映画『秒速5センチメートル』主人公・貴樹はクズ?呪いや気持ち悪いと言われる理由を考察

2025年10月10日より実写映画が公開される『秒速5センチメートル』。 主人公・遠野貴樹は、初恋の相手・明里を想い続けるあまり、他の女性とは真剣に向き合えない一面があり、その行動には視聴者の間でも賛否が分かれています。 この記事では『秒速5センチメートル』の貴樹について、キャラ概要や原作小説・映画の振り返り、さらに「クズ」と言われている理由まで、まとめて紹介します。 ※この記事は、原作小説と映画『秒速5センチメートル』のネタバレを含みます。
『秒速5センチメートル』主人公・貴樹のプロフィール

本名 | 遠野貴樹 |
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声優 | 水橋研二 |
俳優 | 松村北斗 |
繊細で内向的な性格の主人公・遠野貴樹。学生時代は同年代より落ち着いており、大人びた雰囲気を持っていました。 端正な顔立ちで、どこか物憂げな表情が特徴的。初恋の相手・明里を忘れられず、大人になっても想い続けています。
貴樹はクズ?あらすじを追って解説
小説やアニメ映画『秒速5センチメートル』の貴樹には、「クズ」「気持ち悪い」といった厳しい評価が一部で存在します。 この記事では、なぜ彼がそのように評価されてしまうのか、その理由を幼少期からの恋愛エピソードを追いながら解説していきます。
【小学生】初恋の女の子・明里との出会いと別れ

東京の小学校に通う遠野貴樹と篠原明里は、転校生同士で病気がちという共通点から、互いをかけがえのない存在だと感じていました。 しかし小学校卒業後、明里は栃木へ転校することに。電話でその事実を知らされた貴樹は、どうすることもできない現実に苛立ち、「わかった、もういいよ」と突き放すような言葉を口にしてしまいます。優しい言葉をかけられない自分に、貴樹は深く後悔するのでした。 やがて貴樹自身も鹿児島への転校が決まり、文通で繋がっていた2人は最後に「3月4日19時」に、栃木の岩舟駅で会う約束を交わします。約束の日、記録的な大雪で電車は大幅に遅延。絶望的な時間だけが過ぎていく中で、貴樹は必死に明里の待つ岩舟駅を目指すのでした。
【中学生】明里と再会するも⋯⋯
大雪による数時間の遅延の末、貴樹はついに明里の待つ岩舟駅へたどり着きます。再会した2人は雪の降る桜の木の下でキスを交わし、短い時間、想いを分かち合いました。 しかし、互いに用意した手紙は渡せず、2人の心は静かにすれ違い始めていきます。帰り際の「貴樹くんはきっと大丈夫」という言葉には、彼のいない未来を覚悟する明里の優しさと決意が表れています。対照的に貴樹は、彼女を守りたいと願い、再会を信じ続けます。 この夜を境に、貴樹は明里の面影を追い求めて生きていくことになるのです。
【高校生】同級生・澄田花苗に無言の拒絶

鹿児島・種子島。高校生の住田花苗は、中学時代に一目惚れした転校生・貴樹を追いかけ、同じ高校に進学します。貴樹の優しさに触れるたびに恋心を募らせる花苗でしたが、彼の視線は遠くの"何か"を見つめていました。 ある日の帰り道、花苗はついに告白を決意。しかしその瞬間、背後に打ち上げられるロケットを見る貴樹の眼差しから、彼の心が今も遠くにいる「誰か(明里)」にあることを悟り、告白は叶いませんでした。 一方、花苗の好意に気づきながらも、決して正面から向き合おうとしない貴樹。思わせぶりな優しさを見せる態度は、ある種の不誠実さとも捉えられます。
【社会人①】彼女・水野理紗に振られる
小説では大学時代の恋人が2人、生協のアルバイトの女性と、他に恋人がいると知りながら関係を持った塾講師の女性が登場します。しかし、どちらも長く続くことはありませんでした。 そして、社会人では映画にも登場した取引先の社員・水野理沙と3年間付き合います。しかしこの恋は、「1000回メールしても、心は1センチくらいしか近づけなかった」と、彼女から言われて破局。 明里に囚われ続ける貴樹は、その気持ちを"がむしゃらに働くこと"で打ち消してきました。しかし、理沙との別れもあり、心身のバランスを崩して会社を退職してしまいます。
【社会人②】過去との決別

桜の季節、踏切で明里とすれ違った貴樹。明里の左手薬指には指輪があり、結婚していることが分かります。 踏切を渡りきった貴樹が振り向くと、ちょうど電車が通過しました。電車が過ぎた後には誰もいません。明里は貴樹の方へは振り向かなかったのです。 そして、貴樹もまた晴れやかな顔で再び前へと歩き出しました。
クズポイントをまとめて紹介!

- 小学生の時電話越しの明里に強い口調で「もう良いよ」と言う
- 花苗に対して雑な扱い
- 結婚適齢期の理紗と3年付き合いつつも分かれる(向き合わない)
- 初恋の思い出をずっと引きずり、果てには仕事を辞める
主人公・貴樹が「クズ」と評されてしまう理由は、大きく上記4つの行動に集約されます。①は子供ゆえの未熟さと考えれば、理解できる部分もあるかもしれません。 しかし、高校生・社会人になってからの②と③の行動は、自己中心的と見られても仕方がないでしょう。他の女性と関係を持ちながら、どこかで明里の面影を追ってしまうため、結局は真剣には向き合わない。その中途半端な態度が、相手を傷つけています。 しかし見方を変えれば、貴樹もまた「初恋の呪い」に苦しむ被害者だったのかもしれません。誰もが抱えうる心の弱さの表れであり、あまりにも人間らしい主人公とも言えるでしょう。
気持ち悪いのはなぜ?鬱作品と言われる理由を考察
貴樹の評価は「クズ」というだけでなく、「気持ち悪い」という意見も少なくありません。 その理由として、大人になっても初恋の相手を想い続ける姿や、膨大な手紙を書くといった行動が、ストーカー的だと解釈されているようです。アニメの主題歌『One more time, One more chance』の歌詞も、そうした印象を強める一因となっています。 また、本作は初恋の人と結ばれず、相手はすでに他の人と結婚しているという悲劇的な結末のため、一部ファンの間では「鬱アニメ」として語られることもあります。
貴樹は初恋の呪いに縛られる
新海誠監督は「貴樹は常に明里だけを考えていたわけではない」と語っています。その時々で真剣に人生と向き合い、他の誰かと恋愛もしました。 しかし、初恋の経験があまりに大きく、その思い出が「呪い」のように貴樹を縛り続けたのです。
実写映画『秒速5センチメートル』貴樹を演じるのは松村北斗!

2025年10月10日公開の実写映画『秒速5センチメートル』で、遠野貴樹を演じたのは、SixTONESのメンバー・松村北斗です。 俳優としては、映画『ホリック xxxHOLiC』(2023)で、日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。新海誠作品では『すずめの戸締まり』(2023)でメインキャストの1人・宗像草太役を演じています。
『秒速5センチメートル』貴樹の将来に想像が膨らむ作品

映画『秒速5センチメートル』の主人公・遠野貴樹を紹介しました! あなたは、貴樹が「初恋を忘れないピュアな主人公」もしくは「初恋に囚われたクズな主人公」どちらに感じられたでしょうか。 実写映画『秒速5センチメートル』の貴樹はどのように描かれるのか。ぜひアニメ版や映画版と比べてみてください。