2019年1月17日更新

ポニョは死神で舞台は死後の世界?『崖の上のポニョ』の都市伝説を徹底解説・考察!

©Studio Ghibli/Disney/Photofest

スタジオジブリ宮崎駿の監督作品『崖の上のポニョ』には都市伝説が多数存在します。あの可愛いポニョが死神?そして死の世界?そんな様々な都市伝説は本当なのか、本記事ではそんな気になる都市伝説の検証と、映画のトリビアを紹介します。

ジブリ映画『崖の上のポニョ』の都市伝説を徹底考察・解説!

本作品は、2008年7月公開スタジオジブリ制作の長編アニメーションです。5歳の男の子・宗介(そうすけ)がさかなの子であるポニョを助けたことから話はスタートします。 ポニョは宗介に恋をし、人間の世界で一緒に暮らし始めることから、ポニョがいるべき海の世界は大混乱。そしてポニョを連れ戻すべく人間の世界に大洪水を起こします。果たして宗介はポニョを守ることができるのでしょうか? そんな『崖の上のポニョ』ですが、実は都市伝説が囁かれているのをご存知ですか?今回はそんな本作にまつわる都市伝説と、映画がもっと面白くなるトリビアを紹介します!

1.「ポニョ」は死後の世界を描いている?都市伝説の理由とは

1:津波が襲ったのにみんな無事

物語の途中、津波が宗介の住む町を飲み込みました。ですがみんな無事生還しています。そして老人ホームにいた座ったままの老人たちの足が急に動くようになったり、水の中で呼吸ができるようになります。これを大人は誰一人不思議に思わないのです。 宗介は不思議に思いますが、宗介の母は「今は不思議なことがいっぱい起きているけど、後で理解することができる」と意味深な言葉を残しています。 これらは全員がもともと死んでいるからではないか、と憶測されています。まだその事を知らないのは宗介だけであり、成長して気がつくことを想定してリサはそう伝えたのではないでしょうか。

2:ポニョが人間からさかなへ

津波から逃れる時に高台に上っていくトンネルがあります。宗介はポニョとそこを通ろうとしますが、人間の女の子になりかけていたポニョはさかなへ戻って行ってしまいます。 そのことから、このトンネルが現世とあの世を繋ぐトンネルなのではないかと言われているのです。

3:トンネルを抜けた宗介はすでに死んでいる?

例のトンネルがあの世への道だとすれば、そこを通り抜けた宗介はすでに亡くなっていると推測できます。トンネルの入口には地蔵がありました。日本では地蔵は道祖神(どうそじん)として岐路に置かれ、子どもを守る菩薩としてよく知られています。 トンネルを抜けて死んでしまった宗介の魂を救済するという意味で、地蔵が置かれていたのであれば、トンネルとあの世との関係性はさらに真実味を増します。

4:ボートで漂う家族と三途の川を渡る人々

宗介とポニョは、ボートで漂っている家族と出会います。そこには赤ちゃんの姿も。この家族が大正時代の人たちであることがパンフレットによって明らかになっています。このことから、彼らは亡くなってから長い間成仏できずに、彷徨っているのではないかと思われるのです。 また、町がまるで津波などなかったかのように、美しい状態で海底に沈んでいるように見えます。難を逃れたのか、船に乗っている人々も元気で明るい感じ。これは一体どういうことなのでしょうか。 この船に乗った人々は、もしかするとすでに亡くなっていて、霊魂となってまさに今、三途の川を渡っている最中だとも考えられます。

2.正体は死神?その本名は「ブリュンヒルデ」

この作品の主人公であるポニョの本名はブリュンヒルデといいます。ブリュンヒルデというのは、北欧神話に出て来るワルキューレ(ヴァルキリー)の1人です。ワルキューレは戦さで勝敗を左右し、戦死した者をオーディンの神殿(ヴァルハラ)に連れていく役割を担っています。 ポニョの名前であるブリュンヒルデはこの9人いるワルキューレの長女なのです。死者を連れていく役割を持つ名前を持つことから、ポニョは死神に似たものではないかと言われています。

4.『崖の上のポニョ』死後の世界説!都市伝説を裏付ける2つの言葉

1:津波に流された船の船長の言葉

宗介の父である耕一は一度、船の墓場に辿り着いたことがあります。この船の墓場というのは辿り着いたら最後、戻ってこれない場所なのです。ですが耕一は戻ってきました。観音様に助けられたと言っています。 その後、津波に流された船も船の墓場に辿り着いてしまいました。その時に船長は、「船の墓場だ。あの世の扉が開いてしまったんだ」と意味深な言葉を残しています。

2:作曲家・久石譲の言葉

ジブリの音楽を担当している久石譲ですが、彼はインタビューの中で 「死後の世界や輪廻転生などの難しいテーマを投げかけながらも、子供からは少年の冒険の物語に見える、という二重の構造を表現するのが難しかった」と意味深なコメントを残しています。 死後の世界や輪廻、魂の不滅などを考えて曲を作るなんて普通ではまず考えられません。その事から、この『崖の上のポニョ』は死後の世界ではないかと言われているのです。

5.アンデルセン童話『人魚姫』がポニョのルーツ

ポニョは人魚姫をモチーフにしたといわれていますが、宮崎監督は意図的にベースにしたわけではないようです。しかし、子どもの頃に読んだアンデルセン童話『人魚姫』がポニョの発想のルーツだったと、ヴェネツィア国際映画祭の記者会見インタビューで答えています。 人魚姫は魔法によって人間の姿になりますが、真実の愛を得られないために泡になって消えてしまいます。ポニョも、大好きな宗介のために人間になりたいと願い、同じように宗介の真実の愛が得られないと泡となって死んでしまうのです。 宮崎監督自身が「5歳の子どもが理解できればいい」と語り、企画の段階から幼い子どもたちの愛と冒険を描くと決まっていた本作。ポニョと宗介のお互いを強く思う気持ち、ごく単純な「大好き!」という気持ちが一番重要であり、世界を救うのは真実の愛だという“おとぎ話”が、本作のメインテーマなのかもしれません。

6.ポニョの父、フジモトは何故人間を辞めた?

ポニョの父、フジモトはもともとは人間でした。なぜ魔法使いとなったのでしょうか。フジモトは人間だったときには、潜水艦ノーチラス号で唯一の東洋人として職務を全うしていました。ただ、そこで母なる海であるグランマンマーレと出会い恋に落ちてしまったのです。 人間として生活していたフジモトは陸上でも活動はできますが、肌の乾燥を防ぐために海洋深層水が手放せません。そして母なる海であるグランマンマーレを独り占めすることはできず、一人でポニョや子供たちの世話に明け暮れています。

7.リサというこれまでにない母親像

宗介が父親を「耕一」、母親を「リサ」と呼び捨てにしていることに、少し違和感を覚えますが、これは意図的なものだったようです。鈴木敏夫プロデューサーによれば、宮崎監督の設定では、母親のリサ自身が宗介を一個人として自立するように育てているためだとか。なかなか進歩的な母親像です。 そんなリサのアグレッシブな子育てに対しては、批判もありがち。特に5歳の宗介を家に置き去りにして行く場面には、母親として無責任なのでは?という意見も。 しかし、宗介を一個人として育てているリサならではの判断で、自分が務める老人ホームの人々を心配して駆けつけたい気持ちと、宗介に家に残って「嵐の中の灯台」として、帰る場所を守っていてほしい思いがよく表れています。

8.宗介(そうすけ)の名前の由来は夏目漱石の『門』

宗介の家は崖の下にあります。宮崎駿は『ハウルの動く城』の後、夏目漱石の書物を読み漁っていたそうです。そのときに、前期3部作である『三四郎』『それから』『門』でこの作品に影響を与える1冊と出会いました。それは『門』です。 『門』に登場するのは崖の下の家に住んでいる宗助が登場します。そして本作の主人公も崖の家に住んでいる事から、字は違いますが「宗介」となったのです。

9.舞台のモデルは瀬戸内海の港町・鞆の浦

『崖の上のポニョ』の舞台のモデルとなったのは、広島県福山市の鞆の浦であることは有名です。鞆の浦は瀬戸内海に面する歴史ある港町で、宮崎監督は2004年にスタジオジブリの社員旅行で訪れています。 その際、趣あるこの港町をいたく気に入り、翌年には鞆の浦に2ヶ月間も滞在したといいます。その時住んでいたのが、海が見える崖の上の一軒家。まるで生きているように丁寧に描かれた本作の波の表現は、この海がインスピレーションをかき立てたようですね。

10.あえて起承転結のない世界観で作られている?

本作品は監督である宮崎駿のインスピレーションを基に製作されているために、伏線はなくスピードと勢いで物語は進んでいきます。そのため天変地異が起こっても、なぜそうなったかの理由が解明されないので、モヤモヤしてしまう部分もあるかもしれません。 ストーリーと世界観が作りこまれ、伏線も張られている以前のジブリ映画を期待して鑑賞すると、肩透かしを食らってしまいます。しかしながら、「起承転結」という作り尽くされた流れで映画を作らず、ルールを知らない人も“わかる”映画を作りたかったと宮崎駿は語っており、ジブリ作品の中でも小さな子供でも楽しめる作品と言えるでしょう。 一方で「人魚姫」や「北欧神話」、さらには後ほど紹介しますが「死後の世界」を彷彿とさせる描写など、大人には考えさせる世界観となっています。

11.実は米国興行収入は『千と千尋の神隠し』越え!

308億という驚異的な興行収入を叩き出し、2019年1月現在も日本の歴代興行収入ランキング1位の座に君臨し続けているジブリ映画『千と千尋の神隠し』。本作はの興行収入は『千と千尋の神隠し』の2分の1ほどの155億で、興行収入ランキングは6位となっています。 しかし、米国での興行収入は実は本作の方が上!米国での『千と千尋の神隠し』の興行収入は1000万ドルほどだったのに対し、『崖の上のポニョ』は1500万ドル。その理由としてはジブリ映画史上最大級となる公開映画館数であったこと、リーアム・ニーソン、ケイト・ブランシェットなどの人気俳優たちが吹き替えを担当し、話題になったことなどが挙げられます。

12.500日かけてフルカラー絵コンテを作成した

宮崎駿は500日を掛けて512枚の絵コンテを作成しました。絵コンテというのは映画の設計図であり、どのような映画でもカメラワークや役者の動きをみんなで共有するためのものですが、512枚になるほどの大量の絵コンテはなかなかありません。 これはスタッフ全員に宮崎駿が描く『崖の上のポニョ』のイメージを共有するためで、カラーで512枚の絵コンテを描いたとのことです。

13.ポニョの一風変わったエンドロールの理由

大ヒットした主題歌「崖の上のポニョ」に乗せて流れるエンドロールは、普通のものとは違い、一風変わっています。本作に関わったスタッフ名が「このえいがをつくった人」として、50音順に役職や肩書きは一切なしで、その人物を表したアイコン付きで流れるのです。 ここにも、幼い子どもたちが観ることを前提にした心配りが!主題歌も短く、長い時間映画を観ていた子どもたちが飽きることなく、最後まで観られるように工夫しています。

『崖の上のポニョ』は“神経症と不安の時代”に生きる子どもたちへ向けて作られていた

崖の上のポニョ
©Studio Ghibli/Disney/Photofest

宮崎監督はスタジオジブリの公式ホームページで、『崖の上のポニョ』は“神経症と不安の時代”に立ち向かう作品であると語っています。「少年と少女、愛と責任、海と生命」など、人間の初源に属するものをためらわずに描いたそうです。 環境問題や燃料・食料問題、少子高齢化といった社会問題など、先行き不透明な時代だからこそ、「愛こそがすべて」ともいえる本作のシンプルなテーマは人々の心を揺さぶりました。 子どもたちが不安を抱いて生きるのではなく、「生まれてきてよかった」と思える世界観。それこそが、本作で描かれた“不安の救済”なのではないでしょうか。