2022年1月6日更新

『千と千尋の神隠し』神様一覧を紹介!大根やヒヨコみたいな神様の名前は?

千と千尋の神隠し

宮崎駿監督の代表作『千と千尋の神隠し』。本作の舞台は、魔女の湯婆婆が経営する湯屋「油屋(あぶらや)」です。 主人公の荻野千尋は不思議な町に迷い込み、八百万の神様が疲れを癒やしに来る油屋で働きながら、元の世界へ戻る方法を探します。宮崎監督が生み出した神様たちは、神道や各地の民俗、妖怪をモチーフにしたものから大根の神様まで!?実に個性豊かでした。 この記事では「千と千尋」に登場する神様たちを一覧にして紹介します。一部キャラクターに関するネタバレがあるのでご注意ください。

『千と千尋の神隠し』に登場する神様って?

油屋を訪れるのはどんな神様?

湯婆婆は油屋について「八百万の神様が疲れを癒しにくるお湯屋さん」だと語っています。八百万の神様とは、日本に存在するありとあらゆる神様のこと。一神教であるキリスト教などとは異なり、日本では万物に神様が宿る=神様はたくさんいるとされています。油屋はそんな神様たちが集ってくる場所なのです。

映画に登場するあの神様たちの名前は?

では実際に油屋を訪れたのはどんな神様でしょうか。例えば大根のような姿をしたおしら様、ひよこのような姿をしたオオトリ様などがいます。またゴミにまみれた姿で現れたオクサレ様は、実は名のある川の神様でした。

おしら様

頭に赤いお椀のようなものを被り、真っ白くどっしりとした体と、しっかりと締めたふんどしが印象的な神様で、大根の神様ともいわれています。湯婆婆のもとへ向かう千尋とエレベーターに同乗したのがこの神様でした。 この大根の神様、名前はおしら様と呼ばれています。劇中では大根の神様として登場していますが、実際は養蚕、農業、馬の守り神として有名です。 その本来の姿は、東北地方で信仰されている家の神様で東北地方以外にも、茨城県や静岡県などに、おしら様を祀った神社が存在しています。 子供好きな神様とも言われるおしら様。劇中でも千尋が湯婆婆に会いに行くための付き添いをしていましたね。

おしら様誕生エピソードが悲しい?

そんなおしら様の誕生エピソードは意外にも物悲しい雰囲気の漂うものでした。その昔、農家の娘があろうことか一頭の雄馬に恋に落ちます。怒った父親は馬を殺害しますが、馬と共に娘の魂も昇天。かくして、娘の魂はおしら様となったのです。 ちなみに、本来のおしら様は桑の木で作られた人形で、男性や女性、馬などが彫られています。戦国時代にはすでに人々の信仰の対象となっていたというおしら様。地方によって名前や外見は異なりますが、人の生活に寄り添った優しい神様であることに変わりはないようです。

オオトリ様

『千と千尋の神隠し』

大きなひよこのような神様で、「千と千尋」ファンにも人気の神様です。姿はひよこそのものですが、どこを見ているかわからない目がとてもシュール。 誕生の経緯は悲しいもので、卵のまま死んでしまったひよこや、ニワトリに成長することができなかったひよこが神様になった存在でした。大所帯で湯船に入り、頭に小さなタオルを乗せたり、小さな桶を使ったりするのが可愛いです。お風呂でお馴染みのおもちゃのようにも見えますね。

オクサレ様

ゴミと穢(けが)れできたヘドロで全身を覆い、すまじい悪臭を放つ神様です。油屋の従業員が“腐れ神”と呼んで辟易する中、千尋だけは懸命に世話をします。 オクサレ様の背中にある謎のトゲを抜いた途端、身体からゴミや穢れが吹き出し、翁の面に似た顔と龍のごとく長い体を持つ元の姿に変身!最後は「よきかな」と満足した様子で油屋を後にし、千尋には謎のニガダンゴを、油屋には大量の砂金を授けました。

オクサレ様の正体は河の神様で、自転車やドラム缶、家具……といった人間が川に不法投棄し続けたゴミをその身に溜め込んでいたのでした。もともとは宮崎監督が、川掃除で自転車を引っ張り上げた時の体験から着想を得て誕生したキャラクターだそうです。

春日様(かすがさま)

千と千尋の神隠し

人型の神様・春日様は数十柱で集まって移動し、船に乗って湯屋へとやってきます。宮司狩衣(ぐうじかりぎぬ)のような衣装で体を隠し、宙を浮きながら歩くのが特徴です。 モデルとなったのは、神道の神であり春日神社の祭神でもある春日神(かすがのかみ)。顔を覆う御札のようなものは、舞楽で使用される面の一種「蔵面(ぞうめん)」と言います。春日様の面は、春日大社の神事で舞を奉納する際に登場する面と同じなんだとか! 意外とお茶目なようで、扇子を振りながらおしら様と一緒に千尋を讃えるシーンもあります。

ニギハヤミコハクヌシ

千と千尋の神隠し

魔女である湯婆婆の弟子で、いつも千尋を励ましてくれた少年ハクの正体。白い龍の姿をしており、本当の名を漢字で書くと「饒速水小白主」です。

ハクは湯婆婆に名を奪われ、本当の姿も帰り方も忘れたはずなのに、千尋のことは知っていました。それは彼が「こはく川」という川の主で、幼い頃の千尋と会ったことがあるから。かつてこはく川の近くに住んでいた千尋は川に落ちてしまい、龍神であったハクが助けたのです。

牛鬼(うしおに)

大きな頭と鹿の角のような枝角、ずんぐりむっくりとした体型が特徴の鬼。モデルは西日本の民俗、伝承に登場する牛鬼だと言われています。 諸説ありますが、牛鬼は牛の頭と鬼の胴体を持ち、残忍かつどう猛な妖怪です。森や林、水辺などに現れ、歩いている人間を食い殺すとのこと。本作ではデフォルメされ、丸っこく愛嬌のあるキャラクターになっており、禍々しい妖怪のイメージはありません。 油屋の浴衣を着て歩いている姿も可愛らしく、ファンの間で密かに人気の高い神様です。

一言主(ひとことぬし)

作中のセリフにのみ登場する神様。『古事記』や『日本書紀』などで語られる宣託の神で、奈良県御所市の葛城一言主神社を総本社として祭られています。 一言の願いならば何でも叶えてくれる神と言われ、“いちごんさん”とも呼ばれます。

「千と千尋」の大根の神様たちが日常の中に隠れてる……かも?

『千と千尋の神隠し』油屋

今回は『千と千尋の神隠し』に登場する個性的な神様たちを紹介しました。 油屋に来る神様はお疲れで、人間のせいで本当の姿を失ったオクサレ様のように、文明や文化の発展の犠牲となった神様もいます。ただ可愛い、面白いというだけでなく、現代社会の問題を風刺するメッセージが込められたキャラクターと言えるかもしれません。 日常の中に「千と千尋」の神様たちがいるかもしれない……と思うと夢がありますし、すべての物に神様が宿ると考えて、大切にしていきたいですね。