2018年11月17日更新

『千と千尋の神隠し』カオナシとリンの正体の謎を検証

『千と千尋の神隠し』には、その正体についてはっきりとわからないキャラクターがいます。その代表格がカオナシとリンです。ここでは、二人の正体について検証していきたいと思います。

物語のキーパーソン、リンとカオナシには謎が多い?

ジブリ映画『千と千尋の神隠し』ブルーレイパッケージ

『千と千尋の神隠し』は異例の興行収入を叩き出し、アカデミー賞を獲得した作品です。何度もテレビで放送されていますがその度に多くの人を魅了するこの作品。人々を「何度見ても面白い」と言わしめるその理由の一つは、その作り込まれた世界観と考察を白熱させるような設定や謎の多さでしょう。

今回は、映画の中でも主人公と共に行動することの多いリンとカオナシの謎について迫っていきたいと思います。

カオナシは欲の象徴?

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千と千尋の神隠し』にはたくさんのキャラクターが登場しますが、中でも印象的なのかカオナシでしょう。黒い影が人に似た形をとったような存在で、顔にあたる部分は無表情でお面を被っているかのよう。まともな言葉も発さず、その存在はミステリアスそのものです。

そんなカオナシは、欲の塊のような存在といわれています。言葉を発する時には他者を取り込み、その前段階として、他者の欲するものを創り出しますが、それには実体がありません。キリストやブッダが聖者となる過程で己の欲と向き合ったことに結び付けて語る人もいます。

カオナシの正体は「借り暮らしのアリエッティ」の監督?

ジブリ映画『借りぐらしのアリエッティ』

カオナシの正体についてもう一説。カオナシのモデルは、2010年の映画『借り暮らしのアリエッティ』を手がけた米林昌宏監督だと言われています。画像左の男性です。このことは、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが語っています。

同作のヒット祈願イベントで明かされたこの逸話について、主演の神木隆之介も「会った瞬間、『あっ、カオナシだ』って」と思ったと便乗しています。写真を見る限り、満面の笑みが素敵な男性ですが、モデルということは、普段はあんな雰囲気なのでしょうか?

千尋の先輩!意外に謎の多い少女リン

両親と離ればなれになり、湯婆婆に名前を奪われた千尋は、神々の訪れる湯屋「油屋」で働くことになります。もちろん、そこで働くのは千尋だけではありません。釜爺や青蛙といった個性的な面々が顔を揃えています。見た目は千尋より少し上のお姉さん、リンもその一人です。

面倒見のいい姉御肌のリンは、ちょっと男勝りなところのある女の子。油屋で働くことになった千尋の世話を焼いてくれるのですが、その正体についてはよくわかっていません。

リンは白狐だった!?油屋の従業員から想像する彼女の正体

ところで、湯屋にはリンのような人間の女の子の外見をもった従業員もいますが、大半は蛙と蛞蝓(ナメクジ)です。湯屋に限定せずとも、様々な種族の神様がいるわけですが、じつはリンにもイタチかテンの変化した存在という案がありました。

残念ながらこの案はそのまま映画に使われたわけではないのですが、要素としては残っているかもしれません。またジブリの公式ムック本「The art of spirited away」に掲載されているデザイン画には、リンの事を白狐と設定している記述も見られます。その他大勢のナメクジ女とは一線を画した、様々な要素を掛け合わせたキャラ設定がしてありそうです。

白狐は人間にとって関わりの深い動物

昔話でも狐は頻繁に登場し、人間と一緒に生活していたり、お稲荷さんとして全国各地で慕われているなど、日本に取って狐は古代から親しみがあり、そして神さまとして扱われることもある動物です。リンの設定になっている白狐は、人を騙すのではなく、人間に幸福をもたらすよい狐、「善狐」といわれている存在。お稲荷さんに祀られているのも、この白狐です。

劇中でリンが人間の千尋をしばしば助けてくれたことと重なる気もしますね。

結局、ただの深読みなのか?それとも……

映画『千と千尋の神隠し』ロマンアルバム

カオナシについて宮崎駿は「時間の都合でストーリーを再構成したとき、画面の隅にいるだけの名無しのキャラクターに"カオナシ"という名前を与えて後半の主役にした」と語っています。なんと、最初のカオナシはその他大勢だったのです。

ジブリ作品といえば、過剰とさえ言える考察や都市伝説がネットに出回っているのは有名です。結局、全てはファンの深読みなのかもしれません。しかし、そうした考察を許容するほど、懐の深い世界観がジブリにはある証明なのかもしれませんね。