『千と千尋の神隠し』ハクの正体は?兄説・八つ裂き説の真相や本当の魅力まで解説
ジブリ映画に登場する男性キャラクターの中でも1、2を争う人気キャラクターのハク。今回はそんなハクの本名や正体、その後などなど気になる真相を紹介していきます。! 千尋との意外な関係性や、八つ裂きになったという恐ろしい都市伝説まで、その真相はいかに……? この記事は『千と千尋の神隠し』鑑賞者向けの記事となっているため、重要なネタバレが含まれます。ぜひ鑑賞後にお読みください!
タップできる目次
- 【概要】『千と千尋の神隠し』ハク年齢や性別を解説
- 【家族】ハク=千尋の兄説は本当?公式が否定?
- 【正体】ハクの本名は龍神・ニギハヤミコハクヌシ
- 【モデル】ニギハヤミコハクヌシってなに?
- 【テーマ】ハクは何を失い、何を取り戻したのか考察
- 【その後】ハクが八つ裂きにされたって本当?
- 【恋愛】ハクと千尋が抱いている特別な感情は?
- 【性格】ハクの「優しさ」と「冷酷さ」の二面性
- 【関係】湯婆婆の元で弟子として働く理由は?
- 【過去】なぜハクは千尋のことを知っていた?
- 【裏話】幻のラストシーンがあるって本当?
- 【裏話】ハクは男娼だった?
- 【評価】ハクは王子様じゃない?理想化される理由と本当の魅力
- 【声優】ハクを演じたのは入野自由
- 『千と千尋の神隠し』ハクの魅力を知ってもっと楽しもう
【概要】『千と千尋の神隠し』ハク年齢や性別を解説

| 名前 | ハク |
|---|---|
| 性別 | 男 |
| 年齢 | ??? |
| 正体 | 琥珀川の川の神・ニギハヤミコハクヌシ |
| 声優 | 入野自由 |
ハクは神様が訪れる「油屋(あぶらや)」で、強欲な魔女・湯婆婆のもと働いている謎の美少年です。見た目の年齢は12歳ぐらいで髪型はおかっぱ。純白の上着に水色の袴という、平安時代の少年の服装をしています。 突然油屋にやってきて、魔女でもある湯婆婆の弟子になりたいと申し出たハク。彼は湯婆婆に良いように使われていましたが、魔法のような力を使うことができたため、油屋に迷い込んだ千尋をもとの世界へ返すべく尽力します。
【家族】ハク=千尋の兄説は本当?公式が否定?
根拠①:エンディングで描かれる靴を拾う手
その根拠としてあげられるのは、エンディングの1シーン。ここでは川に流れている靴を拾い上げようとする手が描かれていますが、それは“千尋の手ではない”とされています。 確かに「千と千尋」の絵コンテ集を見てみると、それが誰の手かは明示されておらず、「子供の手」としか書かれていません。これが千尋の兄、つまりハクの手ではないかと言われているのです。
根拠②:母親が千尋に冷たすぎる

千尋の母は、引っ越しを嫌がる千尋に冷たい言葉を投げかけたり、不思議な路地に迷い込んだときに、怖がる千尋を置いてスタスタと歩いていってしまうなど、冷たい行動が目立ちます。 千尋の兄は川で溺れた千尋を助けようとして命を落としており、その兄がハクなのかもしれません。母親が彼女に冷たいのは、息子の死の原因を作った千尋を無意識に憎んでいるからではないかと言われています。
根拠③:「わからんか、愛だ愛」という釜爺

映画の中盤、重傷を負ったハクのために、千尋は魔女の契約印を返しに行くことを決意します。しかしそこは行けば帰ってこれるかもわからない沼。それでも千尋の決意は固く、リンはそんな彼女を不思議に思います。そこで釜爺が言ったのが「わからんか、愛だ、愛」という名台詞。 過去作から見ると、宮崎駿監督がこのような直接的な言葉で恋愛を語ることはありえないと考えられないため、釜爺は千尋とハクの関係は「家族愛」や「兄弟愛」だと考えていると思われます。
根拠④:幻のテーマ曲「あの日の川で」

宮崎駿が主題歌として作詞した幻のテーマ曲『あの日の川で』には、「誰かのために生きている私、私のために生きてくれた誰か」という一節が出てきます。 この「誰かのために生きている私」はハク(千尋の兄)のことで、「私のために生きてくれた誰か」はハクのために命がけで銭婆のところへ行った千尋を指しているのだとか。
公式は言及していない噂

「ハクは千尋の亡くなった兄」という噂がありましたが、この説に公式は言及していません。 今はなくなってしまいましたが、過去に存在したスタジオジブリの公式Twitter(現・X)には、「ハクは千尋が元住んでいた家の近くを流れる川の主でした」という記載がありました。これは「ハクは千尋の兄説」を明確に否定するものといえるのではないでしょうか。 しかし「八百万の神」が登場する本作の世界観では、亡くなった人が神様になる可能性もあり、やはりハクが千尋の兄であることも否定しきれないかもしれません。
【正体】ハクの本名は龍神・ニギハヤミコハクヌシ

ハクは普段、平安時代の少年のような姿をしています。しかしその本来の姿は、龍神「ニギハヤミコハクヌシ」です。 千尋が以前住んでいた町に流れていたコハク川。その川の主だったニギハヤミコハクヌシは、まだ幼い千尋が川に落ちたときに、彼女の命を救っていました。千尋はその時にハクの本当の名前を知ったものの、成長して再会した時には彼のことを忘れていたのです。 ハクは湯婆婆の弟子になり、千尋と同じく名前を奪われています。そして、自分の本当の名前を思い出せなくなっていました。 しかし物語の終盤、銭婆の家から油屋へ戻る際に、千尋は白龍の姿を見てハクがコハク川の主だったことを思い出します。そしてハクも、自分の本当の名前「ニギハヤミコハクヌシ」を取り戻したのです。
【モデル】ニギハヤミコハクヌシってなに?
ハクの名前の由来

ハクの本当の名前「ニギハヤミコハクヌシ」のモデルになったのは、日本の神話に登場する「ニギハヤヒ」という神様と思われます。 ハクの住処だったコハク川は、幼い千尋が溺れかけたくらいなので、きっと流れの早い川だったのでしょう。そのため「ハヤヒ」を「ハヤミ(速水)」に変えたのかもしれません。 由来となった「ニギハヤヒ」は、漢字で書くと『古事記』では「邇藝速日」で、『日本書紀』では「饒速日」となっています。 ハクの名前は公式には漢字で書かれていませんが、もし漢字にするなら「邇藝速水琥珀主」、もしくは「饒速水琥珀主」となるのではないでしょうか。
由来になった神
ではハクの名前のもとになった「ニギハヤヒ」とは、どんな神様なのでしょうか。『古事記』では、ニギハヤヒは大和地方(現在の奈良県)の豪族ナガスネヒコが主として奉る神として登場します。 あるとき神武天皇は、国を治めるためにふさわしい土地を探して、九州から大和地方にやって来ます。しかしナガスネヒコの抵抗にあい、なかなか統治できませんでした。 その後、神武天皇が再び軍を率いてナガスネヒコに打ち勝つと、ニギハヤヒは神武天皇に従うことを伝えたといいます。 『日本書紀』では、このときニギハヤヒはナガスネヒコを殺して、神武天皇に仕えるようになったともされています。
ハクは神様?それとも人間?
ハクの本名である饒速水小白主は「“豊かな流れの速い清流の河”の主」という意味であり、川の主である龍神は八百万の神の1柱として祀られていることから、ハクは神様だと考えられます。 しかしハクは川の主ではなくなり、力を失ってしまいました。そのため、正確にはハクは「元神様」ということになります。
龍神だったハクに込められたメッセージ
ハクが守っていたコハク川は、マンション建設のために埋め立てられてしまいました。その結果、ハクは本来の龍神の姿ではいられなくなってしまったのです。 ハクの存在は、八百万の神が存在する国・日本で自然破壊が進み、多くの神様が住処を失っているのを象徴しているのではないでしょうか。傷ついた龍の姿はとても痛々しく、自然破壊の恐ろしさを訴えています。
【テーマ】ハクは何を失い、何を取り戻したのか考察
ハクは住処だった川を失い、湯婆婆のもとで名前を奪われ、自由も奪われていました。しかし千尋を助けることによって、自分が何者かを思い出し、名前と自由を取り戻しました。 一方で、彼は千尋に助けられた存在でもあります。彼が自分が何者かを思い出したのは、千尋の助けがあったからで、ふたりはお互いに助け合って自由を取り戻したのです。
【その後】ハクが八つ裂きにされたって本当?
ハクが千尋と別れたあと、八つ裂きにされたという説がありますが、その真相は…? ハクの発言や状況から、八つ裂き説を検証します。
ハクは八つ裂きにされてしまうのか

千尋がもとの世界に戻ったあと、ハクはどうなったのでしょうか。 これには「湯婆婆に八つ裂きにされた」という説があります。これは、ハクが千尋をもとの世界に戻すために湯婆婆に交換条件を願い出た時、「八つ裂きにされてもいいのか」と脅されていたことを根拠としているのでしょう。 しかし物語の終盤で、ハクは自分の本当の名前を思い出しました。そのため魔女の契約は効力を失って、彼は湯婆婆の呪縛から解放されたと考えられます。契約が消失したのなら、ハクは千尋と同じく自由になったのではないでしょうか。
ハクの最後の言葉にヒントが?

ハクは千尋をもとの世界への道まで送り届けた別れ際、「私は湯婆婆と話をつけて弟子をやめる。平気さ、ほんとの名を取り戻したから。元の世界に私も戻るよ」というセリフを残しています。 ということは、やはり前述の推察通り、本当の名前さえ取り戻せば湯婆婆との契約は効力を失うと、ハク自身もわかっていたことになります。 元の世界に戻るというのは、すでに埋め立てられてしまったコハク川には戻れないとしても、どこか別の川の神様になるのかもしれません。
【恋愛】ハクと千尋が抱いている特別な感情は?

自分の身を危険にさらしても千尋を守ろうとするハクに、ときめいた観客も多いのではないでしょうか。しかし彼が千尋に対して抱いている感情は、単なる恋愛感情ではないような雰囲気があります。 ハクと千尋にはお互いに助け合い、強く惹かれ合う固い絆があります。それは恋愛というよりも、もっと広い意味での強い「愛」ではないでしょうか。 お互いの運命や命を預け合うことができる強い「愛」は、なかなか見つけることが難しいものです。そんな稀有な絆が観客の心に響くのかもしれません。
【性格】ハクの「優しさ」と「冷酷さ」の二面性
ハク「私のことは、ハクさまと呼べ」#千と千尋の神隠し #金曜ロードショー #ジブリ pic.twitter.com/sz6PSwKYKf
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) January 7, 2022
ハクは本来、温和で紳士的な性格ですが、湯婆婆によって体内に虫を入れられてから湯婆婆が起きているときは冷酷な性格に変わり、彼女が寝ているときは元の優しさを取り戻します。釜爺によると、虫を入れられたときから顔色が悪くなったとのこと。 冷酷な性格のときは「ハク様と呼べ」と命令したりしますが、劇中では千尋にだけ優しくする姿がたびたび見られ、それも魅力の1つではないでしょうか。
【関係】湯婆婆の元で弟子として働く理由は?

釜爺の話によると、ハクは油屋で働く多くの者たちと違って、自らの意思で湯婆婆のもとを訪れ、彼女の弟子になることを志願したそうです。 ハクはなぜそのような行動をとったのかは、作中で語られていません。魔女である湯婆婆に弟子入りするということは、「魔法を使えるようになりたい」ということのようですが、魔法を使ってなにをしようとしていたのでしょうか。
①魔法の力で川を復活させたかった
ハクことニギハヤミコハクヌシは、自身が守っていた琥珀川がマンションの開発で埋め立てられ、居場所を失ってしまいました。そこで魔法の力を使って、琥珀川を復活させようとしていたのではないでしょうか。 ハクが釜爺のが止めるのも聞かず、湯婆婆に弟子入りしたことを考えると、「琥珀川を取り戻す」ということは、彼にとって重要なことだったからなのかもしれません。マンションが建ってしまった土地に、魔法の力で川を復活させることができるかどうかはわかりませんが、失ってしまった自らの居場所を取り戻すことをハクは願っていたのではないでしょうか。
②魔法の力で龍の姿に戻りたかった
ハクは人間の姿をしていますが、本来の姿は白い龍です。川がなくなり、神様として人間の姿になってしまった彼は、本来の龍の姿に戻りたかったのかもしれません。 本体である川がなくなり、信仰してくれる人間もいなくなった結果、神様としての力が弱まり人間のような姿になってしまったとも考えられます。 ハクにとって龍としての姿を取り戻すことは、「神様」としての自分の威厳やプライドを取り戻すことだったのではないでしょうか。
【過去】なぜハクは千尋のことを知っていた?

いつも千尋を気にかけ、手助けしていたハク。千尋が異世界にやってきたときには、彼女が人間であることを隠したり、存在が消えそうになったときにそれを防いだり、湯婆婆のもとで働くためのアドバイスをしたりと、陰ながら千尋を支えます。 ではハクはなぜ千尋のことを知っていて、こんなにも優しくしてくれたのでしょうか。 前述した通り千尋は幼い頃にコハク川で溺れかけ、その川の主であるニギハヤミコハクヌシに命を助けられています。このニギハヤミコハクヌシこそ、ハクの本当の姿。そのため彼は、以前から千尋を知っていたのです。 湯婆婆に名前を奪われ、本当の自分を忘れてしまっていたハクでしたが、なぜか千尋の名前は覚えていました。千尋が自分と同じく湯婆婆に名前を奪われたことを知ったハクは、彼女が自分の本当の名前を忘れる前にもとの世界に帰そうと、その手助けをします。 そしてその行動が結果的に、ハクも自分の本当の名前を思い出すきっかけになったのです。2人の関係は恋愛のようにも見えますが、どちらかといえば常にハクが千尋を救う兄妹のような関係に近いのかもしれませんね。
川に溺れかけた千尋を救ったのは「銀河鉄道の夜」のオマージュ?
ハクは川で幼い千尋が川で溺れたとき、彼女を救いました。このことが彼の記憶を取り戻す鍵となっていたわけですが、これは宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』のオマージュとなっています。 『銀河鉄道の夜』に登場するカムパネルラは、親友のザネリが川で溺れたとき、彼を助けようとして自らも溺れて命を落としてしまいます。 『千と千尋の神隠し』では、ハクは川の主だったために命を落とすことはありませんでした。宮崎駿はあまりほかの作品をオマージュすることはないので、非常に珍しいケースです。
【裏話】幻のラストシーンがあるって本当?
幻のラストシーンが存在する?

『千と千尋の神隠し』には、幻のラストシーンがあると言われています。その内容は以下の通り。 湯婆婆たちのいる異世界から戻ってきた千尋。新居に向かっているときに、丘から引っ越し業者を見つけた母親が父親に「もう来ちゃってるじゃないの~」と愚痴をこぼします。 それから1人なにげなく新居の周りを歩いてると、短い橋のかかった小川があることに気づく千尋。橋から川を眺める千尋が一瞬なにかを悟ったような表情になり、この川がハクの新たな住処であることに気づいたような意味深なシーンで物語が終わります。 このようなシーンは本当にあったのでしょうか。
幻のラストシーンは都市伝説!
幻のラストシーンは公開初日、もしくは1週間のみ上映されたという話もあるようですが、これは現実にはかなり難しいでしょう。 なぜなら『千と千尋の神隠し』はフィルムで上映された作品だからです。フィルムは今のデジタル上映と違って、データを差し替えればOK、というわけにはいきません。 2時間の映画の場合、公開当時フィルム1本のプリント代は約135万円程度。「千と千尋」は全国300以上の映画館で上映されたので、それをすべて差し替える場合、4億円以上必要です。当時のジブリには、それほどの資金はありませんでした。 しかしこの話は、半分は本当でもあります。「幻のラストシーン」は絵コンテの段階までは存在していたのです。このことは作品の資料にも書いてあり、一部の人は知っている話でした。 2014年に、この話が一部誇張されてネット掲示板2ちゃんねるに投稿され、「千尋とハクの再会を観たい」という観客の願望も相まって、噂が広まっていったと考えられます。
【裏話】ハクは男娼だった?

『千と千尋の神隠し』の考察では、「ハクは男娼だったのでは」という話も出ています。 その根拠の1つは油屋がそもそも風俗店をモデルにしていることです。もう1つの根拠は、川の主として100歳を超えるハクが油屋では12歳の少年のような見た目になっていることです。男娼のなかでは、10代の少年が最も好まれる傾向にありました。 油屋では風呂屋以外にどんなサービスが提供されていたかは不明ですが、そのメタファーはあるかもしれません。
【評価】ハクは王子様じゃない?理想化される理由と本当の魅力
一見、ハクは異世界に迷い込んだ千尋を救った王子様のような存在に見えます。見目麗しいその外見と、最初に迷子の千尋を導いたことから、そういった意見が出るのも無理もないでしょう。 しかし、実は彼は一方的に非力な少女を救った王子様ではありません。千尋と同じように彼は自由を奪われた弱者であり、自分の人生を選べない立場にありました。そして最後には、千尋の助けで本来の自分を取り戻し、救われるのです。 彼の本当の魅力は、完璧な王子様ではない「欠け」であり、導く力ではなく「思い出されることで救われること」にあります。
【声優】ハクを演じたのは入野自由

ハクの声は入野自由(いりのみゆ)が担当しています。入野は劇団ひまわりに4歳の時に入団し、子役タレントとして活躍していました。彼がハクを演じたのは13歳の時。オーディションで見事に役を勝ち取りました。 1997年の『逮捕しちゃうぞ』のショウ役で声優デビュー。そのほか代表作には「キングダム ハーツ」シリーズのソラ役や『ハイキュー!!』の菅原孝支役、『おそ松さん』の松野トド松役、『映画 聲の形』の石田将也役などがあります。
『千と千尋の神隠し』ハクの魅力を知ってもっと楽しもう
どこを切り取っても魅力的で、何度観てもまた違った楽しさを発見できる『千と千尋の神隠し』。宮崎駿監督ならではの演出で、さまざまな見方を自由にできることが本作の魅力といっていいでしょう。 そこには都市伝説や幻のラストなどの噂も尽きませんが、それこそ本作が長年愛され続けている証拠。ハクというキャラクターも愛されているからこそ、いろいろな噂が出回るというもの。もう1度鑑賞して、新しい発見を楽しみたいですね!








