2022年11月28日更新

宮崎駿が『となりのトトロ』で伝えたかったことは?感動的な3つのメッセージを考察

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『となりのトトロ』

様々な名作アニメを生み出してきた日本アニメーション界の巨匠、宮崎駿。そんな彼の代表作品の1つである『となりのトトロ』は、現在も老若男女問わず絶大な人気を博しているのではないでしょうか。 今回は、宮崎駿が本作に込めた想いやメッセージについて迫っていきます。

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宮崎駿『となりのトトロ』製作に至った想いとは?

3歳か4歳になる子どもに必要なのは「トトロに会う事」

『となりのトトロ』は1988年4月16日に公開された、スタジオジブリとしては2作目の長編アニメーションです。 その制作にあたって宮崎氏は「忘れていたもの。気づかなかったもの。なくしてしまったと思い込んでいたもの。でも、それは今もあるのだと信じて『となりのトトロ』を心底作りたい。」と企画書に書いていました。 見えないけれどあるもの、日本という国の自然の中に、特に何かをしてくれるというわけではないけれど寄り添ってくれている存在がいる。そういったものを子どもたちに感じてほしかったようです。

宮崎監督自身の子ども時代とは——?

『となりのトトロ』

宮崎監督は多感な子ども時代を戦中から戦後にかけて過ごしたことから、それまで絶対的な存在として信じていた両親や国への信頼に疑問を持つようになったと語っています。それを忘れてしまいたいと高校時代に意図的に全部忘れてしまったとも。 そうした自らの子ども時代、作品のヒロインたちとして設定されることの多い12〜13歳の自分なんて全然覚えていない......その一種の代償として子どもの物語を作っているのだそうです。 自分が過ごせなかった夢や希望、信じるものがある子ども時代を、子どものための映画を作ることで監督自身がもう一度、子ども時代をやり直しているという側面もあるのかもしれません。

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一番最後に残るのは、子どもを楽しませたいという気持ち

となりのトトロ

自らの子ども時代の代償という面もありながら、やはり制作モチベーションの中心にあるのは「子どもを楽しませたい」という気持ち。父親であったからこそ、子どもを喜ばせるために作品を作っていたということがあったようです。 その証拠に、宮崎監督のテレビアニメの代表作である「未来少年コナン」や「アルプスの少女ハイジ」はちょうど息子さんの幼少時代に作られた作品です。 仕事人間で、子育てはほとんど奥様任せだったという宮崎監督は作品を作ることで父親としての役割を果たそうとしていたのかもしれません。 『となりのトトロ』のメイとサツキのお父さんも、たくさんドジをする子どもっぽさの残る父親として描かれています。「だけど大事なことはふたりの娘を愛している」と語っています。 まさに、この父親は当時の宮崎監督だったといえるのではないでしょうか。

『となりのトトロ』に込められたのは子どもへの愛だった

となりのトトロ

『となりのトトロ』には、 ①見えない、忘れたと思い込んでいるものを感じてほしい ②宮崎駿監督自身が、戦争に奪われた子ども時代をやり直す ③監督としても父親としても、子どもに楽しんでもらいたい このような3つの想いが込められていました。 監督の想いや愛を感じながら、今一度観返してみてはいかがでしょうか。