『言の葉の庭』あらすじ・登場人物・声優キャストまとめ 新海誠が紡ぐ切ない恋物語
映画『君の名は。』のメガヒットで日本アニメ映画界を代表する監督の1人となった新海誠が製作した、映画『言の葉の庭』。 本作では靴職人を目指す少年タカオと、昼間からビールを飲んでいる謎の女性ユキノの不思議で美しい甘酸っぱい「恋」が描かれています。新海監督作品の特徴的な美しい背景美術やロマンティックなストーリーから、ファンの中でも屈指の人気作です。 本記事ではそんな本作のあらすじ、登場人物、声優、主題歌などをご紹介します。
映画『言の葉の庭』あらすじ
靴職人を目指している男子高校生のタカオ(秋月孝雄)は、雨が降ると授業をサボって緑生い茂る庭園で靴のことばかり考えていました。ある雨の日、タカオがいつものベンチに向かうと、スーツを着て昼間からビールを飲んでいる女性がいます。 雨が降った日だけ会える素性も知らないその女性ユキノ(雪野百香里)と会ううちに、タカオは次第に惹かれていきます。しかし梅雨があけ、雨が降らなくなると自然と2人は会わなくなり、そんな中タカオは学校でユキノに関するあることを知りますーー。
『言の葉の庭』登場人物と声優キャスト
秋月孝雄(タカオ)役/入野自由
「言の葉の庭」公開一周年記念:このカットです。手前から奥に大きくフォーカスが動くカットです。 #言の葉の庭 pic.twitter.com/12hYbg314h
— 新海誠 (@shinkaimakoto) May 31, 2014
本作の主人公タカオ(秋月孝雄)は靴職人を目指している男子高校生。少し複雑な家庭環境のためにとても大人びた性格をしており、料理を得意としています。 靴職人になるための専門学校に行くため、ラーメン屋でバイトをしながら貯金をしています。なお本編の中では彼の名前は一度も登場しません。
タカオの声を演じたのは、声優の入野自由。透き通った芯のある声をしており、純粋な少年や高校生を演じることが多く、本作でも落ち着いた雰囲気を持つタカオを熱演しています。ラストの彼の演技は必見です。
雪野百香里(ユキノ)役/花澤香菜
「言の葉の庭」公開一周年記念:このカットの美術とセルを重ねた状態。 #言の葉の庭 pic.twitter.com/yoPcD7lleN
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タカオが雨の日に会い、想いを寄せていく不思議な雰囲気を持った女性ユキノ(雪野百香里)。とある事件から味覚障害と歩行障害を患ってしまい、ずっとビールとチョコレートばかり食べていました。しかしタカオとの交流を通して次第に回復していきます。
ユキノを演じたのは大人気声優の花澤香菜。はじめはユキノの27歳という設定に近い25歳以上でキャスティングが検討されましたが、当時23歳であった花澤香菜が立候補し見事演じました。
タカオの母役/平野文
主人公タカオの母親であり、小説版で明らかになった本名は秋月怜美。大学教員をしており、翔太が彼女と同棲するというのを聞いて「私も彼氏と住む」と家を出るほど自由奔放な性格をしています。タカオが歳の割にとても大人びているのもこの母をみたら納得できてしまいますね。 タカオの母を演じたのは声優・平野文。代表作には『うる星やつら』のラム、テレビ番組『平成教育委員会』の三代目ナレーターなどが挙げられます。
タカオの兄役/前田剛
秋月翔太はタカオの兄で、タカオとタカオの母と一緒に暮らしていましたが、本編の中で翔太は彼女と同棲するために家を出ます。本編中では名前は登場せず、本名は秋月翔太。 タカオの兄を演じたのは声優の前田剛。声優だけでなく、ドラマ・映画・舞台と様々な活躍を見せているベテランです。
『言の葉の庭』のもう1人の主人公
「雨」は『言の葉の庭』のもう1人の主人公だと新海誠監督も話しています。タカオとユキノが出会ったのも雨の日でした。 「雨が降る日は庭園で会える」と、タカオとユキノは雨が降ることを願うようになります。優しく降ったり、激しく降ったりする雨は、その時々のタカオとユキノ2人の気持ちを表しているようです。 雨が降らない日はタカオは学校をサボることはありません。タカオに会おうと、腫れた日にユキノが庭園を訪ねても知らない人が訪れるばかり。雨が降らない日の庭園は、まるで知らない世界のようだと話しています。 秋月孝雄、雪野百香里、雨。この3つの要素がそろってこそ、『言の葉の庭』のストーリーが流れていくと言っても過言ではありません。
『言の葉の庭』監督は新海誠
言の葉の庭 “The Garden of Words” in LA:アニメエキスポ一日目を終えました。インタビュー、スクリーニング、サイン会等。写真はインタビュー時のバックの大パネル。英語ロゴも美しいです。 pic.twitter.com/Fx63rH2cAv
— 新海誠 (@shinkaimakoto) July 7, 2013
本作『言の葉の庭』の監督は2016年に公開された『君の名は。』で一世を風靡した新海誠です。 2002年の初劇場公開作品である『ほしのこえ』を皮切りに、『雲のむこう、約束の場所』、『秒速5センチメートル』などを発表し、その背景美術の美しさと切ない物語から多くの熱狂的なファンを持つ監督です。 本作は新海監督による初めての「恋」の物語だったそうです。また8割のシーンを占め、ストーリーにおいて重要な役割を果たす「雨」については、「3人目のキャラクター」と語っていました。
『言の葉の庭』主題歌は秦基博による「Rain」
本作の主題歌は歌手である大江千里の名曲「Rain」を、歌手の秦基博がカバーした曲。 タイトルの通り、「雨」をテーマにした曲で、歌詞がまさにストーリーにぴったりな内容になっています。本作のラストシーンには欠かせない主題歌です。
『言の葉の庭』心に残る名ゼリフ【ネタバレ注意】
「雷神の 少し響みて(とよみて) さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ」
初めて出会った日に「どこかで会ったことがあるか?」と尋ねた秋月孝雄に対し否定をした後「あるかも。」と答えた雪野百香里が続けて言った言葉。 去り際に短歌を残していくなんて、ミステリアスな雪野百香里らしいですね。
「雷神(なるかみ)の 少し響みて 降らずとも 我は留らむ 妹し留めば」
物語冒頭の雪野百香里が詠んだ短歌の返歌であるこの歌。当初は雪野百香里自身か古典の教師であるというヒントを秋月孝雄に与える為に詠んだ歌が「雷神の 少し響みてさし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ」でした。 そして関係が深まった後に、返歌を秋月孝雄が詠みます。 雨が降らなくてもあなたを待っている。まさしく、その時の2人の関係を表しています。
「苦労してないから若いんだよ 」
恋に生きる母親に対し、秋月孝雄が「あの人は若いから」と言いました。その言葉に兄である秋月翔太はこう答えます。母であることよりも女性として生きるため若く、幼い印象を受けます。 その母親の子どもである秋月翔太、孝雄兄弟は実年齢よりも落ち着いて見えますね。
「今ヤバイ女だって思ったでしょ? いいの、どうせ人間なんて みんなちょっとずつどっかおかしいんだから」
「つまみ無しでお酒を飲むのは良くない」と言った秋月孝雄に対して、雪野百香里は大量のチョコレートをカバンから取り出しおつまみだと言いました。 その時の秋月孝雄の引いた顔をみて雪野百香里が言った言葉です。 とても意味ありげに落ち込んだ様子で雪野百香里は答えたのがとても印象的なシーンです。
「だから何よりも俺は あの人がたくさん歩きたくなるような靴を作ると そう決めた」
「歩き方を忘れた」という雪野百香里。彼女が歩きたいと思えるような靴を自分が作りたい。そう決意した秋月孝雄の心の中のモノローグです。 自分にできることは何なのかと考えた結果、自分の靴で雪野百香里の支えになるという、秋月孝雄の強い気持ちが読み取れます。
「大事のことは絶対に言わないで 自分は関係ないって顔して ずっと1人で 生きていくんだ」
感情をあまり表に出さない秋月孝雄が、気持ちを抑えられずにこう叫びます。痛いほどに純粋な気持ちがぶつかる場面はとても印象的でした。
『言の葉の庭』登場人物2人のその後は?
秋月孝雄は靴職人になるという夢を叶える為、毎日アルバイトに明け暮れます。一方、実家のある四国に帰った雪野百香里も教師としてもう一度教壇に立っています。 「もっと遠くまで歩けるようになったら」それぞれの足でしっかりと歩けるようになったら、きっと2人はもう一度再会を果たすのではないでしょうか。