映画『紅の豚』ポルコ・ロッソに惚れ直す!ジブリ史上最も大人なキャラクターについてご紹介!

2017年5月13日更新 3404view

元イタリア空軍のエースパイロットで、退役後は空賊狩りの賞金稼ぎとして活躍する、ポルコ・ロッソ。豚になってもかっこいい!大人の飛行艇乗りについて、フィオとの関係やジーナとの恋愛の結末、謎多きその後などをご紹介します。

飛行艇乗りの夢とロマンがつまった映画『紅の豚』

『紅の豚』

映画『紅の豚』は、宮崎駿が空への憧れと夢を基に描いた『宮崎駿の雑想ノート』収録の漫画、「飛行艇時代」を自ら脚本・監督を務めて映画化した作品です。

舞台は第一次世界大戦後、イタリア・アドリア海の島々。賞金稼ぎを生業とする主人公、ポルコ・ロッソを目の敵にする空賊たちは、天敵を倒すため凄腕のアメリカ人を雇います。ジーナの心配も他所に、撃墜されたポルコは機体を修理するためミラノにある飛行艇製造会社を訪れて・・・・・・。

主なターゲットの年齢層が高かったため、複雑かつ大人の物語が綴られている本作。ポルコ・ロッソは、ジブリ史上最も大人なキャラクターだと言われています。スタジオジブリの中でも特に人気が高い作品の1つで、繰り返しテレビ放送が行われてきました。

ポルコ・ロッソのプロフィール

『紅の豚』

ポルコ・ロッソは、1893年生まれのイタリア・ジェノバ出身で、元イタリア空軍エースパイロット。戦争後に退役、豚になった後はアドリア海の無人島を拠点にして、空賊狩りの賞金稼ぎをしています。

名前はイタリア語で”赤い豚”を意味しており、本来はかなり過激な蔑称であるとのこと。本名は”マルコ・パゴット”と言い、ポルコを恨む空賊たちがニックネームとして名付けました。その一方で、ポルコも謂れのない罪状によって政府から追われる身となっています。

賞金稼ぎとしてのモットーは「戦争じゃないので殺しはしない」という、とにかくかっこいい男(豚)!その生き様はハードボイルドそのもので、大人の魅力溢れるキャラクターなのです!

イタリア空軍時代は人間の姿だったポルコ・ロッソ

ポルコ・ロッソは元々人間で、第一次世界大戦中の空戦の回想シーン、ジーナの店にある写真(顔が黒く塗り潰されている)では人間の姿が描かれています。

かつてイタリア空軍の大尉、マルコ・パゴットとして戦争に参加していたポルコ。仲間が次々と戦死する中で唯一生還した後に、自ら魔法をかけて豚になりました。決定的な動機は不明ですが、戦争への苦悩などによって人間に嫌気が差した、という説がファンの間では主流のようです。

そもそも『宮崎駿の雑想ノート』では、擬人化した動物が特に理由も無く存在していました。映画でもポルコは豚で通すと決定しますが、物語は戦争や世界恐慌を背景とした複雑なものに。そのため、豚の姿に何らかの設定が必要となってしまい、”魔法を”後付けしたのでは?とも言われています。

愛機の飛行艇はサボイアS.21試作戦闘飛行艇

『紅の豚』

ポルコ・ロッソの愛機は、全体を赤く塗ったサボイアS.21試作戦闘飛行艇。1920年代に一機のみ試作されるも、”過激なセッティング”による難があり、倉庫で埃を被っていた所を購入しました。

この機体のモデルは、宮崎監督が小学生の時に一度だけ見た飛行艇の写真です。実在した同名の飛行艇とは機体が異なっており、後の対談で実機モデルは「マッキM.33」だと判明。制作時に資料が無く、名前すら確かではない状態での再現になった結果、2つの機体が混同したと語られています。

また、映画版の撃墜前とピッコロ社での改修後、漫画版で機体に差異が存在するとのこと。計4タイプのバリエーションを区別するため、”F”や”後期型”と呼称される場合もあるそうです。

男勝りな飛行艇設計士フィオとの関係

フィオ・ピッコロは、ミラノの飛行艇製造会社「ピッコロ社」の設計士。愛機の修理が終わりポルコがミラノを去る際、「自分の仕事に最後まで責任を持ちたい」との思いから同行を申し出ます。

ポルコに強い憧れを抱いており、かつてポルコと同じ部隊の所属だった父親から、エースパイロットの逸話を聞かされていたのだとか。ポルコもフィオの真っ直ぐな部分を見て、「人間も捨てたものじゃない」と発言するなど、出会いを通して心境に変化が現れていました。

物語の終盤、イタリア空軍の襲撃から守るために、ポルコはフィオをジーナの飛行艇へ預けます。別れ際にフィオからキスが贈られ、それが本編における2人の最後のシーンになった模様。フィオがミラノへ帰る日にも姿を現さなかったそうなので、その後の関係については不明です。

飛行艇の乗りのマドンナで幼馴染のジーナとの結末

マダム・ジーナは、ポルコが豚になる以前からの昔馴染みで、ホテル・アドリアーノの経営者にして飛行艇乗りたちのマドンナ的存在。「アドリア海の飛行機乗りはジーナに恋をする」と言われています。

過去に3回、ポルコと結成した「飛行艇クラブ」のメンバーと結婚するも、全員と死別しました。劇中において数少ない、ポルコを本名の”マルコ”と呼ぶ人物であり、そのことからもただならぬ関係がうかがえます。ホテルの名前も、遊覧飛行でポルコに乗せてもらった飛行艇、”アドリアーノ”に由来しています。

ポルコも昔からジーナに惚れていましたが、最後まで明確な関係にはならなかった2人。本編終了後、ファンの間ではジーナの賭けの勝敗が大きな話題になりました。その賭けというのは、昼間庭にいる時に訪ねてくるかどうか、もし来たら今度こそ愛そうというもの。

フィオ曰く「賭けがどうなったかは、私たちだけのひみつ」……。大人の雰囲気溢れる2人の恋愛の結末は、果たしてどのようなものだったのでしょうか。

ポルコ・ロッソを演じた声優は森山周一郎

『紅の豚』の主人公ポルコ・ロッソ、マルコ・パゴットの声を演じた声優は森山周一郎です。

元々は舞台出身の俳優で、刑事ドラマへの出演やアクション作品などの悪役を演じる一方、吹き替えの草創期から数多くの洋画吹き替えで活躍。渋い声質を活かし、アメリカの人気ドラマ『刑事コジャック』のテリー・サバラス、ジャン・ギャバンといったハードボイルド系の俳優を担当しました。

ナレーションも多く手掛けており、近年は老紳士役などで円熟した演技を披露しています。当たり役の1つであるポルコは、宮崎監督が『刑事コジャック』のファンだったことが、森山の起用に繋がったそうです。

謎多きポルコ・ロッソのその後

ポルコ・ロッソのその後については、大きな謎が主に2つあります。その1つ目は、「ジーナと結ばれたのか?」ということ、2つ目は「人間に戻ることはできたのか?」ということです。

前述したジーナの賭けの結果は、ラストでフィオのナレーションと共に映る、「ホテル・アドリーノ」のシーンに勝敗が隠されている模様。非常に小さく見えにくいのですが、ポルコの愛機と思われる飛行艇が、裏庭側に泊められている様子が描かれているそうです。

この描写から、ジーナは賭けに勝ったという考察がなされており、最終的に”ポルコとジーナは結ばれた”と解釈されるようになりました。

次に”人間に戻ることはできたのか”についてですが、ポルコはフィオの別れ際のキスによって、人間に戻ることができたと言われているようです。

しかし劇中では、一瞬だけ人間に戻っているかのようなシーンがいくつかあるため、完全に戻ったかどうかは疑問視されていました。監督はポルコが完全に人間に戻ることに対し否定的で、「またすぐ豚に戻り、十日もすれば飯を食いにジーナの店に現れる」と語っています。

『紅の豚』続編として構想された「ポルコ・ロッソ 最後の出撃」

『紅の豚』

宮崎駿監督は、2010年公開の『借りぐらしのアリエッティ』制作時に受けたインタビューにて、「続編として『ポルコ・ロッソ 最後の出撃』を作りたい」という旨を語りました。

原作『飛行艇時代』でも構想は語られており、ポルコ・ロッソがサボイア・マルケッティSM.79で雷撃する、”ポルコ・ロッソ 最後の出撃”。豚の整備兵ハンスの物語”虎の豚”という、2つのタイトルが挙げられましたが、「やっぱり道楽だ」との思いから制作には至らなかったようです。

監督の言葉を誤訳・意訳したのか、アメリカでは複数のメディアで『紅の豚』続編を企画中!と記事が出され、大きな話題になりました。あくまで道楽と語られていること、監督が長編作品から引退したことを考えると、続編が日の目を見る可能性は低いかもしれませんね。