アニメ映画『星を追う子ども』について徹底解説まとめ!【ネタバレあり】

2017年7月6日更新

新海誠が監督を手がけた『星を追う子ども』全体的に日本のアニメーションとは、を盛り込んだ作りとなっています。SFの世界観でも新海節と映像の美しさは健在!「生と死」について、改めて考えさせられる作品となっています。

新海誠が監督を務める『星を追う子ども』

『秒速5センチメートル』などの人気作品を世に生み出した監督として名高い新海誠が手がけた『星を追う子ども』。

『秒速5センチメートル』のやわらかくどこか切ない作風とは180度違うアプローチで作られたのがこの『星を追う子ども』です。”日本のアニメーション作り”を軸として作ったと言われるこの作品で、新海誠の新たな魅力に触れてみませんか?

『星を追う子ども』のあらすじを紹介

星を追う子ども

出典: gigazine.net

幼い頃に父親を亡くした渡瀬明日菜は、看護師として働く母の代わりに家事を手伝いながら暮らしています。また山の秘密基地では、父の形見である鉱石を部品として用いた手作りのラジオを聴いていました。ラジオからは時折、誰かの歌声が聞こえます。

ある日、見た事もない怪物に襲われる渡瀬明日菜。そんなピンチを救ってくれたのが地下世界「アガルタ」からきた少年シュンでした。ほどなくして仲良くなった2人でしたが、後日シュンが遺体となって発見されます。シュンの死に実感が湧かない明日菜。

そんな時、新任教師の森崎竜司が授業で話す「死後の世界」に興味をもち、その日の帰りに死んだシュンにそっくりの少年シン・クァーナン・プラエセスに出会います。彼もまた、地下世界から来たのです。明日菜はシンのことを自分との記憶を失ったシュンなのかもしれないと思い、地下世界アガルタへ向かうのでした。

鉱石ラジオとは?

『星を追う子ども』

出典: gigazine.net

主人公、渡瀬明日菜の父親が残した青い鉱石。その鉱石を使用して作られたのが、鉱石ラジオでした。このラジオからは時折、誰かの歌声が聞こえます。その声の主こそが、シュンという少年なのでした。

『ほしのこえ』とは?

『ほしのこえ』

出典: jin115.com
「私たちは、たぶん、宇宙と地上にひきさかれる恋人の、最初の世代だ。」
引用:www2.odn.ne.jp

『ほしのこえ』は、2002年に公開された短編アニメーション映画。監督は新海誠が務めました。

地球外生命体に対抗する人類。主人公の長峰美加子(ながみね みかこ)は地球外生命体の調査隊のメンバーに選抜された為に、想いを寄せるもう1人の主人公、寺尾昇(てらお のぼる)と離ればなれになってしまいます。2人をつなぐのは超長距離メールだけ。

宇宙を旅し、長峰美加子が降り立った惑星「アガルタ」。まるで地球そっくりのこの惑星で、敵と対峙することとなります。8光年も離れているアガルタから地球へ、届く保証もないまま長峰美加子は寺尾昇へとメールを送るのでした。

映画『星を追う子ども』の登場人物・声優キャスト

渡瀬明日菜/cv.金元寿子

渡瀬明日菜『星を追う子ども』

とある田舎で母親と2人暮らしをしている少女。母は看護師として一人働いているため、あまり接する機会もありません。友達との距離感をうまく掴むことができずクラスでも浮いており、自分の居場所が分からないという思いを抱えています。

年齢の割に子どもっぽいところが余りみられない、どこか物悲しげな雰囲気があります。

金元寿子

出典: ascii.jp

主人公の少女、明日菜の声は声優・歌手である金元寿子が担当しました。2009年にアニメ『宙のまにまに』で声優デビューし、2014年には歌手デビューを果たしました。

アニメ『ヒカルの碁』を観た幼少期に声優に憧れを持ち、2016年現在では『侵略!?イカ娘』のイカ娘役や『美少女戦士セーラームーンCrystal III』の水野亜美など重要なキャラクターを演じるようになっています。

シュン/cv.入野自由

シュン『星を追う子ども』

出典: gigazine.net

渡瀬明日菜を怪物から救ってくれた少年。優しく微笑む顔がどこか儚さを含んでいるところが印象的です。明日菜が鉱石ラジオから時折聞いていた歌声の主こそが、このシュンなのでした。

重い病気を抱えるシュンは、死ぬ前に地上に出て星を見たいと思い、地下世界を抜け出してきます。渡瀬明日菜を助けた際に受けた深い傷が命取りとなり、地上に出て数日後、遺体となって発見されるのでした。

シン・クァーナン・プラエセス/cv.入野自由

シン・クァーナン・プラエセス『星を追う子ども』

出典: gigazine.net

明日菜が出会った、シュンとそっくりな少年。しかし彼はシュンではなく、顔がそっくりな弟、シン・クァーナン・プラエセスなのでした。

シュンが地上に行く際に持ち出した、地下世界への入り口の鍵であるクラヴィスという鉱石を回収するべく地上に来ていたのです。兄のシュンとは対照的にツンとした性格の少年。

入野自由

本作でシュンとシン・クァーナン・プラエセスの2役を演じたのは声優の入野自由。透き通った声に定評があります。

最近では声優としての活動が目立ちますが、実は声優デビューよりも前に俳優として活動していました。『千と千尋の神隠し』のハク役から『おそ松さん』の松野トド松役まで、幅広いキャラクターを演じています。

森崎竜司/cv.井上和彦

森崎竜司『星を追う子ども』

出典: gigazine.net

明日菜が通う学校に新しく来た国語の先生。最愛の妻リサを若くして亡くした森崎竜司は、妻を取り戻す為、死者を蘇らせる術をもつというアガルタを目指しています。

国語教師という顔も持ちながらアルカンジェリという秘密部隊にも所属し、アガルタの秘密と行く方法を探しています。

井上和彦

森崎竜司の声を務めたのはベテラン声優の井上和彦。1973年にアニメ『マジンガーZ』で声優デビューを果たしました。

クールなキャラクターの声を担当することが多く、デビュー以来第一線で活躍してきました。2009年には声優アワード助演男優賞を受賞したこともある実力派です。

鮮明に描かれた“小説版”の『星を追う子ども』

『星を追う子ども』

出典: gigazine.net

『星を追う子ども』の小説版は2012年にメディアファクトリーより出版されています。アニメーション映画と小説版には内容自体の差はあまりありません。

しかし、細やかな心理描写は活字ならでは。アニメーションでは描ききれなかったもの、例えば地上でシュンが会いたがっていた人が誰であったかなども描かれており、一度読んでからアニメーションを見直すと、また新しい見方が出来ます。

主題歌は熊木杏里の『Hello Goodbye & Hello』

渡瀬明日菜『星を追う子ども』

「Hello Goodbye & Hello 君に会って 今君にさよなら Hello Goodbye & Hello そして 君のいないこの世界に Hello」
引用:j-lyric.net

通常helloは会った時に、goodbyeは別れる時に使う言葉ですよね。一緒に使うことで、出会いと別れがセットであるかのような、儚い意味合いを持ちます。

美しいメロディだけではなく、物語序盤のシュンと渡瀬明日菜のあっという間の出会いと別れ、物語終盤で一瞬だけ会うことが出来た森崎竜司と亡き妻リサとの刹那的な逢瀬など、作品世界とリンクするような歌詞がとても印象的です。

透明感のある歌声が魅力の熊木杏里。『Hello Goodbye & Hello』はアルバム『and...life』収録曲です。

『星を追う子ども』を詳しく解説!

『星を追う子ども』

出典: gigazine.net

古事記のイザナミ、イザナギが元になっている『星を追う子ども』。作中でシン・クァーナン・プラエセスは「死」をあっさりと受け止める老人達に対し、命の儚さを知りすぎていると語ります。「死」を重く受け止めないからこそ「生」に対しての執着が薄れ、結果として退廃しているのではないか、と強く感じるのです。

シン・クァーナン・プラエセスをはじめとした地下世界の人達は、着物の前を右上にして重ねています。これは、死者の着物の着方です。財宝などに目がくらんだ地上人に襲撃されるうちに、生きることに対して積極的じゃなくなってしまったのかもしれません。ですが、エンディングでシンは着物の前を左上にして着ています。

当たり前のように死を悲しむ渡瀬明日菜を目の当たりにし、悲しみ、涙することは自然なことなのだと気づけたのかもしれませんね。

『星を追う子ども』の感想・評価【ネタバレ注意】

『星を追う子ども』

大人にも子どもにも観てほしい

k1ller_aka_tKo 『秒速5センチメートル』で知られる新海 誠監督の作品。 全体的にジブリの作風を踏襲(オマージュ?)して作られている印象を受けたが、風景や空間描写が非常に素晴らしいことに好感を持った。内容も観る側に答えを導くのではなく、見せることに徹底したのも良い。

どこか懐かしい気持ちになる

Swtnb_Issue 確かにジブリを感じて仕方ないが、そうなるとこういう作品はもうジブリの専売特許みたいになるのもまたどうかと思ってしまうのも事実で。 個人的には結構好きで、もっとこういうもののけやラピュタ、ナウシカと被ってしまうかもしれないがそういう感じの新しいアニメ映画を沢山観たい。

大人も子どもも楽しめる作品『星を追う子ども』

『星を追う子ども』

ファンタジーの要素をふんだんに盛り込んだ作品。ただファンタジーな内容なのではなく、「生」と「死」について改めて考えさせられる内容となっています。

自分の半身といってもいいほど大切な存在を失くしてしまった時に、人はどのように思うのでしょうか。大人からお子様まで是非観て欲しい作品です。