2024年3月15日更新

『アーヤと魔女』はひどい?ジブリ初3DCGは本当につまらないし大爆死なのか?

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アーヤと魔女
(C) 2020 NHK, NEP, Studio Ghibli

2020年に公開された『アーヤと魔女』。スタジオジブリ初の3DCGアニメーション映画ということで期待の声が寄せられていましたが、いざ公開されるとその評価は賛否両論でした。 ここでは『アーヤと魔女』がなぜ「ひどい」「つまらない」と言われるのか、その原因を探っていきましょう。

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『アーヤと魔女』がひどいと言われる理由

公開年 2020年
スタジオ スタジオジブリ
監督 宮崎吾朗
キャスト 寺島しのぶ , 豊川悦司 , 濱田岳 ,  平澤宏々路

『アーヤと魔女』は2020年に公開された、スタジオジブリ初の3DCG長編アニメーション映画です。『ハウルの動く城』(2004年)と同じイギリスの作家ダイアナ・ウィン・ジョーンズの小説を原作に、『ゲド戦記』で知られる宮崎吾朗が監督を務めました。 そんな『アーヤと魔女』のGoogle検索では、「ひどい」や「つまらない」、「爆死」といったキーワードが並んでいます。Filmarksでは3.1というジブリ作品の中では低い評価であり、興行収入も歴代ジブリ作品の中では下から2番目という結果。 『アーヤと魔女』が多くの人には刺さらなかった理由には多くの声がありますが、スタジオジブリとしての期待値とは異なるベクトルの作品だったことが大きいようです。

『アーヤと魔女』のあらすじ

その場その場で都合のいい態度をとることで、周囲の人を思い通りに動かすことが得意なアーヤ。孤児院で暮らしていた少女アーヤは、あるとき魔女と悪魔を操る大男の家に引き取られます。 そこで彼女は魔女の手伝いとして、さまざまな労働を強いられることに。何も思い通りにならない状況に憤慨したアーヤは持ち前のしたたかな性格で、次第に魔女たちを“操って”いきます。

『アーヤと魔女』はストーリーがひどい?

ジブリらしさを期待していたけれど……。

『アーヤと魔女』(2020年)

本作のあらすじは、周囲を思い通りに動かそうとする孤児の少女・アーヤが、引き取られた先の魔女の家で孤軍奮闘しながら、最終的にはその魔女さえも思い通りに動かすようになっていくというもの。 そんな『アーヤと魔女』には、「ジブリらしいテーマがなくつまらない」「中身がなくてひどい」といった厳しい声が寄せられています。たしかに本作の舞台はほとんど孤児院と魔女の家という限られた空間となっており、ジブリ作品、特に宮崎駿作品のようなワクワクする冒険譚や難解なメッセージはありません。しかしそれは、物語がコンパクトにまとまっているとも言えるでしょう。 また本作はもともとテレビ放送される作品として制作され、子どもが観るのにちょうどいい83分という短めの尺に収まっています。 さらに3DCGという映像の特性上、さまざまな背景を作るのは非常にお金がかかります。そういった点からも、限られた場所を舞台とし、そこに注力するという選択をしたのは英断だったのではないでしょうか。

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『アーヤと魔女』の結末に途中で終わったと感じる人も

『アーヤと魔女』(2020年)

本作は、魔法を覚えたアーヤが魔女の家で、みんなを従え、不自由なく暮らすようになったところで幕を閉じます。ラストシーンにはアーヤの母親が登場していますが、肝心のアーヤとの再会ははっきりとは描かれていません。 また、アーヤの母が娘を孤児院に預ける理由となった12人の魔女とは何者なのか、なぜ彼女たちに追われることになったのかなど、ストーリーの根本的な部分が謎のままになっています。 さらにベラ・ヤーガとマンドレーク、そしてアーヤの母で結成されたバンド「EARWIG」の過去の因縁などの伏線も回収されずに終わるので、途中で終わったように感じ、消化不良になった人もいるでしょう。 しかしこのエンディングだからこそ、観客にアーヤのその後を想像させる余地が残されているとも言えます。

物足りなさの原因?実は原作が未完だった!

『アーヤと魔女』(2020年)

「これからつづきがありそうな雰囲気で終わる」と言われている『アーヤと魔女』ですが、実はその原因は原作が未完であることにありそうです。 『アーヤと魔女』の原作は『ハウルの動く城』と同じイギリスの作家ダイアナ・ウィン・ジョーンズによるものですが、「アーヤ」は彼女の遺作であり、原作も未完で終わっています。映画はこの原作に忠実に作られているのです。監督を務めた宮崎吾朗は「この原作を無理に膨らませようとすると、別の作品になってしまう」と考えたとか。 一方でアーヤの母についてのエピソードなどは映画オリジナルとして追加されており、監督は「お話を改変するのではなく、背景を深堀りするのはありだろうと考えて、アーヤという子の背景にあるもの、アーヤの血の中にあるものを描こうと考えた」と語っています。

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主人公アーヤが不満ばかりで好きになれない?

『アーヤと魔女』(2020年)

本作のヒロインであるアーヤは、これまでのジブリ作品に登場した少女たちのような、「純粋」で「優しい」性格の女の子ではありません。アーヤは常に「したたか」で要領よく立ち回り、周囲の人々を「操って」自分に居心地のいい空間を作ろうとします。 魔女の家へ連れてこられた直後は、魔法が使えるベラ・ヤーガや魔物に変身できるマンドレークに少し怯えたりもしますが、最終的には2人を操り、自分の居心地のいい環境を整えてしまうのです。 そんなアーヤは観客の目には生意気だったり、かわいくないように映ることもあるでしょう。物語が始まってから最後まで、アーヤのそういった性質は変わらず、「性格がひどい」、「成長がない」という意見も聞かれます。 しかし、アーヤのように器用にその場にあった振る舞いをすること、大人でさえも操ってしまうようなしたたかさは、現代のこどもたちに「そうあってもいいんだよ」というメッセージを伝えているのではないでしょうか。 **「アーヤが成長しない」という批判もありますが、むしろどこに行っても自分らしさを貫く強さがあるとも言える**でしょう。

『アーヤと魔女』の3DCGのクオリティがひどすぎる?

『アーヤと魔女』(2020年)

『アーヤと魔女』については、「3DCGのクオリティがひどすぎる」「夜のシーンが何も見えない」という批判も出ています。本作はスタジオジブリ初の3DCG作品として注目を集め、その期待も高まっていました。しかしいざ公開されると、そのクオリティに不満を持つ人が多くいたようです。 しかし、そもそも本作はテレビアニメとして企画・制作され、一部のシーンを追加して劇場公開された作品です。最初から劇場公開を前提として制作されたものとは予算も違うでしょうし、制作期間にも差があったのではないでしょうか。 よく見てみるとCGそのもののクオリティは決して低くないのですが、登場人物のフィギュアっぽい質感や夜などの暗いシーンの見にくさは、「ジブリっぽさ」を期待していた人々にとっては、期待外れだったかもしれません。

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『アーヤと魔女』は赤字なのか?興行収入を調査

『アーヤと魔女』(2022年)

『アーヤと魔女』の興行収入は公開初日興行収入が2,100万円とスタジオジブリ作品としては低く、合計3億円となっています。制作費は10億円程度とみられるので、大赤字となってしまいました。 3DCGは2Dアニメーションよりも制作費がかかるので、当初目標としていた興行収入は40億円ほどと思われます。ヒットしなかった原因としては、すでにNHKでテレビ放送されていたことや、コロナ禍で公開延期が重なったことにもあるのではないでしょうか。

『アーヤと魔女』観客の感想は?面白かったという声も

アーヤと魔女
アーヤと魔女』の総合評価
2.5 / 2人のレビュー
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30代女性

音楽もコンセプトも話の展開も画面も全部つまらない。しかも孤児院とか魔女、バンドとかいろいろ設定があるのに、説明不足でどのキャラにも感情移入できないまま話が飛ぶ。これならジブリらしい2Dアニメに徹するか、まったく違うことやったほうがよかった。

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20代女性

アーヤが割と憎たらしいキャラだけど、表情豊かで笑える。魔女系ファンタジーかと思いきや、途中バンドのシーンとかもあって珍しい。深く考えずに観ると笑えるし面白いと思う。

映画『アーヤと魔女』はひどいのか?観客の声をまとめました

スタジオジブリ初3DCG長編アニメーション映画として公開された『アーヤと魔女』。映像面以外にも、キャラクターやストーリーの面でも新たな挑戦のつまった作品です。 ぜひ本編を鑑賞して、実際にはどうなのか体験してみるのがいいかもしれませんね!