アニメ映画『言の葉の庭』についてもっと知りたい!【ネタバレあり】

2017年7月6日更新

『君の名は。』が大ヒット中の新海誠監督。同監督作品は何と言っても現実世界と見間違うほどリアルな映像の美しさが特徴的です。『言の葉の庭』は「雨」をキーワードにした切ないストーリー。繊細な描写がとても美しく、心に響きます。

新海誠監督の『言の葉の庭』の魅力を紹介!

『君の名は。』で一躍脚光を浴びた新海誠監督。彼の5作目のアニメ映画『言の葉の庭』は2013年に公開されました。本作は全編46分とアニメ映画にしては短い作品です。

また、映画公開後に漫画化や小説が刊行されるなど『君の名は。』に劣らない広がりを見せてました。『君の名は。』同様、和歌がキーワードになっている『言の葉の庭』の魅力を掘り下げていきます。

『言の葉の庭』のあらすじ

『言の葉の庭』

秋月孝雄(あきづき たかお)は、母親と兄の3人で暮らす高校生一年生の男の子。靴職人になることを密かに夢見る秋月孝雄は、雨が降る日は決まって学校の一時限目をサボります。スケッチブックを持って一人、都心の庭園に向かい、庭園内の休憩スペースで靴のデザインを考えていたのです。

ある日の雨の朝、いつも通り庭園に向かった秋月孝雄は、朝からビールを飲んでいる美しい女性に出会います。ふと、どこかで会った気がした秋月孝雄はその旨を訪ねますが、女性は否定し

「雷神(なるかみ)の 少し響みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ」
引用:万葉集

という短歌を残し去ってしまいます。その日から雨の日の朝、2人だけの交流がはじまります。

『言の葉の庭』の登場キャラクターとその声優

雪野 百香里(ゆきの ゆかり)

『言の葉の庭』雪野百香里

秋月孝雄が雨の日に出会った女性。朝からビールを飲み、おつまみがチョコレートだったことで秋月孝雄に不思議な顔をされます。ミステリアスな雰囲気で全てが謎めいた存在でしたが、実は秋月孝雄の通う高校の古文を教える教師だったのです。

生徒からのいやがらせによって味覚障害を起こし、味を認識することができるビールとチョコレートのみを口にしていました。秋月孝雄と交流を繰り返すうちに、味覚を取り戻していきます。

声優は花澤 香菜(はなざわ かな)

花澤香菜

出典: atmatome.jp

当時、新海誠監督は雪野 百香里の声優を決める際に25歳以上で応募を募っていました。しかし、実際にキャスティングされたのは当時23歳だった花澤香菜。

新海誠監督は後にキャスティングの理由を「一番よく分からなかった」からであると話しています。結果として、少女のように澄んだ声でありながら落ち着いた雰囲気が雪野百香里にぴったり馴染んでいます。

秋月 孝雄(あきづき たかお)

『言の葉の庭』秋月孝雄

本作の主人公。靴職人になることが彼の夢で、雨の日の朝は授業をサボり、靴のデザインを庭園で考えています。母子家庭で、また母親が恋に生きる奔放な性格の為、秋月孝雄自身は大人びた考えを持っています。

声優は入野 自由(いりの みゆ)

入野自由

出典: twitter.com

入野自由(いりの みゆ)は、新海誠監督作品『星を追う子ども』に引き続き今作でも主人公の声優を務めています。さわやかな声質から、歌手としても活動しており人気も高いよう。

主な出演作に『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』宿海仁太役、『電波女と青春男』丹羽真役、『ハイキュー!!』菅原孝支役、『おそ松さん』松野トド松役などがあります。

『言の葉の庭』もう一人の主人公

『言の葉の庭』

「雨」は『言の葉の庭』のもう一人の主人公だと新海誠監督も話しています。秋月孝雄と雪野百香里が出会ったのも雨の日でした。

「雨が降る日は庭園で会える」と、秋月孝雄と雪野百香里は雨が降ることを願うようになります。優しく降ったり、激しく降ったりする雨は、その時々の秋月孝雄と雪野百香里2人の気持ちを表しているようです。

雨が降らない日は秋月孝雄は学校をサボることはありません。秋月孝雄に会おうと、腫れた日に雪野百香里が庭園を訪ねても知らない人が訪れるばかり。雨が降らない日の庭園は、まるで知らない世界のようだと話しています。

秋月孝雄、雪野百香里、雨。この3つの要素がそろってこそ、『言の葉の庭』のストーリーが流れていくと言っても過言ではありません。

主題歌は秦基博の歌う『Rain』

秦基博

出典: omp-s.com

主題歌は『Rain』で、秦基博が担当しています。秦基博オリジナル曲ではなく、1988年に大江千里がリリースしたアルバム収録曲のカバー。雨の街角を舞台として作られた曲で、『言の葉の庭』のキーワード「雨」が関係する曲です。

「行かないで 行かないで そう言うよ」行かないでと言えなかった2人のもどかしさを、この曲が代弁してくれているようですよね。

『言の葉の庭』の聖地は新宿御苑

『言の葉の庭』

『言の葉の庭』の舞台となったのは、新宿御苑であると作品の最後で紹介されています。

入り口は3つあり、新宿門・大木戸門・千駄ヶ谷門のいづれかより入ることができます。秋月孝雄は新宿門から、雪野百香里は千駄ヶ谷門からそれぞれ入園しました。そして、新宿御苑の中には休憩できる東屋がいくつかあります。

秋月孝雄と雪野百香里が交流を重ねた東屋は旧御涼亭付近にあるものがモデルであると言われています。本作のヒットにより、雨の日には多くのファンが足を運ぶ場所となりました。雪野百香里はここでビールを飲んでいましたが、実際は禁止されているのでお気をつけ下さいね。

『言の葉の庭』の小説を紹介

『言の葉の庭』

アニメ映画では描ききれなかった人物やドラマを盛り込み、より深く『言の葉の庭』を知ることが出来る小説。映画は秋月孝雄、雪野百香里の2人にスポットをあてた作品でしたが、小説では秋月孝雄の母親や兄の目線からも丁寧に描かれており、様々な視点から物語を見ることができるのも小説ならではの楽しみ方です。

言葉だけで描かれる作品だからこそ、登場人物のセリフや心象描写も細やかで心に残る美しい表現がとても魅力的。

『言の葉の庭』の心に残る名ゼリフ【ネタバレ注意】

「雷神の 少し響みて(とよみて) さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ」

『言の葉の庭』

初めて出会った日に「どこかで会ったことがあるか?」と尋ねた秋月孝雄に対し否定をした後「あるかも。」と答えた雪野百香里が続けて言った言葉。

去り際に短歌を残していくなんて、ミステリアスな雪野百香里らしいですね。

「雷神(なるかみ)の 少し響みて 降らずとも 我は留らむ 妹し留めば」

『言の葉の庭』

出典: gigazine.net

物語冒頭の雪野百香里が詠んだ短歌の返歌であるこの歌。当初は雪野百香里自身か古典の教師であるというヒントを秋月孝雄に与える為に詠んだ歌が「雷神の 少し響みてさし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ」でした。そして関係が深まった後に、返歌を秋月孝雄が詠みます。

雨が降らなくてもあなたを待っている。まさしく、その時の2人の関係を表しています。

「苦労してないから若いんだよ 」

『言の葉の庭』

恋に生きる母親に対し、秋月孝雄が「あの人は若いから」と言いました。その言葉に兄である秋月翔太はこう答えます。母であることよりも女性として生きるため若く、幼い印象を受けます。その母親の子どもである秋月翔太、孝雄兄弟は実年齢よりも落ち着いて見えますね。

「今ヤバイ女だって思ったでしょ? いいの、どうせ人間なんて みんなちょっとずつどっかおかしいんだから」

『言の葉の庭』

出典: gigazine.net

「つまみ無しでお酒を飲むのは良くない」と言った秋月孝雄に対して、雪野百香里は大量のチョコレートをカバンから取り出しおつまみだと言いました。その時の秋月孝雄の引いた顔をみて雪野百香里が言った言葉です。

とても意味ありげに落ち込んだ様子で雪野百香里は答えたのがとても印象的なシーンです。

「だから何よりも俺は あの人がたくさん歩きたくなるような靴を作ると そう決めた」

『言の葉の庭』

「歩き方を忘れた」という雪野百香里。彼女が歩きたいと思えるような靴を自分が作りたい。そう決意した秋月孝雄の心の中のモノローグです。自分にできることは何なのかと考えた結果、自分の靴で雪野百香里の支えになるという、秋月孝雄の強い気持ちが読み取れます。

「大事のことは絶対に言わないで 自分は関係ないって顔して ずっと一人で 生きていくんだ」

『言の葉の庭』

出典: gigazine.net

感情をあまり表に出さない秋月孝雄が、気持ちを抑えられずにこう叫びます。痛いほどに純粋な気持ちがぶつかる場面はとても印象的でした。

『言の葉の庭』を観た人の感想・評価【ネタバレ注意】

『言の葉の庭』

雨の日に出かけたくなる人が続出

____RiN____ 夢を語るとしらける大人と、大人ぶった子供ばかりの教室に嫌気がさして、雨の日の午前中はここでさぼることにしていた。雨の日の新宿御苑。人気のない静かなそこで、僕は彼女と出会った。 缶ビールにチョコレート、変な女だと思った。変な女だけど、彼女は大人で、いつも僕の話を真剣に聞いてくれた。 毎日、雨を祈った。雨が降れば、さぼりの口実にできるから。彼女に会えるから。 初めて鑑賞したときはこんなに掴まれなかったのに、やっぱりこういうものって、タイミングですね。美しい映像にも、あまり感情を露わにしないたった二人の登場人物にも、シンプルで率直なラブストーリーにも、魅入ってしまった。秦基博さんの歌う「rain」も素直に染み入るようで、50分という短さも、余韻も含めてちょうどいい。 新開誠は苦手、という思い込みを打ち砕いてくれる、素敵な作品でした。雨の日に御苑、行ってみようかな。

心まで潤う、そんな映画

EllyMimy みずみずしくて 透き通ってて

心が乾いてる時に 何度も観たいな、と思える作品でした。

映像の美しさに酔いしれる

Rainy49 2015.7.1

7月になってしまったけど梅雨の時期にぴったりのお話でした。 DVDで見たけどすごく映像が綺麗。雨の描写が印象的。46分という短さに詰め込まれていました。それでも2時間くらい観た気持ち。

ただの学生と大人の恋ではなかったけど、お互い近いところにいたのに気付かなかったのは「違う世界を見ていた」からで、雨のお陰で出会えたんだよなあ。 恋人になったとかそういう描写がなくて、これはそれで良かったし、気持ちは結ばれたからとてもスッキリ終わったなと。 これを書いてる今朝は二人が喜びそうな雨でした。

『言の葉の庭』の2人のその後は?

『言の葉の庭』

秋月孝雄は靴職人になるという夢を叶える為、毎日アルバイトに明け暮れます。一方、実家のある四国に帰った雪野百香里も教師としてもう一度教壇に立っています。

「もっと遠くまで歩けるようになったら」それぞれの足でしっかりと歩けるようになったら、きっと2人はもう一度再会を果たすのではないでしょうか。