2018年4月13日更新

高畑勲監督おすすめ映画9選【火垂るの墓】

このページにはプロモーションが含まれています

AD

日本が誇る名アニメ監督、高畑勲が手掛けた名作を振り返る

2018年の4月5日に逝去した、日本を代表するアニメ監督、高畑勲。1968年の監督デビューから2014年まで、宮崎駿と共に多くのアニメ映画を手掛け、スタジオジブリの名を世界中に広めました。 今回は、彼が手掛けた多くの名作をご紹介します。ファンタジーから現代劇、ユーモラスな作品からシリアスな作品まで、幅広い作風で知られた高畑作品の魅力に触れてみてください。 時代に左右されない輝きが込められた作品ばかりですよ!

1.記念すべき初監督作!『太陽の王子 ホルスの大冒険』

父の死をきっかけに旅に出た少年ホルスと、彼が行く先々で現れる悪魔との戦いを描いた冒険活劇です。 1968年というアニメ映画黎明期に制作された作品ですが、複雑な心理描写と深いテーマ性を持ち合わせています。1960年代後半の雰囲気が反映された、子供向けとは思えないようなシリアスな作風が特徴です。 高畑勲の初の監督作品であり、宮崎駿も場面設計などを手掛け製作に大きく関わりました。3年もの時間をかけて製作したにもかかわらず、興行的には成功できなかったものの、その後の彼らのキャリアにとって大きな転換点となった作品です。

2.『となりのトトロ』ファンなら必見!『パンダコパンダ』

法事に行ったおばあちゃんの代わりに留守番中のミミ子の元にやって来たのは、人の言葉が分かるパンダの親子。すっかり仲良くなって一緒に暮らし始めるミミ子たちでしたが、実はパンダ親子は動物園から脱けだしてきたようで……。 パンダたちが引き起こすドタバタを、明るくハートフルに描いた中編アニメです。宮崎駿が脚本や原案、高畑が演出を担当しています。 日本中にパンダブームが巻き起こっていた1972年に、子供向けの作品として公開されました。後の『となりのトトロ』の原型になったとされる、高畑・宮崎コンビの初期を代表する名作です。

AD

3.高畑自身のお気に入りだった下町人情アニメ『じゃりン子チエ』

人気漫画『じゃりン子チエ』劇場アニメ版。大阪の下町でホルモン焼き屋を経営している少女チエと、彼女の周囲の人々をユーモアたっぷりに描いたコメディー作品です。 原作から幾つかの話を切り取って、一つの長編ストーリーに仕上げています。中山千夏や西川のりおなどといった関西出身のタレントや有名お笑い芸人を声優に起用するなど、下町らしさを重視したキャスティングには、高畑監督のこだわりが感じられるでしょう。 本作の成功が後にテレビアニメ化へと繋がり、同じく高畑が監督を務めたテレビシリーズも大きな人気を集めました。

4.日本人なら一度は見るべき傑作『火垂るの墓』

野坂昭如が実体験をベースに執筆した同名小説を、アニメオリジナルの要素を入れて映画化しました。空襲で母親を失った清太と節子の兄妹が、戦争末期の日本で如何に生き抜こうとしたかを描いています。 戦争の悲惨さを表現した作品として世界的にも高く評価されていますが、脚本も担当した高畑によると本作は反戦アニメではないようです。 日本では定期的に夏にテレビ放映され、スタジオジブリの作品の中でも国民的な知名度を持つ作品となっています。原作者である野坂昭如や黒澤明にも絶賛された、高畑の代表作です。

5.ジブリなのにドキュメンタリー?隠れた名作『柳川堀割物語』

福岡県柳川市の「堀割」と呼ばれる水路の成り立ちと荒廃、そして再生を、地域の人々の活動を中心に丁寧に映し出したドキュメンタリー映画です。 『風の谷のナウシカ』がヒットしたことにより制作が可能になった作品であり、自然破壊に対する警鐘という点ではテーマが共通しています。当初の予定を大幅に上回る制作期間と、宮崎駿の自宅を抵当に入れることになった程の膨大な費用が掛かったというエピソードも。 ジブリのイメージとは違う実写映画ですが、ドキュメンタリーの傑作として非常に評価の高い作品です。

AD

6.リアリティーを徹底して追い求めた『おもひでぽろぽろ』

田舎への憧れを持ちながらも東京で暮らすOLのタエ子は、休暇を取って姉の夫の親戚の家に滞在することになります。滞在先の山形へと向かう電車の中で、彼女は小学5年生の頃を回想し……。 派手な展開は無く、タエ子や様々な人々の生活を穏やかに描写したノスタルジックなストーリー。 物語の舞台となる1982年と1966年の様子や、山形の美しい自然風景を徹底的にリアルに再現しています。シンプルな分、好き嫌いが分かれやすいですが、他の作品には無い独特の魅力がある作品です。 今井美樹や柳葉敏郎などの豪華キャストを声優に起用している点にも注目。

7.見た目よりも深い!コミカルなだけじゃない『平成狸合戦ぽんぽこ』

人間による宅地開発によって生活を脅かされた狸たちが、変化の術を使って対抗しようとする物語。 自然の破壊という重い背景を持ちながらも、あくまでコミカルに描き切ったエンターテインメント作品です。 原作と脚本を書いたのも高畑であり、彼のエッセンスが存分に詰まっています。落語家を声優に多くキャスティングしており、暗い展開にもユーモラスな空気を漂わせているのが特徴です。 一見ではライトなアニメ映画ですが、その裏には深いテーマ性があり、大人から子供まで違った楽しみ方が出来る作品と言えるでしょう。

AD

8.ハイセンスな作画と温かいストーリー『ホーホケキョ となりの山田くん』

いしいひさいちによって朝日新聞に連載されている4コマ漫画『ののちゃん』を原作にした長編作品です。主役である山田一家を通して、日本の家族のあり方を非常に自然に描いています。 興行収入が振るわなかったこともあってジブリの中でも目立たない作品ですが、「家族」をテーマにしたストーリーや淡い色合いを使った芸術的な作画など、作品自体のクオリティーは他にも劣りません。 元日本テレビ会長の氏家齊一郎が本作のファンであり、彼の助力によって、高畑監督の遺作となった『かぐや姫の物語』は制作されました。

9.高畑勲が古典作品を現代に蘇らせた遺作『かぐや姫の物語』

高畑の最後の監督作品となった『かぐや姫の物語』は、『竹取物語』が原作となっています。完成までには8年を費やし制作費は50億円以上と、圧倒的な規模で作られた作品です。 古くから伝わる古典作品のストーリーを忠実に再現しながら、『鳥獣戯画』をモチーフにした美しいアニメーションで芸術的に仕上げたことで、国内だけでなく海外でも多くの賞を獲得するなど非常に高い評価を受けました。 シナリオの面でも映像の面でも、高畑の円熟した表現力が感じられます。遺作となってしまいましたが、彼の新たな代表作となりました。 いかがだったでしょうか?決して古びない名作の数々を、是非楽しんでみてください!