2023年10月17日更新

始祖ユミル(ユミル・フリッツ)の正体は?全ての巨人をワンオペで手作りした少女【進撃の巨人】

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『進撃の巨人』のストーリーを理解する上で欠かせない始祖ユミルことユミル・フリッツとは何者なのか。この記事で徹底解説!物語上で彼女の存在が意味するところや役割、伏線などを紐解いていきます。ユミルを理解して、さらに『進撃の巨人』の世界を堪能しましょう! ※本記事には『進撃の巨人』のネタバレを含みます。注意して読み進めてください。

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『進撃の巨人』始祖ユミル(ユミル・フリッツ)とは?

名前 ユミル・フリッツ
コミック初登場話 29巻115話
アニメ初登場話 The Final Season Part2 第78話

ユミル・フリッツは本編の約1820年前に生きていた少女です。「光るムカデ」と接触したことで初めて巨人化、彼女が後のエルディア人(ユミルの民)の起源となりました。そのため始祖ユミルと呼ばれています。 作中には金髪にヘアーバンドをした姿で登場。多くの絶望の中で生きてきたその目は、終盤まで虚ろな様子で描かれています。

ユミルのややこしさを整理

始祖ユミルの解説に入る前に、まずはざっくりとユミルについて整理しておきましょう!作中にはユミルというキーワードに関連する女性が3人登場しています。それぞれがどんな人物か、概要をおさらいしていきます。

ユミル・フリッツ=始祖ユミル

始祖ユミルとも呼ばれる始まりの少女、ユミル・フリッツ。本記事で解説していくのはこのユミルについてです。 彼女は本編から2000年近く前の時代に奴隷として生きていた少女で、彼女が全ての巨人の始祖となります。エレンがジークと接触してたどり着いた「道」で砂をこねていた、目のくぼんでいる描写の少女が始祖ユミルですね。 「道」のシーンで登場するほか、エルディア帝国がいかにして巨人を有するようになったかの回想シーンでも彼女が登場しています。現実世界で絶望の果てに命を落とし、以降は「道」で2000年間巨人を作り続けました。 「道」や巨人生成関連の話題に登場するユミルはこの始祖ユミルを指します。

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104期のユミルは全くの別人

エレンの同期・104期生にも通称「そばかす」のユミルという調査兵団がいます。彼女は始祖ユミルの子孫というわけではありません。 マーレで孤児だった彼女は、始祖ユミルを崇拝するカルト集団によって教祖・ユミルに仕立て上げられ、ユミルを演じてきたのです。彼女は、幹部とともに「楽園送り」にされて無知性巨人に。 約60年間、壁外をさまよった末に偶然「顎の巨人」を継承して、彼女は人間の姿に戻ることができました。

偽ユミル?イルゼ・ラングラーとは

イルゼ・ラングラーは特別編「イルゼの手帳」の主人公の調査兵団です。遭遇した巨人に「ユミルさま」と話しかけられたことから、偽ユミルと呼ばれています。 この巨人はもともと、104期のユミルが教祖を演じていたカルト教団の信者でした。*黒髪&そばかすとユミル(104期)と雰囲気が似ていたイルゼをユミルだと勘違い+して、巨人はイルゼに話しかけたのです。 巨人の勘違いによる発言なので、当然イルゼも始祖ユミルと無関係です。

【過去】ユミル・フリッツは全ての巨人の“始祖”だった!

舌を抜かれ厳しい労働……ユミル・フリッツの奴隷時代

ユミルの部族は当時略奪民族だったエルディアに侵略されます。ユミルをはじめとした多くの者が連れ去られ、エルディアを率いていた初代フリッツ王の奴隷に。 物言わぬ労働力として奴隷を酷使するために、フリッツ王は奴隷の舌を抜いていました。年端も行かぬ少女だったユミルも例外ではなく、彼女も舌を抜かれて強制労働をさせられる日々を送ります。 回想シーンではユミルが結婚式を挙げる幸せそうな人々を見つめる姿があり、愛に満ちた人生に憧れていたのでしょう。

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巨人の能力を手に入れた日

ある日ユミルは家畜の豚を逃してしまいます。その罪として自由という名の追放=死罪を言い渡されたユミル。 領地から追い出され、狩猟のように王の家臣たちに追いかけ回され重傷を負った彼女は、やがて不思議な大樹にたどり着きます。そこに開いていた洞に落ち、彼女はムカデのような“何か”と接触。 この接触の瞬間、ユミルは巨人の力を手に入れます。言い伝えでは「大地の悪魔」と契約したとされていましたが、偶然の出来事だったのです。

巨人の力でフリッツ王の妻になる

巨人の力を得たユミルは、フリッツ王の命じるまま、道を拓き荒れ地を整え橋を架け、エルディアの領地拡大に貢献。この使える能力を欲した王は、褒美としてユミルを妻に娶ります。以降もユミルは王のために巨人の力を使い、敵の大国マーレへの勝利をエルディアにもたらしたのです。 また王との間に3人の娘を産み、マリア、ローゼ、シーナと名付けます。3人の娘の名前は後にパラディ島に築かれた3重の壁の名前となりました。

その悲劇は突然に……

ある日降伏した敵が王に謁見した際、隠し持っていた槍を王に投げつけようとします。咄嗟にユミルは身を挺してかばい、槍に貫かれるのでした。 本来は巨人の力で回復できるはずでしたが、王が自分に「我が奴隷」と語りかけるのを聞き、ユミルは絶望します。愛していた夫は最期まで奴隷としてしか自分を見てくれていなかったことを知り、そのまま回復せずに絶命。 ユミルの死を悲しむこともなく、王はユミルの遺体を切り刻み3人の娘たちに食べさせました。なんとしても巨人の力を手中に収めておきたかったのです。その後も王の遺言により子が親の遺体を食べる行為が繰り返され、代々巨人の力が王家に継承されていくことになったのでした。

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「道」で9つの巨人が誕生

ユミルの魂は、死後も「道」という死さえ存在しない世界に留まり続けていました。そして自身が持っていた巨人の力を9つに分けて「九つの巨人」を生み出します。 こうして「始祖の巨人」「超大型巨人」「鎧の巨人」「女型の巨人」「顎の巨人」「獣の巨人」「車力の巨人」「戦鎚の巨人」「進撃の巨人」が誕生。 ユミルは約2000年もの間、歴代のフリッツ王家の命令に従い奴隷としてすべての巨人を「道」で作り続けたのです。

【結末】始祖ユミルの長過ぎる生涯……

現在(2000年後)の出来事

気の遠くなる時間、1人で巨人を作り続けていたユミル。死亡してから2000年後の本編において、彼女は解放されます。 本編の時間軸においてユミルが登場したのはジークとエレンが接触し「道」に辿り着いたときのことです。ジークはユミルを「強大な力を持っているが奴隷のようなもの」とエレンに話し、自分は王族の血を引いているから従えと強要します。 それに対してエレンは「俺がすべてを終わらせてやる」「待ってたんだろ、2000年前から、誰かを」とユミルに語りかけました。

始祖ユミルの消滅

2000年間、ずっと奴隷だったユミルは自身を1人の人間として扱ってくれるエレンとの対話で、自らの意思でエレンに味方することを決めます。地鳴らしを発動させたエレン=始祖の巨人の首を「天と地の戦い」でミカサが落とし、始祖の巨人の力は消滅。 これによりようやくユミルは2000年の呪縛から解き放たれます。ミカサが愛おしそうにエレンの首に口づけするのを穏やかな表情で見つめながら、ユミルの魂は消滅しました。

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【能力】始祖ユミルが持つ巨人化の能力を解説!その大きさが尋常じゃない……

始祖の巨人の能力

ユミルの巨人化した姿は、作中で最大級とされたロッド・レイスの巨人体よりもさらに大きいとされており、推定200m以上とも言われています。雰囲気は女型の巨人に似ていて女性的、顔は骸骨状で肋骨のような触手のようなものが背中から生えているのが特徴です。

ジークも救われた巨人の生成の能力

ユミルは「道」で巨人を無尽蔵に作り出すことが可能。リヴァイによって瀕死となったジークも、「道」にてユミルによって救われています。 このときユミルは土を粘土のようにこねてジークの体を造形し、彼の命を救いました。始祖の力を継承したエレンが過去の9つの巨人を生成したのもこの力によるものです。

エルディア人の身体の構造や記憶を操作できる力

始祖の巨人の能力はエルディア人に限り、身体の構造を変化させたり記憶を操ったりすることができます。初代レイス王は壁内に移住した際、この力で国民の記憶を操っていました。 またジークはこの能力でエルディア人から生殖能力を奪おうと計画。子孫を絶やすことでエルディア人を緩やかに絶滅へと導く安楽死計画を目的に行動していました。

【考察】始祖ユミルの思惑や伏線を徹底考察

なぜあの時豚を逃したのか

ユミルが死罪を言い渡される原因となったのは、家畜の豚を逃してしまったからです。多くは描写されていませんが、ユミルは豚小屋の柵が開いているのを確認した上で、そのままわざと放置していたように見えます。 奴隷は囚われの身。人間の都合で柵に囚われている豚に、自身を重ねたのではないでしょうか。自分にはもう自由が望めないことを悟っていたユミルが、せめて豚には自由を与えたい、自分の代わりに自由になってほしいと願うのは自然なことかもしれません。

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なぜ「道」に居続けたのか?愛に囚われ続けた始祖ユミル

ユミルは愛情深い女性でした。しかし最期まで欲しい愛情を手に入れることができなかった、愛を渇望する女性でもありました。 「道」にいる2000年の間、彼女は愛したフリッツ王の願いを叶え続けます。最終話の言葉にもあるように、彼女は自分を愛していない王を愛してしまった、行き場のない愛に囚われ続けていたのです。 自分を奴隷とした王をなぜそこまで愛したのか、その理由は語られていません。しかしミカサに自身を重ねている描写から、ミカサがエレンに救われたように、幼いユミルは奴隷となったことで何かから救われたのではないでしょうか。 ミカサがその手で愛するエレンを殺したことで、ユミルは殺したいほど愛していた王への執念をようやく昇華できたのでしょう。

【謎】光るムカデの正体は?大地の悪魔って本当?

ユミルが巨人の力を手に入れたのは、偶然光るムカデのような生命体と接触したからです。このムカデ状の生命体は「大地の悪魔」として伝承されており、悪魔とユミルが契約したと言い伝えられています。 その正体は「有機生命の起源」と呼ばれる存在で、本体は細長い形状に無数の触覚を持つ巨大な物体です。行動原理は単純に「生命を増やすこと」で、生命の本能に従って動く存在といえます。 非常に生き汚く、最終回手前では決着がついたかと思いきや巨人化を促すガスを無差別に噴射し、巨人化能力者とアッカーマンの血を引くもの以外のエルディア人をすべて無垢の巨人へと変え、読者を阿鼻叫喚の渦に叩き込みました。

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【解説】始祖ユミルに関連する用語を解説!

ユミルの民

ユミルの民とは、エルディア人を指す言葉です。エルディア人がみなユミルの血を引いている種族であることに由来します。 ユミル・フリッツの力により、ユミルの民は巨人化の能力を持っているのが特徴です。その巨人の力を持って多数の国に侵略を仕掛けたことから、本編の時間軸では他の民族から非常に強い差別を受けています。

ユミルの呪い

「九つの巨人」を継承したものにふりかかる呪いを「ユミルの呪い」と呼びます。九つの巨人を受け継いで巨人化能力を手に入れたユミルの民は、すべて13年後に死亡してしまうのです。 理由については、ユミル・フリッツが巨人化能力に目覚めてから13年後に死亡したからで、始祖を越える時間、巨人化能力を保てないからと言われています。九つの巨人を受け継いだ継承者は13年のタイムリミットが近づくと、20代でも急速に老けてしまっていました。

不戦の契り

「不戦の契り」は145代フリッツ王=初代レイス王と始祖ユミルが結んだ契約です。平和を望むレイス王は世界がエルディア人の殲滅を望むならそれを受け入れるという思想の持ち主。この契りはその思想を、彼の後継者たちに引き継がせるための契約です。 契約の効果が発揮されるのは王家の血筋を持つ始祖の巨人の継承者で、契りにより継承者はレイス王の思想に染まることに。これにより継承者は全巨人を操れるという強力な始祖の巨人の能力を使えなくなります。

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「二千年後の君へ」「二千年前の君から」

「二千年後の君へ」は本作の第1話のタイトル「二千年前の君から」は第122話のタイトルです。1話時点では意味がわからなかったタイトルと対になるようなタイトルが122話という長い間を経て登場したことから、ネット上でも話題となりました。 この語りかけるような2つのタイトルは、誰から誰に向けられたのものだったのでしょうか?「二千年前の君から」はエレンがユミルに語りかけていることから「エレンからユミル」へのことだとわかります。しかし「二千年後の君へ」については「誰から誰へのメッセージなのか」議論されています。 ストレートに考えれば、主人公であるエレンに向けて2000年前の人物・ユミルが送ったメッセージでしょう。ただし最終話でエレンが話した内容によると、ユミルが待っていた存在とは自分と境遇が似たミカサのことのようです。 ユミルは自分と同じように盲信する人物のためにただただ行動するミカサが「自分の意思で愛する人を殺す」光景を見ることで、巨人の力を手放しました。 というわけで「二千年後の君」とはユミルからミカサへのメッセージと考えられます。

【周縁】ユミル・フリッツと関連の深い人物を紹介

初代フリッツ王

初代フリッツ王はユミルを奴隷とした張本人であり、ユミルが2000年執着し続けた愛する人です。ユミルはフリッツ王によって奴隷となり、命を弄ばれた果てに巨人化の力を手に入れました。以降はその能力を利用される形で王にこき使われ、彼との間に3人の娘ももうけます。 ユミルの人生の傍らにはつねにフリッツ王が存在していました。彼女の人生とは、その後2000年に渡って、自分を愛してくれないこの王へ尽くし続けるものとなります。

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ミカサ・アッカーマン

進撃の巨人
©諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会

1話と最終話のタイトルで示された、ユミルが2000年待っていた人物こそがミカサです。ユミルにとってミカサは、2000年待ち続けた、自分を愛の呪縛から解き放ってくれる存在でした。 ミカサはエレンに対して深い執着と愛を抱いており、エレンの愛の奴隷であることを望んでいました。この境遇が愛する者の奴隷だったユミルに似ています。だからこそユミルはミカサの頭の中を覗き、彼女の愛の行く末を見守ったのでしょう。

エレン・イェーガー

王家の血を引かない始祖の巨人の継承者として、「道」でユミルと邂逅を果たしたエレン。歴代の継承者がユミルを奴隷や神としてしか見なかったのに対し、エレンだけは彼女を1人の人間として扱いました。 ユミルにとっては奴隷であることから解放してくれた人物。ユミルの思いを知り、仲間が自分たちを倒す結末を導くためにユミルと協力して地鳴らしを発動させます。

ジーク・イェーガー

進撃の巨人 ジーク
©諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会

エレンの異母兄であるジークは、始祖の巨人の力を利用してエルディア人安楽死計画を実行しようとしていました。王家の血を引くジークは本来、始祖の力は使えないはずでしたが、初代レイス王の思想に染まらず、長い時間をユミルと共にすることで自力で「不戦の契」の無効化に成功。 「道」でユミルを説得しようとしますが、ユミルがエレンについたため彼の計画は頓挫します。

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【解説】始祖ユミルの元ネタは北欧神話

ユミルの名前のモデルになっているのは、北欧神話『スノッリのエッダ』に登場する巨人の原点となる「ユミル」だと推測されています。 この北欧神話に出てくるユミルは本作おけるユミル・フリッツとも似通う箇所が多々あります。例えば、彼の体から多くの生命や自然が発生したこと、最後は対立していた神々に倒されてしまうことなどです。

【声優】アニメ版『進撃の巨人』のユミル・フリッツ役は三島千幸

アニメ『進撃の巨人』でユミル・フリッツ役を演じているのは三島千幸(みうらちゆき)です。 三浦は始祖ユミル役以外にも、エレンの父・グリシャの妹、フェイ・イェーガー役やロッド・レイスの次女であるエーベル・レイス役なども過去に演じています。 初登場となった80話ではセリフはないものの、その嗚咽でユミルの感情を見事に表現していました。

『進撃の巨人』ユミル・フリッツは巨人の物語の始祖ですべての始まりだった

『進撃の巨人』ユミル・フリッツについて考察も含めて詳しく紹介しました。すべての巨人の物語の始まりであるユミルは、完結後に改めて振り返ってみると『進撃の巨人』の物語の根幹に深く関わっていたことが分かります。 伏線が多い作品なので、ユミルの思いや意図を考えながら全巻読み返してみると、物語のまた違った側面が見えてくるのではないでしょうか。