映画『千と千尋の神隠し』にまつわる13の都市伝説を紹介!油屋は風俗だった?節子が登場している?
スタジオジブリの大ヒット映画『千と千尋の神隠し』には、数多くの噂や裏話があることを知っていますか? 監督である宮崎駿は、かなりの時間をかけて世界観やキャラクターの設定を練り上げており、表面的だけではなく奥深い部分まで凝って作品を制作していることで有名です。 この記事では、そんな『千と千尋の神隠し』にまつわる都市伝説を13個まとめて紹介します!ネタバレも含まれるので、ぜひ鑑賞したうえで読み進めてくださいね。
1.冒頭シーンで千尋は死にかけていた?
まずは荻野家が不思議な異世界に行く前のことを思い出してみてください。 父親が突然スピードを上げてトンネルに向かっていくシーンは、観ている側もドキッとしました。実はこの時、車が事故に遭って家族みんな瀕死になっているのではないか、とする説があるようです。 作中では、車は猛スピードで進んでいくものの3人とも無事でした。しかしその後、千尋は身体が透けて実体を失くしそうになっています。完全に消えてしまったわけではなく、少しだけ透けていることから、彼女は瀕死の状態になっていたと考えられないでしょうか。 またトンネルを抜けた先にあった川は三途の川なのでは、という説もあります。
2.両親が食べていた食べ物は実在する?
千尋とその両親がたどり着いた不思議な世界は、本来人間が立ち入ってはいけない神々のための場所でした。 両親が食べてしまったのは、この不思議な世界にしか存在しない生き物の肉だそうです。これは、神々へのおもてなしのためだけではなく、迷い込んできた人間への罠だとも考えられています。 ジブリ映画に登場する食事シーンや食べ物は「ジブリ飯」とも呼ばれるように、とても美味しそうに描かれていることが多いですが、このシーンは両親が食べ物を貪る様子や、得体の知れない食べ物がちょっと不気味に映ります。
3.千尋の働く油屋は風俗だった?
油屋で千尋は「湯女」として働くことになります。作中の描写だけ観ればお風呂係くらいの印象ですが、実は「湯女」とは古くから遊女(売春婦)を示す言葉です。 また現在では居酒屋さんのイメージが定着していますが、赤ちょうちん(赤いランプ)は全世界共通で売春宿の印で、赤を基調としたインテリアは江戸の遊郭を想起させます。 ここから導き出されるのは、本作は風俗産業を舞台にしているということです。ではなぜ国民的ヒットが予想される劇場アニメで、風俗産業を組み込んできたのでしょうか。 宮崎監督自身は本作についてのインタビューで、現代の世界を描くには風俗産業がふさわしいと思う旨の発言をしています。 性風俗に対する是非はさておき、監督の真意を考えながら鑑賞してみると、また違ってみえるかもしれません。
4.カオナシの正体は現代の若者?
油屋にやってきた様々なお客様の中で特に不気味だったカオナシ。もともとは話せないようでしたが、カエルを取り込んだ後に、カエルの声で話し始めます。 さらに、従業員たちがほかの神様からの砂金に大喜びしていた様子を見て、ハリボテの金を餌に、ご馳走を運ばせます。 宮崎駿監督は、カオナシについて、人と関わりたいけれど、自分をもっていない、現代の若者がもとだと話していますが、このようなシーンを考えると納得ですね。
5.千尋は生理がきていた?
『千と千尋の神隠し』に関する噂の1つに、千尋が生理を迎えたシーンが描かれているというものがあります。それは彼女が初めて油屋で眠りにつくシーン。このとき千尋はうずくまり、苦しそうにお腹を抱えているのです。 ジブリの公式設定には生理に関する言及がないので、確かなことは言えませんが、「子どもの成長」をテーマにする本作で、そういったシーンが描かれても不思議ではありません。女の子にとって、初潮を迎えることは大人の女性になった証です。 『魔女の宅急便』でも、主人公のキキが魔法を使えなくなったのは、生理が来たせいではないかという噂があります。彼女が大人に近づき、現実的な考え方をするようになったことで、魔法が使えなくなったと考える人もいます。 ジブリ作品では、生理は成長の象徴なのかもしれませんね。
6.湯婆婆・銭婆はもともと悪役だった?
油屋を経営しており横暴で口が悪い湯婆婆と、その姉で湯婆婆よりもソフトな性格の銭婆。作中では重要な役割を担っている2人ですが、実は初期の設定では完全な悪役だったと言われています。 都市伝説としてまことしやかにささやかれているのは、千尋によって2人が倒されるという展開。まず湯婆婆を倒し、その黒幕だった銭婆も倒すストーリーになる予定だったとか。 しかしこの展開では、感動物語というよりもアクション映画になってしまいます。またこの展開を取り入れると、上映時間が3時間以上になってしまうということで、泣く泣くカットしたとのこと。 そのかわりにカオナシが登場し、物語の流れが大きく変わったようです。
7.油屋では4つの季節が共存している?
千尋が不思議な世界にいたのは、いったいどの季節なのでしょう。 ここで注目したいのは、油屋の中庭にある花です。そこにはアジサイとツバキが咲いています。一般的にアジサイは梅雨の時期、ツバキは冬に咲く花です。これは、この世界では四季が共存していることを示していると思われます。 四季が共存しているのは、この世界が日本の浄土信仰で死後に行くことができるという極楽浄土をイメージしているからではないでしょうか。 極楽浄土には四季がなく、どの季節の花も同時に咲いているとされています。これは、平安時代から極楽浄土を描く絵画で使われている手法です。やはり千尋が迷い込んだのは、死後の世界なのでしょう。
8.電車のシーンは『銀河鉄道の夜』?
千尋が銭婆に会いに行くために乗った海原電鉄の電車は、1985年に公開された杉井キサブロー監督によるアニメ映画『銀河鉄道の夜』に登場する汽車の描かれ方とよく似ています。 美しい映像と音楽で話題になった同作は、宮沢賢治の原作をもとに、キャラクターをネコに置き換えて制作されました。 銀河鉄道は死者を運ぶ列車で、乗客や車掌は黒い影として描かれています。そのほかにも、周りに建物がない暗闇を通る線路、車窓から見える花々や星々、ときおりプラットホームだけの駅が現れるところも、海原電鉄と同じです。 この電車が『銀河鉄道の夜』にオマージュを捧げたものなら、乗客たちは死者ということになりますね。
9.『火垂るの墓』の節子が登場?
海原電鉄の乗客については、もう1つの噂があります。 一方通行の電車は、自殺した人があの世に行くためのものといわれています。途中に駅があるのは自殺が踏みとどまった人のためのものですね。 また途中の沼原駅のホームには、ずっと電車を見つめている女の子が。彼女は『火垂るの墓』の節子ではないかとの噂があります。節子は兄・清太より早く亡くなり、清太も戦後まもなく駅で餓死しました。節子はこの駅で、ずっと兄を待っているのではと言われているのです。 しかしこの説については、女の子のシルエットが節子よりも年上に見えることが気になります。また途中の駅で降りるのが自殺を思いとどまった人たちなら、栄養失調で命を落とした節子が電車に乗って駅に来たはずがないため、信憑性は低いのではないでしょうか。 また『火垂るの墓』には、地上波で放送されるときにはカットされがちなラストシーンが存在しています。そこで幽霊になった節子と清太は、再会しているのです。
10.その後ハクはどうなった?八つ裂きに?
ハクの最後については「八つ裂きにされてしまう」という説が有力なようです。公開当時のジブリ公式HPでも、「ハクはルールに従わなければならないという世界観から、湯婆婆の言葉通り八つ裂きにされる運命を受け入れている」旨の説明があったとか。 最後に千尋と別れるシーンでは、繋いでいた千尋の手が離れ、ハクの手だけが名残惜しく残っていました。宮崎監督によれば、これは2人の永遠の別れを表現しているそうです。2人が会えるのは、ハクが死んで魂のみになって人間界に行った時、とも捉えられます。 またハクは別れの際、千尋に「決して振り向いてはいけないよ」と言いますが、それは「振り向くと、トンネルの近くにあったダルマになってしまう」といわれているからだそうです。 千尋が振り向こうとした瞬間、銭婆からもらった髪留めが光り、すんでのところで踏みとどまります。その光は、ハクの涙を表しているという話もあるそうです。
11.主人公はもともとリンだった?
油屋で働くことになった千尋の先輩・リン。実はもともと、彼女が主人公になるはずだったと言われています。 というのも「千と千尋」以前に宮崎駿が制作しようとしていた作品に『煙突描きのリン』というものがあり、その主人公が本作に登場するリンのモデルになっているからです。 しかしこの作品は、銭湯の壁の絵を描く20歳のリンという女性と、60歳のおじいさんが恋に落ちるという物語。結果、プロデューサーの鈴木敏夫の大反対にあい、制作は見送られることになりました。 しかし宮崎監督のリンへの思い入れは強かったらしく、こうして『千と千尋の神隠し』に登場することになったのでしょう。
12.千尋はもともと「千晶」だった?
本作の主人公である千尋の名前は、もともと「千晶(ちあき)」になる予定だったと言われています。これは宮崎駿監督が経験した、ある出来事に基づいているそうです。 スタジオジブリの広報誌『熱風』2016年6月号によると、あるとき宮崎監督は日本テレビのプロデューサーである奥田誠治に「千晶の映画をやろうか」と言ったのだとか。千晶は、奥田の娘の名前です。 千晶ちゃんは4歳くらいの頃、父とともに宮崎駿の山小屋を訪れました。そのとき彼女の靴が片方川に流されてしまい、奥田と宮崎駿、そしてジブリのプロデューサー鈴木敏夫が必死になって追いかけたという出来事があったそうです。 この小さな出来事から、宮崎駿は女の子と川の神の出会いを思いつき、映画を制作することにします。当初は千晶ちゃんに感謝を込めて、タイトルを『千と千晶の神隠し』にする予定だったとか。 しかしストーリーがまとまるにつれ遊郭が舞台になることになり、名前を変更したとしています。
13.幻のラストシーンがある?
『千と千尋の神隠し』のラストで、現実世界に帰った千尋は、両親の車に乗る直前、小さな川を見つけます。実は、このシーンの後、千尋とハクが再会したのではないかと言われているのです。 名前を間違えて書いた千尋と違い、本当の名前を取られてしまったハクは現実世界に戻れません。千尋と別れた後は、「世界の理」に沿って、八つ裂きにされた可能性が高いでしょう。ですが、その後には川の神として再び川となっていたのかもしれませんね。
『千と千尋の神隠し』には不思議な都市伝説がいっぱい
この記事では、『千と千尋の神隠し』の噂や都市伝説を紹介しました。ジブリ作品は、どの映画も多くの都市伝説を生んでいますが、それほど多くの観客を惹きつけ、考えさせる内容だからなのでしょう。 人によって、あるいは観るたびに解釈も違ってくる作品なので、『千と千尋の神隠し』をもう1度観てみるのも面白いかもしれませんね。
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