2025年4月16日更新

『君たちはどう生きるか』インコ大王は誰がモデル?4種類のインコマンも含め徹底解説!

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君たちはどう生きるか、ジブリ、眞人、まひと、鳥

ジブリ映画『君たちはどう生きるか』(2023年)に登場するインコたち。擬人化されたインコたちは、そのマンガっぽい見た目もほかのキャラクターとは一線を画しています。 『君たちはどう生きるか』で、なぜインコはそのように描かれているのでしょうか。この記事では、インコマンたちの種類やモデルなど、その謎を考察していきます。 かわいいとも怖いとも言われるインコマンの謎に迫っていきましょう!

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『君たちはどう生きるか』インコは怖い?かわいい?

擬人化されたインコマンについては、「怖い」という意見と「かわいい」という正反対の意見があります。 「怖い」という人は、なんでも食べるインコマンの習性や、執拗に眞人たちを追う彼らに恐怖を感じているようです。また王国を築き、集団で滑稽な行動する彼らの言動に人間社会のメタファーを読み取っている人も多い様子。 一方、「かわいい」という人はもともとインコが好きな人や、擬人化された彼らのマンガ的な見た目、少し間抜けな言動にかわいらしさを感じているようです。なかでもインコマンが包丁を研いで眞人に向かってウインクする場面をかわいいと感じる人が多い様子。このシーンでは、海外でも笑いが起きていたようです。 観る人によって印象が変わるインコマンたちは、非常に奥が深い存在だと言えるでしょう。

『君たちはどう生きるか』インコ大王とは

君たちはどう生きるか、インコ

インコ大王は、インコマンたちを率いる王様です。 インコたちはもともと大叔父のによって「下の世界」に連れてこられましたが、インコ大王は考える力を無くしてしまったインコたちを率いる、カリスマ性のあるリーダーです。インコマンのなかでも1羽だけ服を着ていて、剣を持ち、王冠をかぶっているインコ大王。ほかのインコたちとは違い、彼が権力を持っていることがわかりますね。 一方で、インコ大王は眞人たちが大叔父に会うのを邪魔し、彼らが禁忌を犯して産屋に入ったことを報告するなど、「下の世界」の創造主である大叔父に常に指示を仰いでいます。

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インコ大王の声優は國村隼が担当

國村隼

インコ大王の声を担当しているのは、俳優の國村隼です。 名バイプレイヤーとしてよく知られる彼ですが、1997年には河瀨直美監督がカンヌ国際映画祭で日本人初のカメラ・ドールを受賞した『萌の朱雀』(1997年)で映画初主演を務めています。 その後も『地獄でなぜ悪い』(2013年)で主演を務めるなど、数々の作品に出演。2016年には韓国映画『哭声/コクソン』に出演し、その不気味な役柄から韓国でも知名度を上げました。

『君たちはどう生きるか』インコマンの種類

オレンジインコマン

眞人たちを鍛冶屋に招き入れたオレンジのインコマンは、インコマンたちのボスです。また、石の塔に侵入した眞人とヒミを発見し、通報したのもオレンジ色のインコマンたちでした。 公式アートブック『ジ・アート・オブ 君たちはどう生きるか』(スタジオジブリ)によると、インコマンのラフ画には、オレンジは「料理室」と書いてあるので、当初は明確に役割が分かれていたのかもしれません。

イエローインコマン

インコマンのなかには、黄色のイエローインコマンもいます。『ジ・アート・オブ 君たちはどう生きるか』のラフ画には「P.D.」と書かれており、「警察局(Police Department)」の略ではないかと思われます。 劇中では、特に印象的なシーンはありませんでした。

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イエローグリーンインコマン

君たちはどう生きるか、ジブリ、眞人、まひと、インコ

イエローグリーンのインコマンといえば、やはり包丁を研ぎながら眞人にウインクした場面が印象的です。 また彼らは、美しい大自然のなかをカラフルなインコが飛ぶ姿を見て、「ここは天国?」「ご先祖さま……」と涙を流すシーンも。愚かな群衆として描かれるインコですが、一方でピュアで美しいものに感動する感受性の豊かさも備えているようです。 『ジ・アート・オブ 君たちはどう生きるか』の説明には、「時の回廊」と描かれています。

スカイブルーインコマン

インコマンのなかには、水色のスカイブルーインコマンもいます。『ジ・アート・オブ 君たちはどう生きるか』のラフ画には、「鍛冶屋」と書かれています。 劇中では、特に印象的なシーンはありませんでした。

『君たちはどう生きるか』インコ大王のモデルは宮崎駿監督

宮崎駿

インコたちを率いるインコ大王は、インコたちにとってはカリスマ性のあるリーダーでありながら横暴で、自分を実際よりも大きく見せようとしていました。しかし、最後には収まりがつかず、世界の安寧を守る積み木をバラバラに切り刻んでしまいます。 『SWITCH Vol.41 No.9 ジブリをめぐる冒険』(2023年/スイッチ・パブリッシング)で鈴木敏夫プロデューサーが語ったところによると、「宮さん(宮崎駿)は自分がインコ大王で、なりたかったもう1人の自分が眞人だ」と宮崎駿自身が言っていたとのことです。 インコ大王が切り刻んだ積み木は、これまでの宮崎駿監督作と同じ13個で、それらが崩れ去ることで、これまでの自分の作品を自虐的に批判しているのでは、といわれています。

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『君たちはどう生きるか』インコマンのモデルはスタジオジブリのスタッフ?

インコ大王のモデルが宮崎駿ということは、彼に従うインコマンたちのモデルは、スタジオジブリのスタッフと考えることができます。 また大叔父のモデルは高畑勲といわれており、スタジオジブリの礎を築いた高畑勲と、彼に付き従っていた宮崎駿、またその宮崎駿に従うスタッフ……。そうなると石の塔は、具体的に誰が誰、というわけではないようですが、スタジオジブリそのものをモデルにしているのかもしれません。 インコマンたちは自分で考える力を失くし、インコ大王に付き従うだけの存在です。これが自社のスタッフをモデルにしているというならかなりの皮肉ですが、『君たちはどう生きるか』自体が宮崎駿の自身のこれまでの作品に対する自己批判だという考察もあるので、そこまで違和感はないのではないでしょうか。

鳥のなかでインコの描写だけ違和感!その謎を考察

『君たちはどう生きるか』には、青サギ、ペリカン、インコの3種類の鳥が登場します。青サギは実際には「サギ男」でしたが、鳥の姿のときはほぼ写実的なリアリティのある見た目をしており、ペリカンも同様です。しかしインコだけが2本足で立ち翼を手のように使う、擬人化された姿で描かれました。 これは、インコが私たち人間を象徴しているからではないでしょうか。先ほどインコたちはスタジオジブリのスタッフをモデルにしていると書きましたが、これは範囲を広げれば、私たちの社会全体に当てはまることです。自分で考える力を失くし、カリスマ性のあるリーダーに付き従うだけの愚かな群衆。それが今の社会に生きる私たち人間なのです。 また作画監督の本田雄氏によると、リアルなインコにすると細かい仕草にも気を配らなければならなくなるため、あえてマンガっぽいデザインにしたのでは、とのことです。

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『君たちはどう生きるか』インコマンとインコ大王の考察まとめ

君たちはどう生きるか、ポスター
(C)2023 Studio Ghibli

『君たちはどう生きるか』に登場したインコの種類やモデルについて、解説や考察を紹介しました。 『君たちはどう生きるか』という作品自体が考察要素の多くある解釈の難しい作品ですので、ここで紹介したのは数ある考察の1つでしかありませんが、もう1度鑑賞する際には参考にしてみてください。