『天気の子』須賀圭介はなぜ涙した?妻は本当に「晴れ女」なのか原作とともに徹底解説
2019年に公開され、興行収入約142億円を叩き出した大ヒット作『天気の子』。本作の魅力的な登場人物たちのなかでも、主人公の帆高と深く関わる大人が須賀圭介です。 そんな人気キャラクター、須賀圭介のプロフィールから渋かっこいい名ゼリフまで、余すところなく紹介します! ※この記事は映画『天気の子』のネタバレを含みます。
『天気の子』須賀圭介のプロフィール
#小栗旬 さんが声を務める須賀圭介の新カット✨
— 映画『天気の子』 (@tenkinoko_movie) July 2, 2019
小さな編集プロダクションを営むライター????
手に抱えているのは猫の「アメ」☂️#天気の子 pic.twitter.com/FJUz3CKGe4
フルネーム | 須賀圭介 |
---|---|
年齢 | 42歳 |
家族 | 妻(死別)、娘(別居) |
仕事 | 編集プロダクション経営、ライター |
声優 | 小栗旬 |
須賀圭介は、東京に向かうフェリーのなかで主人公・森嶋帆高に出会います。その後、自らが経営する編集プロダクションで帆高を雇うことに。 見た目のとおり自由人で適当な性格ですが、人当たりが良く面倒見の良い一面も。帆高が警察に追われるようになり、1度は彼と関わりを持つことをやめようとしますが、最後には協力してくれました。
須賀が涙したわけは?
帆高を追う刑事の安井は、須賀が経営する編集プロダクションを訪ね、彼が一緒にいた女の子(陽菜)を探しているらしく、「彼は人生を棒に振っちゃってるわけで、そこまでして会いたい子がいるってのは、私なんかには、なんだか羨ましい気もしますな」と言いました。 それを聞いた須賀は、自分でも気づかずに涙を流します。彼は陽菜のためになりふり構わない帆高と、亡くなった妻・明日香を今でも想う自分と重ねたのでしょう。
須賀圭介役の声優は?
須賀の声優を務めたのは、俳優の小栗旬です。彼は本作のほかにも『キャプテンハーロック -SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK-』(2013年)や『バケモノの子』(2015年)などで声優を務めています。
須賀の過去や妻との馴れ初めは?
『天気の子』の小説版では須賀の過去が詳細に語られていました。須賀が一体どんな人生を歩んできて、帆高のどこに共感し泣いたのか一緒に見ていきましょう。
家出した先で明日香と出会う
代々地方議員を務める家系の次男として生まれた須賀は、親に期待されて育ちました。しかし順調に出世コースを進む兄とは裏腹に、そのプレッシャーに耐えられなくなった須賀は、あるとき家出を決行。東京にやってきた彼は、間宮明日香という女性に出会います。 ふたりは次第に惹かれ合い、結婚を意識するまでになりました。
結婚・起業
しかしふたりの結婚に両家は大反対。須賀は親と激しく対立します。両家の親の反対を押し切って、2人は駆け落ち同然に夫婦として結ばれたのでした。 彼らはK&Aプランニング(「けいすけ」と「あすか」)という編集プロダクションを立ち上げ、それからまもなく1人娘の萌花も生まれます。2人はスナックをリノベーションした物件で事務所を構えました。
死・娘をとられる
ところがしあわせな日々は長くはつづきませんでした。明日香が“不慮の事故”で帰らぬ人となってしまったのです。 須賀はショックから自堕落な生活をするようになってしまいました。それを見かねた明日香の両親は、当時3歳の萌花を須賀から引き離します。 そして今も須賀は、生活態度や収入、社会的評価を整えながら娘を取り戻そうとしていますが、それらは一向に改善されないまま、間宮家との話し合いは平行線をたどっています。
今も想い続けている
須賀は今でも、明日香と3歳の娘に「全部を放り投げてまで会いたい」、「世の中全部からお前は間違えていると嗤(わら)われたとしても、会いたい」と小説で語っています。そして帆高が陽菜のためにそう行動できることを羨みながら、2人のことを想い涙していました。 彼にとって明日香は生涯を通してたった1人のかけがえのない存在だったのです。娘のことを取り戻したいと思いつつも、まだ明日香を失った苦しみから立ち直れていないのでした。
妻・明日香は「天気の巫女」だった?
須賀の妻・明日香がなぜ亡くなったのか、詳しい原因は明かされていません。劇中では須賀の姪の夏美が「事故死だった」と語っていますが「明日香は“天気の巫女”だっだのではないか」と考える人もいます。 その理由は娘の病気。須賀と明日香の娘・萌花は重い喘息で雨の日には体調を崩しやすく、外出することができなかったと小説に書かれています。そんな娘のために明日香は晴れを願い続け、ついに天に召されてしまったのではないか、という考察があるのです。 ただしもし明日香が「晴れ女」だったとしても、須賀がそれを知っている可能性は低そう。彼は“100%の晴れ女”を信じていませんでしたし、「人柱1人で狂った天気がもとに戻るなら、俺は歓迎だけどね」とも口にしています。 本当にただの事故死だったか、天気の巫女として消えたとしても須賀が認知してないか、もしくは須賀の記憶から明日香が「天気の巫女」だったという記憶が消されたか、どれなのかは製作者にしかわかりません。
夏美との関係やその後は?
編集プロダクションでアシスタントをしている大学生の夏美は、須賀の姪(兄の娘)です。須賀は実家の人間とは基本的にそりがあいませんが、夏美だけは気が合うようで仕事を手伝わせています。 須賀が落ち込んでいた時も、夏美はずっとそばにいて自堕落になった須賀を支えていました。仕事面でも「俺なんかより熱心に仕事に取り組んでいる」と須賀は夏美を賞賛しています。
須賀と夏美のその後は?
映画の最後、帆高が高校を卒業して東京に戻ってくるとK&Aプランニングはきれいなオフィスに移転していました。 そしてオフィスには、夏美が被っていたヘルメットが。就職活動に苦戦していた夏美はその後、K&Aプランニングに就職したようです。 須賀が明日香を失った痛みから立ち直れたのかどうかはわかりませんが、夏美はその後も須賀を公私ともに支え続けたパートナーだと考えて良さそうです。
須賀圭介の渋かっこいい!名セリフ9選【小説込み】
①「ま、もし東京でなんか困ったことがあったらさ<中略>いつでも連絡してよ。気楽にさ」
東京行きのフェリーで帆高と知り合った須賀は、別れ際に彼に名刺を渡しこう語りました。 その前のシーンで散々ダメっぷりを見せていただけに、本当に帆高が連絡してくるとは思っていなかったようですが、1人で東京に出てきた帆高にとっては心強い一言だったのではないでしょうか。
②「週末もし晴れたら、会わせてもらえますか?」
亡き妻の母と、娘に会わせてほしいと交渉する場面でのセリフ。娘の萌花はひどい喘息持ちなので、気圧が安定しない雨の日は、外に出ることができません。 雨が降りつづく東京で、「もし晴れたら」という可能性の低い条件を出してまで娘に会いたいという彼の気持ちが痛いほど伝わってくるセリフです。
③「社会の娯楽を舐めんじゃねえよ」
帆高をアシスタントに雇った須賀は、彼に突然オカルト系の記事を書かせ、校正をしながらこの言葉を放ちます。 須賀自身はオカルトをほとんど信じていないようですが、それでもプライドを持って仕事をしていることがわかる格好良いセリフでした。
④「他人の人生より自分の人生の方が大事だろ、普通」
須賀は主要キャラクターのなかで最も現実的な、“大人”な考えの持ち主。しかしこう冷たく言い放ちながらも最後には帆高を助けてしまう、そんな須賀が一番かっこいい!と思い返してしまうシーンでした。
⑤「俺などよりもよほど熱心に取材仕事に向き合っている」
K&Aプランニングでアルバイトをしている夏美について、小説版で須賀はこのように評価しています。普段は口の悪い須賀ですが、心の底から夏美のことを信頼していることが伝わってくるあたたかいセリフでした。
⑥「もう大人になれよ、少年」
帆高を探す警察が会社にやって来たため、実家に帰るよう促す須賀。*自分が“大人になった”からこそ深みが出る良いセリフでした。
⑦「人間歳取るとさあ」「大事なものの順番を、入れ替えられなくなるんだよな」
帆高に別れを告げたあと、事務所で夏美にそのことを報告した須賀。今の須賀にとっていちばん大事なものは、娘の萌花です。娘の引き渡しを申請中の彼は、帆高を匿えば自分の立場が悪くなり、今まで以上に娘に会えなってしまいます。 でも帆高を引き出す自分に罪悪感や葛藤を感じていることも伝わってくる、苦しいセリフでした。
⑧「世の中全部からお前は間違えていると嗤(わら)われたとしても、会いたい」
小説版で須賀は、亡き妻・明日香についてこのように語っています。彼のこの気持ちは、警察に追われ、世界の形を変えたとしても陽菜と一緒にいたいと願った帆高に通じるものがありますね。
⑨「人生を何度やり直せたとしても俺はきっと帆高に出会った瞬間から、同じ選択を何度でも繰り返してしまうだろう」
こちらも小説版からの名言。帆高と出会った日を須賀が回想するシーンのものです。帆高を助け、逃亡に協力したことを須賀は後悔していないということが伝わってきますね。良い人!!
『天気の子』須賀圭介は一途に妻を思い続ける切ない大人
一見いいかげんな大人に見える須賀は、実は現実的で常識的な考え方の持ち主です。また亡き妻を一途に想いつづける一面も。 不器用に理性と感情の間で揺れ動く須賀がいたからこそ、『天気の子』は大人も楽しめる深い映画になりました。 葛藤を感じながらも、家出少年である帆高にかつての自分を重ね手を差し伸べた須賀は、『天気の子』のなかでも最も魅力的なキャラクターではないでしょうか。