2020年12月25日更新

『風の谷のナウシカ』皇女クシャナの魅力に迫る!左腕の義手は映画オリジナルの設定だった

『風の谷のナウシカ』クシャナ
© 1984 Studio Ghibli・H

原作ではナウシカに並び絶大な人気を誇る、容姿端麗なトルメキアのカリスマ皇女クシャナ。彼女のためなら命を捨てる部下も大勢います。それほどの厚い信頼を寄せる理由とはいったい何なのでしょうか?クシャナの深く知るための魅力を詳しく解説していきます。

目次

1.クシャナはカリスマ性あふれるトルメキア王国皇女

『風の谷のナウシカ』クシャナ
© 1984 Studio Ghibli・H

『風の谷のナウシカ』で主人公のナウシカが暮らす風の谷を侵略しにきた、トルメキア王国の将軍クシャナ。彼女は巨神兵を使って腐海の木々や蟲たちを焼き払い、腐海に怯えることのない世界を目指していました。 原作では、ほかの王位継承者たちから毒を盛られることなども多々あったというエピソードが描かれており、幼い頃から命の危険に晒されていたようです。 そうした過去もあってか、頭の回転が早く優れた剣の腕を持ち、指揮能力にも長けています。

2.クールなように見えて、実は内面に強い激情を秘めている

クシャナというキャラクターは、ナウシカとは正反対でまったく思いやりがなく、冷たい人物に感じられます。 しかし幼い頃から血縁者に命を狙われたり、腐海の蟲たちに襲われたりした過去を考えると、彼女に対する見方が少し変わるかもしれません。そのクールで冷酷にも思える性格は、哀しい経験から形成されていると考えられます。 単なる冷徹人間ではなく、内面には“蟲たちに怯えることのない世界を作りたい”という思いと、平和を願う心を持つクシャナ。その信念を貫くためには多少の犠牲は顧みない、強い精神の持ち主なのです。

3.「クシャナ殿下」と呼ばれることが慕われている証!

トルメキア王国の皇女であるクシャナは、トルメキア兵たちから敬意を込めて、「クシャナ殿下」と呼ばれています。 美しい顔立ちに加えカリスマ性もあるため、部下から厚い信頼を寄せられていました。彼女の命令には従順に従い、クシャナのために命を捨てる者もいます。自ら戦場に立って部下を率い、何事にも冷静に対処する姿から、指揮者として一流の素質を持っているといえるでしょう。 原作では先述した生い立ちもあり、より部下に慕われる殿下としての一面が強調されています。

トルメキア帝国とは?

トルメキア王国とは、『風の谷のナウシカ』に登場する王政国家の1つです。大きな軍事力を有する国で、中心地は王都トラス。 映画や原作のなかでは、ヨーロッパを連想させるような国家として描かれます。 原作版では、土鬼(ドルク)諸侯国連合と世界を二分する大国とされ、風の谷やペジテ市などの辺境国を傘下に置いていました。クシャナの境遇からも察することができますが、王位継承権を巡りまさに“骨肉の争い”が繰り広げられてきた国です。

4.クシャナの名前の由来は?

風の谷のナウシカ
©︎ ciatr

「殿下」と親しまれるクシャナの名前の由来には、2つの有力説があります。 1つ目の説は、現実に実在した北インドのクシャーナ王朝。クシャーナ王朝はユーラシア大陸の多くの地域を支配し、1世紀から3世紀頃まで勢力を持ち続けました。支配下においた各国の文化を広く受け入れ、融合して繁栄させたイランの王朝です。 もう1つは、「ナウシカ=NAUSICAA」の綴りを入れ替え、「CUSIANAA」としたアナグラム説です。 ナウシカをローマ字にした際の表記は「NAUSHIKA」。クシャナを同じようにローマ字にした際は、「KUSHANA」という表記になります。そのためファンからは、“I=愛”があるのがナウシカで、“I=愛”がないのがクシャナともいわれているようです。

5.クシャナと巨神兵

『風の谷のナウシカ』
© 1984 Studio Ghibli・H

巨神兵がプロトンビームを放つ姿は、『風の谷のナウシカ』の迫力あるシーンのひとつといえます。 本来であれば、腐海を焼き尽くすためにトルメキア王国が入手した巨神兵。王蟲の突進を食い止めるため、まだ時期が早かったにもかかわらず、クシャナは巨神兵を覚醒させます。不完全な復活だったため、数発のビームを放ったのちに、溶けて消滅してしまいました。 遠方の山を吹き飛ばし、巨大なきのこ雲を作ると言われるほどの威力ではありませんでしたが、不完全でも凄まじい威力でした。

6.その悪行には理由があった

風の谷のナウシカ
©Studio Ghibli/Walt Disney Pictures

『風の谷のナウシカ』はナウシカを主人公とした作品であり、主人公目線で物語を観る人が多いことから、クシャナは悪役に映るかもしれません。 ナウシカの父ジルを殺害したり、風の谷を侵略してナウシカを人質にしたり……。一見、彼女が暴走しているように見えますが、根底にはきちんとした行動理由があります。クシャナは腐海が人間の害と考え、人びとの生活のため巨神兵を使い、焼き払う計画を立てていました。 全ての根本にあるのは、“トルメキア国民の生活を守りたい”という純粋な願い。そんな強い信念があったからこそ、兵からの信頼も厚く、カリスマ皇女となることができたのでしょう。

7.「我が夫となる者はさらにおぞましき物を見るだろう」の意味

原作にはないオリジナル要素として、映画のクシャナは左腕が義手になっています。風の谷の人びとを前に、自分の左腕は蟲たちの攻撃によって失われ、義手であると明かしました。 設定が変更された理由は色々と考察されていますが、確かなことは不明のままです。恐らくは左腕以外にも、蟲に襲われた時やその他の戦いで付いた傷があるのではないでしょうか。夫は体の至るところに存在する傷を見ることになる、と言っているのかもしれません。 台詞の意図としては、生半可な覚悟では自分と結婚できない、と伝えたいのでしょう。血塗られた継承権争いを演じてきた一族に加わることになる、という意味でもあるかもしれませんね。

8.他にもあるクシャナの印象的なセリフの数々

腐海を焼き払い、再びこの大地を甦らすのだ!

巨神兵の繭を探して風の谷へやって来たクシャナが、他の人びとに放ったセリフです。腐海を無くすことで、人々が安心して生活できる世界にしたい。そんな強い信念を持っていることが、このセリフからもうかがえますね。

焼き払え!どうした、それでも世界で最も邪悪な一族の末裔か!

巨神兵を復活させて、王蟲の突進を阻止しようとした際のクシャナのセリフ。巨神兵という巨大な兵器を従え、毅然と発せられた言葉により、巨神兵はプロトンビームを発しました。 結果は先述の通りですが、本作を象徴するシーンであり、セリフのひとつと言えます。

9.映画で描かれなかったエピソードが多い!?

原作でも映画でも、クシャナは芯の強いカリスマ皇女として描かれていますが、映画で触れられた一面はごく一部です。 映画版ではナウシカの敵として、ただの侵略者としての顔が強調されていますが、原作では人間味のある女性として描かれています。ナウシカとともに成長し、思慮深く聡明で優れた軍人のイメージが強いことから、原作ファンからの人気が非常に高いのです。 クロトワをはじめ部下を思いやるシーンのほか、なんとナウシカの無事を気にする場面も!自分をかばって毒を飲んだ母親を愛しており、母を侮辱されると怒りをあらわにします。 クシャナの魅力をもっと知りたいという人は、ぜひ原作も読んでみてください。

10.庵野秀明はクシャナで映画を作りたかった?

『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明が、クシャナを主人公とした物語を作りたいと、宮崎駿監督に提案したというエピソードがあります。庵野は本作で巨神兵の原画を全て担当しており、その縁もあっての話だったのかもしれません。 宮崎駿監督はそれをあっさりと却下し、戦争を中心とした映画を作りたいという庵野に対して、「つまらない」「くだらない」などと散々に言い放ちました。 クシャナのファンとしては、彼女が主人公の映画も観てみたいと思ってしまいますね。

11.クシャナ役の声優は榊原良子

部下に慕われるクシャナ殿下の声優を務めたのは、声優の榊原良子。人気アニメ「ガンダム」シリーズのハマン・カーン役、「機動警察パトレイバー」の南雲しのぶ役などで知られ、数々のアニメ作品に出演しています。 番組ナレーションや吹き替えも多数こなし、2020年現在も活躍しているベテランです。クシャナの芯の強い人間性を、声だけで見事に演じました。

12.英語の吹き替え声優はユマ・サーマン

ユマ・サーマン
©︎Joseph Marzullo/WENN.com

英語吹き替え版のクシャナを演じたユマ・サーマンは、第一線で活躍するハリウッド女優です。日本でも地名度が高く、映画「キル・ビル」シリーズではザ・ブライド役を演じ、『ニンフォマニアック』(2013年)などの話題作に出演しています。 見た目も中身も「男前」と称される彼女らしさが残った、オリジナルのクシャナを演じました。

『風の谷のナウシカ』クシャナ殿下の魅力、伝わりましたか?

映画『風の谷のナウシカ』の映画、および原作漫画どちらでも1.2を争うほどの人気キャラクター、クシャナについて紹介してきました。 彼女を深堀りするための12のことを知れば、もっと魅力的に見えること間違いなし!ぜひ原作となった漫画、そして映画をもう1度鑑賞してみてください。