2024年3月6日更新

『魔女の宅急便』画家の名前はウルスラ!1人2役演じた声優や意外と知らない原作でのその後を紹介

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魔女の宅急便

スタジオジブリの名作、『魔女の宅急便』。おソノさんをはじめとした魅力的なキャラクターが多い中、宅配物を落としたキキが森の中で出会った画家の少女、ウルスラが印象に残った人も多いのではないでしょうか。 キキにとっては頼れるお姉さん的存在のウルスラですが、実は作中では名前さえ登場していないミステリアスなキャラ。今回は、そんなウルスラについて、映画では描かれなかったその後の人生までを紹介します!

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『魔女の宅急便』ウルスラって?実は声優があのキャラも演じていた!

魔女の宅急便
本名 ウルスラ
年齢 19歳
声優 高山みなみ

ウルスラは画家で、森の中で絵を描くことに没頭している19歳の少女です。作中では「夏の間は小屋に居る」と話していることから住まいは別の場所ですが、絵を描くことに集中するために一時的に森へ来ているようです。 キキが宅配便の品物を落としてしまったことから出会い、落ち込んだキキを慰める面倒見の良い性格をしています。その一方で、キキと買い出しに出た際は、格好も相まってヒッチハイクをしたおじさんに男だと思われる、という大雑把な一面も。男に間違えられても、「この曲線美がわからないとはねえ」とへっちゃらな様子なのも、魅力的ですよね。

ウルスラの声優はキキと同じ!?

実はウルスラの声は主人公キキと同じ声優・高山みなみが務めています。もともと高山みなみはウルスラ役での出演となっていたのですが、キキ役がなかなか決まらなかったために、キキ役のオーディションにも参加し勝ち取ってしまったんだとか。 高山みなみは1964年東京生まれの声優・ナレーター・歌手。1987年に声優デビューした後は、1989年に 本作の2役で知名度が上がり、その後1993年スタートの『忍たま乱太郎』の猪名寺乱太郎役、1996年スタートの『名探偵コナン』の江戸川コナン役などを務め、彼女の代表作となりました。 歌手としては1995年からTWO-MIXという音楽ユニットを作詞家・永野椎菜と組んでいて、高山みなみはヴォーカルを担当。アップテンポな楽曲が多く、アニメやバラエティ番組などに度々使用されてきました。

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ウルスラはキキのその後の姿を暗示している?

「金曜ロードSHOW!」ではさまざまなマル秘情報などを独自で収集しTwitterで公開していますが、『魔女の宅急便』のオンエア時には上のような投稿があげられています。劇中の主な女性キャラは、全て主人公キキが成長した姿の体現だそうです。 13歳の少女から大人になりつつあるキキ、そして独り立ちして前向きに夢(画家)への道を歩んでいる19歳のウルスラ、家庭を持ち新たな命を授かる26歳のおソノ、子供が成長し心配でも独り立ちを遠くから温かく見守る37歳のコキリ、孫が出来て最後の生活をゆっくりと過ごしている70歳の老婦人。 人生の分岐点とも言える大事な時期の女性たちがたくさん出ていますよね。キキは同じように自立から出産、子供の独り立ちなどを経験していくのです。原作ではキキの子供(双子)が独り立ちするところまで描かれています。

実は「ウルスラ」という名前は劇中で一度も呼ばれていない?

魔女の宅急便

実は「ウルスラ」という名前は、原作にも劇中にも1度も出てきません。そしてエンドロールにも名前がないのです。そのため普通に映画を観ているだけでは、絵描きの少女が「ウルスラ」ということには気が付きませんね。 ただジブリの有名作品『魔女の宅急便』は、何度もテレビ放送されネット上にもさまざまなページが開設されていることから、「画家の少女=ウルスラ」というように名前が浸透したのかもしれません。

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ウルスラの名前は彼女の正体を現している?

実は「ウルスラ」という名前はキリスト教における伝説の魔女の名前でもあります。宮崎駿はウルスラについて、「あの絵描きのお姉さんも魔女だと思うんですよ。カラスをたぶらかして絵を描く。次にはキキもたぶらかして~」と語っているので、そこからインスパイアされたのかもしれませんね。 彼いわく「そういうところを持っている人」、つまり“人たらしな”人を出したかったそう。劇中に母親が登場しないため、魔女の血を引いているのかはわかりません。もし本当に魔女なら、絵描きの才能があって人たらしで……想像するとすごそうですね! ちなみに、原作でも「ウルスラ」という名前は登場しておらず、キキからは「絵描きさん」と呼ばれています。

ウルスラが描いた絵は実在していた!

魔女の宅急便

劇中に登場するウルスラの絵ですが、この絵は実在しています。青森県八戸市立湊中学校の養護学級に在籍した生徒14名が、同校の美術教師・坂本小九郎の指導で共同制作したもの。坂本は八戸市を拠点に教育版画の実践を試みた人物です。 絵のモデルとなった「天馬と牛と鳥が夜空をかけていく」は、4枚の連作版画「虹の上をとぶ船」シリーズ総集編Ⅱ(1976年)のうちのひとつ。 坂本はとあるインタビューで、版画教育協会所属の版画家・大田耕士(宮崎駿の義父)に生徒の作品を見てもらうなど、交流があったと明かしています。義父の縁から宮崎は作品を知る機会に恵まれ、感銘を受けて劇中に取り入れたのでしょう。 実際の作品は版画なので色合いはありませんが、真ん中に描かれているキキの顔以外のデザインはそのものと言っていいほど同じです。 2022年4月現在、「虹の上をとぶ船」の多くは八戸市美術館が所蔵。同館では企画展「持続するモノガタリ」が開催中で、後期は総集編Ⅱも展示されます。ちなみに、モデルの版画は青森県立美術館にも所蔵されているとの情報があるため、複数刷られているかもしれません。

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『魔女の宅急便』心に響くウルスラの名言

「そういう時はジタバタするしかないよ。描いて、描いて、描きまくる」

魔女の宅急便

寝る時間ももったいないと感じるほど、絵に没頭していたウルスラ。そんな彼女自身も、自分の絵は誰かのマネだと感じ、何度描いても気に入る作品に出会えなかった時がありました。 その経験を通じて、魔法の力が弱くなってしまったキキにアドバイスを送ります。壁にぶつかった時には、何度も何度もあきらめずに繰り返す精神が必要なんです。すぐに諦めてしまっては前へ進めません。

「描くのをやめる。散歩したり景色を見たり、昼寝したり何もしない。そのうちに急に描きたくなるんだよ」

魔法が弱くなってから、ほうきが折れるまで何度も何度も飛ぶ練習をしたキキ。ジタバタしてもダメだったらどうすればいい?と、ウルスラに尋ねた時の返事です。 人間は何もしなくなると、やっぱり何かをしたくなってしまうもの。これは、「その時」が来るのを待つということです。結果、キキは飛ぶことを辞めてしばらくお休み期間に入りますが、トンボの危機を前にして飛べるようになりましたね。

「魔女の血 絵描きの血 パン職人の血。神さまか誰かがくれた力なんだよね」

魔女は呪文ではなく血で飛ぶと言ったキキに対し、ウルスラはこう答えます。本作はファンタジー要素があるので、魔女がいてもおかしくありません。そして魔女は特別扱いされていません。 魔女も絵描きもパン職人も、「神さまか誰かがくれた力」と表現されています。みんなそれぞれ「神さまか誰かがくれた力=才能」があると言っているのです。 誰かをうらやましいと感じることがあっても、みんな平等に「神さまか誰かがくれた力=才能」を持っているんだよ、というメッセージになっています。

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『魔女の宅急便』原作で描かれたウルスラのその後

映画の中では、ウルスラとのエピソードは多くありませんが、原作ではどのように描かれているのでしょうか。 原作では、キキとジジをもとにした絵を描いた絵描きさん(原作でのウルスラの名前)が、キキにその絵を展覧会への運んでくれないか、と依頼するエピソードがあります。大きな絵に風船を括り付けて運ぶキキの姿は大きな話題になり、展覧会は大成功、キキが行っている「魔女の宅急便」にも依頼が増えたそう。 原作でも2人のエピソードはそこで終わっていますが、ウルスラはその後も時々キキに宅急便をお願いしているかもしれませんね。

『魔女の宅急便』絵描きの少女ウルスラはいつかキキがたどり着く未来

ひょんなことからキキと出会い、迷う彼女をお姉さんとして導いてくれるウルスラ。キャラクター原案は、原作1巻の「絵描きさん」とされています。 原作でも同じような登場の仕方をしますが、その後キキと再会するシーンはありません。名もなき絵描きの少女が、映画で重要な役割を果たすのは感慨深いです。キキもやがて彼女のように自立し、大人の女性へと成長していくのでしょう。