2018年8月3日更新

ラテンの血が騒ぐぜ!!ロバート・ロドリゲス監督を徹底解説【「アリータ」監督】

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マチェーテ

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ラテンスピリットが堪らない映画監督ロバート・ロドリゲス!

ロバート・ロドリゲス
©Alessia Paradisi/ABACAUSA.COM/Newscom/Zeta Image

B級映画にインスパイアされた独自の世界観と、スピード感満載のアクションが人気を博している映画監督ロバート・ロドリゲス。自身のルーツであるラテンスピリットを踏襲した舞台設定や登場人物も特徴です。 今回は、彼の基本プロフィールや、初期作品から最新作まで、抑えておきたい情報をまとめました。

鬼才!?ロバート・ロドリゲスのプロフィール

ロバート・ロドリゲスは1968年、アメリカ、テキサス州でメキシコ系の家庭に生まれます。子供の頃から映画に興味があった彼は、大学時代に一本の短編を製作。その非凡な才能が話題となり、各地の映画祭で注目の作品となりました。 その後、薬品の臨床実験のアルバイトなどで製作費を捻出し、『エル・マリアッチ』を制作。わずか7000ドルの低予算映画にもかかわらず、サンダンス映画祭で観客賞を受賞した本作は全米配給され、映画監督ロバート・ロドリゲスの名を一躍有名にしました。

製作会社の名前はトラブルメーカースタジオ

ロバート・ロドリゲスは、プロデューサーで当時は彼の妻でもあったエリザベス・アヴェランと2000年に自身の制作会社を設立します。 その名もトラブルメーカースタジオ。『スパイキッズ』以降の作品は全てトラブルメーカースタジオ名義で発表しています。1階に撮影スタジオ、2階にVFXスタジオを構えており、『シン・シティ』のグリーンバックはこのスタジオで撮影及び合成されました。

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ロバート・ロドリゲスの作風は?

ロバート・ロドリゲスはアクション映画を得意とし、細かいカットを重ねたスピード感あるカット割が特徴です。カット割や映像のリズムに対するこだわりからか、ほとんど全ての映画で自ら編集を担当。また、多くの作品で撮影も兼任しています。 自らがメキシコ系の出自であるためか、従兄弟であるダニー・トレホをはじめ、アントニオ・バンデラス、サルマ・ハエック、チーチ・マリン、ジェシカ・アルバ、アレクサ・ヴェガといったラテンアメリカ系の俳優を度々起用することでも知られ、それが作品のラテンらしいテンションに繋がっているようです。 ギターの形をしたマシンガンといったようなベタでバカバカしい小道具や、ゾンビやギャング、ヴァンパイアといったB級テイスト溢れる設定なども特徴の一つでしょう。 多くの作品で極端すぎる残酷描写が見られますが、その一方で「スパイキッズ」シリーズや『シャークボーイ&マグマガール3-D』など、子供向けのアクションファンタジー作品も多く手がけており、全世代に愛される映画監督です。

タランティーノとの関係性

クエンティン・タランティーノ
FayesVision/WENN.com

ロバート・ロドリゲスは、クエンティン・タランティーノ監督とB級映画マニアという点で共通しており、親友として深い交流を持っていることで知られています。 実際、互いの映画に参加することもしばしば。タランティーノはロドリゲスが監督した『デスペラード』や『フロム・ダスク・ティル・ドーン』、『プラネット・テラー in グラインドハウス 』に俳優として出演する他、『フロム・ダスク・ティル・ドーン』の脚本や『シン・シティ』の特別ゲスト監督を手掛けています。 一方、ロドリゲスはタランティーノが企画したオムニバス映画『フォー・ルームス』に監督として参加し、タランティーノが監督した『キル・ビル Vol.2』の音楽を手掛けています。

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ロバート・ロドリゲス原点!「マリアッチ」三部作

『エル・マリアッチ』(1992)

ロドリゲスが監督・脚本・製作・撮影・編集・音響・特殊効果を兼任し、7000ドル(約77万円)という超低予算で手掛けた長編デビュー作。低予算ながら、その完成度の高さで一躍話題となった作品です。 マリアッチとは、ギターやトランペットなどを用いて演奏するメキシコの音楽団です。本作の主人公も黒いギターケースを抱えたマリアッチの一人。仕事を探して、メキシコの田舎町アクーナにやってきました。 ギャングのボス、アズールもまた黒いギターケースを持っていましたが、彼のケースの中身はマシンガンです。アズールは盗んだ金を独り占めした仲間のモーリシオの配下を皆殺しにしており、モーリシオの怒りを買っていました。 そして、モーリシオにアズールと間違えられたマリアッチは命を狙われてしまいます。逃げる途中で4人の殺し屋も殺してしまい、行き場がなくなったマリアッチはバーの経営者ドミノに匿われ、次第に二人は惹かれあっていきます……。

『デスペラード』(1995)

三部作の二作目にあたる『デスペラード』。『エル・マリアッチ』の続編とされていますが、直接的にストーリーは繋がっておらず、リメイクに近い内容です。制作費は、前作の1000倍(700万ドル)かけられています。 主人公のマリアッチの男は、ギャングに恋人を殺され、自身も掌を撃たれたことで演奏家としての道を断たれた過去を持っています。彼はギターケースに武器を詰め、ギャングのボス、ブチョに復讐する機会を狙っていました。 マリアッチはブチョの経営する酒場に侵入し、手下たちと撃ち合いになります。なんとか手下を倒し、逃げるマリアッチですが、通りすがりにカロリーナという女性をかばったことにより撃たれてしまいます。マリアッチはカロリーナの店に匿われますが、そのことを知ったブチョに店を襲撃されてしまいます。 果たしてマリアッチはブチョに勝利し、復讐を果たすことができるのでしょうか?

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『レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード』(2003)

「マリアッチ」三部作の最終章で、ロバート・ロドリゲスの原点とも言える作品です。 ギターケースを抱えた伝説のガンマンとなったマリアッチですが、将軍マルケスに妻と娘を殺されて以来悲しみにくれていました。時を同じくして、新メキシコ大統領が麻薬組織を一層しようと改革案を打ち出し、メキシコ国内は不穏な雰囲気に包まれます。 その裏でマルケスは麻薬王バリヨと通じ、クーデターを起こそうとしていました。それを知ったCIAのサンズは鎮圧に乗り出し、伝説のガンマンであるマリアッチに接触。そして、彼にとっては仇であるマルケスの暗殺を依頼するのでした……。

夜明けまで生き残れるか!?ヴァンパイアとの死闘!(1996)

日本語にすると「夕方から夜明けまで」という意味の本作は、クライムサスペンスである前半とスプラッターホラーの地獄絵図と化す後半で全く異なる展開を見せる異色作です。 特殊メイクデザイナーであるロバート・カーツマンが作成したプロットをもとに、クエンティン・タランティーノが執筆した脚本を、ロドリゲスが映画化しました。 主人公はジョージ・クルーニーとクエンティン・タランティーノが演じるゲッコー兄弟。全米各地で強盗殺人を犯し、警察から逃れるためにメキシコ国境を目指して逃亡中の彼らは、たまたまモーテルに居合わせたフラー一家を逃亡に加担させるために誘拐。 彼らを拘束したまま、メキシコ国境警備を通過した兄弟は、現地組織も代理人との待ち合わせ場所であるトップレスバークラブ「ティッティー・ツイスター」に向かいます。 「夕方から夜明けまで」が営業時間であるそのクラブは、なんと吸血鬼の巣窟だったのです!次々とヴァンパイアの本性を表していくダンサーや店員たちと死闘を繰り広げる強盗兄弟。果たして2人は、夜明けまで生き残ることができるのでしょうか。

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ちびっ子スパイが大活躍!(2001、2002、2003、2011)

ロバート・ロドリゲスがファミリー向けに手がけたアクションシリーズ。アクションももちろんですが、姉と弟のおバカなやり取りが可笑しく描かれたコメディとしても楽しめます。 カルメンとジュニの姉弟は、自分たちの両親をダサいと思っていました。しかし、実は彼らがかつて超一流のスパイだったことを知ります。何者かに攫われてしまった両親のために、最新のスパイツールを駆使して救出に向かう二人。 そして誘拐事件の裏には、子供の姿に超人的な戦闘脳録と頭脳を持ち合わせたアンドロイドのスパイキッズ量産計画が潜んでいたのでした……。 全世界で約1億4800万ドルの興行収入を叩き出した本作はシリーズ第4弾まで制作され、全てロドリゲスが手掛けました。

人気コミックをモノクロで映像化!「シン・シティ」二部作

『シン・シティ』(2005)

共同監督としてクレジットされている、フランク・ミラー原作のコミックを映像化した作品です。 「罪の街」の意味を持つシン・シティで繰り広げられる、三人の男たちの愛と復讐を描いたアクションストーリー。全編モノクロをベースとした斬新な映像表現が話題になりました。主演にミッキー・ローク、周辺を固めるキャストもブルース・ウィリスやジェシカ・アルバという錚々たるメンバーです。 原作では4つだったエピソードを3つに再構成し、さらに映画ではエピソードごとの時系列を入れ替えた作りになっています。

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『シン・シティ 復讐の女神』(2014)

2005年の第一弾公開後、ロバート・ロドリゲスはすぐに続編の構想を練りました。そして、前作と同じフランク・ミラー原作をもとにした続編が『シン・シティ 復讐の女神』です。 脚本自体は2006年に執筆されていたにもか変わらず、様々な理由が重なり、第一弾公開から9年を経ての続編公開となりました。 罪の街に生きる男達を描いた前作と変わって、本作の主人公はストリップダンサーの女性・ナンシー。演じるのは前作に引き続きジェシカ・アルバです。 愛する刑事を殺され、復讐に燃える彼女を中心に、周辺に渦巻く癖のある人物達を描きます。

古き良きB級映画の雰囲気を踏襲(2007)

ギャング映画や成人映画、スプラッターなどを2、3本立てで上映する「グラインドハウス」という古典的なB級映画館のスタイルで上映された『プラネット・テラー in グラインドハウス』。 本作は、「グラインドハウス」という一本のプログラムとして、クエンティン・タランティーノによる『デス・プルーフ in グラインドハウス』と架空の映画の予告編とセットで上映されました。 舞台はテキサスの田舎町。ある夜、ゴーゴーダンサーのチェリーは、元恋人と街のレストランで再会します。すると、偶然同じレストランに居合わせた生物化学者が持っていた生物兵器からガスが吹き出し、人々をゾンビ化させてしまいます。 ゾンビに襲われたチェリーは、右足を喰われつつもそこにテーブルの脚をはめて逃げ延びます。そして、失った右足にマシンガンをはめ込み、騒動をもみ消しにやって来た兵士やゾンビ達を相手に戦うのでした。

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架空の予告編が待望の映画化!「マチェーテ」二部作

『マチェーテ』(2010)

前述した「プラネット・テラー」と同時に上映された架空の予告編を、実際に映画化してしまったのが、『マチェーテ』です。発表された当初は「プラネット・テラー」のDVD特典の予定でしたが、結局劇場映画として公開されました。 主演のダニー・トレホはじめ、ジェシカ・アルバ、ミシェル・ロドリゲス、リンジー・ローハン、スティーヴン・セガール、そしてロバート・デ・ニーロと、豪華なキャスティングも話題になりました。 主人公は、中南米でよく使われる山刀「マチェーテ」を愛用するメキシコの連邦捜査官。愛用の武器と同じくマチェーテと呼ばれる彼は、正義感ゆえに麻薬王トーレスの反感を買い、妻と娘を惨殺されてしまいます。 それから3年後。アメリカはテキサスで日雇い労働者として働いていたマチェーテの元に、ブースという人物が訪れます。そして、不法移民嫌いで有名な議員・マクラフリンの暗殺を依頼されるのです。

『マチェーテ・キルズ』(2013)

第一弾に引き続き、ダニー・トレホ演じる主人公を中心に、ジェシカ・アルバやミシェル・ロドリゲスというロバート・ロドリゲス監督作品ではお馴染みのキャストも続投した第二弾です。その他にもレディー・ガガやメル・ギブソンといったキャストが新たに出演し、話題となりました。 今回マチェーテに依頼するのは米国政府。メル・ギブソン演じるミサイルを使って世界戦争を起こそうと企む武器商人ルターを標的に戦うという一作目よりもはるかにスケールの大きいストーリーです。

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最新作は『アリータ:バトル・エンジェル』!

木城ゆきとによる漫画『銃夢』を、ジェームズ・キャメロン製作、ロバート・ロドリゲス監督により映画化されます。 原作は廃棄物とゴミに囲われた“クズ鉄町”を舞台に、サイボーグ少女ガリィが、賞金稼ぎとして戦うというSF作品。英語ではガリィは“不毛”という意味になるため、主人の名前は「アリータ」に変更になりました。 カナダ出身で、SFミステリーとして人気の「メイズ・ランナー」シリーズのブレンダ役で知られるローラ・サラザールが演じます。 2018年12月21日に公開される映画版では、原作の最初の4巻までを中心としたストーリーが描かれます。日本の漫画とロドリゲスがどのようなコラボレーションを見せてくれるのか、期待です。