2023年12月17日更新

【ネタバレ感想】映画『屋根裏のラジャー』あらすじを本音で評価!イマジナリを通したメッセージを考察

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映画『屋根裏のラジャー』作品概要

公開日 2023年12月15日
キャスト ラジャー役 / 寺田心 , アマンダ役 / 鈴木梨央 , リジー役 / 安藤サクラ , エミリ役 / 仲里依紗
監督 百瀬義行
原作 小説『僕が消えないうちに』

『屋根裏のラジャー』はある少女が作り出した「空想の友だち」の視点から描かれる、想像力、記憶、友情の大切さを伝える物語。 監督を務めるのは、スタジオジブリで映像制作に長年携わり、近年はゲーム原作のアニメ映画『二ノ国』などを手がけている百瀬義行です。 >スタジオポノックってどんな会社?ジブリとの関係は?

『屋根裏のラジャー』はこんな作品
  1. ストーリー:★★★★★子供でも楽しめるストレートさと、大人だからこそ共感できる複雑な心理描写が両立した感動作!
  2. 映像:★★★★★壮大な空想の世界に入り込めること間違いなし!前作「メアリ」よりも絵柄にスタジオポノックらしさが出ているかも?
  3. キャスト:★★★★☆変声期付近の寺田心が主役を演じたことで、ラジャーの不安定さが上手く表れている。
  4. おすすめ度:★★★★★空想の素晴らしさを忘れがちな、大人にこそ観てほしい作品。

映画『屋根裏のラジャー』のあらすじ

屋根裏のラジャー
©2023 Ponoc

物語の主人公は、愛を失った少女アマンダの想像が生み出した、彼女にしか見えないお友だち(イマジナリーフレンド)の少年・ラジャー。2人はいつも一緒に楽しく遊んでいましたが、ある日ラジャーをつけ狙う謎の男が現れ、2人の幸福な世界は消滅の危機に瀕します。 イマジナリは人間に忘れられると消えてしまうという運命を知ったラジャーは、このままではアマンダに忘れられてしまうと恐れながらも、猫のジンザンに連れられて「イマジナリの町」へ。そこで仲間たちと出会った彼は、大切な人を救うべく、冒険に乗り出すのでした

【ネタバレ】映画『屋根裏のラジャー』あらすじを本音で評価

アマンダとラジャーの想像の世界がピンチ!?

屋根裏のラジャー
©2023 Ponoc

アマンダという少女の想像上の友だち・イマジナリであるラジャー。彼にはアマンダと「消えないこと、アマンダを守ること、絶対に泣かないこと」という屋根裏の誓いがあり、誓い通りに、アマンダと想像のなかで冒険をするのが大好きでした。 しかしそんなあるとき、ミスター・バンディングと名乗る男が2人の前に現れます。普通、大人にはイマジナリは見えませんが、なぜかバンディングにはラジャーが見えており、執拗に彼を追いかけてきます。ラジャーを付け狙うバンティングから逃げる中で、アマンダは交通事故にあい、意識不明になってしまいました。 生まれてはじめてアマンダと離れ離れになり、途方に暮れていたラジャー。そこを、不思議なネコのジンザンに声をかけられ、「人間に忘れられると、イマジナリは消えてしまう」という運命を知らされます。ラジャーの体も消えかかっていましたが、間一髪、ジンザンに導かれ、不思議な図書館に向かうことに。そこは、身を寄せ合って暮らしている、忘れかけられたイマジナリたちのすみかでした。

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想像のなかの世界の景色がすごくきれいで見入ってしまう。ラジャーが元気で想像力豊かなアマンダを大好きな理由もよく分かる。「人間に忘れられると消えてしまう」っていうイマジナリの運命も、自分にもきっと大人になって忘れてしまったこともあるのかも、と少し切なくなった。

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ほかのイマジナリたちとの出会い

屋根裏のラジャー
©2023 Ponoc

図書館でカバの小雪ちゃんと骨っ子ガリガリ、そしてエミリに出会ったラジャー。彼女たちはラジャーに、図書館に張り出された子どもの写真を手に取ると、その子どものイマジナリとして一時的に彼らの想像の世界に行けることを教えました。さらにそのとき子どもに気に入られれば、「ずっとの友だち」として再び生きることができると言うのです。 ラジャーは写真の中に、アマンダの友達の1人、ジョンくんを見つけ、小雪ちゃん、骨っこガリガリ、エミリと共にジョンくんの世界へ飛び込みます。ジョンくんの世界での冒険を終えた帰り道、仲間と別れたラジャーがアマンダの家へ向かうと、アマンダのお母さんがアマンダの傘を持って泣いていました。傘の中には、「お父さんを忘れないこと、お母さんを守ること、絶対に泣かないこと」という「屋根裏の誓い」と似た文章が。お父さんを亡くしたアマンダが悲しみから立ち直る為に、ラジャーは生み出されたのでした。 事実を知り驚いたのも束の間、ラジャーは再びミスター・バンティングと邂逅します。逃げるラジャーはエミリとジンザンと合流し、図書館の入り口を目指しますが、ミスター・バンティングの想像の世界に取り込まれてしまいます。なんとかして想像の世界で隠された図書館の入り口を見つけますが、エミリはミスター・バンティングに打たれて消えてしまいました。

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ガリガリが男の子の「ずっとの友だち」になるところがすごくよかったし、ラジャーの誕生の秘密が明かされるシーンは号泣してしまった。想像力でつながる子どもたちとイマジナリの絆が垣間見えて、「メアリ」よりストーリーがしっかりしてる。

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バンディングの正体と目的

屋根裏のラジャー
©2023 Ponoc

昏睡状態のアマンダを心配するラジャーは、病院へ向かうべく、図書館でアマンダの友だちであるジュリアの写真を見つけます。小雪ちゃんとジンザンに助けられながら、彼女の想像の世界から現実世界へと抜け出し、病院へ急ぎます。 一方、ミスター・バンティングもアマンダが入院していることを知り、病院へと向かいます。ミスター・バンディングは、イマジナリを食べることで「想像の力」を取り込み、生きながらえていました。そのため彼は、ゆく先々でイマジナリを襲っていたのです。 なんとか病院へたどり着いたラジャー。病院にいるイマジナリに助けられ、アマンダの病室の扉を開けました。しかし、何度ラジャーが声をかけてもアマンダは昏睡状態のまま。そこにミスター・バンティングがやってきます。 ミスター・バンティングはラジャーを取り込むべく、彼のイマジナリにラジャーを襲わせます。ラジャーが格闘していると、アマンダが目を覚ましますが、ラジャーのことが見えていません。ラジャーがアマンダに声を掛け続けると、アマンダはラジャーたちが見えるように。ラジャーと2人でアマンダの想像の世界に飛び込み、ミスター・バンティングと対決します。

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ミスター・バンディングとイマジナリの女の子怖すぎ。ラジャーはとにかくアマンダのことが心配なんだね。そのせいで結構危ない目にもあってるけど……。

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アマンダはラジャーを覚えているのか?バンディングと最後の戦いへ

屋根裏のラジャー
©2023 Ponoc

アマンダが作り出した大海原で、追跡劇を繰り広げる4人。アマンダたちが優勢でしたが、ミスター・バンティングのイマジナリが巨大化し、全てを飲み込もうとします。もうダメかと思ったところで、アマンダの母リジーが病室に到着しました。 病室に戻った4人。アマンダにはヘビのようなイマジナリが巻き付き、ラジャーもミスター・バンティングのイマジナリに取り押さえられています。娘の苦しそうな様子に驚くリジーですが、何も見えていないため状況がわかりません。 アマンダがリジーにラジャーたちのこと、そしてリジーのイマジナリについて話すと、イマジナリたちが暮らす町の図書館にリジーの写真が現れました。老犬がその写真をつかみリジーのもとへやってくると、彼女はかつてのイマジナリ・レイゾウコとの再会に驚きます。 レイゾウコの反撃で、一命を取り留めたアマンダ。ラジャーはアマンダ、レイゾウコ、そしてリジーと共にバンディングに最後の抵抗を試みます。すると、バンディングのイマジナリである黒い服の女の子が突然彼らへの攻撃をやめ、バンディングの口に吸い込まれていきました。自身のイマジナリを取り込んだバンディングは「現実の味だ」と言って、自らも消えてしまいます。 こうして危機を脱したラジャーたちは、再びしあわせな想像の世界で遊ぶようになりました。

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リジーがレイゾウコを思い出す瞬間ぐっと来た!大人になって忘れてしまっても、イマジナリは心のなかにいる。子どもの頃に想像した世界が私たちの感情や行動にあらわれてくるのかも。

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映画『屋根裏のラジャー』の感想・評価

屋根裏のラジャー
©2023 Ponoc
屋根裏のラジャー』の総合評価
4.5 / 2人のレビュー
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20代女性

映像はもちろん綺麗だし、声優さんたちの演技も素晴らしい。ラジャーの成長物語以上にリジーに共感してしまって、大人になってから見れてよかったと思った。

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30代女性

スタジオポノックの前作『メアリと魔女の花』に比べてストーリーにしっかりメッセージ性もあって良かった。うるっとくるシーンもあって、それぞれのキャラクターの想いが感じられた。

子どもの想像上の友だち、イマジナリの冒険を描く『屋根裏のラジャー』では、美しい映像で夢のある物語が紡がれていきます。そんな本作は、大人だからこそ心に響く、感動作になっています。 イマジナリであるラジャーが、なぜ生まれたのかを通して、様々な経験を空想と共に乗り越えて大人になっていく過程を描いた本作。イマジナリたちの冒険や自分を生み出した子どもへの想いはもちろん、人間側、特にアマンダの母リジーなどにも焦点が当てられ、グッと胸に迫る物語が展開されます。

【感想】裏主人公?リジーに共感すること間違いなし

屋根裏のラジャー
©2023 Ponoc

本作の裏の主人公とも言えるのが、アマンダの母リジー。彼女にはラジャーは見えませんが、アマンダの空想上の友だちとして認識しています。アマンダの父でもある夫を亡くしたばかりの中、どうにか2人で生活しようと奮闘しているリジー。 そんな彼女が娘・アマンダの傘に書いてあるメッセージを見つけ涙するシーンは、大人だからこそ心に響くものではないでしょうか。また、大人である彼女が、イマジナリの存在を信じ、かつてのイマジナリ・レイゾウコと再会するシーンも涙なしでは見られません。 物語の序盤では、イマジナリを信じず、現実に生きていたリジー。彼女もアマンダ同様、ラストには空想の世界を受け入れ、共生することを選びました。リジーは、身近な人の死という喪失感を、空想だけ、現実だけに逃げ込まず、乗り越えるというメッセージを体現した裏主人公だといえるでしょう。

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【考察】傘・屋根裏の誓いに隠されたイマジナリーの役割

屋根裏のラジャー
©2023 Ponoc

『屋根裏のラジャー』を読み解く鍵となっているのが、アマンダの傘と屋根裏の誓いです。 まず、アマンダの傘ですが、外側がラジャーと同じ黄色で、内側には虹の下で笑う家族の絵が描かれています。これは、ラジャー(傘)がアマンダを父の死という悲しみ(雨)から守っているという暗喩になっているのではないでしょうか。こう考えると、冒頭の友達との雨に関する会話も物語の行く末を暗示していそうですね。 さらに、アマンダの傘には「パパを忘れない、ママを守る、絶対に泣かない」という文字が。これは「消えないこと、アマンダを守ること、絶対に泣かないこと」という屋根裏の誓いと対をなしています。やはり、ラジャーはアマンダの悲しみを肩代わりする、悲しみから守る存在であると言えそうです。 物語の最後に、ラジャーはアマンダに「喜びも悲しみも繰り返して大人になる。どんな時も僕はアマンダの中にいる」と声をかけています。つまり、『屋根裏のラジャー』におけるイマジナリとは、無力な子どもが悲しみや喜びといった感情を受け入れる手助けをする存在ではないでしょうか。空想に飲み込まれず、イマジナリと共生していくことが大人になることなのかもしれませんね。

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【解説】ラストシーンの謎!バンティングの写真の意味は?

屋根裏のラジャー Mrバンティング
©2023 Ponoc

ラストシーンでは、アマンダの病室に現れたミスター・バンディングが、ラジャーたちを食べようとします。ラジャーたちが必死に抵抗するなか、バンディングのイマジナリである黒い服の女の子が彼に飲み込まれました。彼は「現実の味がする」と言い、彼の写真が床に落ちます。 黒い服の女の子は、かつて図書館でバンディングの写真を取り、現実の世界にやってきたのでしょう。しかしその後、彼は次々にイマジナリを食べていき、女の子はそのことに罪悪感を抱いていたのかもしれません。 彼女はバンディングの写真を手放すことで、彼のイマジナリではなくなり、彼がこれまでほかのイマジナリにしたように、吸い込まれてしまったのです。

映画『屋根裏のラジャー』の登場人物・声優一覧!

ラジャー

寺田心

アマンダ

鈴木梨央

リジー

安藤サクラ

エミリ

仲里依紗

ジンザン

山田孝之

オーロラ

杉咲花

老犬

寺尾聰

小雪ちゃん

かぬか光明

骨っこガリガリ

一龍斎貞友

ジュリア

平澤宏々路

ジョン

川原瑛都

ラジャー役/寺田心

屋根裏のラジャー
©2023 Ponoc

アマンダの想像で生まれたイマジナリの少年ラジャー。アマンダと想像の中で冒険することが大好きだった彼は、彼女が事故に遭い、昏睡状態に陥ったことで忘れられかけてしまいます。アマンダを救うため、そしてイマジナリを襲う謎の男ミスター・バンディングに立ち向かうため、ラジャーはイマジナリの世界で出会った仲間たちとともに、冒険に出ます。 ラジャーを演じるのは、子役から活躍をつづけている寺田心。近年では、『妖怪大戦争 ガーディアンズ』(2021年)や『鋼の錬金術師 完結編』(2022年)などに出演しています。アニメ映画の声優は今回が初挑戦となりました。

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アマンダ役/鈴木梨央

屋根裏のラジャー アマンダ
©2023 Ponoc

「想像の友だち(イマジナリ)」としてラジャーを生み出した少女アマンダ。父を亡くし、母リジーと2人で暮らす彼女は、その豊かな想像力で、ラジャーとともにさまざまな世界を冒険をしてきました。しかし彼女はあるとき事故に遭い、昏睡状態に陥ってしまいます。 アマンダを演じる鈴木梨央は、5歳から芸能活動を開始。数々のドラマや映画に出演してきた彼女は、2018年にはスタジオポノック短編作品『ちいさな英雄』で主演を務めました。そのほか『おしりたんてい スフーレ島のひみつ』(2021年)に出演するなど、声優としても活躍しています。

リジー役/安藤サクラ

屋根裏のラジャー リジー
©2023 Ponoc

アマンダの母で、シャッフルアップ書店を営むリジー。夫を亡くしアマンダの2人きりで暮らす彼女は、夫から受け継いだ書店を畳む決意をします。ラジャーのことは見えませんが、娘にはイマジナリがおり、ラジャーという名前であることは知っています。 リジーを演じるのは、『万引き家族』(2018年)などで日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞するなど、演技派として知られる安藤サクラです。アニメ声優は今回が初挑戦となりました。

エミリ役/仲里依紗

屋根裏のラジャー エミリ
©2023 Ponoc

ラジャーがイマジナリの世界で出会った少女エミリ。仲間とともに新たな子どもの「ずっとのイマジナリ」になるため、さまざまな子どもたちの想像の世界で遊んでいます。ラジャーの事情を聞いたエミリは、アマンダを救うために彼とともに冒険に出ます。 エミリを演じるのは、『時をかける少女』(2006年)や『サマーウォーズ』(2008年)など、これまでにもアニメ映画の声優として活躍してきた仲里依紗です。

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ジンザン役/山田孝之

屋根裏のラジャー ジンザン
©2023 Ponoc

ラジャーに「イマジナリは人間に忘れられると、消えてしまう」という運命を教え、イマジナリの世界がある不思議な図書館に案内した猫のジンザン。ラジャーの事情を理解し、アマンダを救うための手助けをしてくれます。 ジンザンを演じる山田孝之は、「闇金ウシジマくん」シリーズや『全裸監督』(2019年〜2021年)などで知られています。2002年では『猫の恩返し』でルーン役を演じるなど、声優としても活躍しています。

ミスター・バンティング役/イッセー尾形

屋根裏のラジャー Mrバンティング
©2023 Ponoc

ラジャーを執拗につけ狙う謎の男ミスター・バンディング。ラジャー以外のイマジナリも次々と彼に襲われており、その目的は一体なんなのでしょうか。 ミスター・バンディングを演じるのは、一人芝居の第一人者として知られるイッセー尾形です。数多くの作品で活躍している彼は、声優として『DEEMO サクラノオト -あなたの奏でた音が、今も響く-』(2022年)や『火の鳥 エデンの花』(2023年)などにも出演しています。

オーロラ役/杉咲花

屋根裏のラジャー オーロラ
©2023 Ponoc

不思議な存在である謎に包まれたオーロラ。ラジャーたちの冒険に大きな影響を与える、鍵となる存在です。 オーロラの声を担当する杉咲花は、映画『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016年)で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞および新人俳優賞などを受賞しました。スタジオポノックの前作『メアリと魔女の花』(2017年)では、主人公メアリを演じています。

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老犬役/寺尾聰

屋根裏のラジャー レイゾウコ
©2023 Ponoc

ラジャーがイマジナリの世界で出会う老犬。彼もまた、かつて誰かのイマジナリでしたが、長年イマジナリの世界で過ごしています。彼を生み出したもとの友だちに、完全に忘れられてはいないようです。 老犬の声を担当するのは、俳優人生55年にして本作が声優初挑戦となる寺尾聰です。これまでアニメーションの仕事は「難しくて怖がってこれまでアフレコのお仕事を一切やってこなかった」という寺尾ですが、今回はストーリーの魅力に惹かれて引き受けることにしたと語っています。

ダウンビートおばあちゃん役/高畑淳子

屋根裏のラジャー ダウンビートおばあちゃん
©2023 Ponoc

ダウンビートおばあちゃんは、リジーの母でアマンダの祖母です。まだまだ元気な彼女は、リジーが子どもだった頃のこともよく覚えています。 そんなダウンビートおばあちゃんを演じるのは、高畑淳子。彼女は数多くのドラマや映画に出演するほか、ジブリ映画『かぐや姫の物語』(2013年)などで声優を務めたりもしています。

原作はイギリスの児童向け小説『The Imaginary』

映画『屋根裏のラジャー』の原作は、2014年に公刊された児童向け小説『The Imaginary(原題)』。英国の詩人A.F.ハロルドの文章に、エミリー・グラヴェットの手による一部カラーの挿絵が多数掲載されています。 邦訳はポプラ社から『ぼくが消えないうちに』というタイトルで2016年に出版、世界中でも注目を集めて15カ国で刊行されました。 公刊直後から10歳前後の子どもたちを中心に人気を博し、書店員も「子どもだけに読ませるにはもったいない」と絶賛。英国文学協会賞(UKLA Book Award)を受賞したほか、ケイト・グリーナウェイ賞、カーネギー賞などにノミネートされ、海外の有力紙も激賞しています。

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【ネタバレ】原作小説のあらすじ

ここでは簡単に原作小説のあらすじも紹介しておきましょう。 小説のラジャーは、アマンダという名前の少女の部屋にある洋服だんすのなかに、ある日突然出現しました。そのときからラジャーはアマンダにしか見えない親友、イマジナリーフレンドとなります。

ある日、アマンダは事故で意識不明の重傷を負って入院。アマンダが死んでしまったと思って途方に暮れていたラジャーに声をかけたのが、ジンザンという名のしゃべる猫でした。ジンザンはラジャーを不思議な図書館に連れていきます。 そこは忘れられそうになったイマジナリーフレンドが集まる場所だったのです。イマジナリーフレンドは子どもが成長して彼らのことを忘れてしまうと、消えてしまいます。そうなる前に、別の子どものイマジナリーフレンドとなることで、彼らは生き続けるのです。 アマンダが死んでいないことを知ったラジャーは、アマンダの友だちのイマジナリーフレンドになって病院に駆けつけます。しかしアマンダの病室には、イマジナリーフレンドを食べて生きているバンティングという男の姿が……。

映画『屋根裏のラジャー』を手がけるスタッフは?

監督:百瀬義行

百瀬義行
(C)2018 STUDIO PONOC

映画『屋根裏のラジャー』の監督を務める百瀬義行は1953年生まれで東京都出身の、アニメーター兼アニメーション監督です。スタジオジブリに所属していた百瀬は、同スタジオの映像制作に深く関わってきました。 特に高畑勲監督の作品では、『火垂るの墓』の作画監督補、『ホーホケキョ となりの山田くん』の演出といった重要な役割を果たしています。宮崎駿監督のもとでは『紅の豚』の原画をはじめ、『もののけ姫』のCG制作を担当したこともありました。 最新作『屋根裏のラジャー』について百瀬は、「私たちに力を与えてくれる、豊かな気持ちと解放感で満ちた映画にしたい」と抱負を語っています。

原作:A.F.ハロルド

映画『屋根裏のラジャー』の原作小説の作者であるA.F.ハロルドは、1975年にイギリスで生まれた詩人・作家です。詩やファンタジーの創作ばかりでなく、学校やバーなどの室内から野外フェスティバルまで、パフォーマンスでも幅広く活躍しています。 今回のアニメ化についてハロルドは、スタジオポノックに全幅の信頼を表明。「本から映画へどう変化されていくのか、楽しみで興味津々です」と、アニメへの期待を語りました。

プロデューサー:西村義明

映画『屋根裏のラジャー』のプロデューサーを務める西村義明は、スタジオジブリに所属していたプロデューサーです。ジブリでは著作権・法務や宣伝を経て、『かぐや姫の物語』や『思い出のマーニー』をプロデュースしています。 『屋根裏のラジャー』は西村にとっては思い入れの強い作品のよう。原作を手にしたときから2年間、「人間に想像された少年」の視点で「私たちの今を捉える映画を作れないか」と考え続け、ラジャーの姿が立ち現れたそうです。

スタジオポノックってどんな会社?ジブリと関係はあるの?

映画『屋根裏のラジャー』を製作するスタジオポノックは、プロデューサーの西村義明が代表取締役を務めるアニメ製作会社です。 2014年のスタジオジブリ制作部の解体の翌年、スタジオジブリを退社した西村と米林宏明監督が中心となって設立されました。 西村と米林は、2014年の映画『思い出のマーニー』のプロデューサー・監督コンビ。2人はジブリ制作部がなくなっても映画を作り続けようと、スタジオポノックを立ち上げたのです。 社名はセルビア・クロアチア語で「ポノック」=「午前0時」にちなみ、「新しい一日が始まる」という思いが込められています。 スタジオポノックが製作した長編アニメの記念すべき第1作目が、2017年に公開された『メアリと魔女の花』。米林監督をはじめスタッフの約8割は、ジブリ作品に関わった経験がある人たちと、ジブリ色の強い映画となりました。

前作は『メアリと魔女の花』

WEB用_メアリと魔女の花_メイン(PC壁紙画像・携帯待受画像には使用できません)
(C)2017「メアリと魔女の花」製作委員会

前作『メアリと魔女の花』は、偶然魔法の力を手に入れた少女の冒険物語。赤毛の少女メアリは、森で「夜間飛行」と呼ばれる魔法の花の汁に触れたことで魔法の力がつき、ほうきに乗って雲の上に浮かぶ魔法学校に行きます。 しかし魔法学校の校長たちはある恐ろしい実験に使うため、強力な魔力を持つ「夜間飛行」を彼女から奪い取ろうとしていたのです! スタジオジブリの名作『魔女の宅急便』などの影響が強く見られるこの映画は、一部の批評家やファンから厳しい批判を受けました。しかし米林監督の本領が発揮されたスピード感のある飛行シーンなど、ダイナミックな描写は高く評価されるべきでしょう。

『屋根裏のラジャー』を映画館でお得にみる方法は?

auスマートパスプレミアム

『屋根裏のラジャー』を映画館でお得に観たいひとにはauスマートパスプレミアムがおすすめ。通常2000円のところ、auスマートパスプレミアムに入れば、1100円で『屋根裏のラジャー』を劇場で観ることができます。(auマンデイ利用時) 映画だけでなく、TELASAの対象作品もお得に観られるほか、漫画や音楽もお得に利用できます。月額548円で始められ、携帯キャリアがauでなくても利用できるので、ぜひ使ってみてくださいね。

映画『屋根裏のラジャー』は大人だからこそ泣けるあらすじだった!

スタジオポノック5年ぶりの長編アニメ映画となる『屋根裏のラジャー』。ストーリーや映像はもちろん、主演の寺田心をはじめ、安藤サクラや寺尾聰など、演技派として知られながら、アニメ声優は初挑戦となるキャストにも注目したいところですね。 前作『メアリと魔女の花』を上回る感動の物語となるか、期待が高まります。