2020年7月28日更新

映画『コクリコ坂から』のあらすじをネタバレありで解説!登場人物たちが織りなす青春物語

コクリコ坂から
©DISNEY/zetaimage

2011年に公開されたジブリ映画『コクリコ坂から』。本作は1963年の日本を舞台に、ノスタルジックな雰囲気で繰り広げられる長編アニメ作品です。この記事では、そんな本作のネタバレを含むあらすじや登場人物を紹介します。

目次

ジブリが手がけた青春映画『コクリコ坂から』のあらすじを解説!【ネタバレ注意】

2011年7月に公開された、スタジオジブリの映画『コクリコ坂から』。本作は宮崎駿の息子・宮崎吾朗が、『ゲド戦記』に続いて監督を務めた長編アニメーション作品です。 公開年の興行収入では邦画で1位となる44.6億円を記録し、第35回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞するなど、高い評価を受けました。 この記事では、そんな映画『コクリコ坂から』のネタバレを含むあらすじや、登場人物について解説します。まだ作品を鑑賞していない方はご注意ください。

物語に登場するカルチェラタンってどんな場所?

物語の主な舞台となるのは、主人公の高校生・松崎海が切り盛りする下宿「コクリコ荘」と、彼女が通う港南学園。この学園には、明治時代に建てられた歴史ある建物として有名な、文化部の部室棟「カルチェラタン」があります。 カルチェラタンはこの物語の主軸を担う建物です。ここで海は新聞部の部長・風間俊と出会い、彼が発行している新聞「週刊カルチェラタン」の作業を手伝うことになります。 カルチェラタンとはパリの地名「カルチェ・ラタン」から取られた名前で、元々は「ラテン語地区」という意味。パリ大学など高等教育機関が集中している学生街であり、本作の時代背景と同じ60年代には、反体制の学生運動における中心地となった場所です。 俊は由緒ある建造物としてカルチェラタンの保存を主張するため「週刊カルチェラタン」を発行しており、取り壊しに賛成する大多数の生徒たちの説得に奔走。 つまり彼は老朽化を理由にして建物を取り壊そうとする体制側と闘っており、カルチェラタンの名に恥じない運動家なのです。海はそんな俊に惹かれていきます。

あらすじを詳しく振り返る!主人公・松崎海の日課

舞台は東京オリンピックを翌年に控えた1963年の横浜。主人公・松崎海は、海が見渡せる丘の上に建った下宿屋「コクリコ荘」を切り盛りしていました。 毎朝彼女は早く起きてきて、ごはんを炊き、写真の前に置かれた水を変えて、「航海の安全を祈る」を意味する信号旗をポールに掲げます。 ちょうどその頃、丘の下を通過していくタグボートが一隻。港南学園に通っている風間俊が、「ありがとう」の返礼を意味する回答旗を掲げていました。俊から丘の上に掲げられた旗は見えますが、庭にいる海の姿は見えません。 海は弟や妹、祖母や下宿生を含めた7人分の朝食を用意して、洗い物や洗濯を済ませてから登校します。

俊との衝撃的な出会い

海が教室に行くと、クラスメイトから「週刊カルチェラタン」という校内新聞を見せられます。紙面の左下には、「女よ、なぜ、君は旗を揚げるのか」という詩が書かれていました。クラスメイトに「これ、海のことだよね?」と言われた海は、うなずきながら新聞をじっくり見つめます。 その日の昼休み、海が通う港南学園高等部で騒動が起きました。 俊が旧校舎で部活棟として使われているカルチェラタンの屋根に上り、カルチェタン取り壊しに対する抗議のパフォーマンスとして、防火水槽めがけてダイブしたのです。 海は飛び降りた俊を助けるために手を差し伸べますが、写真部が寄ってきて撮影されてしまいます。カルチェラタン取り壊しに抗議するパフォーマンスのために、利用された形になってしまいました。

近付く海と俊の距離

飛び降りた俊の写真を、海の妹である空が30円で購入していました。彼女は「俊のサインがほしいけれどカルチェラタンに1人では行けないので、ついてきてほしい」と海を誘います。カルチェラタンは男子の文化系クラブが入っている建物で、女子には近寄りがたい場所でした。 カルチェラタンを訪れた海は、そこで「週刊カルチェラタン」の編集長である俊と再び出会います。右手を怪我している俊に頼まれ、海は原稿を書く手伝いをすることに。 手伝いで家に帰るのが遅くなってしまい、夕飯のカレーを作ろうとした海は冷蔵庫に肉がないことに気付きました。彼女は買い物に出かけた先で自転車に乗った俊と偶然出会い、2人乗りで商店街に向かいます。 そして翌朝海は、下宿する美大生の広小路幸子の絵を見て、丘の下を航路にしているタグボートが回答旗を出していることを知りました。

父の口から語られた俊の秘密

俊に討論集会に呼ばれ、1度は断った海でしたが、やはり気になってカルチェラタンに向かうことにします。カルチェラタンの建て替え案に賛成する声が大半の中、俊は檀上に上がって異議を唱えていました。 下宿人で医大生だった北斗の就職が決まり、「コクリコ荘」で行われる送別会に俊たちも来ることに。海が家の中を案内し、父の写真を見せると、俊の様子が一変します。 写真には3人の男が映っており、海の実父である澤村雄一郎のほかに、立花洋、小野寺善雄という2人の名前が書かれていました。 自分の出生に疑問を持ち始めた俊は、父親から昔の話を聞き出します。生まれたばかりの赤ん坊を亡くしていた風間夫婦のところへ、親友の澤村雄一郎が突然赤ん坊を抱えてやってきたというのです。風間夫婦は赤ん坊を引き取ることにしました。 本当の息子ではないこと、また海と血が繋がっていることに衝撃を受ける俊。父親に「お前は俺たちの子だ」と言われ、俊は「ありがとう」と小さくうなずきました。

カルチェラタンの取り壊し計画が進む中で、2人の関係は……

カルチェラタンの取り壊しに賛成の意見が多い理由として、不衛生だからということが分かり、海の発案で大掃除が行われます。しかしその頃から、俊の海に対する態度が素っ気なくなってくるのです。 海が雨の下校路で「嫌いになったなら、はっきりそう言って」と促すと、俊は3人の男が映る1枚の写真を取り出します。その写真は、海の家の書斎にあったものと同じ写真でした。俊は海に、自分たちは兄妹だと告げます。 カルチェラタンの大がかりな改装と掃除がほぼ完了した頃。俊の親友である水沼が、理事会が夏休み中にカルチェラタンの取り壊しを決定したというニュースを持ってやってきます。海と俊、水沼の3人は、理事長へ直訴するため東京へ向かうことに。 理事長は徳丸財団の社長で、海の父親が朝鮮戦争で死んだことを告げると、「お母さんはさぞ苦労してあなたを育てたことだろう」と言い、カルチェラタンを見にいくことを約束してくれました。

解き明かされていく本当の秘密

東京から帰る途中で海は、俊に「自分が毎日毎日旗を上げて、お父さんを呼んでいたから、お父さんが代わりに風間さんを送ってくれたんだと思うことにしたの」と言ったあと、互いに好きだと告白します。 横浜から帰るとコクリコ荘には、海の母親である良子がアメリカから帰ってきていました。 その夜に海は母親から、俊の父親についての本当の話を聞きます。海の父親は、写真に映っていたもう1人の男・立花が事故に遭って死んでしまった際に、彼の子(=俊)が孤児院行きになることを避けるため、自分の子だと役所に届けを出していたのでした。 次の日、徳丸理事長がカルチェラタンを訪問してきます。建物を見て回っている最中に俊は父親との電話で、写真に映っていた人物のうち、唯一生存している小野寺が来ていると教えられました。 学生たちの熱意とよみがえったように綺麗になったカルチェラタンを見て、徳丸理事長が取り壊しの中止を宣言。それから間もなく焦った様子の俊が海を呼び出し、2人は出航寸前の小野寺が乗る船に向かいました。

海と俊が小野寺から聞いた内容は?

俊と海が向かった港には大型船が停泊しており、その船長を務めているのが小野寺でした。小野寺は写真に写っていた3人目の人物で、海や俊の父たちの親友だったのです。 小野寺はまず1枚の写真を見せ、俊に対して「君の父親は立花洋だ」とはっきり告げます。そして、俊の両親が亡くなった時に自分は海に出ていたこと、もしそばにいれば海の父と同じことをしただろうとを語りました。 小野寺は立花の息子と澤村の娘に会えたことを喜び、それを伝えられた俊と海は笑顔を見せます。小野寺と固く握手を交わすと、2人は俊の父のタグボートに乗って別れを告げ、美しい夕焼けに染まるコクリコ荘を眺めるのでした。

『コクリコ坂から』の登場人物をまとめて紹介!

松崎海/長澤まさみ

港南学園高等部の2年生。真面目な性格で、アメリカ留学している母親の代わって弟と妹の面倒を見ながら、下宿のコクリコ荘を切り盛りしています。家事全般も担当しており、行方不明となった父親のために毎朝信号旗を掲げるのが日課。 海(うみ)という名前ですが、周りからはフランス語の「ラ・メール(海)」から短縮された「メル」というあだ名で呼ばれています。

風間俊/岡田准一

港南学園高等部の3年生。「週刊カルチェラタン」の編集長を務め、生徒会長の水沼史郎とともに、カルチェラタンの取り壊しに反対する活動を行っています。学校ではたびたび問題を起こしていますが、普段は好青年です。

松崎花/竹下景子

海の祖母で、コクリコ荘を経営する家長。いつも和服姿に身を包んでおり、離れで暮らしています。留学中の母親に代わって、温かい目で海たちを見守る存在です。

北斗美樹/石田ゆり子

コクリコ荘の下宿人で、大学の医学部を卒業後インターンをしていました。海の良き相談相手でしたが、就職が決まって引っ越すことになります。コクリコ荘で行う自らの送別パーティーに、俊たちを呼ぶよう海に提案します。生徒会長である水沼の姉と同級生です。

広小路幸子/柊瑠美

コクリコ荘の下宿人で美大生。深夜まで油絵を描いているため生活は不規則で、海の手伝いをするときも鈍い動きを見せています。海は幸子の描いた絵によって、丘の下を航路にしているタグボートが回答旗を掲げていることを知りました。

松崎良子/風吹ジュン

アメリカの大学に留学中している海の母親です。英米文学が専門で、大学の助教授を務めていた経歴を持ちます。結婚を反対され、海の父である澤村雄一郎と駆け落ちした過去も。

松崎空/白石晴香

海より1歳年下の社交的な妹。海にどこかで甘えているのか、家事はあまりしません。海を連れてカルチェラタンにサインをもらいにいき、海が「週刊カルチェラタン」の手伝いをするきっかけをつくります。

松崎陸/小林翼

海の弟で中学2年生。空と同じく、海が世話を焼いてくれるためか、TVに夢中になって家事を手伝わないこともあります。コクリコ荘に住む唯一の男子で、小さい体のわりに食欲旺盛です。

水沼史郎/風間俊介

港南学園高等部の生徒会長で、俊の親友。カルチェラタン存続のためにあらゆる手を尽くしています。俊の様子がいつもと違っても、あまり追及せずに空気を読むような一面も。俊と海を2人だけにするためにさり気ない行動を取るなど、器量の良さがあります。

風間明雄/大森南朋

風間俊の養父。口数は少ない方ですが、言葉の端々から俊への愛情が感じられます。俊が実父の存在を知り始めたとき、動揺しないようにタイミングを計って打ち明けました。タグボートの船長をしており、俊が登校するときには船で送り届けています。

徳丸理事長/香川照之

徳丸財団の実業家で、港南学園の理事長。カルチェラタンを取り壊す方向で話を進めていましたが、学生たちの熱意に押されて存続を決めました。初代徳間書店社長である徳間康快氏がモデルになっています。

小野寺善雄/内藤剛志

物語のカギとなる写真に、澤村雄一郎と立花洋といっしょに写っている人物です。外国航路する航洋丸の船長をしています。

『コクリコ坂から』で描かれる海と俊の青春物語

この記事では、スタジオジブリが手がけた青春映画『コクリコ坂から』の詳しいあらすじや登場人物について解説してきました。 どこか懐かしい雰囲気の中で物語が進む本作ですが、今も昔も若者が抱く思いの熱さは変わっていません。ぜひ本作を鑑賞し、生きるパワーを見い出してみてくださいね。