2023年10月23日更新

『進撃の巨人』九つの巨人の歴代継承者や正体とは?能力や強さを解説

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進撃の巨人
©諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会

『進撃の巨人』の物語を味わうのに欠かせないキーワードの1つ「九つの巨人」。始祖ユミルから「九つの巨人」はどう生まれ、そしてどんな能力を持つのでしょうか。 本記事では「九つの巨人」それぞれの能力や活躍を解説しながら、判明している歴代継承者をまとめて紹介していきます! ※この記事は『進撃の巨人』の重要なネタバレを含みます。

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「九つの巨人」とは?【進撃の巨人】

「九つの巨人」とは、巨人化以前の知性を保持したまま巨人化することができ、巨人ごとに固有の能力・特性を持つ9体の巨人のことです。「九つの巨人」を継承できるのは、「ユミルの民」と呼ばれるエルディア人のみ。 継承者は過去の継承者の記憶を見ることができ強大な力を手に入れますが、継承から13年で死ぬという代償を支払います。

「九つの巨人」の特徴

特徴
  • 巨人化の際に自傷行為と強い目的が必要
  • 続けての巨人化は3回まで
  • 巨人化前の知性を維持できる
  • 固有の能力を持つ
  • 未継承で死ぬとエルディア人の赤子に継承される

「ユミルの民」であるという大前提は無知性巨人と同じですが、巨人化前の知性を有したまま巨人化し、固有の能力を持つ点が「九つの巨人」の最大の特徴です。 自傷行為によって血を流すことが巨人化のトリガーとなります。巨人化の練度が上がれば、巨人化するタイミングを操ることも可能。ただし巨人化には目的や覚悟が必要であり、それを失った場合はいくら血を流しても巨人化することはできません。 自分を食わせることで巨人化能力が継承されますが、継承せずに死んでしまった場合は、「エミルの民」の新生児にランダムで能力が引き継がれるようになっています。

「九つの巨人」の弱点

弱点
  • 「ユミルの呪い」で寿命は継承から13年
  • 本体が四肢の切断など大怪我を負うと巨人化できない
  • 本体の怪我の回復中は巨人化できない

無知性巨人に比べて数は少なくとも圧倒的な強さを誇る「九つの巨人」ですが、寿命が13年になるという大きな代償が必要です。また巨人の高い治癒能力のおかげで人間体でもたいていの大怪我を治すことができますが、治癒に巨人の力を使うため、その間は巨人化ができなくなります。 強い目的や意志を持つことが巨人化の条件となるので、心が死んでしまうと巨人化もできず、巨人の治癒能力も使えなくなる点も彼らの弱点です。

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「九つの巨人」の歴史

「九つの巨人」誕生

かつて始祖ユミルことユミル・フリッツは、光るムカデと出会い巨人化能力を手に入れます。彼女の死後、その能力は9つに分割され「九つの巨人」が誕生。子孫へと継承されていくことに。 「九つの巨人」という強大な力を得たエルディア帝国は巨人の力によって大国マーレも倒し、約1700年間、大陸の支配者として君臨し続けます。

世界の凶器となった「九つの巨人」

マーレ人の内部工作によりエルディア帝国は内戦の末に弱体化。巨人大戦に勝ったマーレは「九つの巨人」のうち7体の力を奪取することに成功します。以降、マーレは巨人の力を振りかざして侵略戦争を繰り返し、世界の中心に居座ることに。 一方のエルディア帝国の145代目フリッツ王は戦いを拒否、国民の一部を連れてパラディ島へ逃げこみます。

「悪魔の末裔」と言われるエルディア人

マーレ国に住むエルディア人は「悪魔の末裔」と呼ばれ、収容区にしか住めないなどの差別を受けていました。しかし、名誉マーレ人になれば、収容区の他のエルディア人よりは良い暮らしができるとされています。 そのため、幼い多くの戦士候補生たちが戦闘で成果を残し「名誉マーレ人」の称号を貰おうと日々訓練していました。

「九つの巨人」の歴代継承者や能力一覧

ここからは「九つの巨人」について1体ずつ詳しく紹介していきます。能力や氏名が判明している歴代継承者をまとめました!

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①始祖の巨人

継承者一覧

1人目 ユミル・フリッツ
2人目 カール・フリッツ
3人目 ウーリ・レイス
4人目 フリーダ・レイス
5人目 グリシャ・イェーガー
6人目 エレン・イェーガー

始祖ユミルからその娘のうちの1人に継承され、以降は144代フリッツ王の代まで王家で継承されてきました。変化が訪れたのは145代フリッツ王のカール・フリッツからです。 彼は巨人大戦後にパラディ島へ移り、初代レイス王を名乗ります。以降はレイス家がパラディ島内で力を継承してきました。 エレンの3代前の継承者がクリスタの父・ロッドの弟・ウーリで、ウーリからロッドの長女・フリーダに継承されます。フリーダの継承直後、エレンの父・グリシャが礼拝堂を襲撃して交戦状態に。このときフリーダはまだ能力を使いこなせておらず、グリシャに捕食されてしまいます。 こうして代々王家で継承されてきた能力は、王家以外の者に手に渡ったのです。のちにグリシャは幼いエレンに巨人化の注射を打って巨人化させ、息子に自分を捕食させました。 これによりエレンは始祖の巨人の力を手に入れます。ちなみにエレンは記憶障害で一連の出来事を忘れていました。

能力

「座標」と呼ばれる9体の頂点である始祖の巨人は、すべてのユミルの民、そこから生まれた無垢の巨人を操ることが可能です。記憶や身体構造も操れますが、これらの能力は本来はフリッツ王家の血筋の者でないと使えません。

強さと活躍したシーン【32~33巻】

エレンは全巨人を操る能力を使って「地ならし」を発動させます。それは世界を滅ぼすほどの力です。さらに彼は「九つの巨人」を再生成して戦わせており、始祖の巨人が別格の強さだと分かります。

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②進撃の巨人

継承者一覧

1人目 エレン・クルーガー
2人目 グリシャ・イェーガー
3人目 エレン・イェーガー

巨人大戦の混乱のなかでマーレの手に渡らなかった「進撃の巨人」は、大陸に残ったレジスタンスの間で秘密裏に継承されてきました。 エレンの2代前の継承者エレン・クルーガーは、マーレ政府に潜伏するエルディア復権派のスパイ(フクロウ)です。国家反逆罪で無垢の巨人にさせられる直前だったグリシャを助けたエレン・クルーガーは、13年の寿命が尽きる寸前の自分を食って「進撃の巨人」を継承するようグリシャに命じます。 「これはお前が始めた物語だろ」という彼の言葉で奮い立ったグリシャは、注射で無垢の巨人となった後、彼を食らい能力を継承しました。後に「始祖の巨人」とともに息子・エレンに継承されます。

能力

「始祖」とともにエレンに継承された進撃の巨人は、継承者間で過去未来問わず記憶の共有ができます。未来の記憶を知ることで、過去改変に等しい行動をすることも可能。唯一、始祖の巨人の支配下に入らない自由を象徴する巨人です。

強さと活躍したシーン【30巻】

進撃の巨人は戦闘面で特殊な能力があるわけではなくシンプルな肉弾戦をします。ですが、「道」を通じて未来を知ることができるという特異性と自由を求める気質とで、物語を大きく動かしていく存在です。

③超大型巨人

継承者一覧

作品の顔ともいえる「超大型巨人」はマーレが奪った7つの巨人のうちの1つで、代々「マーレの戦士」に選ばれた者が継承しています。ベルトルトもこの「マーレの戦士」でした。 シガンシナ区での決戦でエレンとアルミンに敗れ、巨人から引きずり出されたベルトルトは気絶中に四肢を切り落とされ身動きを封じられます。目を覚ました直後に、彼は注射で巨人化したアルミンに捕食され、能力はアルミンへと継承されました。

能力

推定60mという巨躯と、辺り一帯を焼き尽くすほどの熱風を放つ能力を持つのが超大型巨人です。熱風を放つ際は身体の肉を消費するため、破壊力は飛び抜けていますがスタミナ消費が激しいのが難点。

強さと活躍したシーン【1巻】

100年の平和を保っていた壁のなかの人々に巨人の脅威を思い出させた存在がこの超大型巨人です。作品の顔ともいえる存在で、1巻から登場。高さ50mの壁の上から顔を出し、いとも簡単に壁を壊すシーンがその破壊力を示しています。

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④鎧の巨人

継承者一覧

マーレが所持する「鎧の巨人」は「マーレの戦士」によって継承されています。 作中唯一描写されている継承者のライナー・ブラウンは戦士候補生のなかでも平凡な成績の少年でした。ところが、同期のマルセル・ガリアードが、弟のポルコを短命にさせたいために、ライナーが選ばれるよう裏で手を回していたことで、ライナーが継承者となります。

能力

鎧の巨人の能力は全身の硬質化。硬質化した状態で動き回れるうえに、急所であるうなじも硬質化されて覆われているため倒しにくい巨人といえます。全身を固くしてぶつかるだけで壁を簡単に砕くほどの破壊力の持ち主。

強さと活躍したシーン【11巻】

一般的な武器ならはねのける鎧の巨人ですが、調査兵団の雷槍など意外と攻略方法がある巨人です。ライナーの持つ戦闘力もあって、序盤は戦闘力の高さが目立っていました。最終戦では主力の1人として第一線で活躍します。

⑤女型の巨人

継承者一覧

「女型の巨人」もマーレ軍で管理されている巨人のうちの1体です。作中で判明している継承者はアニ・レオンハートのみ。 養父仕込みの優れた格闘術を買われて戦士候補生入りを果たしたアニは、マーレの戦士として能力を継承します。戦闘で窮地に陥った彼女は自らを水晶体のなかに閉じ込め、地ならしまで眠りについていました。

能力

女型の巨人は高い戦闘能力と軽やかな身のこなしができ、部分的に硬質化もできます。他の巨人に比べるとスリムな体型で、戦闘時の動きはほぼ人間と変わりません。無垢の巨人を叫び声で操る能力も持ちます。

強さと活躍したシーン【8巻】

ストヘス区にてエレンと1対1の戦闘になった際の、女型の巨人の体術を駆使した戦闘力の高さが印象的でした。ほかの継承者が描かれていないため、女型の巨人の強さがどこまでアニに由来しているかは不明。長い間氷漬けになっていましたが、最終戦でも活躍します。

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⑥顎の巨人

継承者一覧

1人目 マルセル・ガリアード
2人目 ユミル
3人目 ポルコ・ガリアード
4人目 ファルコ・グライス

マーレ軍で管理されている「顎の巨人」は、ライナーたちと同期のマルセル・ガリアードが継承します。 仲間とともに「始祖奪還作戦」でパラディ島に上陸した際、一行は無垢の巨人として壁外を約60年さまよっていたユミルの巨人体に襲われ、能力はマルセルを捕食したユミルのもとへ。 偶然能力を手に入れたユミルは後にライナーたちとともにマーレへ帰還。彼女は自らの意志でマルセルの弟・ポルコに捕食されることを望み、彼に能力を渡します。 エレンと戦い重傷を負ったポルコは、ジークの脊髄液入りワインのせいで無垢の巨人となってしまっていた戦士候補生のファルコに食われそうなライナーを庇い、自分を食べさせて能力をファルコに継承させました。

能力

顎の巨人は強靭な顎と爪を持つ、9体でもっとも小柄な巨人です。その顎や爪は硬質化したものも砕くほど強く、機動性も高いのが特徴。攻撃力と素早さに長けていることから、特攻隊長として強襲作戦を引っ張っていました。

強さと活躍したシーン【10巻】

10巻では親友のためにユミル体が活躍します。猿のような俊敏性がありましたが、破壊力はいまいち。後に訓練されたポルコが継承した際には、顎の巨人の真価が発揮されました。近接戦や急襲には強いものの、巨人戦では小柄ゆえやや見劣りしてしまいます。

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⑦車力の巨人

継承者一覧

マーレが持つ7体の巨人のうちの1つ「車力の巨人」は、判断力を買われたピーク・フィンガーが継承しています。作中ではピーク以外の継承者は描かれていません。 ピークは「天と地の戦い」でも活躍しました。最後はエレンの敗北により巨人が消滅したため、ピークが最後の「車力の巨人」の継承者となります。

能力

車力の巨人は唯一の四足歩行をする「九つの巨人」で、数カ月も巨人化していられる持続性を持ちます。外付け兵装を装着可能で、長距離移動時の補給物資の運搬や、戦場での移動砲台として活躍。また巨人の状態で話すこともできます。

強さと活躍したシーン【25巻】

車力の巨人は「マーレ篇」から登場します。戦闘に特化した巨人が多いなか、車力の巨人は補給や負傷者の運搬、偵察といったサポートの役割で活躍しました。俊敏性とピークの判断力の高さを生かし、戦局をうまく切り抜けます。

⑧獣の巨人

継承者一覧

1人目 トム・クサヴァー
2人目 ジーク・イェーガー

マーレが持つ1体「獣の巨人」は、マーレの戦士だったトム・クサヴァーが継承していました。トムは巨人の研究者で非戦闘員。力を継承したのも巨人の謎の解明のためです。 トムは幼いジークにとっては父親代わりのような存在で、彼の遺した言葉はジーク・イェーガーに多大な影響を与えました。トムの任期満了が近づいたことで、ジークが彼を捕食して能力を継承。実はジークは王家の血を継いでおり、巨人化能力者のなかでも特殊な力を有しています。

能力

ジーク体の獣の巨人は猿のような長い手足を持っており、巨大な岩を投げることでの長距離攻撃を得意とします。継承者の特性によって獣の種類が異なるようで、歴代の継承者には羊のような姿の獣の巨人もいました。

強さと活躍したシーン【20巻】

20巻で獣の巨人は無数の岩を剛速球で投げ込み砲丸の雨を降らせ、長距離攻撃型の巨人の厄介さを見せつけました。またジークは王家の血を引いているため、自身の脊髄液を与えたエルディア人を自在に操ることができます。

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⑨戦鎚の巨人

継承者一覧

1人目 ラーラ・タイバー
2人目 エレン・イェーガー

「戦鎚の巨人」の管理はマーレのタイバー家が行っています。タイバー家は145代フリッツ王と結託して、エルディア帝国を内部から崩壊させた一族。大戦後、大陸に残った一族は、本当の歴史とともに代々「戦鎚の巨人」を継承してきたのです。 エレンの前の継承者はタイバー家当主の妹ラーラ・タイバー。レベリオ収容区でエレンと交戦した際、水晶体で覆っていた本体を顎の力で砕かれエレンに捕食されました。

能力

代々タイバー家が管理してきた戦鎚の巨人は硬質化に特化した能力です。地面などから非常に硬い硬質化した物体を創り出すことが可能。また、本体を巨人から切り離して、巨人を遠隔操作することもできます。

強さと活躍したシーン【25巻】

戦鎚の巨人は巨大なハンマーやボウガンなど多彩な武器を操るうえに、地面から武器を発生させることができるため、エレンを苦戦させていました。本体がうなじにいないというのもトリッキーでしたが、最後はエレンに奪取されています。

九つの巨人の元ネタは北欧神話

すべての始まりとなった始祖ユミルの名は、北欧神話に由来しています。北欧神話でのユミルは、氷河の雫から生まれた生命体で、巨人でした。巨人ユミルから生まれた子供たちはみな巨人で、霜の巨人と呼ばれています。巨人能力の継承という発想も、この北欧神話を参考にしたのでしょう。 また北欧神話では、全世界を示す際に「九つの世界」という表現が多用されます。「九つの巨人」の元ネタはこの言葉だと考えられますね。

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『進撃の巨人』に登場する「九つの巨人」は最強で不遇な運命だった

進撃の巨人
©諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会

『進撃の巨人』を理解するうえで欠かせない「九つの巨人」について解説しました。彼らの誕生の裏とその後辿った道には壮絶なドラマがあります。 とくに始祖の巨人や進撃の巨人のに関しては序盤からいろいろ伏線が仕込まれているので、「九つの巨人」を改めて頭に入れたうえで読み返してみると新たな発見があるかもしれませんよ!