2025年5月2日更新

『君たちはどう生きるか』ヒミはなぜ火を操るのか?異色のヒロインの正体を徹底解説

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君たちはどう生きるか、ヒミ

『君たちはどう生きるか』のヒロインで、炎を操る少女・ヒミ。主人公・眞人と深い関係のある少女であり、2人の時間を超えた冒険が全編を通して描かれます。また、あいみょんが声優を務めたことでも公開前から大きな注目を集めました。 この記事では、主人公が異世界で出会う少女「ヒミ」について、その正体やラストの決断、さらに夏子との関係性まで、徹底的に解説・考察していきます。 ※本記事には『君たちはどう生きるか』のネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください。

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『君たちはどう生きるか』 ヒミの基本情報

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名前 ヒミ
年齢 不詳
声優 あいみょん
正体 眞人の母・ヒサコ(少女時代の姿)

ヒミが初めて劇中に登場したのは、主人公の眞人と船乗りのキリコが、“人間に生まれ変わる”という「わらわら」たちが天に上るのを見守っていた時。わらわらを主食とするペリカンたちが襲ってくるのを遠ざけるため、独り小舟に乗って海から火を放っていました。 キリコは彼女を知っていて、「ヒミさま」と呼びます。眞人はヒミがわらわらまでも焼いてしまっているのを見て思わず「やめろ!」と叫びますが、彼女のおかげでペリカンたちは退散しました。 ヒミと眞人が初めて会話をしたのはペリカンの住処のシーンです。眞人がペリカン軍団の餌になる寸前で、ヒミが炎を出して救出。「お前、マヌケだね」とマヒトを馬鹿にします。 さらに眞人が探す夏子は妹だと明かした後、炎のワープゾーンを使ってヒミの家へと脱出しました。2人の冒険はここから始まります。 ヒミは眞人よりも幼く見える少女ですが、大胆かつ勇ましい性格。突然炎から出現したり、炎のあるところへ体ごと移動できる能力も持っています。異世界の住人で、この世界を統べる「殿様」を「大叔父」と呼んでいました。

『君たちはどう生きるか』ヒミは眞人の母!ラストで現実に戻る理由が泣ける

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ヒミの正体は眞人の母親・ヒサコ

ヒミが大叔父と呼ぶ人物は、実際に眞人の母・ヒサコの大叔父であり、ヒミの正体は少女時代のヒサコでした。劇中ではナツコを「妹」と呼んだり、それとなくわかる場面が何度かありますが、ラスト近くで眞人と会話する内容からヒサコであることがわかります。 眞人がヒミを母親だと分かる描写は登場しません。初めての対話シーンでヒミが「夏子は妹」と言及しており、眞人はハッとした顔をします。さらにヒミの家で食べた朝食の感想で「母さんが焼いてくれたパンみたいだ」と言っており、眞人は最初からヒミが母だと分かっていたのではないでしょうか。 一方のヒミは、朝食の段階で「夏子は母親か」と言っているように最初は気づいていない様子。石の産屋でも「我が妹を息子となるものの元へ返し給え」と伝えており、ここでも気づいていません。結局ラストまでいつ息子だと気づいたのか、という描写はありませんでした。 あくまで推測ですが、気絶から目覚めた際に大叔父から伝えられたとも考えられます。再会した時の「ジブリハグ」は、息子だと分かった喜びも含まれていたのかもしれません。

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ヒミがラストに現実へと戻った理由

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そしてお別れのシーンです。ヒミは「私は眞人のお母さんになるんだからな」とはっきり言っており、眞人も彼女が母親であることをわかって話していました。ヒミは自分の少女時代につながる扉、眞人は自分の少年時代につながる扉をそれぞれ通って現実世界へ戻ろうとしますが、そうすると彼女がいずれ「病院の火事で死んじゃう」と、眞人はわかっているのです。 それでもヒミは「素敵じゃないか、眞人を産むなんて」と言い、彼女の世界へ戻りました。屋敷の老婆たちが言っていた“ヒサコが1年間消えていた”期間が、この異世界での時間だったようです。異世界と現実の時間は同一ではなく、不思議な塔は時空を超える装置のようなものだとすると、ヒサコの異世界での1年間に眞人がアクセスし、元の「未来」に戻ったと考えられます。 ヒミは悪意のない世界で長く生きる生き方ではなく、火事で死んでしまう運命が待っていても母になる生き方を選んだのです。それがヒミの「どう生きるか」の答えでした。

『君たちはどう生きるか』ヒミの火の魔法の正体とは?

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ヒミは火を操り、炎から出没することができる能力を持っていました。ヒミがなぜ異世界で火の魔法が使えるのかは、劇中で明言されていません。 「火」といえば未来のヒミであるヒサコは、空襲による病院の火事で亡くなってしまいます。塔の世界は時間軸が混ざりあった世界。時間的には逆行する形となりますが、ヒサコが「火」で亡くなるからこそ、ヒミに火の力が宿ったとも考えられます。 一方で主人公・眞人にとって「火」はトラウマな存在でした。序盤は夢の中で火事の瞬間を思い出し、涙を流すシーンもあります。しかしヒミと出会い、美しい「火」の魔法を体験する眞人には恐れがなくなっていました。 ヒサコの「火」からヒミの「火」へ、眞人が辛いトラウマを乗り越える心の成長が可視化されているとも言えるのです。

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『君たちはどう生きるか』ヒミは死の象徴?生を表すナツコとの対比は?

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ヒミと夏子は一貫して対比するように描かれていました。 夏子は物静かな性格ですが、ヒミはお転婆な女の子。外見も夏子は着物で上品さを感じさせるのに対し、ヒミはエプロン姿で庶民的な姿です。部屋の作りも夏子の部屋は茶色を基調とした暗めな部屋だったのに対し、ヒミの部屋は花が飾られ、彩り鮮やかでした。 また本作の1つのテーマである「生死」の動きも正反対です。ヒミ(ヒサコ)は、空襲による「死」から生命を思わせる炎の姿になる「死から生」。一方の夏子は妊娠の「生」から、作中で死と関連付けられた「石」の産屋に向かったため「生から死」です。 そんな正反対な2人ですが、ラストはどちらも「生」に帰還します。夏子は現実世界に戻り、子どもを生みました。そしてヒミも火災で死ぬことを知りながら、眞人を産む決意をしたのです。

ヒミの声優はあいみょん

AIMYON TOUR 2022 “ま・あ・る” あいみょん

少女時代のヒサコ/ヒミの声を担当したのは、シンガーソングライターのあいみょんです。事前情報がなかっただけに、エンドロールで彼女の名前を見た人は驚いたことでしょう。 これまで主題歌「ハルノヒ」を提供した『クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 〜失われたひろし〜』(2019年)に本人役で出演したことはありますが、本格的にアニメ声優を務めたのは本作が初めてです。

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『君たちはどう生きるか』ヒミは魅力がつまったジブリの新ヒロイン

『君たちはどう生きるか』のヒロイン、炎を操る謎の少女ヒミ。その正体は眞人の母・ヒサコの少女時代、という衝撃的な真実がありました。 そしてラストでは、死ぬ運命が待ち受けていようと現実世界に戻ることを決意します。ヒミにとっての『君たちはどう生きるか』は「眞人の母になる」だったのです。眞人と話すヒミの表情や言葉の間合いなどに注目して鑑賞すると、眞人に対する想いの変化がより深く理解できます。

『君たちはどう生きるか』
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