『君の名は。』は評価されすぎ?感想・賛否と海外の反応をまとめて解説
監督・脚本を務めた新海誠の名を世界に知らしめた映画『君の名は。』(2016年)。新海監督にとって初の全国区での上映作品となり、国内外の賞レースを席巻しました。 しかし一方で、あまりの興行収入に高い期待値で映画を観に行った人からは、「評価されすぎ」との声も。 今回はそんな本作に寄せられた感想や評価を、国内、海外それぞれ紹介していきます!
『君の名は。』の興行収入は?
『君の名は。』の日本国内の興行収入は250.3億円。歴代興行収入ランキングでは『アナと雪の女王』に次ぐ第5位(2022年10月現在)です。一方、全世界での累計動員数は4000万人に達し、世界興行収入は日本円で414.4億円を記録しました。
『君の名は。』あらすじはこちら
『君の名は。』感想・評価は?
甘酸っぱい思春期の恋をこんなに壮大に描けるんだなぁ。三葉ちゃんは本当に瀧くんに会いたかったんだって分かるあのシーンはグッときます。
「入れ替わり」は珍しいテーマじゃないけど、宗教とかSFとか色々な要素を足しつつ綺麗にまとまっているのがすごい!ハッピーエンドでも「え、どうなるの!?」みたいな終わり方で、いつまでも誰かと語り合いたい作品になりました。
アニメ映画は本職の声優を起用して欲しい派ですが、『君の名は。』に限らず新海監督のキャスティングには納得してしまう……。元々経験豊富な神木隆之介はもちろん、上白石萌音も入れ替わった時の演技が本当に上手い。
ここ!ってタイミングでRADWIMPSの曲が流れるのもズルいし、伏線回収が始まる後半はグイグイ引き込まれて、一瞬で終わってしまったような感覚でした。
『君の名は。』は2016年に公開され、数々の賞を独占し社会現象を巻き起こしました。緻密に作られたストーリー構成や美しい映像、RADWIMPSが手がけた楽曲が高く評価され、第40回日本アカデミー賞で2冠を達成しています。 ちなみにアニメーション作品が最優秀脚本賞を受賞するのは史上初の快挙でした。 声優陣にも注目が集まり、神木と上白石が第10回声優アワードの主演男優賞&主演女優賞を獲得。海外の賞レースでも強い存在感を示しています。 しかし一方で、多くの人が高い期待を胸に劇場に足を運んだ分、批判があったのも事実。以下では日本国内や海外での賛否を細かく紹介していきます。
日本での感想・評価【賛否が分かれた?】
前作『言の葉の庭』から3年、2016年8月26日に日本公開された『君の名は。』。新海作品では初めて大手の東宝が配給を担当し、全国約300館での公開となりました。 日本国内においてどのような評価を受けたのか、賛否それぞれの感想を紹介していきます。
【肯定派】なぜこんなにも評価された?
高評価ポイント
- 繊細で美しい映像
- 綺麗な伏線回収とラストの盛り上がり
- 絶妙な関係性へのときめき
- 誰もが共感しやすい題材(?)
①さすが新海誠!の映像クオリティ
新海作品は繊細で美しい描写が魅力ということもあり、今回も「美しい作品だった」という声が多く寄せられています。特に新海誠が得意とされている水の描写や、2人がついに出会う黄昏時の空は、息を飲むような美しさでした。
②緻密に計算されつくしたストーリー展開
「入れ替わり」だけだとありがちなテーマですが、そこにタイムスリップ要素も加わったことで、より予想のつかない展開となっていました。そのため物語は少々複雑にはなったものの、すべての伏線・謎がつながった瞬間はたまらなく感動的で切なかったですね。 新海誠監督は綿密な感情グラフを設計し、最も人々の感動を引き出せるよう映画を作り込んだのだとか。その甲斐あってか、日本アカデミー賞で最優秀脚本賞を受賞しています。
③三葉と瀧の感情は恋?最後まで匂わせる絶妙な関係性
ありきたりな男女の恋を描くのではなく、1つの宿命を背負った“片割れ”同士のような関係で描かれた主人公2人。他の先輩に憧れていながら、それでも三葉も気に掛かってしまう瀧の曖昧な状態がリアルでした。 2人が完全に幸せなシーンは黄昏時の一瞬しかなく、最後までその後を仄めかすだけの中途半端な展開であったことが、かえって多くの人の記憶に残る結果になったのではないでしょうか。
④想定以上に幅広い年齢層に支持された
主人公の2人が10代の少年少女であること。入れ替わりにタイムスリップ、青春、恋愛、といったテーマを含む作品ですので共感を呼べそうなのは主に10代、20代といったイメージがあります。NHKのインタビューによれば新海も10代、20代に観て欲しくて作ったと語っています。 しかし、実際に蓋を開けてみると公開1週間後では3割ほどだった30代が公開14週目には半分ほどを占めていました。50代、60代の視聴者も少なくなく「実際に自分が体験した出会いと別れを思い出した」という意見も。 幅広い年齢の心に響いた理由としては青春の懐かしい思い出、すれ違ってしまった大事な人を思い起こさせるようなストーリーだったことがあげられそうです。 60年代の方に関しては、お孫さんと観に行ってストーリーの爽やかさに最近のアニメの面白さを知った、というご意見も。10代から広がったパターンもあったようです。因みに、このヒットは作者の新海も予想外だったとのこと。本人も何がそんなにウケたのか不思議に思っているのだとか。
【否定派】評価されすぎ?感情移入できないとの声も
低評価ポイント
- ストーリーがわかりづらい
- 話が夢見がちで幼稚すぎる
- 登場人物に感情移入できない
公開前からCMなどで大々的に宣伝をしていたので、大きな期待を持って観に行ったという人もいるのではないでしょうか。しかし、実際観に行ったものの「つまらない」、「感動はしなかった」という意見も寄せられています。
①ストーリーが消化不良
入れ替わりと3年のずれという2つの要素が重なり合ったことで、最後までいまいちストーリーを理解しきれなかったという人も一定数いる模様。 また、時間がずれていることは理解できたけれど、なぜ2人は黄昏時に出会うことができたのか、なぜ瀧くんは三葉が死ぬ前(3年間よりも前)に入れ替わることができたのか、急に変則的になる展開にモヤッとしてしまった人も多いようです。
②ロマンチックすぎて感情移入はできない
ロマンチックで壮大な世界観が作り込まれすぎて、心情描写がおろそかになっており、いまいち感情移入できなかったという評価もありました。また新海監督の想定以上に幅広い年齢層が観に来たことで、10代の綺麗すぎる恋愛には共感できなかったという感想も。
③登場人物は好みが分かれる?
主人公の立花瀧のキャラクターが分からず共感できないという意見も。なんだかいつも煮え切らない彼の行動原理は何なのか、三葉が気になり始めた理由は何なのかしっくりこない、と首を傾げたユーザーもいたようです。 新海誠監督はロマンチックな作品が多いので、そのあたりを突き詰めたいタイプの人とは少し相性が悪いのかもしれませんね。
海外での感想・評価【世界各地で超高評価!】
アメリカでは95%以上の支持率
アメリカの大手批判サイトRotten Tomatoesによると、一般視聴者からの支持率は95%を記録しているとのこと。アメリカではかなり評価が高いようですね。日本のアニメはクオリティの高さで人気を誇っていますが、この作品についても様々な意見がある模様。 実際に上がっている声としては「映画が美しい」といった意見から「入れ替わりのテーマをデリケートに扱い、夢のような領域に持って行った」、「古き良き日本と現代の日本が混ざり合っている」、「ストーリーが幻想的」などの意見が多く、幻想的な美しさや、ストーリーの良さなどが高く評価されたようです。 海外でも思わず泣いてしまった、という意見も多く感動的な作品として広く認知されています。
アジア各国では5冠達成
日本でも大ヒットとなった『君の名は。』ですが、世界でも話題を呼んでおり、中国、台湾、タイ、香港と日本を含む5か国でも1位を記録しています。 アジア各国でも日本のアニメーション作品は人気が高いのですが、それより前に公開されていたジブリ作品や『ドラえもん』などを抜いて堂々の1位を獲得。凄まじいブレイクぶりですね。 世界125か国で配給され再上映も続いており、まだまだ『君の名は。』人気は止まりそうにありません。 アジア以外では、前述のアメリカ以外でも評価が高く、イギリスの雑誌『エンパイア』では新海について「宮崎駿と同等の評価を彼は得る」と大絶賛。他の雑誌でも「目がくらむほどの入れ替わりロマンス」と作品だけでなく、新海本人も高い評価を受けています。
『君の名は。』のストーリーは世界中から高く評価されている!
『君の名は。』は「入れ替わり」をテーマに、ボーイミーツガールを描いた作品。そこへ、日本古来の信仰や神道、SFなどの要素を取り入れ、独自の世界観を生み出しました。“日本らしさ”に惹かれる外国人も多く、世界中から高く評価され愛されています。