説。ネタバレも含まれますので、まだ『借りぐらしのアリエッティ』を観ていない方はご注意ください。

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そもそもアリエッティってどんな小人?

アリエッティたちは「床下の小人たち」と呼ばれ、人間の世界から少しずつ物を借りて暮らしている小人です。彼らは決して人間にみつかってはならないという掟を守りながら、ひっそりと暮らしていました。 小人の少女・アリエッティは、明るく好奇心旺盛な14歳の女の子。人間や猫、虫に対しても物怖じしない性格で、よく床下から外に出て遊んでいるようです。 ある日アリエッティは、母の誕生日のために花やハーブを採取しようと外に出ていたところを、人間の少年・翔に目撃されてしまいます。

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アリエッティたち小人の暮らしを紹介

アリエッティたち小人は、自分たちが送る生活のことを「借りぐらし」と呼んでいます。それは彼女たちが人間の家や物を借りて生きているからです。 また「借り」と「狩り」をかけており、準備を整えた上で人間のものを借りにいきます。あくまでも「借りる」のであり「盗む」のではありません。 アリエッティたち小人には、「人間に見られてはいけない」という掟があります。そのためもし人間に見つかってしまった場合は、すぐにその住処から引っ越さなければいけません。

翔とはどういう関係?

借りぐらしのアリエッティ
© Walt Disney Studios Motion Pictures

翔はアリエッティが借りぐらししている屋敷に、病気療養のためにやってきた少年です。彼は生まれつき心臓が弱く、その手術のために大叔母である貞子の家で過ごすことになります。 12歳という幼い少年ですが、病気のせいもあってかとても落ち着いており、生きることに対して悲観的な姿を見せていました。 翔が初めてアリエッティを目撃したのは、彼女が猫のニーヤに絡まれかけていた時でした。それ以来、小人の存在を認識してアリエッティに接触を試みようとします。 またアリエッティの母・ホミリーが家政婦のハルに捕らわれた際には、アリエッティとともに彼女を救出しました。

翔がアリエッティに発した冷たい言葉の意味って?

翔がアリエッティの姿を初めて目にしたとき、彼はアリエッティに対して「君たちは、滅びゆく種族なんだよ」という冷たい言葉を放ちました。しかしその前に、アリエッティを「美しい」と言っているところに、彼の真意があるようです。 翔は心臓に病を抱え、手術を間近に控えており、自分の運命に対して悲観的になっていました。彼はいわゆる達観した少年で、もう生きることに対する希望は失っている様子です。 彼は人間も小人族も同じ大きなくくりで捉えており、「君たちは、滅びゆく種族なんだよ」という発言も、「美しい種族は滅びる」というどの種にも共通する歴史観を語っただけのよう。 ただ翔はまだ12歳の少年で、その発言を受けるアリエッティの気持ちを考えることは出来ませんでした。のちに彼はアリエッティを傷付けたと気付き、彼女に謝罪して借りぐらしの協力をするのです。

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2通目の手紙に書かれていた内容は?

翔はアリエッティの存在を知って以来、どうにかコミュニケーションを取ろうと試みます。アリエッティが落としていった角砂糖に、「わすれもの」と書いた1通目の手紙を添えて置いておいたのも彼でした。 彼は部屋にあるドールハウスについて、曽祖父がイギリスの職人に造らせたものだという話を大叔母の貞子から聞きます。曽祖父も小人の存在を信じていた1人だったのです。 そして翔は花を添えた2通目の手紙を、アリエッティの通り道へ置いておきます。作中では手紙の内容は明かされませんでしたが、おそらくドールハウスを使ってほしいといった内容だったのではないでしょうか。 実際その後やや強引ながらも、翔はアリエッティの母・ホミリーの台所をドールハウスの台所と挿げ替えています。

なぜ家政婦のハルさんは小人を追いかけ回すのか?

本作において唯一の悪役のような存在である、家政婦のハルさん。彼女は翔の様子から何かを察し、以前見たことがある小人が家にいるのではないかと勘ぐり始めます。 しかしハルさんの行動は少し度が過ぎており、部屋に鍵をかけて翔を閉じ込めてまで、ネズミ駆除業者を呼び小人を捕獲しようとするのです。 なぜハルさんはそこまで小人に固執しているのでしょうか?駆除業者には「捕獲」するよう強調しており、自分でもホミリーを捕まえた時は瓶に入れて閉じ込めていることから、駆除することを目的とはしていないようです。 おそらく彼女は、以前小人を見たことがあるものの誰にも信じてもらえなかった過去があるため、小人を捕まえてその存在を証明したいという欲があったのではないでしょうか。

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主人公はゴキブリ!?アリエッティの正体とは

まさかあの可愛らしい姿のアリエッティが、と思われる方がいるかもしれませんが、実はアリエッティがゴキブリだという都市伝説が存在しているのです。 原作となった『床下の小人たち』の舞台であるイギリスでは、実際にゴキブリをジャムにして食べていたという驚きの事実が存在します。栄養素がかなり高い上に、様々な病気の治療薬として役に立つらしいのです。 また作中に登場する小人たちは全長10センチ程度で、その家の食料をもらいながら、屋根裏や床下で人目を避けて借りぐらしをしています。こういった設定がゴキブリを想起させるのでしょうか? この都市伝説に関しては、アリエッティのイメージが崩壊しかねないので、あまり追求しすぎない方がいいのかもしれません。

アリエッティはナウシカの先祖ってホント!?

1984年に公開された、宮崎駿監督による長編ジブリアニメ映画『風の谷のナウシカ』。この作品では文明が崩壊してしまった終末の世界を舞台に、王蟲や大王ヤンマといった大型生物たちとの共存を模索する少女・ナウシカの姿が描かれています。 本作とは全く異なる世界観の作品がどう繋がっているのでしょうか? 『風の谷のナウシカ』を観た人たちの間では、「大型生物たちが、あのサイズで物理的に飛行できるわけがない」と議論されていました。そのため全体のスケールの捉え方を変え、ナウシカたちが小人であるとすれば、大型生物たちとの対比も納得できると言われるようになったのです。 また時系列で考えてみると、『借りぐらしのアリエッティ』の原作である『床下の小人たち』の出版は1952年で、『風の谷のナウシカ』の公開日は1984年。前もって参考にしていたということも考えられます。 さらに宮崎駿と高畑勲の両者が言うことには、『借りぐらしのアリエッティ』の企画自体は映画化される40年前、つまり1970年頃から考えられていたそうです。

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アリエッティと翔の気になるその後

『借りぐらしのアリエッティ』には、アリエッティと翔が別れたその後に関する都市伝説がいくつも残っています。 翔は心臓が生まれつき弱く、手術を直前に控えていました。「死ぬのは僕の方だ」と悲観的な言葉も口にしていたため、実際に手術は失敗し、彼は亡くなったという説があります。またその他にも、翔の手術は成功したものの、アリエッティとは2度と会えなかったとされる説も。 一方で、新しい家に引っ越したアリエッティたち家族。彼女たちは屋根裏に住むことにしたのですが、結局は人間に見つかり捕らえられてしまったか、猫や犬に食べられてしまったとの噂があります。 どちらもバッドエンドを迎える説ばかりですが、たしかに現実的に彼らが生き延びることは難しいのかもしれません。

スピラーと結婚したという説も

アリエッティの父親を助け、一家の引越しを手伝うことになるスピラー。野生児の彼ですが、アリエッティが翔との別れを惜しんでいる間、1度は翔に弓を引いて警戒するものの、すぐに察して邪魔せずに見守っています。 その後も傷心のアリエッティに、さりげなくラズベリーを差し出す優しさも持ち合わせており、アリエッティとスピラーが良い雰囲気になりそうな予感も。そのためか、アリエッティはその後スピラーと結婚したという説も上がっています。 実はそれも根拠のない噂というわけでもなく、原作ではアリエッティがスピラーとの結婚を宣言するようなくだりもあるようです。 ジブリ作品には続編がないのでアリエッティとスピラーのその後は想像しかできませんが、原作では小人たちのさらなる冒険が描かれています。

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『借りぐらしのアリエッティ』に込められたメッセージとは?

『借りぐらしのアリエッティ』には、「運命を受け入れて生きていかなければならない」というメッセージが込められているのではないでしょうか。 滅びゆく運命の小人族や、病で苦しむ人間。彼らは自らの運命を目の前にして、生きる希望や意味を見出していこうとします。 また宮崎駿は「小人たちの慎ましい生活や、生産者としての暮らしを描くことは、今なら意味があるのではないか」と語っています。 今なお世界中で戦争や犯罪が絶えない中、私たちは本当に安全で平和な世界に生きていると言えるのでしょうか。もし突然、抗えないほどの危険な状況に陥ったとしたら、現実を直視して向き合っていけるのでしょうか。 自分の運命はどんなものになっていくのか。平和な世の中とはいったい何なのか。改めて見つめ直すべきなのかもしれません。

番外編『借りぐらしのアリエッティ』の監督にも都市伝説があった?

新人歓迎会の際、女性社員に「お前は麻呂だ!」と言われて以来、スタジオジブリで麻呂と呼ばれている米林監督。そんなあだ名がつくほどおっとりした見た目の米林監督ですが、ジブリに登場するあるキャラクターのモデルだと言われています。 そのキャラクターがなんと『千と千尋の神隠し』に登場するカオナシだというのです。『千と千尋の神隠し』の制作時、米林監督はちょうどカオナシの作画をしていたのですが、その画を見た鈴木敏夫が「麻呂にそっくり!」と言い放ったことがきっかけだとか。 カオナシというと、全身真っ黒な体に白いお面のようなものを着けている、不気味な姿が浮かびますよね。「何を考えているかわからない」「金で何でも手に入ると思っている」「コミュニケーションが苦手」という印象があります。 そんなカオナシのモデルと言われてることは、米林監督にとっては決して嬉しいものではないかもしれません……。 そんな米林監督が手がけた初の長編アニメ作品が、この記事で紹介した『借りぐらしのアリエッティ』です。ここで紹介した都市伝説や考察を踏まえて、ぜひ本作をもう1度見返してみてくださいね。