2022年2月12日更新

ユミル・フリッツ(始祖ユミル)は『進撃の巨人』のラスボス!?能力や豚の伏線まで徹底解説

進撃の巨人 4期 ファイナルシーズン
©諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会

『進撃の巨人』のストーリーを理解する上で欠かせない始祖ユミルことユミル・フリッツとは何者なのか。この記事で徹底解説!物語上で彼女の存在が意味するところや役割、伏線などを紐解いていきます。ユミルを理解して、さらに『進撃の巨人』の世界を堪能しましょう!

※本記事には『進撃の巨人』のネタバレを含みます。注意して読み進めてください。

『進撃の巨人』ユミル・フリッツ(始祖ユミル)とは?

ユミル・フリッツは本編の約1820年前に生きていた少女です。「光るムカデ」と接触したことで初めて巨人化、彼女が後のエルディア人(ユミルの民)の起源となりました。そのため始祖ユミルと呼ばれています。 作中には金髪にヘアーバンドをした姿で登場。多くの絶望の中で生きてきたその目は、終盤まで虚ろな様子で描かれています。

ユミル・フリッツは全ての巨人の“始祖”だった!過去を解説

舌を抜かれ厳しい労働……ユミル・フリッツの奴隷時代

ユミルの部族は当時略奪民族だったエルディアに侵略されます。ユミルをはじめとした多くの者が連れ去られ、エルディアを率いていた初代フリッツ王の奴隷に。 物言わぬ労働力として奴隷を酷使するために、フリッツ王は奴隷の舌を抜いていました。年端も行かぬ少女だったユミルも例外ではなく、彼女も舌を抜かれて強制労働をさせられる日々を送ります。 回想シーンではユミルが結婚式を挙げる幸せそうな人々を見つめる姿があり、愛に満ちた人生に憧れていたのでしょう。

巨人の能力を手に入れた日

ある日ユミルは家畜の豚を逃してしまいます。その罪として自由という名の追放=死罪を言い渡されたユミル。 領地から追い出され、狩猟のように王の家臣たちに追いかけ回され重傷を負った彼女は、やがて不思議な大樹にたどり着きます。そこに開いていた洞に落ち、彼女はムカデのような“何か”と接触。 この接触の瞬間、ユミルは巨人の力を手に入れます。言い伝えでは「大地の悪魔」と契約したとされていましたが、偶然の出来事だったのです。

巨人の力でフリッツ王の妻になる

巨人の力を得たユミルは、フリッツ王の命じるまま、道を拓き荒れ地を整え橋を架け、エルディアの領地拡大に貢献。この使える能力を欲した王は、褒美としてユミルを妻に娶ります。以降もユミルは王のために巨人の力を使い、敵の大国マーレへの勝利をエルディアにもたらしたのです。 また王との間に3人の娘を産み、マリア、ローゼ、シーナと名付けます。3人の娘の名前は後にパラディ島に築かれた3重の壁の名前となりました。

その悲劇は突然に……

ある日降伏した敵が王に謁見した際、隠し持っていた槍を王に投げつけようとします。咄嗟にユミルは身を挺してかばい、槍に貫かれるのでした。 本来は巨人の力で回復できるはずでしたが、王が自分に「我が奴隷」と語りかけるのを聞き、ユミルは絶望します。愛していた夫は最期まで奴隷としてしか自分を見てくれていなかったことを知り、そのまま回復せずに絶命。 ユミルの死を悲しむこともなく、王はユミルの遺体を切り刻み3人の娘たちに食べさせました。なんとしても巨人の力を手中に収めておきたかったのです。その後も王の遺言により子が親の遺体を食べる行為が繰り返され、代々巨人の力が王家に継承されていくことになったのでした。

「道」で9つの巨人が誕生

ユミルの魂は、死後も「道」という死さえ存在しない世界に留まり続けていました。そして自身が持っていた巨人の力を9つに分けて「九つの巨人」を生み出します。 こうして「始祖の巨人」「超大型巨人」「鎧の巨人」「女型の巨人」「顎の巨人」「獣の巨人」「車力の巨人」「戦鎚の巨人」「進撃の巨人」が誕生。 ユミルは約2000年もの間、歴代のフリッツ王家の命令に従い奴隷としてすべての巨人を「道」で作り続けたのです。

ユミル・フリッツ(始祖の巨人)が長過ぎる生涯の末に迎えた最後とは?

2000年間、ずっと奴隷だったユミルは自身を1人の人間として扱ってくれるエレンとの対話で、自らの意思でエレンに味方することを決めます。地鳴らしを発動させたエレン=始祖の巨人の首を「天と地の戦い」でミカサが落とし、始祖の巨人の力は消滅。 これによりようやくユミルは2000年の呪縛から解き放たれます。ミカサが愛おしそうにエレンの首に口づけするのを穏やかな表情で見つめながら、ユミルの魂は消滅しました。

ユミル・フリッツが巨人になった理由とは?

ユミルが巨人の力を手に入れたのは、偶然光るムカデのような生命体と接触したからです。このムカデ状の生命体は「大地の悪魔」として伝承されており、悪魔とユミルが契約したと言い伝えられています。 しかし実際のところは不明な点が多く、もともとこの生命体がそういった力を持っていたのか、それともユミルとの接触によって生じたものなのかなど詳細は不明。また生命体に関しても本編で言及されていないため、分かることが少ないのが現状です。 ユミルと生命体との出会いも偶然に見えますが、その背後に生命体側の何らかの意図があったのかどうかも不明となっています。

始祖ユミルが持つ巨人化の能力を解説!その大きさが尋常じゃない……

進撃の巨人
©諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会

始祖の巨人の能力

ユミルの巨人化した姿は、作中で最大級とされたロッド・レイスの巨人体よりもさらに大きいとされており、推定200m以上とも言われています。雰囲気は女型の巨人に似ていて女性的、顔は骸骨状で肋骨のような触手のようなものが背中から生えているのが特徴です。

ジークも救われた巨人の生成の能力

ユミルは「道」で巨人を無尽蔵に作り出すことが可能。リヴァイによって瀕死となったジークも、「道」にてユミルによって救われています。 このときユミルは土を粘土のようにこねてジークの体を造形し、彼の命を救いました。始祖の力を継承したエレンが過去の9つの巨人を生成したのもこの力によるものです。

エルディア人の身体の構造や記憶を操作できる力

始祖の巨人の能力はエルディア人に限り、身体の構造を変化させたり記憶を操ったりすることができます。初代レイス王は壁内に移住した際、この力で国民の記憶を操っていました。またジークはこの能力でエルディア人から生殖能力を奪おうと計画。子孫を絶やすことでエルディア人を緩やかに絶滅へと導く安楽死計画を目的に行動していました。

始祖ユミルにまつわる謎や伏線を徹底考察

フリッツ王の一族と結んだ「不戦の契」とは?

「不戦の契」は145代フリッツ王=初代レイス王と始祖ユミルが結んだ契約です。平和を望むレイス王は世界がエルディア人の殲滅を望むならそれを受け入れるという思想の持ち主。この契りはその思想を、彼の後継者たちに引き継がせるための契約です。 契約の効果が発揮されるのは王家の血筋を持つ始祖の巨人の継承者で、契りにより継承者はレイス王の思想に染まることに。これにより継承者は全巨人を操れるという強力な始祖の巨人の能力を使えなくなります。

なぜあの時豚を逃したのか【考察】

ユミルが死罪を言い渡される原因となったのは、家畜の豚を逃してしまったからです。多くは描写されていませんが、ユミルは豚小屋の柵が開いているのを確認した上で、そのままわざと放置していたように見えます。 奴隷は囚われの身。人間の都合で柵に囚われている豚に、自身を重ねたのではないでしょうか。自分にはもう自由が望めないことを悟っていたユミルが、せめて豚には自由を与えたい、自分の代わりに自由になってほしいと願うのは自然なことかもしれません。

なぜ「道」に居続けたのか?愛に囚われ続けた始祖ユミル【考察】

ユミルは愛情深い女性でした。しかし最期まで欲しい愛情を手に入れることができなかった、愛を渇望する女性でもありました。 「道」にいる2000年の間、彼女は愛したフリッツ王の願いを叶え続けます。最終話の言葉にもあるように、彼女は自分を愛していない王を愛してしまった、行き場のない愛に囚われ続けていたのです。 自分を奴隷とした王をなぜそこまで愛したのか、その理由は語られていません。しかしミカサに自身を重ねている描写から、ミカサがエレンに救われたように、幼いユミルは奴隷となったことで何かから救われたのではないでしょうか。 ミカサがその手で愛するエレンを殺したことで、ユミルは殺したいほど愛していた王への執念をようやく昇華できたのでしょう。

ユミル・フリッツと関連の深い人物を紹介

ミカサ・アッカーマン

進撃の巨人
©諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会

1話と最終話のタイトルで示された、ユミルが2000年待っていた人物こそがミカサです。ユミルにとってミカサは、2000年待ち続けた、自分を愛の呪縛から解き放ってくれる存在でした。 ミカサはエレンに対して深い執着と愛を抱いており、エレンの愛の奴隷であることを望んでいました。この境遇が愛する者の奴隷だったユミルに似ています。だからこそユミルはミカサの頭の中を覗き、彼女の愛の行く末を見守ったのでしょう。

エレン・イェーガー

進撃の巨人
©諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会

王家の血を引かない始祖の巨人の継承者として、「道」でユミルと邂逅を果たしたエレン。歴代の継承者がユミルを奴隷や神としてしか見なかったのに対し、エレンだけは彼女を1人の人間として扱いました。 ユミルにとっては奴隷であることから解放してくれた人物。ユミルの思いを知り、仲間が自分たちを倒す結末を導くためにユミルと協力して地鳴らしを発動させます。

ジーク・イェーガー

進撃の巨人 ジーク
©諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会

エレンの異母兄であるジークは、始祖の巨人の力を利用してエルディア人安楽死計画を実行しようとしていました。王家の血を引くジークは本来、始祖の力は使えないはずでしたが、初代レイス王の思想に染まらず、長い時間をユミルと共にすることで自力で「不戦の契」の無効化に成功。 「道」でユミルを説得しようとしますが、ユミルがエレンについたため彼の計画は頓挫します。

アニメ版『進撃の巨人』のユミル・フリッツ役は三島千幸

アニメ『進撃の巨人』でユミル・フリッツ役を演じているのは三島千幸(みうらちゆき)です。 三浦は始祖ユミル役以外にも、エレンの父・グリシャの妹、フェイ・イェーガー役やロッド・レイスの次女であるエーベル・レイス役なども過去に演じています。 初登場となった80話ではセリフはないものの、その嗚咽でユミルの感情を見事に表現していました。

『進撃の巨人』ユミル・フリッツは巨人の物語の始祖ですべての始まりだった

『進撃の巨人』ユミル・フリッツについて考察も含めて詳しく紹介しました。すべての巨人の物語の始まりであるユミルは、完結後に改めて振り返ってみると『進撃の巨人』の物語の根幹に深く関わっていたことが分かります。 伏線が多い作品なので、ユミルの思いや意図を考えながら全巻読み返してみると、物語のまた違った側面が見えてくるのではないでしょうか。