『君たちはどう生きるか』アオサギの正体を徹底考察!サギ男に託されたメッセージの意味とは?

2023年7月14日に公開されたスタジオジブリの『君たちはどう生きるか』。本作に登場したアオサギは、映画全編に渡って活躍したインパクトが強いキャラクターながら、謎も多く、注目を集めています。 この記事では、そんなアオサギの基本情報からその正体、主人公・眞人との関係性、モデルや声優、名台詞・名シーンを紹介していきます。 ※この記事には、映画『君たちはどう生きるか』のネタバレが含まれます。
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『君たちはどう生きるか』アオサギの基本情報

名前 | アオサギ |
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声優 | 菅田将暉 |
モデル | フェニックス , 眞人との関係:宮崎駿(眞人)に対する鈴木敏夫プロデューサー(アオサギ) ※どちらも諸説あり |
性格 | 利己的で嘘つきだが、どこか憎めない性格。利用しようとしていた眞人に対して、友情のようなものが芽生えていく。 |
疎開先で疎外感を感じていた眞人の前に現れたアオサギ。当初は変わった行動をするただの鳥のように思えましたが、そのうち人語を話すなど、明らかにただの鳥ではない様子を見せていきます。 彼は現実世界では、普段スラリとしたアオサギの姿をしており、俊敏に飛び回ります。さらに眞人が彼をやっつけようとしたときに使った木刀をバラバラにするなどの能力も。また、魚やカエルを操ることができ、眞人の全身にカエルをまとわりつかせるシーンもありました。 性格は嘘つきで、眞人に彼の母は生きていると言い、眞人は半信半疑ながらも彼について異世界へいくことにします。
『君たちはどう生きるか』アオサギと眞人の関係性をおさらい

眞人が屋敷に到着するシーン | 屋敷の屋根瓦に鳥の姿で佇んでいる。眞人を見張るように木へと移動する。 |
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眞人と夏子が渡り廊下を歩くシーン | アオサギが屋敷の内部を颯爽と飛ぶ。初めて屋根の下に入ったと夏子が語る。 |
眞人がベッドで疲れて眠るシーン | 窓の外から一瞬、顔を出す。 |
眞人が池に向かうシーン | アオサギが池から飛んで、窓から塔に侵入する。 |
眞人が怪我を負って休むシーン | 窓から侵入して「眞人、助けて!」と叫ぶ。その後「お母さん!お母さん!」と眞人の夢の中でのセリフを真似する。 |
眞人とアオサギが対面するシーン | 大量の鯉とカエルを従えて、眞人を塔の世界へ引きずり込もうとする。 |
眞人が夏子を見舞った後のシーン | 窓から眞人を煽る。口から半分おじさんの鼻が出かかっている。 |
眞人が塔に侵入するシーン | 塔の装飾に擬態。眞人の矢が刺さり、おじさんの姿が登場する。大叔父に命令され、異世界の案内人となる。 |
眞人が老ペリカンを看取るシーン | 「南無阿弥陀仏」と言いながら登場。キリコの説得を聞き、2人で夏子を探すことに。 |
森の道中のシーン | 眞人が矢で空いた穴を埋める栓を作成。アオサギが鳥の姿に戻れるようになる。 |
インコの住処のシーン | インコの見張り番を引き付けるため、海を滑空。眞人とアオサギは一時離れる。 |
眞人がインコに捕らえられたシーン | 眞人の逃亡を手助けする。頭から飛び出す目玉を付けて、インコに擬態している。 |
インコ大王を追いかけるシーン | 木の螺旋階段を使って追いかけるが、最後に崩されて眞人とともに落下。大叔父の部屋につながる扉を見つけ出す。 |
眞人とヒミの再会シーン | 眞人とヒミがハグする様子を見て、恥ずかしそうに目をそらす。 |
眞人と大叔父の対話シーン | 眞人が「アオサギのような友達を作る」と語り、自分を指さして驚く。 |
塔の世界の崩落シーン | 眞人とヒミを足に捕まらせ、崩壊する世界を飛んで逃げる。 |
現実世界へ戻ったラストシーン | 眞人にいずれ異世界のことは忘れると伝えた後「あばよ、友達」と伝え、鳥の姿で消えていく。 |
アオサギと眞人は当初、対立関係とまではいかないまでも、しょっちゅうケンカをしていました。しかしのちにアオサギと眞人は和解し、ともにナツコを探す旅をつづけていきます。 眞人はアオサギが彼の母は生きていると嘘をついたことを根に持っていました。嘘つきなアオサギがナツコをさらったに違いないと考えていたのです。彼らは若き日のキリコから、2人で仲良くナツコを探しておいで、と言われ、いやいやながらも協力することになるのでした。 その後、眞人がアオサギのクチバシを手当したりするうちに、アオサギは眞人への態度を変えていきます。インコたちに襲われた際には、アオサギがおとりになる作戦で難を逃れ、大おじのもとに到着しました。 ともに苦難をともにしてきた2人ですが、ナツコを見つけて現実世界に帰ると別れを告げるのでした。
『君たちはどう生きるか』アオサギ/サギ男の正体・意味とは?

アオサギの本当の姿は、鼻が大きく、ハゲ頭の中年男性でした。異世界の住人である彼は、その世界の主・大おじからの任を受けて、眞人を異世界へ連れて来る役割を任されていたのです。 異世界に入った最初の部屋で、彼は眞人にナツコの偽物を見せます。しかし偽物であることがバレて、怒った眞人に弓矢でクチバシを貫かれ、それ以降、鳥に変身することができなくなってしまいました。 眞人とともにナツコを探す旅に出ることになるサギ男。宮崎駿がアオサギを選んだ理由はなんだったのでしょうか。 現実のエジプトでは、アオサギは「ベヌウ」と呼ばれいたそうです。そして、そのベヌウが「フェニックスの起源」と一説では言われています。 本作で登場するアオサギはフェニックスがモデルとなった可能性があるのです。だからこそ、輪廻転生の物語である本作で、主人公を案内する使者の役割に選ばれたのではないでしょうか。
『君たちはどう生きるか』アオサギは最後どうなった?

終盤、眞人と現実世界に戻ったアオサギは、最初に見せたリアルなアオサギの姿に戻り、姿を消します。 そもそもアオサギは眞人をフィクションへといざなう、案内人のような役割でした。現実で生きる意思が生まれた眞人にとって、アオサギの助けが必要なくなったため消えたのでしょう。 アオサギはどこの世界でも生きていけるため、完全に消滅はしていないと考えられます。眞人が必要としている時、また現れるのかもしれません。
アオサギに託されたメッセージとは?
アオサギが案内した異世界「塔の世界」は、宮崎駿が作り出したフィクションのメタファーとも言われています。 過去作品のオマージュと分かるシーンがいくつもあり、最後に積み上げられた石の数が、本作公開までの宮崎駿が作り上げた長編作品と同じ13個だったことからです。眞人がフィクションの世界へ迷い込み、アオサギと友達になったことで、眞人の心は救われました。 アオサギは塔の世界(フィクション)のことを「いずれ忘れるさ。それでもいいんだ」と眞人に伝えて消えていきます。宮崎駿はフィクションを観た、読んだ記憶はいずれ消えてしまうかもしれない。しかし、そこで感じた想いや思考は残っていくことを暗示したのではないでしょうか。
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『君たちはどう生きるか』アオサギの描かれ方が変化している?

アオサギには「リアルな鳥の姿」と「中身のおじさん」のキャラクター2つが存在しています。「現実世界」と「フィクション(虚構)」を、アオサギでも明確に描き分けているのです。 鳥姿のアオサギは、鳥の愛好家も納得するほどのディテールだとか。屋敷に飛んでくるシーンでは、鳥特有の見開かれた眼が恐ろしいほどリアルです。 鳥の姿でありながら徐々にフィクション寄りの行動に変化していきます。例えばアニメっぽいSEとともに窓から塔に入る姿や、「助けて」と言葉を話すなど。さらに、眞人と池で対峙したシーンでは、鳥ならありえない歯が現れます。 そして塔の世界にて、自らの羽根を使った矢で射られたアオサギは「おじさん」へと変貌。眞人が現実から完全にフィクションの世界へ行ったことが分かるのです。
『君たちはどう生きるか』アオサギのモデルとは?

アオサギは、海外では縁起のいい鳥とされています。意識と潜在意識の間を行き来できるスピリチュアルな存在で、古代エジプト神話には、生と死をくり返すベンヌ(ベヌウ)という名前のアオサギが登場します。本作のアオサギも、“異なる世界を飛び越える”役割を与えられていました。 また、アオサギと眞人の関係については、モデルがいると言われています。眞人は宮﨑駿監督自身をモデルにしており、アオサギは彼としょっちゅうケンカをしながら、最終的には友人となる人物。彼は、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーがモデルとなっているとか。 鈴木敏夫は2018年7月に放送されたラジオ番組『ジブリ汗まみれ』で、サギ男と眞人が“しょっちゅうケンカしている”という関係に触れ、自分がサギ男のモデルではないかと語っています。
『君たちはどう生きるか』アオサギの声優は菅田将暉

アオサギの声優を務めたのは、菅田将暉です。彼はこれまでにも、アニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』(2017年)の島田典道役や、『シャザム!』(2019年)で主人公の吹替を担当するなど、声優としてもいくつかの作品に出演しています。 本作では、普段とは違うしわがれた声でアオサギを演じている菅田。この声は、実際のアオサギの鳴き声に似ています。公開当日、彼は自身のTwitterに同作のポスター画像とともに「公開おめでとうございます。カヘへッ。」と投稿しました。
『君たちはどう生きるか』アオサギの名言・名シーン
「しまった!俺の風切の7番か!」
異世界に入り、彼が眞人に見せたナツコが偽物と気づかれたアオサギは、怒って弓矢を構えた眞人に「心臓をつらぬいてみろ」と挑発します。しかし1度外れたかに見えた眞人の矢はアオサギを追ってきました。 そこで眞人の矢に使われているのが自分の羽根だと気づいたアオサギは、「俺の風切の7番か!」と言います。 「風切りの7番」というのは、翼の後方に生えている「風切り羽」のうちの1つで、アオサギの羽根1本1本に不思議な力が宿っていると思われます。
「あばよ、友達」
当初、眞人と衝突をくり返してきたアオサギ。しかしナツコを探す旅をともにするうち、2人には友情が芽生えていきます。 眞人が無事にナツコを取り戻し、現実世界に帰ったあと、鳥の姿に戻ったアオサギは彼に別れを告げます。そのとき彼は、眞人を友達だと認め、この言葉をかけました。 ともに大おじに挑んだ2人には、固い絆ができたようです。
存在感抜群の『君たちはどう生きるか』アオサギ!今後さらなる裏設定が明らかに?

『君たちはどう生きるか』の主要キャラクターであるアオサギは、謎に包まれた存在です。しかし主人公の眞人とともに旅をするなかで、お互いを信頼するようになっていく姿は、冒険ファンタジーには王道の展開。 アオサギとの冒険で、眞人は自分の生きる道を見つけていきます。そんな重要な存在になったキャラクターをもっと深く知りたいですね。
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