2019年7月16日更新

カオナシの正体を考察『千と千尋の神隠し』に飛び交う噂を検証

千と千尋の神隠し
©Studio Ghibli/Disney/Photofest

『千と千尋の神隠し』には、その正体についてはっきりとわからないキャラクターがいます。その代表格がカオナシです。ここでは、謎に包まれた正体について考察。さらに、カオナシの声優は誰が担当しているのか、紹介します。

カオナシ、『千と千尋の神隠し』のキーパーソンには謎が多い!

千と千尋の神隠し
©zetaimage

2001年に公開されたスタジオジブリ作品『千と千尋の神隠し』は、300億円という異例の興行収入を叩き出し、2019年7月現在も日本歴代興行収入1位の座を守り続けています。 アカデミー賞も獲得した本作は何度もテレビで放送されていますが、その度に多くの人を魅了。人々を「何度見ても面白い」と言わしめるその理由の一つは、その作り込まれた世界観と考察を白熱させるような設定や謎の多さでしょう。 今回は、映画の中でも主人公と共に行動することの多いカオナシの謎について迫っていきたいと思います。

「あ、あ……」独特な声を持つカオナシの声優は誰なのか

「ア」や「ウゥ」など、言葉にならない言葉を話すカオナシ。カオナシが話すセリフといえば、「あ、あ……」や「イヤダ……」「笑ったな?」といったもの。この声は誰が演じているのか様々な憶測が飛び交っていましたが、実際には中村彰男という俳優兼声優が担当していました。 中村は1983年の初舞台『オセロー』への出演以来、主に舞台俳優として活躍。ドラマ『銭形平次』にも登場していました。カオナシの声を担当してからは声優業にも挑戦し、アニメ『交響詩篇エウレカセブン』などに出演しています。

カオナシの正体について考察。“欲の塊”の象徴?

『千と千尋の神隠し』にはたくさんのキャラクターが登場しますが、中でも印象的なのかカオナシでしょう。黒い影が人に似た形をとったような存在で、顔にあたる部分は無表情でお面を被っているかのよう。まともな言葉も発さず、その存在は謎に包まれています。 そんなカオナシは、砂金と引き換えに相手の気を引こうとしていることから“欲の塊”のような存在と言われています。言葉を発する時には他者を取り込み、その前段階として、他者の欲するものを創り出しますが、それには実体がありません。キリストやブッダが聖者となる過程で己の欲と向き合ったことに結び付けて語る人もいます。

カオナシのモデルは『借りぐらしのアリエッティ』の監督だった?

借りぐらしのアリエッティ
© Walt Disney Studios Motion Pictures

カオナシの正体についてもう一説。カオナシのモデルは、2010年の映画『借りぐらしのアリエッティ』を手がけた米林昌宏監督だと言われています。このことは、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが語っています。 同作のヒット祈願イベントで明かされたこの逸話について、坊の声を演じた神木隆之介も「会った瞬間、『あっ、カオナシだ』って」と思ったと便乗しています。 しかし、実際には米林自身によってこの話は後付けだったことが判明。「ジブリの立体建造物展」の動員10万人突破記念セレモニーにて「自分が描いたカオナシを見て宮崎監督が『まろ(米林のニックネーム)にそっくりじゃないか』と言ったとこから広まった」と明かしています。

宮崎駿が語るカオナシから考察する正体

宮崎駿
©︎Orban Thierry/MCT/Newscom/Zeta Image

カオナシについて宮崎駿は著書『千尋と不思議な町』の中で「時間の都合でストーリーを再構成したとき、画面の隅にいるだけの名無しのキャラクターに"カオナシ"という名前を与えて後半の主役にした」と語っています。なんと、最初のカオナシはその他大勢だったのです。 さらに宮崎によると「みんなの中にカオナシがいる」そう。つまり、“カオナシ=人間そのもの”だということも考えられるのではないでしょうか。自分の居場所を求めたり、誰かに必要とされたいといった、多くの人の心に存在している気持ちをカオナシが表現しているのかもしれません。

カオナシの正体は結局、ただの深読みなのか?それとも……

千と千尋の神隠し
©Studio Ghibli/Disney/Photofest

ジブリ作品といえば、過剰とさえ言える考察や都市伝説がネットに出回っているのは有名です。結局、全てはファンの深読みなのかもしれません。しかしそうした考察を許容するほど、懐の深い世界観がジブリにはある、ということを証明しているのではないでしょうか。