2020年12月25日更新

『風の谷のナウシカ』の魅力を都市伝説とともに徹底解説!腐海はなぜできた?原作でテトはどうなる?

風の谷のナウシカ
© Studio Ghibli/Walt Disney Pictures

都市伝説とともに『風の谷のナウシカ』の魅力を解説!なぜこれだけ愛されるのか?

宮崎駿監督が手がけた長編アニメーション映画の2作目『風の谷のナウシカ』。本作1984年に公開されて話題を呼び、その後のジブリ映画の基礎となった作品です。 「人と自然との共存」が大きなテーマとなる本作は、大人も子どもも楽しめる作品であり、見応え抜群。この記事では、あらすじや都市伝説を振り返りながら、ジブリ映画『風の谷のナウシカ』の魅力を徹底解説していきます! ※この記事は映画『風の谷のナウシカ』や原作のネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください。

映画『風の谷のナウシカ』のあらすじ

風の谷のナウシカ
©Studio Ghibli/Walt Disney Pictures

最終戦争「火の7日間」により大地は錆とセラミック片に覆われ、生き残った人類は死の瘴気を放つ腐海とそこに住まう巨大昆虫の脅威に晒されていました。しかし森と風に守られた辺境の集落「風の谷」の民は、穏やかな農耕生活を送っています。 人々が忌み嫌う王蟲(オーム)と心を通わせることのできる「風の谷」族長の娘ナウシカは、腐海を調査して瘴気の無害化を探っていました。そんなある日、谷に軍事大国トルメキアの輸送機が墜落します。荷に積まれていたのは、「火の7日間」で世界を滅ぼした兵器「巨神兵」でした。 トルメキアの女王クシャナは、巨神兵をもって腐海を焼き払うといいます。トルメキアに捕虜として捕らえられ、輸送機で谷から連れ去られるナウシカ。 そこへ少年が操縦する戦闘機が襲いかかり、トルメキア空中艦隊が壊滅状態に陥ったすきに、ナウシカは小型飛行機で脱出。そして戦闘で撃墜された少年を助けに向かいます。少年の名はアスベルといい、トルメキアに敵対する国の者でした。 谷ではトルメキアに対する反乱が勃発。クシャナの指揮で復活されつつある巨神兵の前には、おとりで呼び寄せられた王蟲の大群が押し寄せており、ナウシカは身を挺して大群の前に降り立つのです。

魅力①:主人公ナウシカのもつ愛情に心動かされる!モデルとなったのは?

ナウシカのモデルその1:ナウシカア王女

ナウシカの名前の由来といわれているのは、バーナード・エヴスリンの『ギリシア神話小事典』に登場するナウシカアであると、宮崎駿と高畑勲の対談の中で語られています。 優しく、美しいナウシカアの望みは、オデュッセウスを助けてその彼の妻になることでした。彼女は念願通り彼を助けますが、彼自身は自分の故郷に帰ることを望んでいました。 そのことを知った彼女は、自分の気持ちを抑えて身を引くのです。 そして別れの際には「さようなら、よそのお方……国に帰っても私の事を忘れないで下さい。あなたを助けた私の事を」とつぶやきます。 ナウシカもナウシカア王女も「人への優しさ」を忘れない部分は共通しています。またナウシカアはいい大人になっても色恋に走らず竪琴を弾き、海辺を走り回る女性だったようです。この辺りのイノセントさを保ったまま大人になるという人物像は、ナウシカっぽさがありますね。

ナウシカのモデルその2:蟲めづる姫君

ナウシカのモデルとなったのは、平安時代の物語集である『堤中納言物語』の中に収録されている「蟲めづる姫君」の主人公・蟲愛づる姫だともいわれています。 美しく気高い姫は化粧もしない、お歯黒もつけずゲジゲジ眉毛のままという変わった人物でした。ひらがなを書くこともせず、可憐なものも好まず、唯一「毛虫」が好きだったのです。 普通であれば花や蝶など見た目が美しい生命を好むのが一般的ですが、姫君は先入観を持たず「自然」を自分の目でよく見て、虫の成長を観察することを大切にしています。虫を自分の手のひらにのせて、毛虫の歩く様子を観察して楽しんでいます。 そんな彼女を、女房や母親たちは化粧もせず虫を触って外聞が悪いと叱ります。しかし「自然」が1番な彼女にとって、化粧は自然体ではなくなってしまうため、素の姿が1番“自然”だという考えは変わりませんでした。そんな姫にも好意を持ってくれる男性がいたのです。 その男は「彼女はちっとも醜くなんかない。華があって、鮮やかで、気高くきれいだ」と言います。男はさらに彼女に宛てて「毛虫によく似たあなたの眉毛の先ほども、美しい女性はこの世におりません」と詩を残しました。 蟲への愛に溢れているところや、美醜にこだわらない性格など、ナウシカの片鱗が感じられますね。

ナウシカの胸が大きい理由は、「安心して死ねる」ため

気付いている人も多いかもしれませんが、特に映画版における主人公のナウシカは胸が大きいのです。これは決して男性ウケを狙ったわけではありません。 これは実は仲間や城オジ、お婆さんたちが死んでいくときに安心して死ねるよう、抱きとめてあげられるような胸でなくてはならない、という意味が込められているとジブリオフィシャルブック内のインタビューで宮崎駿自身が語っています。

彼女の優しさは“そうせざるを得なかった”もの

風の谷のナウシカ
©Studio Ghibli/Walt Disney Pictures

主人公ナウシカの魅力のひとつに、人も動物も植物も、どんなものにも愛を持って接し、全てを受け入れるような「優しさ」があります。青い服装も相まって、聖母マリアのような印象を抱く人も多いでしょう。 しかし宮崎駿は、ナウシカのこの最大の特徴について以下のように語っています。 「何よりも責任を負っているということです。自分の思いとか、やりたいことがあったとしても、とにかくまずその前に、たとえ小さな部族とはいえ、部族全体の利害や運命をいつも念頭に置いて行動しなければならないという抑圧の中で生きているわけです。」 引用元:『ジブリの教科書1 風の谷のナウシカ』 (文春ジブリ文庫) つまりナウシカの優しさは聖母のような無条件の愛ではなく、部族のリーダーとして“そうせざるを得なかった”ものなのです。 周囲には愛情を持って接するのにナウシカ自身はいつも寂しげなのは、責任や悲しみを1人で背負っているからなのかもしれません。にじみ出る覚悟と悲しみが、ナウシカというキャラクターに人間的な深みを出しており、観客は強く心を動かされるのではないでしょうか。

魅力②:巨神兵はどのようにして生まれたの?「あれ」に似ている理由

兵器としての巨神兵

『風の谷のナウシカ』

映画版では自立型の生体兵器で、自らの意思があるような描写の「巨神兵」ですが、原作では人型で知性のない生体兵器として描かれています。また原作では、この巨神兵には「オーマ」という名前がついていました。 クシャナが腐海を焼き払うために復活させようとする巨神兵は、旧世界の人類が創造した巨体と圧倒的な武力を持つ最終兵器。ナウシカが生きる時代には、「火の7日間」を起こして旧世界の文明を焼き尽くした恐るべき神として語り継がれています。

東亜工廠という名の企業が巨神兵を作った?

巨神兵を作ったのは誰か?という問題の答えとしてささやかれている説があります。漫画原作には、巨神兵の歯に「東亜工廠」と書かれた商標ラベルの存在を見つけることができるのです。 この東亜工廠は、「火の七日間」に至る前の旧世界の巨大産業文明の中で存在した、ある日系企業なのではないか?とする説が有力。 工廠(こうしょう)とは、軍隊直属の軍需工場という意味の言葉です。軍需工場は武器・弾薬などを開発、製造したり、修理、貯蔵する施設のこと。なので「東亜工廠」は、国営もしくは軍直属の機関であった可能性が高そうです。

エヴァ初号機に似てる……巨神兵のキャラデザインは庵野秀明

作品に登場するキャラクターの中でも特に強烈なインパクトを放つ「巨神兵」。このキャラクターのルックスを、ほかの作品で目にしたことはないでしょうか。実はこの「巨神兵」のデザインを任されていたのは、「エヴァンゲリオン」シリーズで有名な庵野秀明氏だったと言います。 宮崎駿氏のスタジオを突然訪れた庵野氏は「巨神兵」のイラストを宮崎氏に見せ、共同作業をする機会をもらったそうです。後年に『巨神兵東京に現わる』(2012年)を監督したのも、自然な流れですね。

魅力③:なぜ腐海は生まれたのか?現実ともリンクする世界観を解説

腐海とはいったい何?

風の谷のナウシカ
©Studio Ghibli/Walt Disney Pictures

本作の主な舞台ともいえる「腐海」とは、多種多様な菌類によって形成されている巨大な森です。そこでは昆虫に似た巨大生物「蟲」が腐海を守っています。腐海は旧世界の文明崩壊後に生まれました。 腐海の菌類は「瘴気(しょうき)」と呼ばれる毒ガスを発生し、人間がガスマスクなしで腐海に入ると5分で肺が腐ってしまいます。腐海は次第に人間が住む領域を侵食していき、ナウシカが住む風の谷の人々も瘴気と蟲に怯える日々を過ごしていました。

腐海の存在意義はなんだったのか?

そもそも腐海はなぜ生まれたのでしょうか?映画の中で語られていることは、「火の7日間」の後に“自然発生的に”腐海が生まれ、人間の住む領域を侵し続けていること。 しかし腐海の菌類を独自に研究していたナウシカは、偶然にも腐海の最深部に落ちた時、腐海の役割が「浄化」であることに気付きます。旧人類たちが取り返しのつかないほど汚染した世界を、腐海は長い時をかけて浄化し続けていたのです。 本作には原作漫画がありますが、そこではさらに驚きの事実が!実は巨神兵や腐海は旧人類の遠大な計画のひとつであり、巨神兵が焼き尽くした旧世界を腐海によって浄化することが目的だったと物語終盤で明かされます。 つまり映画では自然発生したと考えられていた腐海は、原作では人工的に造られたある種の「浄化装置」であり、巨神兵も「裁定の神」として荒廃した世界を平らにするために創られたのです。

核戦争のメタファーになっている?

風の谷のナウシカ
©Studio Ghibli/Walt Disney Pictures

宮崎駿作品は、現実の紛争や自然と文明の対立などを反映した世界観が特徴的です。実際に『風の谷のナウシカ』にも、さまざまなメタファーや現実とリンクする世界観が織り込まれています。 本作が公開された1984年当時は、アメリカとソ連の冷戦が緊張状態にありました。そんな背景もあり、「火の7日間」は核戦争を、世界を焼き尽くした巨神兵は核兵器を連想させます。 実際に核戦争が起こると、地球は灰や煙によって日光が遮られ、「核の冬」と呼ばれる氷期になるといわれています。人間が住めない腐海は、まさに核戦争後の放射線で汚染された「核の冬」の大地を隠喩しているのではないでしょうか? 原作で腐海や巨神兵が自然発生ではなく「人類が生み出したもの」として描かれる点からも、人類が自ら生み出した脅威である核を連想せずにはいられません。

水俣湾の水銀汚染もきっかけに

宮崎駿が『風の谷のナウシカ』を作ったきっかけ、そして腐海の設定には、1956年に公式発表された水俣湾の水銀汚染のニュースが大きく関係しています。宮崎駿は以下のように語りました。 「水俣湾が水銀で汚染されて死の海になった。つまり人間にとって死の海になって、漁をやめてしまった。その結果、数年たったら、水俣湾には日本のほかの海では見られないほど魚の群れがやってきて、岩にはカキがいっぱいついた。これは僕にとっては、背筋の寒くなるような感動だったんです。人間以外の生きものというのは、ものすごくけなげなんです。」 引用元:『ジブリの教科書1 風の谷のナウシカ』 (文春ジブリ文庫) 宮崎駿もこう語っているように、水銀汚染された水俣湾には数年後、たくさんの魚や貝が生息していました。海中の泥を調べると、なんと海中の微生物が独自に進化し水銀を浄化する力を身につけていたのです。 この出来事に衝撃を受けた彼は、『風の谷のナウシカ』で人間以外の生き物のたくましさ、けなげさを描きます。本作の世界は決してただのファンタジーではなく、この地球上の現実と確かにリンクしているのです。

魅力④:生まれた背景にもドラマがあった!宮崎駿はラストに不満?

実はスタジオジブリ作品ではない

当たり前のようにジブリ作品にカテゴライズしている人も多いかもしれませんが、実は『風の谷のナウシカ』はジブリ作品ではありません。 初代スタジオジブリが設立されたのは1985年のことですが、映画『風の谷のナウシカ』が公開されたのはその1年前の1984年。スタジオジブリは、本作の商業的な成功をきっかけに設立された制作会社なのです。 宮崎駿とともにスタジオジブリを設立した高畑勲は、彼が東映動画(現・東映アニメーション)に所属していた時代の先輩でした。 2人は「ルパン三世」第1シリーズや『パンダコパンダ』(1972年)、『アルプスの少女ハイジ』(1974年)などの作品をともに手掛け、『風の谷のナウシカ』で高畑勲はプロデューサーを務めています。

宮崎駿は映画化前提で漫画を書いていなかった

宮崎駿
©︎Orban Thierry/MCT/Newscom/Zeta Image

『風の谷のナウシカ』が誕生する少し前、宮崎駿は日本の戦国時代を舞台にした『戦国魔城』というSF作品のアニメ映画企画を考えていました。 物語のないままイメージのみを企画として提出するも、「原作のないものは無理だ」とボツにされてしまいます。当時は『銀河鉄道999』(1978年)など、漫画がヒットした作品を原作としてアニメを制作するのが当たり前だったのです。 「じゃあ、原作を書いちゃいましょう」と、『戦国魔城』のイメージを膨らませて生まれたのが漫画『風の谷のナウシカ』でした。 しかし宮崎駿は「アニメージュ」での連載を引き受ける条件のひとつとして、「映画化のために漫画を書くのは不純だから、漫画にしか書けないものを書くこと」を挙げます。 誕生のきっかけは映画化前提でありながら漫画を書く時には映画化前提ではなく、しかし結果的には映画化されたという、不思議な経緯で生まれた作品なのです。

そのせいでアニメーター泣かせに!

「漫画にしか書けないものを書く」という決意のもとに描かれることになった漫画『風の谷のナウシカ』は、1コマ1コマ作り込まれた複雑な絵柄や独特なコマ割りを駆使した、素晴らしい漫画となりました。 しかしその結果、アニメ化の際にはアニメーターを相当苦労させたそうです。もしかすると、このとき効率重視だったアニメ制作の限界に挑戦したことも、その後のジブリ作品に影響しているのかもしれません。 一方、映画化前提で漫画を描いていなかった宮崎駿にとって、アニメ化は苦渋の決断となりました。アニメ化に際して宮崎駿は「パクさん(高畑勲)にプロデューサーをやって欲しい」と申し出ます。 映画アニメ版『風の谷のナウシカ』はアニメ界屈指の精鋭スタッフによって作り上げられ、後世に残る名作になりました。 あの複雑で壮大な世界観は、そんな背景があったからこそ生まれたのです。どこかで少しでもボタンが掛け違えていれば、本作もスタジオジブリも誕生していなかったのかもしれません。

宮崎駿監督はラストにも納得していなかった

『風の谷のナウシカ』

宮崎駿は毎日新聞のインタビューで、映画『風の谷のナウシカ』に「65点」という厳しい評価をつけています。 この評価は、作品に対してというより自分自身に対するもの。その証拠に別のインタビューで「何か大事な部分を落っことしたまま上っ面のクリスマスの奇跡映画のようなものを作ってしまったな、という後ろめたさ」について語っていました。 特によみがえったナウシカが光で金色に染まるというラストシーンに納得していなかったようです。 「ぼくは(ナウシカを)ジャンヌ・ダルクにするつもりはなかったし、宗教色は排除しようと思っていたのに、結果として、あそこにきて宗教画になってしまったんです」 参照元:『風の谷のナウシカ (ジブリ・ロマンアルバム)』(徳間書店) あのシーンはあれでよかったのか、他の方法はなかったのかと映画公開後も考え続けており、当時「まだ終わった感じがしない」とすら話しています。 漫画版『風の谷のナウシカ』は全7巻。アニメ映画化は原作がまだ2巻の頃のことでした。しかし宮崎駿は物語を引き継いだ漫画版でも、結論を見つけることはできなかったといいます。 それだけ壮大で難しいテーマと制作者の苦悩のもと、作り上げられた作品なのですね。

魅力⑤:さらに楽しめる!『風の谷のナウシカ』の原作と映画の違いは?

『風の谷のナウシカ』の原作漫画と映画はこんなにも違う!

『風の谷のナウシカ』の原作は、1982年から1994年の間にアニメ情報誌「アニメージュ」に連載された漫画で、監督の宮崎駿自身が描いたものなのです。 漫画は映画製作のため一時中断されており、映画は単行本2巻中盤までの物語に脚色を加えた内容となっています。その後、単行本は全7巻まで刊行されました。 映画も面白いのですが、原作漫画はもっと深くて面白い!ここからは、原作と映画の違いをあらすじや設定から紹介していきます。また原作漫画がどのような経緯で生まれたのかにも触れてみましょう。

原作漫画『風の谷のナウシカ』あらすじ

最終戦争「火の7日間」から1000年後、死の瘴気を振りまく「腐海」とそれを守る「蟲」の脅威に晒された世界。生き残った人類はトルメキアと土鬼(ドルク)の二大列強国と点在する小国に分かれ、明日をも知れぬ日々を送っていました。 その中でも穏やかな農耕生活を送る「風の谷」は、病床の父の代理で王女ナウシカが国を治めていました。そんなある日、集落の近くでペジテ市の輸送機が墜落。 乗っていたラステル王女は、亡くなる前にナウシカに秘石を託します。それはかつて世界を滅ぼした最終兵器「巨神兵」を起動する鍵でした。 巨神兵の復活を目論むトルメキアの王女クシャナは、秘石を奪取しようと風の谷へ。しかし旅の戦士ユパの仲裁によって撤退し、ほどなくしてトルメキアと土鬼の戦争が始まってしまいます。 トルメキアの同盟国として数名の臣下を連れたナウシカも参戦するなか、トルメキア空中艦隊がラステルの兄アスベルの奇襲に遭遇。墜落するアスベルを助けに腐海に飛び込んだナウシカは、人類に恐れられた腐海の真の機能を知ることとなります。

漫画でほとんど登場しない風の谷は、実際に存在した?

映画では風の谷が最終的に王蟲の攻撃目標にされていますが、原作では序盤以降はほとんど物語に登場することはありません。タイトルにもなっているのに、不思議ですね。そんな風の谷ですが、一説によるとモデルが存在するとか! 実際にジブリから元ネタとして公表されたことはありませんが、中央アジアの乾燥地帯にあるパキスタンのフンザという村が、風の谷によく似ているといわれています。 この村はパキスタンの北西部に位置しており、アジアの横断ルートの途中にあって標高7000メートルを超えるパミール高原に面しているため、景観が良くバックパッカーなどに人気がある観光スポットだそう。 フンザの景色は「伝説の地」や「桃源郷」などとも褒め称えられるほどで、4月にはピンク色の花で一面が覆い尽くされる圧巻の景色が広がるようです。

原作漫画に登場する土鬼(ドルク)国の削除とその役割

風の谷のナウシカ
©Studio Ghibli/Walt Disney Pictures

原作では東のトルメキアと西の土鬼(ドルク)の二大大国がしのぎを削るという世界の勢力図ですが、映画版では土鬼国は登場しません。 また地図上の位置関係も、原作でのトルメキアは風の谷の東方という設定ですが、映画では風の谷のはるか西方に位置することになっています。 映画版には登場しない土鬼ですが、原作では重要な役割を担っています。 「その者蒼き衣を纏いて金色の野に降りたつべし。失われし大地との絆を結び、ついに人々を清浄の地に導かん。」という、映画版でババ様が語る言い伝えは、実は原作ではドルクの族長が言った台詞なのです。

ナウシカのペットのテトは死んでしまう

風の谷のナウシカ
©Studio Ghibli/Walt Disney Pictures

ナウシカの相棒として活躍するキツネリスのテト。最初は生意気ながらナウシカと心を通わせていく可愛いキャラクターです。映画では最後までナウシカとともに付き添い闘うテトですが、なんと原作では旅の終盤で力尽き、死亡してしまいます。 可愛らしくファンが多いキャラクターなだけに、この結末はショックですね。

クシャナについてのドラマが削られている

『風の谷のナウシカ』クシャナ

映画版でナウシカと対立するトルメキアの第4皇女、クシャナ。とても印象的なキャラクターですが、原作では彼女に関連するさまざなストーリーが展開されています。 兄が3人いることや、王としての資質を身につけていくまでの流れなどは漫画版でしか描かれないものです。原作を読んでから映画を観ると、彼女の見え方にも違いがあるかもしれませんね。

実はナウシカたちは人造人間だった

ここまで解説した通り腐海を作り出したのは旧人類ですが、浄化にかかる時間は果てしないものでした。そこで彼らは自ら冬眠のような状態になり、浄化が完了するのを待つことにしたのです。 そして浄化が終わったときに彼らを起こす役割として、新たな人類を生み出します。そう、ナウシカを含むすべての人々は人工生命体(人造人間)だったのです。 さらに原作で明らかになりますが、実はナウシカたちは適度な毒がないと生きられない身体でした。 つまり数千年後、腐海による大気と土壌の浄化が完全に終了した際には、ナウシカたち人造人間は生存することができません。これは旧人類との対立を避けるために意図的にプログラムされたのではないかと考えられます。 そしてナウシカたち人類が腐海を敵視しているのは、その状況で生きていけないことを本能的に知っているからだ、ということなのだそうです。

都市伝説をまとめて紹介!『天空の城ラピュタ』との関係は?

クシャナという名前はナウシカのアナグラムになっている

風の谷のナウシカ
©︎ ciatr

画像のように、なんとクシャナの名前はナウシカのアナグラムで構成されています!前述の通り、ナウシカの名前は「ナウシカア王女」から取られている可能性が高そうです。なのでクシャナのほうが後付けのようですね。 ナウシカとクシャナが対の関係にあると言う意味が込められているのでしょうか?クシャナは物語終盤では、かなりナウシカの精神性に近づいていった印象がありますね。

ナウシカはメビウスの影響を受けていた!

宮崎駿は『風の谷のナウシカ』の制作にあたって、実はあるフランス漫画の影響を受けていたといいます。 その作品というのはメビウスという漫画家による『アルザック』というSFファンタジー作品。巨大な架空生物が空を飛び回ったり、火星のような場所を登場したりとなにかと共通点が多いのです。 宮崎駿氏はこの作者であるメビウスことジャン・ジロー氏と対談を行っており、互いに認め合う間柄。2人の対談は、『ハウルの動く城』のDVDに収録されています。

『天空の城ラピュタ』と世界線が同じ説

天空の城ラピュタ
© Studio Ghibli/Buena Vista Home Entertainment/zetaimage

ラピュタには「ラムダ」というロボット兵が出てきますが、巨神兵にかなり造形が似ています。それもそのはず、ラムダも庵野がデザインしたキャラクターなのです。製作者が同じだと似てくるのはしょうがないですね。 ちなみにラムダも巨神兵も、古代文明の遺産という位置付けが共通しています。宮崎駿自身は世界線の同一性については言及していないようなので、ファンとしてはあれこれ推測して楽しみたいところです。

オームの鳴き声は布袋寅泰のギター

映画に登場する王蟲は特徴的な鳴き声をしていますが、実はこの鳴き声は布袋寅泰がギターで演奏していました。音楽を手掛けた久石譲からギターで泣いてくれ、と頼まれて演奏したそうです。 ちなみに王蟲の登場するシーンで流れる「ランランララランランラン」というフレーズが有名な曲は、「王蟲(オーム)との交流」というタイトルなのですが、歌っていたのはなんと、作曲した久石譲氏の当時4歳の娘だったそうです。

『風の谷のナウシカ』のゲーム化に宮崎監督が激怒!?

『忘れじのナウシカ・ゲーム』というタイトルで、本作がゲーム化されていたことをご存知でしょうか?これだけでも少し驚きなのですが、内容はメーヴェ(小型飛行機)に乗ったナウシカが王蟲や蟲をシューティングで倒していくというもの。 これに対して宮崎駿氏は「虐殺するなんて何事だ!」と激怒し、それ以降というものスタジオジブリ作品がゲーム化されることはなくなったと言われています。 しかし実際のゲーム内容は原作漫画に忠実なもので、ナウシカが土鬼(ドルク)と戦うシューティングゲーム。王蟲を攻撃すると風の谷が襲撃され、ゲームオーバーになってしまうそうです。

原作と比べてみても楽しい名作!『風の谷のナウシカ』をもう1度観よう

『風の谷のナウシカ』

映画『風の谷のナウシカ』はこれまでも何度もテレビで放映されてきたジブリの名作です。2020年6月にはリバイバル上映が実現し、36年経っても色褪せないテーマ性に魅了されて多くの人が劇場に足を運びました。 さまざまな都市伝説さえ生み出した「ナウシカ」ですが、映画と原作の大きな違いにも驚きます。その後のジブリ作品の基礎を作ったともいえる本作、何度見ても新たな発見があるに違いありません。