2025年3月7日更新

『ゲド戦記』クモはなぜ死んだ?怖すぎるトラウマキャラの原作での過去

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ジブリ公式画像 ゲド戦記

スタジオジブリ作品『ゲド戦記』に登場する、ジブリ屈指のトラウマキャラ・クモ。この記事では、クモの基本プロフィールを紹介し、ハイタカとの関係やその最期、原作との違いなど解説します。

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『ゲド戦記』クモはジブリ屈指のトラウマキャラ

ゲド戦記
性別
声優 田中裕子

死を恐れるあまり禁断の「生死両界を分かつ扉」を開こうとする、永遠の命に憑りつかれたロークの大魔法使いクモ。本作ではハイタカやテルー、アレンと対することになるラスボスのヴィランです。 かつては「ハブナーのクモ」と呼ばれ、パルンの「知恵の書」を使って死者をあの世から呼び出す禁忌の魔法を乱用していました。ハイタカとは昔からの知り合いで、過去にある因縁があり、一方的に逆恨みをしています。

クモの性別は男!女性に見える理由

クモは外見は女性的で声優も田中裕子が務めていますが、実は本当の性別は男性で、原作の設定に従っています。舞台であるアースシーは男性優位の世界であり、魔法使いは男性しかなれないという設定です。女性は職業差別があるため魔法の勉強さえできず、魔法が使えても「まじない師」にしかなれません。 クモの外見を女性的にしたのは、相対するハイタカが男性的なキャラクターであるため対比させようとしたからでしょうか。

『ゲド戦記』クモの過去は?ハイタカとの関係

ジブリ公式画像 ゲド戦記

クモとハイタカはかつてロークで魔法を学んだ仲間でしたが、クモが前述の禁忌の魔法を乱用したことがきっかけで因縁が生まれました。 自分の師まで呼び出されて憤慨した若き日のハイタカに、黄泉の国まで無理やり連れて行かれたクモ。その際、死の恐怖で必死に抵抗して泣き喚き、ハイタカに改心を誓って西に去ったという苦い過去が。そのため今もハイタカに逆恨みをしており、復讐の機会をうかがっていたのです。 劇中の序盤で、配下のウサギがクモに「顔に傷跡が残る魔法使い」が来ると報告を受けた時には、「大賢人がやって来たか……再会を喜ぼうぞ、ハイタカ」とほくそ笑むシーンがあります。西に追われたクモに対して、その後ハイタカはロークで大賢人になっており、これまで会うことはなかったようです。

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『ゲド戦記』クモはなぜ死んだ?正体は老人?

クモの正体は老人?怖すぎる外見の変化

ジブリ公式画像 ゲド戦記

テナーとアレンを使い、ハイタカを城におびき寄せたクモ。ハイタカとは黄泉の国で別れて以来の再会でした。クモは「決して死など受け入れない」と言い放ち、「生死両界を分かつ扉」をこじ開けると宣言。 ハイタカはクモが改心していなかったことを咎めますが、クモは闇に落ちたアレンをハイタカと戦わせようとします。しかしアレンはハイタカとテルーに諭され、自分の「影」を受け入れて心の闇を晴らすことができました。 ハイタカとテルーを助けようとアレンがクモの右腕を切り落とすと、クモは老人のような姿に。切り落とされた右腕は液状になってすぐに再生しました。 不死を手に入れ永遠不変の存在になると叫び、液状に変身したクモはテルーをさらって塔の上へ。その間にもクモの老化は進み、眼は落ち窪んでまるで骸骨のようになっていきました。

「死んだ死んだ」というセリフの意味は?

そんな姿になっても、不老不死への執着を引きずったまま上り続けるクモ。これまでの姿とは真逆の弱弱しさを見せ始め、テルーの首に手をかけながら「怖い」と呟きます。アレンの「死を拒んで生を手放そうとしている、目を覚ませ」という呼びかけにも「来るな」と拒み続け、テルーの首を絞め続けました。 怯えながらすべてを拒み続けるクモは床を崩してアレンを落とそうとし、さらにテルーの首をきつく締めあげます。そしてテルーはついに床に崩れ落ち、クモは「死んだ、死んだ……可哀想」と空々しく独り言ちました。

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永遠の命を望んだクモの最後

ジブリ公式画像 ゲド戦記

陽の光を恐れてか、クモは身を隠そうとしますが、その時背後でテルーの「待ちなさい」という声がしました。死んだと思っていたテルーは身を起こし、朝陽を背にしたまま赤く輝く瞳でクモを見つめています。 それを見て「永遠の命だ……」と呟き、光に蛾が集うかのようにフラフラとテルーの方へ向かって歩き出すクモ。テルーが永遠の命を持っていると思い「命をくれ……」と近づくと、テルーは「影は闇に帰れ!」と叫び竜の姿に変わっていきました。 そして竜の吐いた炎に全身を焼き尽くされ、崩壊した塔から落ちていったのでした。

『ゲド戦記』クモの原作との違い

原作でのクモは「両界の王」

原作小説でクモが登場するのは、「ゲド戦記」シリーズ第3巻の「さいはての島へ」。原作ではクモは生と死の両方を行き来することができる「両界の王」と自称しています。映画ではこれから「両界の扉」は開けようとしていますが、原作ではすでに開けてしまっていて“生を手放した”状態。 映画ではアレンが同様のセリフを言っていたましたが、原作ではハイタカが「死を失い、死を失うことで同時に生を手放した」と語っています。

原作でのクモの最後

映画では竜に変身したテルーが吐く炎に焼かれて死んだクモ。しかし原作での最期は全く異なります。両界の扉がすでに開いてしまった黄泉の国で、ハイタカはすべての魔力を使い果たしても扉を閉めようとします。 アレンが剣でクモに斬りつけても、すでに生を手放しているクモには効かず、黒い血が噴き出すだけで“死ぬ”ということがありません。つまり、死ぬことも生きることもできないということ。 ようやく扉を閉めることができたハイタカは、クモをその業から解放します。ハイタカに何かを囁かれたクモは無表情のまま死の川を下り、やっと「死」を受け入れたのでした。

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『ゲド戦記』クモの正体はトラウマ級の怖さだった

ジブリ作品随一の悪役、不死に固執したクモの恐ろしい正体を解説しました!『ゲド戦記』鑑賞の前には、クモとハイタカの過去の因縁など含めてぜひおさらいしてみてください。