(C)2017「メアリと魔女の花」製作委員会

米林宏昌、ジブリ出身の気鋭監督が手がけるアニメーションとは?

2017年7月8日更新

2017年7月8日公開の『メアリと魔女の花』。今作を手がける監督、米林宏昌はもともとスタジオジブリ出身である事はご存知でしょうか?彼の来歴から、手がけて来た作品などを一挙にご紹介したいと思います。

数多くのジブリ作品に参加、ついに独立した米林宏昌とは

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2010年に公開された『借りぐらしのアリエッティ』、そして2014年公開の『思い出のマーニー』の監督として名を馳せる米林宏昌。しかし、彼はその他にも多くのスタジオジブリ作品に触れて来たことをご存知でしょうか? 今回はそんな米林宏昌監督の来歴をふくめ、彼の監督作品などをご紹介したいと思います。

『もののけ姫』からスタジオジブリに参入

米林宏昌は1996年にスタジオジブリに入社し、翌年公開された『もののけ姫』からアニメーションに参加しています。 そして、『ホーホケキョ となりの山田くん』(’99)にアニメーションとして参加した後、『千と千尋の神隠し』(’01)から原画を担当するようになりました。 彼が原画を担当した作品は他に『ハウルの動く城』(’04)、『ゲド戦記』(’06)、『崖の上のポニョ』(’08)、『コクリコ坂から』(’11)、『風立ちぬ』(’13)があります。

細田守と出身校が同じ!影響を受けた映画は『2001年宇宙の旅』

生まれ・育ちは石川県、金沢美術工芸大出身の米林宏昌。実はこの金沢美術工芸大は、細田守監督も通っていた美大なのです!同じ期間に在学していたわけではありませんが、どうやら細田守の卒業制作を、米林は当時のバイト先であった映像制作会社で目にしたようです。 また、米林監督が影響を受けた作品はフェデリコ・フェリーニ監督作『道』、スタンリー・キューブリック監督の最高傑作『2001年宇宙の旅』、ビクトル・エリセ監督による『ミツバチのささやき』など。 好きな漫画は『ドラえもん』『ドラゴンボール』で知られる鳥山明のもの、さらに少女漫画好きでもあり『りぼん』を購読していたようです。ジブリ作品を作るうえで、この少女漫画描写が多いに参考になったのではないでしょうか。

あの宮崎駿を唸らせた!米林宏昌の画風とは

米林監督が手がけた原画の特徴として挙げられるのは、その“動き”にあります。『崖の上のポニョ』では、ポニョの妹である稚魚が群をなして海面に向かって泳ぎあがっていく壮大なシーンを担当したと言われており、彼が原画の中で動きを表現する事に長けている事が伺えます。尚、この時の彼のアニメーションは宮崎駿を唸らせました。 新作『メアリと魔女の花』も彼が監督を手がけるということで、予告編の時点で既にその映像美が伝わってきます。色彩も非常に鮮やかであり、ストーリーは勿論芸術的観点でも注目度が増すばかり。よりダイナミックな映像が期待できそうです! また、自身の画集「汚れなき悪戯」が発売中ですが、それに対して米林監督は「自分の絵が嫌いだ」と公言しており、見ていると恥ずかしくなってしまうという気持ちを、イベント「三鷹の森アニメフェスタ2015 ~アニメーション古今東西 その12~」のトークセッションで吐露していました。

実は『千と千尋の神隠し』に登場するカオナシのモデルだった?

また、米林宏昌といえば『千と千尋の神隠し』のカオナシのモデルとなった人物と知られています。これは米林監督が描いたカオナシのシーンを、素材確認であるラッシュという工程で宮崎駿が確認した際「麻呂(米林宏昌)じゃないか!」と言った事がきっかけです。

初監督作品『借りぐらしのアリエッティ』

先述の通り、『借りぐらしのアリエッティ』(’10)を初監督作品として手がけるのですが、米林宏昌はスタジオ歴代監督のなかでも最年少の33歳でその立場にその立場にたちました。 彼の技術は今日までに数多くのジブリ作品のプロデュースをしてきた鈴木敏夫から非常に高評価を得ていたため、『借りぐらしのアリエッティ』の企画時に宮崎駿以外の監督として抜擢されたのです。   米林宏昌監督は今作を監督する際、宮崎駿の脚本をいかに再現し、映像化するかという点に苦労したとのこと。そんな彼をスタッフらが支えあうような形で今作は完成しました。『借りぐらしのアリエッティ』は人間の住む屋敷の軒下で生活しながら、彼らから物を“借り”ながら生きる小人を描いた作品。監督は小人を自分たちに重ねながら作ったようです。

アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされた『思い出のマーニー』

その次作となった『思い出のマーニー』は第88回アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされたほどのもの。しかし、今作を製作中にスタジオジブリの制作部の解散が決定してしまいました。その事を以て、より一層スタッフのやる気、意気込みは増したそうです。映画は、心を閉ざした少女アンナが越した先で出会う謎の少女マーニーと心を通わせ、精神を解放させていく様を描いています。 まさに全力投球した作品『思い出のマーニー』、監督自身にとって思い入れの強い作品となった事でしょう。

米林宏昌と西村義明が設立したアニメ制作会社スタジオポノック

『思い出のマーニー』製作中から解散が伝えられていたスタジオジブリ制作部。米林宏昌は、同作のプロデューサーであった西村義明と共に、スタジオジブリを退社し、2015年に新たなアニメ制作会社スタジオポノックを設立します。 西村義明はスタジオジブリ制作映画『かぐや姫の物語』を手がけた事で知られており、制作部が解体してしまったせいで宮崎駿の元で働いたクリエイターの志が潰れてしまわないように、“ジブリの血”を受け継ぐようなアニメ制作会社を作ろうと思ったのです。 そして『思い出のマーニー』の際に意気投合した米林宏昌と共に、スタジオポノックを設立しました。

スタジオポノック初作品は『メアリと魔女の花』

さて、そんなスタジオポノックにとって初作品となるのが、米林宏昌監督最新作『メアリと魔女の花』です。 11歳の少女メアリが、ある日「魔女の花」を手にし一夜限りの魔法を力を得るも、事件に巻きこまれてしまうというストーリー。 6月22日に行われたスペシャルトークイベントでは、米林宏昌監督と西村義明、そして今回メアリの声優役を演じた杉咲花などのキャストも登場しました。その際、監督は今作を宮崎駿に観てもらえなかったという事を語っています。しかし、ねぎらいの言葉はあったようで、それに対して安堵した気持ちを述べていました。

米林宏昌が“ジブリ人生”の全てを注ぎ込んだ『メアリと魔女の花』

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先述のイベントで西村義明は、『メアリと魔女の花』監督の米林宏昌が今作でジブリというものから離れ、彼自身“ジブリ人生”で培ってきた全てを注いだと名言していた事を明かしています。さらに、今作のスタッフは約8割がジブリに携わった事がある者なのだそう。 ますます期待が高まる『メアリと魔女の花』は7月8日から全国公開予定。今後の米林宏昌とスタジオポノックの動向から目が離せません。