2016年6月14日更新 20,341view

神か兵器か、巨神兵を知るための6つのこと『風の谷のナウシカ』

宮崎駿の名を一躍世に知らしめることになった、1984年公開の劇場アニメ『風の谷のナウシカ』。30年以上たった今日も、絶大なる人気を誇るアニメに登場する巨神兵について、6つの観点から紐解きます。

1:巨神兵とは

巨神兵

遥か昔に突然出現し、「火の七日間」と呼ばれる最終戦争で世界のほとんどを焼き尽くしたと伝承される、巨大な人工生命体が巨神兵です。

映画では、ペジテ市の地下で巨神兵の生きた繭が発見され、その情報を掴んだトルメキア帝国がペジテを占領して繭を強奪。ところが、本国へ輸送している最中に風の谷付近に墜落してしまいます。クシャナ率いるトルメキア軍は風の谷をを占領し、そこでそのまま復活させようと目論むことが、物語の柱になっています。

冒頭、伝承の回想シーンとして登場する彼らの群れと、終盤復活する一体の巨神兵の凄まじい姿は、出番時間は少ないものの、強烈な印象を残します。

2:不完全な覚醒

巨神兵

ペジテの手によって引き起こされた王蟲の大群を食い止めるため、クシャナが繭の巨神兵を覚醒させますが、その全身はまだ未成熟で固まっておらず、自立して歩行すら行えない不完全な状態でした。

トルメキアのクロトワが思わず吐く、「腐ってやがる。早すぎたんだ」というセリフが全てを言い表し、印象的です。

クシャナの命令は理解しているものの、知性は全く感じられず、人工生命体の神というより、単なる奇怪な生物兵器と化しています。

3:プロントビーム、そして絶命

巨神兵

出典: www.vice.com

クシャナの「薙ぎ払え!」という命令に従い、巨神兵は上体を持ち上げ、向かってくる王蟲の群れに対し、プロトンビームを2発放ちます。1発目は、群れに命中し大爆発を起こすほどの威力でしたが、2発目は、自身の腐敗が進んでいたためにほとんど効果がありませんでした。

プロトンビームとは、彼らが口から発射する陽子弾のことで、強力なときは、彼方にある山をも吹き飛ばし、巨大なきのこ雲を作るほどの威力を持つとされています。

威力のない2発目を放ったあと、体内からすさまじい爆発を起こし、肉体は完全に腐り落ちて絶命してしまいました。

このシーンの映像は、庵野秀明が原画を担当したことが知られています。

骨化した巨神兵

巨神兵

劇中、伝承において「火の七日間」のあと骨化した巨神兵の姿、そしてラストシーンにも溶け落ちた無残な骨が登場します。

4:巨神兵をめぐるそれぞれの思惑

巨神兵

トルメキア帝国のクシャナは当初、巨神兵を利用して腐海を壊滅させるという目的を持っていました。風の谷に向かってきた王蟲の大群に立ち向かうため、未成熟のままに覚醒促してしまったことが、破滅を招きました。巨神兵の発射したプロトンビームも、本来の威力を持たず、押し寄せる王蟲の大群を止めることはできませんでした。

映画では、ナウシカとの深い関係は描かれていません。原作では、巨神兵の骨格と繋がった装置と「秘石」の存在をめぐり、「秘石」を所持していたナウシカを自分の親として認識する経緯が描かれています。ナウシカに「オーマ」という名を与えられたことで、高い知性を持つ裁定者たる存在へと変わっていくのです。

5:原作漫画の巨神兵との違い

巨神兵

出典: photozou.jp

映画で登場する巨神兵は、群れをなして歩く、光る槍を持った茶色い人型の姿か、あるいは溶けかけた不完全な姿でしかありませんが、原作漫画では完全体の個体として登場しています。

肩から背中に発光する突起を持ち、細身で筋肉が剥き出しになったような体躯、ヘルメットのような頭部、緑の大きな目を持ち、複数の長い牙が特徴的です。

さらに、巨神兵は、完全な人工生命体の兵器ではなく、超硬質セラミック製の内部骨格をもつサイボーグであり、前文明の日系企業「東亜工廠」が紛争を解決するために作り出した調停者として描かれています。

6:映画『巨神兵東京に現る』

2012年7月10日から10月8日まで、東京都現代美術館で行われた『館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技』の企画として製作されたのが、映画『巨神兵東京に現る』です。映画の他、撮影に使用されたセットの展示やメイキングの公開など、話題を呼びました。

リアルに再現された巨神兵

巨神兵

企画が庵野秀明、監督・樋口真嗣、プロデューサー・鈴木敏夫で、CGを使用せず、ミニチュアの特撮で行われました。宮崎駿からの条件は、ナウシカを出さないことだったそうです。

登場する巨神兵は、光の槍や飛行能力を持った「完動品」で、デザインを担当したのは竹谷隆之。形状は原作に近いものの、より細部まで再現するためサイズは原作よりはるかに巨大となっています。

徹底したディテールへのこだわり

巨神兵

撮影のために制作された巨神兵は全長180cm程度で、後方から棒を介して操作する仕組みでした。操作には最大で5人を必要とする複雑な作りだったそうです。また、プロトンビームを発射する口内のしくみも実に細かく作られています。

展覧会は人気を博し、その後全国を巡回しました。

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