2019年7月25日更新

新海誠新作『天気の子』最速感想レビュー&ネタバレ解説・考察【前作の評価を超えるか?】

『天気の子』
(C)2019「天気の子」製作委員会

2016年『君の名は。』で日本を席巻した、新海誠の最新作『天気の子』が2019年7月19日に公開されました!声優には新人俳優が抜擢されています。前作に続き映画史に残る大ヒットとなるのでしょうか?この記事では最速感想レビューとともに、映画の評価、ネタバレ解説&考察を紹介します。

目次

新海誠の新作『天気の子』が2019年7月に公開!気になる映画の評価・感想は?

RADWIMPSと再タッグ!予告映像が劇中歌とともに解禁

新海誠の新作『天気の子』が、2019年7月19日に公開されました。本作では、家出をした少年と天候を変えることのできる不思議な力を持った少女が出会い、運命に翻弄されていきながら成長する様子が描かれます。 前作のヒットに貢献したRADWIMPSと、再タッグを組む本作。監督を務めた新海誠は、前作『君の名は。』のヒットに触れつつ、今作『天気の子』の結末は賛否両論になるかもと映画の評価を語っており、公開前から多くの人の注目を集めていました。 この記事では、新海誠監督の新作映画『天気の子』の最速感想レビュー、評価とともに、映画を深掘りして解説&考察していきます!記事後半にはストーリーのネタバレが含まれますので、未鑑賞の方はご注意ください。

映画のあらすじ 新海誠監督が得意なファンタジーSFストーリー

これまで6作の長編アニメ映画を監督してきた新海誠。幼少期からSFや宇宙といった題材の作品に親しんできた監督は、自身の作品にSF要素を取り込むことが多いです。さらに新海作品の魅力は、SFやファンタジーといった題材を私たちの日常に溶け込ませ、共感しやすいストーリーを展開させること。 新作『天気の子』も例外ではなく、「天気」という日常的なテーマと、「天気を変えられる少女」という非日常的な設定が混在した作品なのです。新海監督はこの化学反応を利用して、新たな感動に出会わせてくれるのでしょうか。

映画『天気の子』のあらすじ【ネタバレなし】

田舎に住む高校1年生の森嶋帆高は、着の身着のままで家出をし東京にやってきます。知り合いもおらずツテもない帆高は、怪しげな編集プロダクションでライターをしながら細々と生活することに。 ある雨が降り続いた日、帆高は天野陽菜という少女と出会います。アルバイトをしながら弟と2人で暮らしているという陽菜は、祈るだけで天気を変えられる不思議な力を持っていました。

『天気の子』メインキャラの新人声優キャストは高評価!

主人公・森嶋帆高(もりしまほだか)/醍醐虎汰朗(だいごこたろう)

『天気の子』
(C)2019「天気の子」製作委員会

主人公・森嶋帆高の声優を担当するのは、エーライツに所属する18歳の醍醐虎汰朗(だいごこたろう)。醍醐の真っ直ぐな声から、東京で行く宛のない帆高の不安、どことなく感じている息苦しさ、真っ直ぐすぎる故に不器用なところ。そんな感情や人柄が伝わってくるようで、声優初挑戦とは思えないほど違和感のない熱演を披露していました。 醍醐虎汰朗は、2017年の舞台『弱虫ペダル』で主人公・小野田坂道を演じた経験はあるものの、芸歴は浅く声優は初挑戦という今注目の新人俳優です。

ヒロイン・天野陽菜(あまのひな)/森七菜(もりなな)

『天気の子』
(C)2019「天気の子」製作委員会

映画のキーパーソンとなる、天気を変える不思議な力を持ったヒロイン・天野陽菜を演じたのは17歳の森七菜(もりなな)です。 帆高にお姉さんぶってみたり、笑ったり、ふと陰のある雰囲気を漂わせたりと、ころころと表情を変える陽菜の感情を素直に表現しています。ストーリーが進むに連れて、森と陽菜が一体化していくようで、「あ、陽菜だ」と感じる瞬間がありました。 森七菜は2016年、大分でスカウトされたことをきっかけに女優デビュー。デビュー半年で数々のオーディションを勝ち抜いたことが紹介されるなど、新進気鋭な若手女優として注目を集めていました。 すでに2019年に公開される岩井俊二監督作『Last Letter』で、松たか子や福山雅治、広瀬すずらと共演することが決まっています。『天気の子』の声優抜擢は、彼女の2019年の活躍をさらに後押しすることとなりそうです。

脇を固める登場人物・声優キャスト一覧

須賀圭介/小栗旬

家出少年の帆高を住み込みで雇うライターの須賀圭介は小栗旬が演じています。小さな編集プロダクションを営んでおり、現在の仕事はオカルト雑誌のライティングです。 圭介は何となく胡散臭いけれど、きちんと大切なモノを持っていて、誰よりも自分が望むことと現実とのギャップに葛藤している大人。気だるげな雰囲気、娘に見せる父親の顔、帆高の兄貴分の顔、圭介の”人間臭さ”を見事に表現していました。 演じた小栗旬は、映画・ドラマ問わず数々の主演作をヒットさせてきた人気俳優で、2020年のハリウッド映画『ゴジラVSコング(仮)』でハリウッドにも進出しています。

夏美/本田翼

主人公・帆高を雇うライターの須賀の事務所で働いている女子大生・夏美の声を、モデル・女優の本田翼が担当。 夏美は、本作の”男の夢”を詰め込んだキャラクターでした。色気というよりは、子どもと大人の間にいるようなイメージで、「帆高、走れーっ!」と背中を押す姉貴分を好演。一部では、キャスティングに不安や批判の声が上がっていましたが、言われるほどの違和感はありませんでした。 演じた本田翼はモデルから女優業にも邁進中で、2019年前半は映画『空母いぶき』やドラマ『ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート』に出演しました。本田は、自然な声を演じられるようすっぴん&裸足で収録に挑んだそうです。

天野凪/吉柳咲良

ヒロイン・陽菜の小学生の弟・天野凪の声を担当したのは、新人女優の吉柳咲良。 個人的にはMVPをあげたいキャラクター・声優でした。声優初挑戦ながら、きちんと小学生の”男の子の”声だったのが驚きです。姉の苦労を理解し、常に大人びた言動を見せていた少年の感情が爆発する、「姉ちゃんを返せよ!」と泣く演技にはかなりグッときます。 演じた吉柳咲良は2016年の「ホリプロタレントスカウトキャラバン」で最年少グランプリを受賞し、翌年ミュージカル「ピーターパン」で主役に抜擢された有望株です。

安井/平泉成

都内で起きた事件を追う刑事・安井役を務めるのは、長いキャリアを誇る名俳優・平泉成。登場時間は短いですが、独特のハスキーな声で存在感を発揮しています。平泉にあて書きするような形で生まれたキャラだけに、ぴったりとハマっていました。 演じる平泉成は1964年から映画・舞台・ドラマと幅広く活躍している俳優。2019年はNHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』に、大隈重信役で出演しています。

高井/梶裕貴

安井刑事の相棒で若い刑事・高井役を務めるのは声優の梶裕貴。ある少年についての聞き込みをしており、やはり帆高に深く関わりを持つ役柄のようです。予想外に低いトーンで、最初は梶裕貴と気付かない人が多いかもしれません。 頑固で気難しく、けれど帆高に出し抜かれて激しい動揺も見せる”青臭さ”。芯には刑事としての正義感もある、そんな刑事像を作り上げていました。 演じた梶裕貴は『進撃の巨人』のエレンや『七つの大罪』のメリオダスなど数々の人気作で主役を歴任する人気と実力を兼ね備えた声優です。

立花冨美/倍賞千恵子

下町に住む老婦人・冨美の声は、名女優の倍賞千恵子が担当。帆高に「お彼岸」について語り、“空の上は別の世界”であることを伝えます。

名字でピンときた人もいるかもしれませんが、立花冨美は『君の名は。』に登場した立花瀧の祖母です。『天気の子』では、夫の初盆の日に晴れてほしいからと、陽菜に「晴れの日バイト」を頼んでいました。

『ハウルの動く城』など声優経験豊富なだけあって、説得力のある演技を披露。帆高と陽菜、凪に優しく接するおばあちゃんを、穏やかな語り口で演じていました。 平泉成と同世代で60年代から活躍している倍賞千恵子は松竹歌劇団出身の女優で、「男はつらいよ」シリーズの主人公・寅次郎の妹・さくら役で有名です。

主題歌・音楽はRADWIMPSが担当!あの感動をもう1度

曲名は「愛にできることはまだあるかい」

映画のヒットと同時に、主題歌を含めた楽曲にも注目が集まった『君の名は。』。前作ではRADWIMPSが全面的に協力していましたが、新作『天気の子』でも再タッグを組んでいます。前回と同じように、書き下ろしの主題歌・劇中音楽を担当しています。 2017年夏ごろ、新海誠監督がRADWIMPSに『天気の子』の脚本をメールで送ったことが再タッグのきっかけになったそう。その脚本を読んだボーカルの野田洋次郎が、映画のために新曲「愛にできることはまだあるかい」を書き下ろしました。 新曲を聞いた新海監督は「これは作るべき映画になる」と強く感じ、「こういう体験をしたかったから、洋二郎さんに脚本を送ったんだ」と、再タッグを依頼した自分の行動に納得したと語っています。 曲自体が素晴らしいのはもちろん、シーンとのマッチング、曲の入りまですべてが完璧で、やはり新海誠作品×RADWIMPSは奇跡のタッグでした。台詞や映像で伝えきれなかったものが歌詞に詰まっていて、まるで問いかけるような歌声に、切なさと救いのようなものを感じました。 女性ボーカル・三浦透子を起用した「グランドエスケープ」、ラストを彩った「大丈夫」も本当に素晴らしく、サントラが欲しくなること間違いなしです!

『君の名は。』地上波で『天気の子』冒頭映像が解禁!コラボCMにも注目

『天気の子』公開を約半月後に控えた6月30日、2016年の新海誠監督作『君の名は。』がテレビ放送され、番組最後に『天気の子』冒頭シーンが初解禁されました。 1分半ほどの映像には、主人公・帆高のナレーションとともに、空に浮かぶヒロイン・陽菜の姿が。空が海の中のように見え、水の魚が泳いでいる幻想的なシーンです。このシーンはすでに「『天気の子』スペシャル予報」としてYouTubeにもアップされています。 また、同日にはTwitterとAbemaTVの共同企画として「君の名は。ノチ天気の子実況特番」が生放送され、『君の名は。』の神木隆之介と上白石萌音、『天気の子』の醍醐虎汰郎と森七菜が出演。新海作品に関してのトークや生アフレコも行われ、Twitterでも「君の名は」がトレンド入りしました。

なにより『君の名は。』放送時に沸いたのは、『天気の子』と提供7社とのコラボCM。サントリーやソフトバンク、日清やロッテなど各社とも凝った内容で見応えのあるものになっています。 それだけでなく、提供のクレジットが『君の名は。』の名セリフ「入れ替わってる〜!?」とともに本当にロゴが入れ替わるという凝りよう。CMの時間までもフル活用した大々的な宣伝方法で、『天気の子』への興味を最大限に引き立てました。

新人声優を支える、心強い実力派スタッフが再集結

原作・脚本・監督を務める新海誠を始め、スタッフには新人声優を支える実力派スタッフが集結しました。 キャラクターデザインには『君の名は。』の他にアニメ映画『心が叫びたがってるんだ。』の田中将賀が、総作画監督はスタジオジブリで活躍してきた田村篤が担当します。 さらには『言の葉の庭』『君の名は。』で新海監督とタッグを組んだ滝口比呂志が、美術監督として参戦。『君の名は。』ヒットの立役者ともいわれる名プロデューサー・川村元気も製作に携わります。 映画『天気の子』では、「雨」が3人目の登場人物と言われた『言の葉の庭』からさらに進化し、雨の量や振り方、水たまりを弾き、窓を伝う様、どれも詩的で美しく描写されています。 新海作品では「空模様」が重要なモチーフだけに、雲の一つひとつ、雲間から射し込む陽の光まで、細かなシーンも見逃せません!ジブリに縁のある田村の影響か、陽菜の手料理など料理&食事のシーンがとても美味しそうで、個人的にお気に入りです。

新作『天気の子』に込めた新海誠監督の想いとは?

『天気の子』
(C)2019「天気の子」製作委員会

3年ぶりの新作となる『天気の子』。映画の着想は、『君の名は。』プロモーション時の経験から得たと言います。 2016年8月に公開された前作は、夏を通してプロモーションが行われました。新海監督は、大きな積乱雲が目に入ったと言い「積乱雲の上にある平原でゆっくりできたらいいな」と感じたそう。これがきっかけで、「次回作は空の話にしようと思った」と語っています。 さらに、道行く人々が『君の名は。』について話している姿を見て、次の映画は「誰もが自分のことと考えられるようなテーマにしたい」という思いがあったことも明かしました。 私たちが毎日気にする「天気」はこの条件にぴったりだったため、ここから構想が膨らんでいったそうです。

映画『天気の子』の気になる評価&感想 新海監督「賛否両論になる」

前作『君の名は。』を超える傑作となるか?

『天気の子』
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新海誠監督は『天気の子』の評価について、「結末は賛否両論になるかも」と語っており、確かに否定はできないと感じました。実際に観た人たちの感想でも、映像美の進化などを評価する一方、結末に「そうきたか!」という驚きが伺えます。 と言うもの、世界を救う「セカイ系」作品にはある種決まったラストというのが存在していて、本作はその王道から外れているのです。少年の純粋な願いと、大人と現実との対立を描くために、主人公が何度も反社会的な行動をとるのも評価が分かれると思います。 『君の名は。』は、過去作の閉塞的で陰鬱な空気を抑えて、「大衆ウケ」に振り切った点が大ヒットに繋がったとも言われる作品。 そのポジティブな要素に、従来の”新海節”を上手く融合させた新境地という意味では前作を超えた、と言って良いでしょう。しかし『君の名は。』はあまりに偉大ですし、賛否両論を呼ぶ要素が多いことから、興行・成績面は厳しいかもしれません。

天気の巫女とは 陽菜が天気の巫女になった理由解説【ネタバレ注意】

天気を治療したと伝えられる「天気の巫女」

劇中で陽菜は晴れ女と呼ばれますが、何百年も前には陽菜のように空に祈りを捧げ、晴れにする女性を「天気の巫女」と呼んでいました。神社の神主によると、各地にいた巫女は人の力の及ばぬ“天”と“人”を結ぶ細い糸であり、その役割は天気を治療すること。

人びとの“願い”を受け止め、空に届けると言えば聞こえは良いものの、要は「人柱」。巫女たちの命と引き換えに、この世界の空は晴れになるのです。 推測にすぎませんが、あの水の魚は過去の巫女たちではないか、とも思いました。

陽菜はなぜ「天気の巫女」の力を手にし、晴れ女になったのか

『天気の子』
(C)2019「天気の子」製作委員会

一年前、陽菜は雲間から一筋の陽が射す廃ビルの屋上で、「雨が止みますように。お母さんが目覚めて、また3人で青空の下を歩けますように」と祈り、鳥居をくぐったそうです。 それから彼女は空と繋がり、強く願うだけで天候を操れるようになりました。

鳥居にはお彼岸の「精霊馬」が供えられていましたが、陽菜が雲の上で観た世界はまさに「彼岸」で、力を使う度に死に近づいていたのです。小さな祠に、占い師が言ってた龍神・稲荷系の自然霊がいたのか、また別の力だったのかは言及されませんでした。

ラストシーンネタバレ!映画が伝えたかったことを考察

『天気の子』のラストシーンをネタバレ!

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(C)2019「天気の子」製作委員会

ホテルで雨宿りして、帆高と陽菜が抱き合って泣いた夜。陽菜が人柱となり、空(彼岸)へと昇っていった後、空は嘘のように晴れ渡りました。

警察の追手を振り切り、圭介、夏美、凪の力を借りてあの廃ビルへたどり着いた帆高は、神さまに強く願いながら鳥居をくぐったのです。彼岸で龍のような雲の帯に翻弄されながら、ようやく陽菜を見つけて、「天気なんて、狂ったままでいいんだ!」と叫ぶ帆高。 世界はまた、滝のような豪雨に見舞われ、3年もの間振り続けました。そして、帆高は保護観察処分となり、陽菜とは一度も会わないまま……。地元の小さな高校を卒業後、土地のほとんどが海に沈んだ東京で、制服姿で祈りを捧げる彼女と再会します。 帆高が泣いていると心配する陽菜の両手を握り、「僕たちは大丈夫だ」と伝えるのでした。

帆高の究極の選択、ラストから読み取れるメッセージとは

『天気の子』
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圭介の「世界は元から狂っていた」、冨美の「元に戻っただけ」と言う言葉を、帆高は「世界は最初から狂っていたわけじゃない。僕たちが世界を変えたんだ」と強く否定します。 人の願い、選択は確かに世界の形を変えるけれど、その結果狂ってしまったからと言って、劇的な改善ができるわけではない。だからもう開き直って受け入れて、世界を選んだ責任だけは忘れずに、2人で未来を突き進むのではないでしょうか。 帆高にとって陽菜は、願い、思い、絆とか夢とか、大切なものを与えてくれた人で、息苦さから救ってくれた唯一の存在だったから。空が晴れて太陽が戻っても、陽菜が存在しないならば帆高の世界に太陽は存在しないのです。 その一方で、陽菜が小さな肩に世界の命運を背負っていたのだと、帆高だけが知っています。 混沌とする現実の世界も同じで、きっと大切なのは”自分が何を望むか”。もがき苦しむことになったとしても、誰かが知っていてくれるだけで大丈夫、人はそれだけで困難に立ち向かえると、背中を押してくれているのかもしれません。

タイトル『天気の子』に込められた意味

『天気の子』
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タイトル『天気の子』とは、願いで”天候を操る”能力を持つ陽菜のこと。先述した天気の巫女の響きにも通じますね。 映画パンフレットによると「天気はたんなる自然現象ではなく、思いや運命や世界そのものの象徴」であり、誰もに身近な「天気」のように、みんなの物語だという意味があるとのこと。だからこそ、「子ども」ではなく「子」になっているのです。 そこから転じて、帆高にとっての陽菜、陽菜にとっての帆高のように、狂った世界でも生きていくための支え、希望、光(太陽)のような存在。誰かの世界の理解者、そばで”「大丈夫」になりたい”と思ってくれている人を、天気の子と呼ぶのではないでしょうか。

映画『天気の子』がもっと面白くなるトリビア3選

前作『君の名は。』からあのキャラクターたちが登場!

何と前作『君の名は。』から、主人公の立花瀧と宮水三葉、勅使河原克彦、名取早耶香、宮水四葉がゲストキャラクターとして登場!瀧は入社面接で「東京だっていつ消えるか……」と言っていましたが、まさにそうなっていると思うと感慨深いですね。 瀧は「晴れ女ビジネス」で立花家を訪れたシーンの冨江の孫で、三葉は帆高が陽菜の誕生日プレゼントを買いに訪れた、アクセサリーショップの店員です。勅使河原と早耶香はフリーマーケットのシーンほか、四葉は陽菜が人柱となり、一気に晴れていくシーンで窓の外を眺める女子中学生(あるいは高校生)として、成長した姿で描かれました。 ちなみに、神木隆之介と上白石萌音をはじめ、キャストたちは全員続投しています。

新海誠監督作品ゆかりの女性声優ネタも!?

凪の元カノ、今カノとして「アヤネ」「カナ」と言う名前の少女が登場しますが、それぞれフルネームは「佐倉アヤネ」「花澤カナ」です。エンドクレジットには、「佐倉綾音」「花澤香菜」と表記されており、声優自身の名前が使用されていました。 実はこの2人、過去の新海作品でヒロインを演じた女性声優なのです! 佐倉はZ会のCMフィルム『クロスロード』の倉橋海帆役、花澤香菜は『言の葉の庭』、そして『君の名は。』にも登場した雪野百香里役の声優。『君の名は。』とのクロスオーバーだけでも驚きなのに、まさかの演出が憎いですね。

新海誠監督作『雲のむこう、約束の場所』のセルフオマージュ?

『天気の子』の「一人の少女の存在が世界の命運を左右する」というストーリーに、新海監督の『雲の向こう、約束の場所』を重ねた人もいるのでは? 「雲の向こう」で”世界か、少女か”の選択を迫られた少年は、どちらも救う方法を編み出し平穏を取り戻すも、最後に想い合う2人の別れが示唆されました。しかし本作の帆高は、ただ陽菜と一緒にいたいという思いだけで行動を起こし、彼女がいなくなるなら意味がないと、狂った世界を救わないことを選択したのでした。 どちらの選択が良い、悪いというのではなく、新海監督が2019年の現代に向けて描いたセルフオマージュだったのかもしれません。運命や宿命に翻弄され、喪失を抱えて生きていく悲劇に対し、自らの意志でそれを翻して生きていくのが『天気の子』。 世界とか、最大多数の最大幸福よりも、自分自身の幸せをもっと追い求めていいんじゃないか、という新海監督のメッセージかもしれません。

映画『天気の子』、新海誠の新作は2019年7月19日公開

『天気の子』ポスター
(C)2019「天気の子」製作委員会

毎年のように、「異常気象」「観測史上初」と騒がれ出している中、観測史上最も遅い梅雨入り、梅雨明けになりつつある2019年。 映画『天気の子』は雨が降り続く今の時期にぴったりな、心を憂うつにする雨が少し好きになれる、誰かの救いになってくれる作品だと感じました。「彼岸」も夏ならではのモチーフですし、新海作品の映像美は大スクリーンで観てこそ魅力を発揮するので、ぜひ劇場でご覧ください! 新海節の絶望を描きつつ、自分らしく生きることの肯定と希望を与えてくれる『天気の子』。新たな新海ワールドにきっと出会えるはずです!