2018年10月30日更新

『紅の豚』キャラクター&声優一覧【あのシブい声の主は誰?】

©Studio Ghibli/BVHV/Photofest

宮崎駿監督によるスタジオジブリ映画『紅の豚』(1992)。自分に魔法をかけて豚になった賞金稼ぎポルコ・ロッソの活躍を描いた物語で、糸井重里によるキャッチコピー「カッコイイとは、こういうことさ」も話題になった本作の登場人物、声優を紹介します。

『紅の豚』キャラクター&声優一覧

宮崎駿監督が掲げた「疲れて脳細胞が豆腐になった中年男のためのマンガ映画」というコンセプトのもと製作され、1992年7月18日に公開されたジブリ映画『紅の豚』。 主人公の豚のパイロット、ポルコをはじめとして、本作には魅力的なキャラクターが数多く登場します。この記事では、そんな本作のキャラクターと声で命を吹き込んだ豪華声優陣を一挙に紹介します。

まずは『紅の豚』のあらすじを紹介!

魔法で豚になった元エースパイロット

紅の豚
© Studio Ghibli/Buena Vista Home Video WRITER_EDITOR: bg

第一次大戦中にイタリア空軍のエースパイロットとして活躍したポルコは、戦争に明け暮れる人間社会に嫌気が差し、自らに魔法をかけて豚になると、除隊して赤い飛空艇サボイアS.21を駆る賞金稼ぎとして生活していました。 ある日、空賊マンマユート団から女学生を救ったポルコは、幼馴染であるジーナの店に立ち寄ります。そこで、アメリカ人の凄腕飛行機乗りであるカーチスをマンマユート団が雇い、ポルコに対抗させようと目論んでいることを知るのでした。 整備に向かうところをカーチスに狙われたポルコは、エンジンの不調で撃墜されてしまいますが、どうにかミラノまで逃げ延びて馴染みのピッコロ社へ辿り着き……。

『紅の豚』主要登場人物

第一次大戦後の政情不安なイタリアが物語の背景にありますが、宮崎駿監督らしいキャラクター造形で、一貫してどこか優しい雰囲気を持つ登場人物たちとなっています。

皮肉な物言いに情を秘めたダンディな豚ポルコ・ロッソ

主人公ポルコは、口ひげにサングラス、トレンチコートが特徴です。イタリア語で「紅の豚」を意味するポルコ・ロッソ(Porco Rosso)を名乗っていますが、本名はマルゴ・パゴット(Marco Pagot)。 捻り込みマニューバの技で第一次大戦中にアドリア海のエースパイロットとして名を馳せるも、厭世感から魔法をかけて豚となり、空賊を殺さず撃墜する賞金稼ぎとして生活しています。 赤く塗った愛機、サボイアS.21試作戦闘飛行艇を駆って、空賊狩りを生業とする賞金稼ぎ。イタリア空軍に所属した退役軍人ですが、戦争ではないとの理由から空賊を殺すことはありません。 豚の姿になった理由やジーナとの恋愛の結末など、本作で最も謎が多いキャラクターだといわれています。

声優:森山周一郎

カッコいい豚こと、ポルコ・ロッソの声を演じたのは森山周一郎です。 元は劇団出身の俳優で渋い声質を買われ、吹き替えの草創期から声優としても活躍。ジャン・ギャバンなど、主にハードボイルド系の俳優を多く担当しています。 宮崎駿監督は、森山がテリー・サバラスを吹き替えた『刑事コジャック』のファンだったことから、ポルコ・ロッソ役へ起用したそうです。

ポルコを本名で呼ぶ憂いの貴婦人マダム・ジーナ

本作のヒロインは、アドリア海の飛行艇乗りが一度は恋するというマドンナ、マダム・ジーナ。ポルコ・ロッソとは幼馴染であり、「ホテル・アドリアーノ」の経営者でもある美女です。古くから飛行機乗りと交流があるようで、空軍内部のみならず広い情報網を持っていることが伺えます。 飛行機乗りのマドンナ的存在として崇められている彼女は、飛行機乗りと3度の結婚歴があり、全て死別しているという過去があります。

声優:加藤登紀子

”飛行艇乗りの憧れ”ジーナの声を演じたのは、本作の主題歌も担当した加藤登紀子です。 声優ではなくシンガーソングライターで、1996年の『誰も誰も知らない』でデビュー。女優としても活動する一方、ミリオンセラーを記録した『知床旅情』、『百万本のバラ』などのヒット作を生みました。

一本気な職人にして美少女フィオ・ピッコロ

フィオ・ピッコロは、祖父が経営するミラノの飛行艇製造会社「ピッコロ社」の設計士。 戦時中、ポルコと同じ部隊に所属した父親からエースの逸話を聞かされたため、ポルコに憧れを抱いていました。サボイアの再設計を任せられる確かな技能を備えています。

声優:岡村明美

岡村明美は『紅の豚』でデビューすると同時に、フィオ・ピッコロ役への抜擢で注目されました。 気が強い女性役を演じることが多く、アニメ・ゲーム・吹き替えなど幅広く活躍。その他の出演作は、アニメ『ロミオの青い空』のビアンカ役、『ONE PIECE』のナミ役などがあります。

直情型アメリカン・パイロット、ドナルド・カーチス

空賊連合が用心棒として雇ったポルコのライバル、ドナルド・カーチスは、自らの名前と同じカーチス水上戦闘機を駆る傭兵パイロット。アリゾナ生まれのアメリカ人ですが、イタリア人の血を引く祖母を持つクォーターです。 美女とみれば口説かずにはいられない軽薄な性格をしており、フィオやジーナを次々と口説きました。ただし、パイロットとしては優秀で、ポルコと渡り合える技術を有しています。

声優:大塚明夫

ポルコと激戦を繰り広げたカーチスを演じるのは、独特の低い声質が特徴の大塚明夫。 洋画の吹き替えへの出演が多く、スティーヴン・セガールは専属になっています。主演作の中では、ゲーム「メタルギアソリッド」シリーズ、アニメ「ブラック・ジャック」シリーズなどが非常に有名です。

飛行機製造会社の社長、ピッコロおやじ

ポルコの昔馴染みであり、ミラノにある飛行機製造会社「ピッコロ社」の社長です。 3人の息子がいますが、出稼ぎで家を離れているので、代わりに親戚の女性をかき集めて工場を経営しています。

声優:桂三枝 (現:桂文枝)

声優を担当したのは、「いらっしゃーい!」でお馴染み、桂三枝こと6代目桂文枝。 実は過去には高畑勲監督の『じゃりン子チエ』に花井渉役で出演もしている文枝。意外にも、俳優としても『真田丸』や『小さな巨人』などに出演しているほか、監督・脚本・原作として『ゴルフ夜明け前』なども手がけています。

愛すべき空賊の親分、マンマユート・ボス

いつもポルコと小競り合いを続けているマンマユート団。そこのボスがマンマユート・ボスです。 一匹狼を気取りながらも空賊連合と手を組んだり、子供に優しかったり、フィオにおだてられて調子に乗ったりと、何かと人間臭い部分が魅力のキャラクターです。

声優:上條恒彦

マンマユート・ボスを演じたのは、ドラマ『やすらぎの郷』や映画『千利休 本覺坊遺文』にも出演していた上條恒彦。 宮崎駿監督作品では、『もののけ姫』のゴンザ、『千と千尋の神隠し』の父役などを演じています。いずれも、少し愚かしいところがありつつも、どこか憎みきれない役というのが共通点としてあげられるのではないでしょうか。

ポルコの元戦友、フェラーリン少佐

ポルコの元戦友で、イタリア空軍で少佐を勤めるのがフェラーリン少佐。彼はポルコに軍に戻ってくるよう説得しつつも、軍からポルコを庇ってくれているという複雑な人物です。 また、実在のパイロットであるアルトゥーロ・フェラーリンがモデルとされていますが、劇中では実在したフェラーリンと同一人物であるかどうかは明言されていません。

声優:稲垣雅之

声優を務めるのは稲垣雅之。声優としてテレビアニメ『宇宙戦艦ヤマトIII』やOVA版『銀河英雄伝説』に参加しているほか、俳優として『劇場版 SPEC〜天〜』や『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜 スペシャル』などにも出演している人物です。 また、稲垣はエンターテイナーを育成する「EXPG STUDIO」のインストラクターも務めています。

『紅の豚』は宮崎監督にとって過渡期の一本?

後に、プロの声優をほとんど起用しなくなっていく宮崎駿監督。本作では、加藤登紀子が主要人物を演じているなどその片鱗が見え隠れする一方で、大塚明夫らアニメを主戦場に活躍する声優も主要人物に起用されており、監督にとっては『紅の豚』は過渡期の一本だったと推測できますね。 本業が声優ではない人物を演出する宮崎監督の力は、この頃から育まれていったのでしょう。 この作品と前後して、宮崎監督の作品には積極的に声優以外がキャスティングされることが増えていき、それは現在の日本のアニメ映画界のキャスティングにも少なからず影響を与えていると推測できます。 そうして見ると、『紅の豚』は日本映画界にとっても非常に重要な一作だったといえるのではないでしょうか。