2021年9月2日更新

『千と千尋の神隠し』釜爺(かまじい)のモデルは蜘蛛じゃない?宮崎駿の願望を形にしたキャラクターだった

『千と千尋の神隠し』釜爺

ジブリの名作『千と千尋の神隠し』に登場する釜爺(かまじい)を徹底解説!「油屋」のボイラー室に住む釜爺のモデルや素顔とは?湯婆婆との関係や、釜爺の印象的な名セリフもまとめて振り返ります。仕事に厳しくも、愛情深い釜爺の魅力に触れてみましょう。

『千と千尋の神隠し』釜爺(かまじい)について解説

『千と千尋の神隠し』(2001年)には人の世界とは違った不思議な生き物が沢山登場します。千尋が働くことになった湯屋のボイラー室の主・釜爺(かまじい)も、そんな不思議な存在の1人です。 千尋の成長を語る上で欠かせない釜爺とは一体何者なのでしょうか。釜爺の正体やモデルとなった生物、名セリフなどをまとめて考察及び紹介します

釜爺のモデルはザトウムシ?

『千と千尋の神隠し』釜爺

自在に伸びる6本の腕を持つ釜爺。その特徴的な姿からついつい蜘蛛を思い浮かべてしまいがちですが、そのモデルは実はザトウムシではないかと言われていますザトウムシは針金のような細く長い脚を持った虫で、蜘蛛に似ていますがまた別の虫です。長い脚で丸い胴体を支えて歩く姿が特徴的で、体全体のバランスや動き方が釜爺と似ています。 小さくて黒い目が控えめについているのが一般的なザトウムシの特徴。つぶらな黒い瞳は釜爺の黒いサングラス姿を連想させます。 ザトウムシはかつて目が無いと思われていた虫なので、そんなエピソードも昼夜問わず暗がりでサングラスを着用するという釜爺の設定に活かされたのかもしれません。

釜爺の正体って?

千と千尋の神隠し

釜爺は湯屋「油屋」の要であるボイラー室を一手に担う人物ということがわかっていますが、それ以外の出自や「油屋」で働くようになった経緯などは一切明かされていません。 劇中の描写から分かるのは、経営者の湯婆婆とは古くからの知り合いで、双子の銭婆のことにも詳しいということ。湯婆婆に「様」をつけていないことや、長年ボイラー室を任されていることから、湯婆婆と一定の信頼関係を築いているのでしょう性格面では仕事には厳しくも心根は優しいことが千尋への態度から分かります。釜爺は迷い込んだ千尋を邪険にせず庇ったうえでエールと共に送り出したり、千尋が銭婆の元へ行けるように切符を渡したり、本当の孫のように世話を焼いていました。

宮崎駿の願望かも?

宮崎駿
©︎Orban Thierry/MCT/Newscom/Zeta Image

つかみどころのない釜爺ですが、ファンの間では「多忙な宮崎駿監督のこんなにたくさん腕があったら……という願望なのでは?」という説が噂されています。 『千と千尋の神隠し』公開時はすでに21世紀に突入していましたがスタジオジブリではCGと併用し手書きのセル画で作画を行なっていました。そのため宮崎駿は2本の腕が回らないほど忙しく、そこで彼の願望を形にした釜爺のようなキャラクターが生まれたのかもしれませんね。

汎用性が高い釜爺の名セリフ

『千と千尋の神隠し』ススワタリ(まっくろくろすけ)

「手ぇ出すならしまいまでやれ」

ボイラー室にやってきた千尋は、釜爺の部下のススワタリの仕事を気まぐれで手伝ってしまいます。半端な気持ちで他人の仕事に手出しをした千尋を釜爺は一喝。仕事には責任が伴うという当たり前のことを思い出させてくれるセリフです。

「グッドラック」

千尋を孫だと庇った釜爺は、リンに千尋を預けます。湯婆婆の元へ出向く千尋に、釜爺はひと言「グッドラック」と親指を立てて彼女を送り出しました。シンプルな言葉ですが、釜爺の優しさと温かさがひしひしと感じられるシーンです

「えーんがちょ、せい!えーんがちょ!」

ハクが吐き出した呪いの虫を踏み潰した千尋に、釜爺は「えんがちょ」をするよう言います。「えんがちょ」は親指と人差し指で作った輪を手刀で切ることで、穢れと縁を切るおまじない。実生活でも何かと使えるおまじないです。

『千と千尋の神隠し』随一の好感度高キャラ・釜爺

千と千尋の神隠し

『千と千尋の神隠し』の謎多き愛されキャラ釜爺について紹介しました。序盤で千尋に働くことの厳しさを説くにはじまり、終盤でも千尋の助けとなる活躍をみせた釜爺。その活躍に反し、謎が多いというのも釜爺の魅力なのかもしれません。 釜爺はこれまでどんな人生を送ってきたのか。そんな想像をしながら『千と千尋の神隠し』を楽しんでみるのもおすすめです。