2020年6月16日更新

悪役が似合う日本の俳優15人!タイプ別にその怪演を紹介

香川照之
©︎KEIZO MORI/UPI/Newscom/Zeta Image

ヤクザ映画から企業ドラマまで「悪役といえばこの人」という悪役で有名な俳優15人をピックアップ。バイオレンスなヤクザ役やネチネチ上司など、それぞれのタイプ別に分けて紹介します。

目次

悪役が似合う日本の俳優!敵に回したくない15人をタイプ別に紹介

たとえヒーローもののわかりやすい悪役でなくても、例えばヤクザ映画や企業ドラマでも黒幕的なラスボスが登場します。どんな作品にも小物から大物まで、アクセントとなる悪役の存在が必要不可欠ですね。 この記事では「悪役といえばこの人!」という悪役で有名な俳優15人を選出し、そのタイプ別に紹介します。それぞれの代表作で見せた怪演についても解説していきましょう。

チンピラ・バイオレンス系

Vシネマなどに欠かせないチンピラ役や、バイオレンス作品に登場するギラギラしたヤクザ役などで名を馳せた遠藤憲一や寺島進など俳優4人を紹介。小物感すら見事に演じ、どの作品でもインパクトを残しています。

山田孝之

山田孝之
©ciatr

初主演映画は『電車男』、初主演ドラマは『WATER BOYS』とキャリア初期は爽やかな好青年のイメージだった山田孝之。「勇者ヨシヒコ」シリーズなどコメディでも才能を発揮し、ドラマ『全裸監督』では伝説のAV監督・村西とおるを大胆に演じて新境地を開拓しました。 悪役としてのキャリアは『クローズZERO』の武闘派ヤンキー・芹沢多摩雄から。『信長協奏曲』では史実と違う腹黒い羽柴秀吉、『新宿スワン』ではチンピラ風スカウトマン・南秀吉を演じて話題に。『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』の敵役アンジェロもインパクト大です。 その中でも「闇金ウシジマくん」シリーズは代表作といっていいでしょう。彼が演じた主人公の丑嶋馨はアウトローな闇金社長で、客たちの人間模様と社会の闇を描く物語の狂言回し的存在。インテリヤンキーのような見た目もさることながら、山田孝之のダークな魅力が全開の作品です。

津田寛治

「ツダカン」の愛称で親しまれている津田寛治は、小劇場の劇団員としてそのキャリアを始めました。北野武に直接売り込んで『ソナチネ』で映画デビューした逸話は有名。映画『模倣犯』の栗橋浩美役の演技が認められ、ブルーリボン賞助演男優賞を受賞しています。 Vシネマでは『極道の掟』や『CONFLICT 最大の抗争』など闇社会に生きる男を演じています。特に悪役としての印象が強いのは、バラエティ番組「痛快TV スカッとジャパン」での嫌味なクレーマー役。「ツダカン劇場」と呼ばれ人気シリーズとなりました。 井浦新主演の映画『ニワトリ★スター』では、暴力団組長の八田清を演じています。広域暴力団の弱小組織で組長を務める八田は残虐な性格で、半グレの不良青年たちを利用する“最低最悪の”ヤクザ。ドスの効いた関西弁で話す姿は異様な存在感を放ち、これまで培ってきた闇社会の男の佇まいを遺憾なく発揮しています。

遠藤憲一

劇団員から長い下積み時代を経て、強面のヤクザ役でVシネマや三池崇史監督作に多数出演してきた遠藤憲一。『湯けむりスナイパー』でドラマ初主演を務めてからはテレビ出演も増えて認知度もアップし、ナレーションやCMでも活躍しています。近年はギャップを活かしたコミカルな演技でも注目されていますね。 遠藤憲一といえばVシネマでの悪役、特に強面を活かしたチンピラ・ヤクザ役で有名。一方で刑事役も多いものの、本人は普通の格好で街を歩いても職質を受けるという悲劇も。2020年7月放送開始予定のドラマ『竜の道 二つの顔の復讐者』では、強欲な経営者役で久しぶりの悪役を務めています。 ヤクザ役の出演作が多い中、大島優子が主演したドラマ『ヤメゴク〜ヤクザやめて頂きます〜』での組長役は、今も語られることの多い役柄ではないでしょうか。組を逃げ出す者は許さないという徹底した姿勢を貫く組長・橘勲を、貫禄満点に演じました。

寺島進

松田優作監督作『ア・ホーマンス』で映画デビューした寺島進は、北野武監督作に多数出演していることでよく知られています。不良やチンピラ役、ヤクザ役が多かったVシネマ下積み時代を経て、テレビに進出した『富豪刑事』や「踊る大捜査線」シリーズのスピンオフ『逃亡者 木島丈一郎』の木島丈一郎役で、一気にブレイクを果たしました。 木島役以外にも「アンフェア」シリーズでの山路管理官や『駐在刑事』など圧倒的に刑事役が多いことも周知の事実。大杉漣や遠藤憲一と共演したドラマ『バイプレーヤーズ』では子煩悩な父という一面を持つ本人役で出演し、父が悪役だと子どもがいじめられるため悪役をやめようか悩む姿も見せています。   ヤクザ役での代表作といえば、北野武監督の『BROTHER』でしょうか。ビートたけしが武闘派ヤクザの山本、寺島進は山本を兄貴と慕う舎弟・加藤を演じています。山本に命を賭けて突き進む義理に厚い加藤役は、現実でも北野武に義理堅い態度を貫く寺島進ならではの熱い役柄でした。

ネチネチ系

ネチネチと小言を言ってくる上司を演じさせたらピカイチ!の木下ほうかをはじめ、元祖ネチネチ系の岸部一徳や佐野史郎も印象深い悪役を演じています。悪役に強いキャラクター性を持たせた3人ともいえますね。

木下ほうか

「痛快TV スカッとジャパン」の強烈なキャラクター「イヤミ課長」で大ブレイクした木下ほうか。実は井筒和幸監督の映画『ガキ帝国』で俳優デビューした後、吉本新喜劇の団員として活動していた異色の経歴を持っています。東京の下積み時代はVシネマ中心に活動していたとか。 お笑いとVシネマという独特の経験が、ネチネチ系悪役が似合う人気バイプレーヤーとして活躍する土台となったのも意外です。たとえ出番の少ない脇役でも癖の強い個性的な役柄で印象付けられる特性は、やはり木下ほうかの真骨頂といえるでしょう。   決め台詞の「はい論破!」も流行語大賞の候補に入るなどイヤミ課長の印象が強いものの、ドラマ『下町ロケット』では帝国重工の宇宙航空部本部長・水原重治役で新境地を見出しています。これまでの「冷徹ながら小心者」という役柄も踏襲しつつ、情熱と能力ある責任者といった善人に転じるキャラを演じました。

岸部一徳

「ドクターX」シリーズの神原晶や「医龍」シリーズの野口教授で医療ドラマのイメージが強く、医師役が多い岸部一徳。ところが元々は、60年代のGSブーム最盛期に活躍した人気グループ「ザ・タイガース」のベーシストとして芸能界入りしたミュージシャンなのです。 俳優に転向したのは、1975年のドラマ『悪魔のようなあいつ』。1990年には小栗康平監督の『死の棘』での演技で、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞しています。飄々としていながら裏で手を回しているボス的な、例えばドラマ『99.9 -刑事専門弁護士-』での斑目所長など組織のトップである役柄も多いようです。 際立った悪役として強い印象を残しているのは、やはりドラマ「医龍」シリーズの野口教授。「チームドラゴン」に敵対する明真大学付属病院の心臓外科教授で、総長や学長を狙うなど常に野心満々の人物でした。各シーズンで執拗に「チームドラゴン」を敵視する執念深さは忘れられません。

佐野史郎

劇団「シェイクスピア・シアター」の創設メンバーであり、劇団員として舞台で初期キャリアを築いてきた佐野史郎。1986年に『夢みるように眠りたい』で映画デビューを果たします。 その後、ドラマ『ずっとあなたが好きだった』で、エリート銀行員ながらマザコンでヒロインに執着する桂田冬彦を演じたことで「冬彦さん現象」を巻き起こし、粘着質な役柄のイメージが定着してしまいました。 そのため知的ながら狂気を孕んだ役柄を演じることも多いものの、持ち前の演技力でシリアスからコミカルな役柄まで幅広く演じ分けています。ドラマ『コンフィデンスマンJP』の俵屋勤役で久々の悪役を演じ、2018年には『限界団地』で63歳にして連続ドラマ初主演を務めました。   佐野史郎のネチネチ演技を堪能するには、どうしても『ずっとあなたが好きだった』のマザコン夫・冬彦役は外せません。冬彦といえば唇を歪めて「んん〜!」と唸り声を発する仕草が印象的。その奇行は回を重ねる毎にエスカレートし、母親役の野際陽子も含めてその怪演は語り草となっています。

サイコパス系

常識を逸脱したサイコパス的な狂人を演じて話題を呼んだ俳優5人を紹介します。菅田将暉や藤原竜也など、イケメン俳優として主演を務めるような若手実力派の名が挙がっているのも特徴の一つです。

高嶋政伸

父は高島忠夫、母は元宝塚歌劇団の寿美花代、兄は髙嶋政宏という芸能一家に生まれた高嶋政伸。初めは演出家を目指して大学で自主映画を制作していましたが、その時負った借金を立て替えてくれた父に返すために俳優を目指したそう。 「HOTEL」シリーズの主役・赤川一平に抜擢されブレイクし、「高島家の次男」から「国民的弟キャラ」に。「こちら本池上署」シリーズの署長・椎名啓介など善人役が多かった初期キャリアから、泥沼離婚後は次々と癖の強いキャラを演じ始め、悪役を得意とする俳優に転身しています。 『暗殺教室』での体育教師・鷹岡明もインパクトあるキャラクターでしたが、高嶋政伸の悪役キャラといえば『DOCTORS 最強の名医』の森山卓。堂上総合病院の外科医で院長の甥である森山は、地位と能力を持ちつつも病的に傲慢で自信過剰な性格でした。「んんんん!」という奇声を発する癖はまるで冬彦さんですが、ある意味そのサイコっぷりは似た部分がありそうです。

菅田将暉

今や飛ぶ鳥を落とす勢いの若手実力派俳優・菅田将暉。「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」ファイナリストであり、『仮面ライダーW』の主役・フィリップ/仮面ライダーWに抜擢され、主演作『共喰い』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した輝かしい経歴の持ち主です。 そこからも快進撃を続け、映画『そこのみにて光輝く』やドラマ『民王』など話題作で次々主演を務め、「見たこともない景色」でソロ歌手デビューも果たします。さらに映画『あゝ、荒野』では若くして日本アカデミー賞最優秀主演男優賞も受賞し、名実共に若手俳優のトップに躍り出ました。 そんな非の打ち所がない芸歴を持つ菅田将暉が、満を持して独特な悪役に挑んだのがドラマ『3年A組 -今から皆さんは、人質です-』の柊一颯役。卒業10日前に生徒たちを監禁する高校教師で、サイコパスのような行動を取りながらも生徒たちに命をかけてある「授業」を行い、壮絶な生き様を見せて大きな話題を呼びました。

藤原竜也

蜷川幸雄演出の舞台『身毒丸』の主役オーディションでグランプリを獲得し、俳優デビューした藤原竜也。映画『バトル・ロワイアル』の主演に抜擢され、『新選組!』の沖田総司役でNHK大河ドラマ初出演も果たします。 2007年2月から6月までは一時休業してロンドンに留学し、シェイクスピア劇をはじめ数多くの舞台に出演。その一方でギャンブル依存症といったダークな裏社会を描く「カイジ」シリーズの伊藤開司役でも有名になりました。 イケメンで爽やかなイメージがある反面、『藁の盾』や『22年目の告白 -私が殺人犯です-』などでサイコな犯罪者役も度々演じています。「るろうに剣心」シリーズの志々雄真実や、『デスノート』の夜神月といった悪のカリスマ的支配者を説得力をもって演じられるのは、舞台出身で圧倒的な演技力を持つ藤原竜也だからかもしれません。

本郷奏多

『テニスの王子様』の越前リョーマ、『NANA2』のシン、『進撃の巨人』のアルミンなど細身のイケメン役イメージが強かった本郷奏多。しかし「GANTZ」シリーズの西丈一郎役で、初めて個性的な悪役ぶりを見せました。 元々はキッズモデルとして活動を始め、映画『リターナー』で俳優デビューした元子役。映画『HINOKIO』では14歳で初主演を務め、ドラマ『あいくるしい』での南雲愁役のクールな演技が話題になり、若手イケメン俳優としてそのキャリアを築いてきました。 ところが近年は、前述の西丈一郎役から『キングダム』の成蟜、『Diner ダイナー』のキッドなどの悪役で、イケメンも歪むような凶悪な顔面を披露。成蟜役はまるで原作から抜け出てきたような再現度で驚かせ、全身整形の殺し屋キッド役では子どもの体を体現し、どちらも“気持ち悪い”ほど特殊な悪役を演じています。

でんでん

でんでん
©ciatr

俳優・でんでんのサイコ的悪役イメージを決定付けたのは、園子温監督の『冷たい熱帯魚』の村田幸雄役。国内映画賞の助演男優賞を総なめにした渾身の一作であり、凶悪な犯罪行為に背筋が凍る超問題作でした。 でんでんは渥美清に憧れて上京し、劇団ひまわりに入団。その後紆余曲折を経て30歳の時に素人として出演した「お笑いスター誕生!!」で金賞を獲得したのを機に、ピン芸人・田所完一として芸能界デビューしています。 森田芳光監督の映画『の・ようなもの』で俳優に転身し、数多くのサスペンスドラマなどで刑事役を演じてきました。元お笑い芸人というイメージを逆手に取った『冷たい熱帯魚』での村田役は、その柔和な笑顔の裏にある狂気の殺人者の顔をより恐ろしいものにしています。

ラスボス・黒幕系

企業ドラマやヤクザ映画で黒幕のラスボスを演じて強烈な印象を残した香川照之、小日向文世、西田敏行の3人を紹介。いずれも顔の表情一つで善人も悪人も演じ分けられる技巧派です。

香川照之

東大出身で歌舞伎役者・九代目市川中車という異色の経歴を持つ個性派俳優・香川照之。NHK大河ドラマ『春日局』の小早川秀秋役で俳優デビューし、『利家とまつ〜加賀百万石物語〜』では豊臣秀吉を演じて全国的な認知度を得ます。さらに映画『劒岳 点の記』で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞し、ドラマ・映画両方で躍進を続けています。 数多くの出演作の中でも強烈な印象を残している悪役といえば、『半沢直樹』の大和田暁役。大組織の裏で糸引く上司役としては、ドラマ『小さな巨人』や映画『七つの会議』でも主人公に敵対する役柄で登場しましたが、大和田常務のインパクトと顔芸に勝るものなし! 他にも、ドラマ『99.9 -刑事専門弁護士-』での佐田弁護士や「カイジ」シリーズの利根川幸雄など、主人公と相対する小憎い役を演じては右に出るものなしといった感も。映画『クリーピー 偽りの隣人』で演じた「謎の隣人」西野役は、他とは違ったサイコ的な怪演を見せています。

小日向文世

中村雅俊の付き人から「オンシアター自由劇場」劇団員になった小日向文世は、同劇団の演目でもある『上海バンスキング』で映画デビューを果たしました。しかし42歳の時に劇団が解散し、テレビ進出に望みをかけます。 そして47歳にしてドラマ『HERO』の末次隆之役でブレイクし、映画でも『サイドウェイズ』や『サバイバルファミリー』などで主演を務めるまでに。その間も三谷幸喜の舞台や映画に多く起用されています。最近では『コンフィデンスマンJP』でのリチャード役でも広く知られるようになりましたね。 にこやかな笑顔が印象的な小日向文世ですが、「アウトレイジ」シリーズでは悪徳マル暴刑事・片岡を演じる一方、ドラマ『ダブルフェイス』では暴力団組長・織田大成役で出演するという悪役ながら真逆の立場の役柄も好演。長年の舞台経験に裏打ちされた演技力がなせる技でしょうか。

西田敏行

1967年に『渥美清の泣いてたまるか』で俳優デビューした西田敏行。青年座俳優養成所から座員となり、『西遊記』や『池中玄太80キロ』などテレビドラマで人気に火が付きました。映画でも『植村直己物語』や『敦煌』などで主演を務め、「釣りバカ日誌」シリーズは長年続く代表作に。 歌手活動も行なっており、『池中玄太80キロ』の主題歌「もしもピアノが弾けたなら」は大ヒットを記録。バラエティ番組「探偵!ナイトスクープ」の2代目局長に起用され、2019年まで18年間務めるなど俳優以外の活動でもよく知られています。 見た目にも優しいイメージしかない西田敏行ですが、意外にも「アウトレイジ」シリーズの若頭・西野や「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」シリーズの蛭間教授といった、組織の裏で暗躍する腹黒い黒幕的悪役を演じて好評を得ています。

映画・ドラマの面白さは悪役で決まる!ギャップこそ悪役に必要な要素

評判になっている悪役を見てみると、意外なことにイケメン俳優や優しい笑顔が似合うベテラン勢が多いことに気付きます。そこには「こんなイケメンが悪役」や「優しそうなのに悪役」といったギャップ萌えが生まれているのではないでしょうか。 悪役は主役を食うほどのインパクトを与えなければ、その作品にとっても成功とは言いがたいほど重要な役どころ。漫画原作に限らず、今後も印象的な悪役を誰が演じるのかといった関心は衰えることはないでしょう。綿々と息づく「悪役道」を誰が引き継ぐのか、興味津々です。