2024年11月22日更新

『ダンダダン』妖怪&宇宙人の元ネタを考察!有名な妖怪から都市伝説まで?!

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ターボババア

ダンダダン ターボババア
(C)龍幸伸/集英社・ダンダダン製作委員会

ターボババアは廃トンネルを住処とする老婆の姿をした近代妖怪。主人公のオカルン(高倉健)に取り憑き、彼のイチモツを奪いました。時速100kmを誇る俊足の持ち主で、走って追い抜かした相手を呪うことができます。 作中最初に登場する怪異にして、主人公のイチモツを要求するというインパクトありすぎな存在です。

元ネタは「ターボばあちゃん」

「ターボばあちゃん」は車を追い越す速度で走る老婆の都市伝説。走行中の車の窓が何者かによって叩かれ、ふと窓の外を見ると老婆が走りながらこちらを見ているそうです。 そのまま並走するだけのパターンから、どこまでも追いかけてくる、ボンネットに乗ってくるといった人間に被害をもたらすパターンもあります。 2013年には『高速ばぁば』というホラー映画も制作されました。同作ではターボばあちゃんをベースとした高速ばぁばが登場。虐待された老人たちの怨念が合わさっている点は、理不尽な死を遂げた地縛霊を気にかけていたターボババアにも通じます。

セルポ星人

セルポ星人は惑星セルポからやってきた宇宙人。普段は大きく四角い顔とぴっちりした七三分けが特徴的なおじさんの姿をしています。本来の姿は、角張った身体に飛び出た目を持つ「ウルトラマン」的世界観の宇宙人の姿です。

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元ネタは「プロジェクト・セルポ」

惑星セルポは「プロジェクト・セルポ」という、1960年代にアメリカ政府が極秘裏に進めたとされる計画に登場します。 1947年に起きた「ロズウェル事件」というUFO墜落事件をきっかけに、政府と生き残った宇宙人が協力関係を締結。政府は12人の人間を惑星セルポに留学生として送り出したそう。 ちなみにセルポ星人の見た目は、「ウルトラ」シリーズに登場するペガッサ星人とダダに似ています。 名前は「プロジェクト・セルポ」が元ネタ、見た目や人間標本採取を目的としている点は「ウルトラ」シリーズをオマージュしているのでしょう。

フラットウッズモンスター

フラットウッズモンスターはモモの家に現れた10m級の宇宙人。力士のように四股を踏んで戦うほか、四方を硬い壁で覆い、相手を弱体化させる黒い霧を吐きます。「約束を破った」という意味深な発言の謎を残したまま消滅しました。

元ネタは「フラットウッズモンスター」

同じ名前の「フラットウッズモンスター」と呼ばれる宇宙人が1952年にアメリカのフラットウッズで目撃されています。別名「3メートルの宇宙人」。 赤い顔にスカートのような服、緑の光る目が特徴で、浮遊して移動します。目撃した少年たちは、生物が発する霧を吸ったことで喉や鼻の痛みといった症状が出たそう。 『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する使徒シャムシエルの元ネタになっているのも、このフラットウッズモンスターです。

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アクロバティックさらさら

アクロバティックさらさらは白鳥愛羅に執着している、赤いワンピースを着た女性の妖怪。文頭に「お」をつけて喋るクセがあり、名前通りのアクロバティックな動きと、さらさらな髪の毛で相手を拘束し、大きな口で丸呑みします。

元ネタは「アクロバティックサラサラ」

福島県を中心に目撃されている「アクロバティックサラサラ」という都市伝説が元ネタ。2022年放送のTV番組『口を揃えた怖い話』で紹介され、知名度が上がった都市伝説です。 赤い服にサラサラの髪の長身の女性で、ビルの屋上などの高い場所で目撃されています。名前の通り、高いところをアクロバティックに動くそう。 彼女には眼球がないのですが、彼女は目が合った相手の家まで付いていき、最後はさらってしまうのだとか。

ドーバーデーモン

シャコことドーバーデーモンは、シャコのような身体を持つ宇宙人。手にはボクシンググローブをはめており、ボクシングスタイルで戦う戦闘民族です。水中ではシャコっぽく変身しますが、その姿は24秒しか保ちません。

元ネタは「ドーバーデーモン」

元ネタは1970年代にアメリカのマサチューセッツ州ドーバーで目撃されたUMA「ドーバーデーモン」です。身体は120cm程度と小柄で、大きな頭部と体毛のない身体が特徴的。目は確認されていますが、他の器官は目撃情報にはありません。 目撃されたのは地上ですが、体毛がなくぬめりがあったという目撃情報から、水棲の未確認生物だとする声もあります。複数の目撃者がいましたが、以降は一度も目撃情報が出てきていないそうです。

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ネッシー(カミッシー)

カミッシーはセルポ星人が連れてきた首長竜のような見た目のUMA。セルポ星人がモモたちを襲うために雇った生物です。いわゆるネッシーで、カミッシーという呼称は作中の神越市に由来したもの。正式名称は不明。 知能が低く、敵味方関係なく目にしたものを攻撃してしまう凶暴性を持っています。

元ネタは「ネッシー」

世界中で知られているイギリスのネス湖に生息するというUMA「ネッシー」が元ネタ。 目撃情報や写真、動画などが多数出回っており、中でも「外科医の写真」と呼ばれる写真は大きな話題となりました。ちなみにこの写真は後に自作自演であったことが判明。他の写真も科学的な解析によって、鳥やボートの影であることが確認されています。 2019年のDNAを用いた大規模調査では、巨大ウナギの可能性が指摘されたそうですが、いまだ正体は謎のままです。

邪視

邪視はジジ(円城寺仁)の前に現れたブリーフ一丁の不気味な男の怪異。異様に長い手足と胴、恐ろしいほどつり上がった目が特徴です。邪視が持つ目は邪眼で、その目で見た相手を狂わせて自殺させることができます。

元ネタは民間伝承

「邪視」は世界中に分布している民間伝承です。邪眼や魔眼とも言われるもので、睨むことで相手を呪うことができます。 邪視自体は古い時代から世界各地で語り継がれていますが、本作の邪視に1番近そうなのは2ちゃんねるオカルト板「洒落怖」に登場する怪異です。 この邪視は裸で片手に釜を持っていて、眉間あいだに大きな目を持っています。この目と目が合うと自殺願望に取り憑かれてしまうそう。なんとか気を持ち直しても、邪視は気が済むまでその相手を追いかけ続けるのだとか。 姿や能力的にもこの都市伝説が元ネタとして近そうですね。

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モンゴリアンデスワーム

モンゴリアンデスワームは数千メートルの巨大な食人ミミズのUMA。人を自殺願望に駆り立てる念波や、粘液、毒霧、電撃などを出すことができます。ターボババアからは「くらがり」と呼ばれていました。

元ネタは「モンゴリアン・デス・ワーム」

元ネタはゴビ砂漠に生息しているとされる全長1.5~2mほどの赤い巨大ミミズの同名UMAです。頭部には複数の牙があり、毒や電気を放つといった言い伝えが残っています。 2010年公開の『新トレマーズ モンゴリアン・デス・ワームの巣窟』にも登場。くらがりという呼称は、四国に伝わる逸話「くらがり淵の大蛇」に由来していそうです。

ルドリス

ルドリスはシャコの友人の超有名宇宙人。広い宇宙でトップクラスの文明を持つ全知全能の宇宙人で、イメージで変形する物質「ナノスキン」をモモたちに提供していました。四角張った身体で、「トゥンムトゥンム」としか話せません。

元ネタは「マインクラフト」

ルドリスはクリエイティングゲームの「マインクラフト(Minecraft)」が元ネタでしょう。マイクラはブロックで構成された広大な世界で、材料を手に入れて素材や道具、建物などを作成していくゲームです。

カシマレイコ

カシマレイコは作中最強の戦闘力を誇る女性の怪異。10mほどの身体に、顔からはみ出すほどの口紅を塗った大きな口が特徴的で、「私キレイ?」や語尾の「ぽ」が口癖。 圧倒的パワーを誇るだけでなく、彼女は鏡に映った対象を鏡に閉じ込めることができたり、強力な精神攻撃を使ったり、鏡を持つ人間を操ったりすることもできます。

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元ネタは「カシマさん」「口裂け女」

カシマレイコは「カシマレイコ」、「口裂け女」、「八尺様」といった複数の都市伝説が融合しています。 カシマさんの都市伝説は、彼女の問いかけに正しく答えないと身体の一部が失われて死んでしまうというもの。彼女は戦争被害者だったそうです。 口裂け女はマスクをした状態で「私綺麗?」と通行人に問いかけ、綺麗だと答えると裂けた口を見せます。かなり残忍な性格で、容姿を貶した相手は殺してしまうそう。 語尾の「ぽ」は、ネット発祥の怖い話「八尺様」がそっくり。彼女は「ぽぽぽ」と奇妙な音を出し、自分に魅入った人間を殺す怪異です。

バモラ

バモラは触覚を持つ美少女宇宙人。モモたちの敵として現れますが、オカルンに倒されて以降は彼に求婚を迫っています。彼女はシュメール人という宇宙人の数少ない生き残り。彼女の故郷は深淵の者(クル)によって侵略を受けていました。

元ネタは「古代シュメール文明」

シュメール人の元ネタは人類最古の文明「古代シュメール文明」です。シュメール人はメソポタミア文明の基礎を作り上げ、都市国家を築きました。 いまだ謎の多い文明ですが、なかにはシュメール人が日本人のルーツとする説もあります。双方は複数の神々を信仰する、「膠着語」といわれる言語構造である、黒髪といった共通点が見られます。 バモラの名前や怪獣風スーツの元ネタは「ウルトラ」シリーズの怪獣「ゴモラ」でしょう。

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深淵の者(クル)

深淵の者(クル)は別の銀河からやってきた侵略宇宙人集団です。名称はセルポ星人がクトゥルフ神話からつけたもの。本体は重力に耐えられないほど軟弱なため、活動時はビッグママという宇宙人が生み出す特殊スーツを着用します。

元ネタは「クトゥルフ神話」

「クトゥルフ神話」はアメリカの小説家ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの描いた小説をもとに生まれた架空の神話です。その世界観のなかでも代表的な邪神がクトゥルフで、タコに触手が生えたような姿をしている宇宙生物です。 地球を襲った先行部隊のリーダー格であったハスターは、同神話に登場する邪神ハスターが由来でしょう。それ以外の先遣隊メンバーはタコ料理にちなんだ名前がつけられています。

サンジェルマン伯爵

サンジェルマン伯爵は整った顔立ちに貴族のような格好をした謎の男。ターボババアからは「ハイパージジイ」と呼ばれており、なにか因縁があるよう。宇宙の中でも知られた存在らしく、初登場時は深淵の者(クル)と行動をともにしていました。

元ネタは「サンジェルマン伯爵」

サンジェルマン伯爵は18世紀に実在したヨーロッパの天才です。科学をはじめ多分野に精通しており、高いカリスマ性を誇ったそう。 彼は残っている記録が少ないミステリアスな人物で、数々の伝説が残されています。数千年生きている、日本に滞在していた、自在に姿を消すことができるといった伝説が飛び交う謎多き人物です。

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オンブスマン

オンブスマンは佐脇凛に取り憑いた幼子の怪異。成仏できなかった子供の霊が怪異となり、愛情を求めて人の背中にのしかかります。頭は子供の顔、身体は亀の甲羅のような姿が特徴的。重力を操ることができ、最終的に取り憑いた人間を押し潰して殺してしまいます。 お祓いによって成仏した後は、守護霊として凛に取り憑き中です。

元ネタは「オンブスマン」「子泣きジジイ」

『ゲゲゲの鬼太郎』でも知られる「子泣きジジイ」が元ネタ。子泣きジジイはもともとは徳島県に伝わる妖怪。赤ちゃんの泣き声で人をおびき寄せ、一度くっついた相手に体重を重くしながらくっつき続けます。 2001年出版の『オンナのコたちが語り伝える恐怖のホラー怪談』では、「オンブスマン」と呼ばれる北海道の妖怪が登場。存在としてはほぼ子泣きジジイと同じ怪異です。

アンブレボーイ

アンブレボーイは頭間雲児(ずまうんじ)に取り憑いた妖怪。唐傘を武器として展開し、衝撃波を出したり高く飛んだりすることができます。本来は優しい妖怪とのことですが、一度暴れ出すと手がつけられなくなるほどの高い実力を持つ妖怪とのこと。 ズマがオカルンのように変身して、アンブレボーイの力を使います。

元ネタは「唐傘お化け」

「唐傘お化け」はもとは古い唐傘に魂が宿った付喪神です。捨てられた恨みから妖怪へと姿を変えたもので、巨大な1つ目と1本足、足には下駄を履いています。大きな目の下にはだらんと伸びた長い舌が描かれているものが一般的です。 有名な妖怪ではありますが、具体的にどういった悪さをするのかは不明。『ゲゲゲの鬼太郎』の印象から強いイメージが定着しています。

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メルヘンカルタ

メルヘンカルタはボードゲーム「團曼羅(だんまら)」に封印されていた悪魔。ゲームを通じて封印を解こうと画策していました。 カルタのような見た目をしていて、顔の部位(顔、目、口、耳)は札になっています。彼の能力は見た相手を洗脳する力。闇を抱えた人間の闇を増長させて精神攻撃を仕掛け、自分の手駒として操ります。

元ネタは「悪魔のメルヘンカルタ」

元ネタは「悪魔(または悪夢)のメルヘンカルタ」と呼ばれるネット上の都市伝説。 『白雪姫』、『赤ずきん』、『ヘンゼルとグレーテル』、『人魚姫』、『不思議の国のアリス』、『ピノキオ』の童話の絵が描かれた6枚のカルタには、呪術師によって世界の悪が封印されているそう。カルタは邪悪な人物に取り憑き、その人の身体を6つに分解してしまいます。

小人

小人は一頭身で仮面を被っていて、一部の人間にしか見えない存在。手先が器用で、あっという間に人の服や髪を縫い付けて動きを封じることができます。初登場は167話。モモが図書室で見つけた小さいおじさんの小人です。

元ネタは「小さいおじさん」

「小さいおじさん」は都市伝説の1つ。2009年ごろから中年風の小人の目撃談が話題となり、2010年にはキャラクターグッズまで発売されています。正体はいまだ不明。 また、作中では雪白幸姫という童話『白雪姫』を連想させるキャラクターが小人を使役していることから、7人の小人の要素も入っていると考えられます。

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学校の怪談も登場!

動く人体模型

どこまでも走り続ける人体模型。作中では「太郎」と呼ばれています。人体模型なので、体内の内臓をバラバラにすることが可能。 元ネタは学校の七不思議に登場する動く人体模型。内臓を欲して追いかけてきたり、人体模型を壊すと同じ部位に怪我を負う、背くらべを断ると首を切られてしまうといった噂があります。

音楽室の肖像画

ターボババアがオカルンの修行の一環として戦わせたのが、音楽室の肖像画たちです。肖像画たちは演奏によって爆発する音符などを作り出せます。 こちらも元ネタは学校の七不思議。七不思議では夜の音楽室で、ベートーベンの肖像画の目が光る、表情が変わるといった内容が一般的です。音楽室関連では、ひとりでに鳴る楽器の七不思議もあります。

動く二宮金次郎

作中では「二宮デスロード金次郎」と呼ばれていた、小さい悪霊の集団。学校の悪霊の大群「コウシャイン」の一部として無数の二宮金次郎の銅像が暴れまわり、モモたちに苦戦を強いた厄介な怪異です。 元ネタは学校の七不思議の歩く二宮金次郎像。夜になると銅像が動き出す、背負っている薪の数が減っているといった噂があります。

『ダンダダン』は細かい設定まで面白い!

『ダンダダン』に登場する怪異について、概要と元ネタの考察を紹介しました。読んですぐ元ネタがピンとくる怪異から、通な都市伝説を元にした怪異まで、龍幸伸先生には驚かされるばかりです。どんな怪異が登場するのか楽しめるのも、本作の魅力ですね!