人類補完計画とはなんなのか、その目的とは?全てを徹底解説!

2017年11月15日更新

1995年に放送され、従来のロボットアニメと一線を画し、数多くの謎を生んだことにより一躍社会現象となった『新世紀エヴァンゲリオン』。劇中で一番の謎とされている「人類補完計画」の全貌を、解明されている範囲内で考察してみます。

人類補完計画を遂行しようとしている組織「ゼーレ」とは?

『エヴァンゲリオン』ゼーレ

ゼーレはドイツ語で魂を意味しており、太古から世界を裏で操っているとされる秘密結社です。国連を隠れ蓑としており、元々は宗教団体からスタートしています。

自身の宗教に基づく発掘調査の過程で、使徒の襲来などを予言した謎の書物「裏死海文書」を発見したことにより、人類の原点回帰への道を模索していきます。

南極での調査により、最初の使徒であるアダムを発見。世界を巻き込んだ大災害のセカンドインパクトを発生させ、ネルフの前身であるケビルン(ドイツ語で脳)を設立。国連内に人類補完委員会を設立させ、いずれ目覚めてくる使徒との戦いに備えるために国連を主導とした世界構築を行ったりしています。

これらの行動の全ては「裏死海文書」に基づいた人類補完計画を遂行するためのシナリオにすぎません。ゼーレの最高幹部は、テレビ版では12人、劇場版では7人在籍しており、モノリスと呼ばれる長方形状の物体を使用して会議しています。

「ゼーレ」が実行しようとしている人類補完計画のシナリオ

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air まごころを、君に

ゼーレが人類補完計画の目的としているのは、魂と肉体の解放による全人類の進化と意識の統合による原罪からの開放です。劇中ではリリスの子とされる人類は「知恵の実」しか持っておらず、知恵と善悪の区別によって生まれた時から原罪を負っており、更に肉体も脆弱で死の概念が存在します。

一方アダムから生まれたとされる使徒は「知恵の実」を持たず「生命の実」のによって不老不死の存在です。ゼーレは使徒の持つ「生命の実」に目をつけ、人類を神と等しい高次元の生命体に進化させようと研究しており、その研究の核となる場所が碇ゲンドウ率いる特務機関NERV(ネルフ)です。

ゼーレの人類補完計画の最終段階は、ロンギヌスの槍とリリス、アダムを使いエヴァを触媒にしてサードはインパクトを引き起こし、人類に「知恵の実」と「生命の実」両方を付与し、全人類を単一統合させた完全な生命体に進化することです。

人類補完計画が成功すると人間はどうなるの?

『新世紀エヴァンゲリオン』人類補完計画

人類補完計画が成功すると全人類は「知恵の実」と「生命の実」が付与された状態となり、単一の意識集合体として永遠に集約されます。簡単に説明すると、他人と自分の境界線がなくなり、個体としての自我を失います。単一意識体となるので、争い事やもめ事はもちろん喜怒哀楽といった感情もなくなります。

次に生身の肉体から解放され、不老不死で永遠の存在となります。当然肉体の概念がなくなうわけですから、人の形を保てなくなり、空気のような存在となります。

『新世紀エヴァンゲリオン』LCL

『エヴァンゲリオン』の劇中では空気の様な描写ではなく敢えて液体のような描写がされています。赤い液体状になると示唆されており、エヴァンゲリオンのコクピット内を満たす液体L.C.L(Link Connected Liquid)と同質のものになります。また、L.C.L状態となった人間を元の人の形に戻し以前と同じ記憶を元状態にすることもかなり困難ですが可能なようです。

テレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』第20話においては、エヴァとのシンクロ率が400%を超えてしまいL.C.Lに融解してしまった碇シンジが、奇跡的に人の姿を取り戻すことに成功していますね。

結論、「人類補完計画が成功すると人間は液体状になって他人との区別がつかなくなる」但し「場合によっては元に戻れるかもしれない」です。

L.C.Lとは何か

『エヴァンゲリオン』コクピット

L.C.Lとは『新世紀エヴァンゲリオン』劇中でエヴァンゲリオンのコクピットであるエントリープラグ内を満たしている」液体でLink Connected Liquidの略称です。液体にもかかわらず、パイロットの肺などに入っても普通に呼吸ができ、更に電子機器に全く影響を及ぼさないことから、水とは全く異なる性質を持っているとされています。

エヴァパイロットとの神経接続によってエヴァンゲリオンを駆動させ、更にパイロットの精神的防御本能をATフィールドに変換する中継的な役割も担っています。

L.C.LはNERV本部最深部にあるターミナルドグマ内のL.C.L.プラントで生成されていますが、L.C.L.の正体は第2使徒リリスの体液(血液)であり、その事実はNERV上層部の一部の人間しか知りません。

「NERV」(ネルフ)って何?

『エヴァンゲリオン』NERVシンボル

『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する対使徒殲滅を目的とする国連直属の非公認軍事組織で、正式名称は国際連合直属非公開組織特務機関NERVといいます。かなり軍事色の強い組織で、使徒殲滅に関する戦闘行動において国家を超えた超法規的な権限を有しており、アメリカ合衆国や中国、ヨーロッパ等に各支部が存在します。

NERV本部の処在地は神奈川県足柄下郡箱根町付近(芦ノ湖周辺)にある第3東京市の地下にある巨大な空間「ジオフロント」内にあり、基地最高司令官は碇ゲンドウ、副指令は冬月コウゾウです。

劇場版エヴァンゲリオン

また、「汎用人型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオン」所持、運用・管理もNERVが担っており、NERVの下位組織「マルドゥック機関」ではパイロットの選出や育成も行っています。

NERVは秘密結社「ゼーレ」からの命令によって、「人類補完計画」を秘密裏に実行するための秘密組織でもあり、使徒に関する様々な研究・情報が第7世代有機スーパーコンピュータ「MAGI」に蓄積管理されています。

「碇ゲンドウ」が遂行しようとしている人類補完計画とは?

『新世紀エヴァンゲリオン』碇ゲンドウ

ゼーレが進める人類補完計画とは方向性は大体あっていますが、碇ゲンドウが進める人類補完計画のシナリオはゲンドウ自身が主導権を握ることによって完全な生命体となった全人類の更に上位の存在になること、つまり碇ゲンドウ自身が神様になることです。

目的はエヴァンゲリオン初号機プロトタイプの稼働実験の際に失われた妻の碇ユイに再び会うことで、目的のためにはゼーレ上層部を欺き、自分の同僚や部下、息子のシンジまで犠牲にしてもかまわないという決心をしています。その方法もゲンドウ自身がアダムを取り込んだうえで、リリスのクローン体である綾波レイと融合しエヴァ初号機を使ってゲンドウの意思でサードインパクトを引き起こすという計画です。

碇ゲンドウが遂行しようとしている人類補完計画の目的は、ゲンドウ自身が全知全能な存在になることによって、失われた妻の碇ユイと再び一体になることを果たすのが最終目的です。

『エヴァンゲリオン』セフィロトの樹

エヴァンゲリオンの人類補完計画にもこの知恵の実と生命の実が関係しており、2つの禁断の実を改めて人類付与することによって、魂と肉体の枷から解放させ全人類をより高次元の存在へと進化させる計画であるとされています。

「人類補完計画」は専門的な用語が多く難解な部分も多い計画ですが、旧約聖書になぞらえて考えると人類のエデンの園帰還によって神の子としての復権を図ろうとしているのではないのでしょうか?

人類補完計画における重要なファクターは?

第1使徒アダムの魂を持つクローン体「渚カヲル」

『新世紀エヴァンゲリオン』渚カヲル

ミステリアスで作中で一番の美貌と人気を誇る渚カヲルは、精神崩壊したアスカの変わりにフィフスチルドレンとして活躍しました。しかしその正体は、「最後のシ者」第17使徒タブリスであり、その魂は第1使徒アダム本人であったのです。アダム計画の一環として、その魂をゼーレに救われ、人の男性の肉体に移された・・・それが渚カヲルだったのです。

人類補完計画による碇ゲンドウの裏切りを察知したゼーレがネルフに送り込んだのがこの第一使徒渚カヲルでした。ゼーレによる人類補完計画は、渚カヲルことアダムを使って計画的にサードインパクトを発生させることを目的としていましたが、碇ゲンドウの真の目的は違うものだったのです。

自らを神とし、碇ユイを再生させる事を最終目的としていたのです。

第2使徒リリスの魂を持つクローン体「綾波レイ」

『新世紀エヴァンゲリオン』綾波レイ

「生命の実」を持ち使徒を生み出したアダムと対をなす、「知恵の実」を持った存在。元々はアダムとリリスは1つの惑星にどちらか片方しか存在しないはずでしたが、地球に2つとも飛来してしまったことが物語の始まりです。

最初にアダムが飛来したために使徒を生み出しますが、リリスが飛来したことによりファーストインパクトが起こり、使徒は眠りにつきます。その後人間を含めた地球上の生命体を生み出します。

リリスはネルフ本部のある箱根に飛来したため、地下の最下層に磔にされた白い巨人のような姿をしています。始めはアダムであるとされていましたが、使徒である渚カヲルによりリリスと判明しています。

エヴァンゲリオン

そして零号機のパイロットの綾波レイが、リリスの魂を持っていることが明らかにされています。容姿は初号機パイロットの碇シンジの母親の碇ユイに似ています。その理由について、かつて初号機の起動実験中に取り込まれてしまった碇ユイを助けようとして得られた肉体にリリスの魂を加えることによって出来ているからなのだそう。

エヴァンゲリオン自体がアダムやリリスをコピーして作っているため、初号機から得られた肉体とアダムの遺伝子が合わさって綾波レイになっているようです。

そして、碇ゲンドウ側の人類補完計画の重要な役割を担うとして、リリスの魂を持った綾波レイにより人類を導いてもらうよう画策していきます。

エヴァンゲリオン「初号機」(エヴァ)

『新世紀エヴァンゲリオン』

(c)カラー/Project Eva. (c)カラー/EVA製作委員会

第2使徒リリスを元に複製品としてして作られた対使徒殲滅用「汎用人型決戦兵器人造人間」で、人類補完計画の要となるファクターです。

第1使徒「アダム」と第2使徒「リリス」の接触によって引き起こされるサードインパクトを人類側で意図的に引き起こし、第1使徒「アダム」から「生命の実」を奪い取ることが人類補完計画の目的の一つです。

人類側で意図的にサードインパクトを引き起こすための触媒として、魂のあるエヴァンゲリオン初号機が必要で、その為に選ばれたのが初号機との高いシンクロ率を誇るパイロット「碇シンジ」です。

エヴァンゲリオン初号機パイロット「碇シンジ」(リリン)

『新世紀エヴァンゲリオン』碇シンジ

『新世紀エヴァンゲリオン』には沢山のわかりづらい単語や、未だに謎の用語も数多くあります。

アダム・イヴ(エヴァ)・リリス・リリン。その中でも、リリンとは何か、という考察が一番が不明とされているのですが、リリンとはすなわち人類である私達の事を指します。

この設定は、『新世紀エヴァンゲリオン』でなく聖書によるもので、最初の人間がアダム、アダムの妻がリリスとなります。しかし、リリスはアダムの元を離れ、魔王ルシフェルと結ばれリリンを設けます。つまりリリンはリリスの子であり、それが人類というわけです。

これは聖書の内容ではなく『新世紀エヴァンゲリオン』オリジナルの設定です。

碇シンジをはじめ、アスカなどの人間キャラクターは皆リリンという事になりますが、碇シンジやアスカなどはエヴァのパイロットとなった事でリリンという定義を外れ、永久に歳をとらない存在になりました。

エヴァのパイロットが人間(ヒト)でいられなくなる事を「エヴァの呪縛」と呼び、その精神をエヴァに侵食されることによっておこる現象です。

ロンギヌスの槍

『新世紀エヴァンゲリオン』ロンギヌスの槍

劇中でリリスに刺さっていた赤い二又で持ち手が螺旋状になっていた槍。元々は南極に眠っていたアダムと共に発見されており、実験中に使徒が目覚めそうになったアダムに刺して卵まで還元させる力を持っていました。しかし、アダムが還元されていくときに発生した膨大なエネルギーを発生させセカンドインパクトが起きてしまいます。

その後改めてネルフ本部に回収され、リリスに刺すことになります。このロンギヌスの槍は、生命を生み出すアダムとリリスの活動を停止させる役割を担っており、肉体と魂が存在している状態で突き刺すことにより卵状態まで還元させることが可能。肉体のみである場合は、肉体の再生能力を停止させる能力を有しているようです。

そしてこの槍の力はアダムとリリスだけでなく、使徒やエヴァンゲリオンに対しても有効で、ATフィールドを無効化する力があります。TV版では15使徒のアラエルを倒すときに使用しており、月に突き刺して回収できなくしています。旧劇場版ではゼーレが何らかの方法で量産させ、弐号機を貫く凄惨的なシーンが印象的です。

TVアニメ版と新劇場版ではそもそも未来が違う

エヴァンゲリオン

TVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の最終回では、登場人物たちの「おめでとう」連呼で意味不明な終わり方をしてファンや視聴者を混乱させました。TVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の本当の最終話を描いた旧劇場版『EVANGELION:DEATH(TRUE)2』では、碇ゲンドウの人類補完計画は失敗し、ゼーレの人類補完計画が成功して、シンジとアスカ以外の全人類は原始の海(L.C.L)へと還りました。

一方、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』では、テレビアニメシリーズのシナリオとキャラクターデザインを一新し、更に新キャラクターを追加したリメイク作品となっています。劇場版映画として全4部作の構成で、すでに『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』、が公開済み。最新作の『シン・ヱヴァンゲリヲン劇場版:||』が制作中とのことです。

『エヴァンゲリオン新劇場版:Q』

新劇場版『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』開始時点で、TVアニメの最終話のその後にあたる14年後の話を描いた内容になっており、テレビ版では人類補完計画の成功によって全人類が原始の海んい還ったとされていることに対し、新劇場版では人類の一部は人類補完計画から免れ、反NERV組織ヴィレを組織しNERVに反抗をしています。

最新作『シン・ヱヴァンゲリヲン劇場版:||』にて新劇場版のエンディングを迎えることとなりますが、テレビアニメ版との違いは人類補完計画後の人類がどのような姿で描かれているかが決定的な違いとなっています。ファンの間では最新作への色々な伏線や謎への考察が始まっており、『シン・ヱヴァンゲリヲン劇場版:||』公開への期待が高まっています。

人類補完計画の元ネタは?

「旧約聖書」

人類補完計画の元ネタは「旧約聖書創世記」2章9節の「命の木」で、一番初めの人類アダムとエヴァがいたエデンの園の中央に生える2本の樹が元ネタとされています。エデンの園の2本の樹には食べ続ける事によって神と同じ永遠の命を得るとこができる果実「生命の実」と人類の創造主たる神と同じ知を得ることができるようになるという果実「知恵の実」が実っています。

しかし、人類が食べることを許されていたのは「生命の実」のみでした。ある日、邪悪な蛇にそそのかされたことによって禁断の知恵の実を食べてしまった人類はエデンの園を追放されてしまったと記されています。