2025年12月23日更新

『かぐや姫の物語』御門/帝が気持ち悪い?あごが伸びた理由や抱きついた理由を解説

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『かぐや姫の物語』場面写真

高畑勲監督の遺作『かぐや姫の物語』の中で、特大のインパクトを誇る御門/帝。出演時間は短いながら、"あご"のインパクトやいきなりのセクハラ行動で、公開当時から話題になったキャラクターです。 この記事では、『かぐや姫の物語』(2013年)の御門/帝について、基本情報から活躍シーン、さらに"あご"の誕生秘話まで、徹底的に解説します!

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ジブリ映画『かぐや姫の物語』御門/帝(みかど)とは

御門(みかど)は、天皇の尊称です。『かぐや姫の物語』では、尖った顎が特徴的なキャラクターで、かぐや姫に求婚する6人目の人物として描かれています。 絵コンテでは「中国かぶれ」と記載されており、劇中では几帳とともに、大きく漢詩があしらわれた赤い屏風、中国の椅子・机が置かれているシーンも挿入されていました。かぐや姫との初対面で、彼女の人生を変える大きな事件を起こしてしまいます。

御門がかぐや姫に興味を持ったきっかけとは

御門/帝がかぐや姫に興味を持ったきっかけは、「いずれ劣らぬ5人の公達(きんだち)からの求婚をすべて拒んだ」ことでした。御門は、かぐや姫が求婚を断った理由を「私のもとへ参りたいと願っているに違いない」と勝手に決めつけ、宮中に出仕するよう命じます。 宮仕えすれば翁に官位を授けるという条件も提示しましたが、当然かぐや姫はこれを拒否。しかし、御門はそのつれない態度さえも気に入り、かぐや姫のもとへ自ら出向くことを決めたのです。

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御門は自ら忍びでかぐや姫のもとへ

かぐや姫の物語

「私がこうすることで喜ばぬ女はいなかった」

かぐや姫の屋敷へ忍び込んだ御門/帝は、琴を弾く彼女の姿を物陰から覗き見ます。その美しさに目を奪われた御門は、背後から音もなく近づき、あろうことか強引にかぐや姫を抱きしめました。 抵抗する姫に対し、御門は「私がこうすることで喜ばぬ女はいなかった」「私があなたを望めば、あなたは私のものになるのだ」と自信満々に囁きます。 しかし、かぐや姫が拒絶すると、その体は幻のようにすり抜けてしまいます。この時、恐怖を感じた姫が心の中で「もうここにいたくない」と強く願ってしまったことが、月への帰還を決める引き金となったのです。

月に帰るかぐや姫を見送る御門

『かぐや姫の物語』場面写真

御門/帝は戻ってきたかぐや姫に「自分の元へ来ることが幸せだ」と伝えて、宮中へと帰っていきました。しかし、その後かぐや姫が御門のもとを訪れることはありませんでした。 そして、ついに月の迎えが来る8月15日がやってきます。翁・媼との涙の別れを終えたかぐや姫は、記憶を消す羽衣をまとい、月の使者に迎えられて月へと帰っていきました。 地上では、御門がかぐや姫に求婚した車持皇子、石作皇子、阿部右大臣、大伴大納言とともに、去りゆく姫を想うように月を見上げていました。

御門はなぜ気持ち悪い?時代的には仕方ないとの意見も

現代の感覚で見れば、セクハラやパワハラとも捉えられる御門/帝の行動。しかし、絶対的な権力者である彼にとって、それは「悪いこと」ではなく、むしろ身分の高い自分からの「寵愛」という認識だったのかもしれません。 拒絶したかぐや姫やその家族を処罰することさえできた立場でありながら、それをせずに宮中で待ち続けた態度は、御門なりの誠実な好意の表れとも取れます。 実際、原作の『竹取物語』では、初対面から3年もの間、かぐや姫と文通を続けています。さらに月へ帰る姫から「不老不死の薬」を贈られるも、「姫にもう逢えない私にとって、命を長らえて何になろうか」と悲しみ、手紙と共に薬を焼いてしまいました。このエピソードからも、御門がかぐや姫を深く愛していたことがうかがえます。

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御門のあごが伸びた理由は監督の発言に?

ジブリ かぐや姫の物語

当初は石作皇子として描いた正統派イケメンのキャラクターを、御門/帝として起用する予定だったそう。しかし、スタッフが決めかねていたところ、高畑監督が「美男だけど一ヶ所バランスを崩してみたらどうか。たとえばアゴとか」と言ったことで、御門のあごが伸びたのです。 また、声優を担当した中村七之助の声に若々しさがあったために、当初よりさらに高貴で清潔感のある姿へと変わったことが明かされています。

『かぐや姫の物語』御門/帝はあごが特徴の憎めないキャラクター

ジブリ かぐや姫の物語
© 2013 畑事務所・Studio Ghibli・NDHDMTK

『かぐや姫の物語』に登場する御門/帝を紹介しました!本作の中でもビジュアルのインパクトが大きい御門ですが、なんと高畑監督直々のアドバイスによってあの"あご"は誕生していたのです。 そんな制作秘話や、『竹取物語』で描かれたその後を知った上で見返すと、御門に対してまた違った印象を受けるかもしれません。ぜひこの機会に『かぐや姫の物語』を再視聴してみてはいかがでしょうか。