ジブリ映画『君たちはどう生きるか』に原作はある?『失われたものたちの本』との関係も考察

ジブリ映画『君たちはどう生きるか』は、吉野源三郎の同名小説から着想を得たオリジナルストーリーです。しかしストーリーの元になったと言われる、もう1つの小説『失われたものたちの本』の存在は、あまり知られていません。 そこで本記事では、映画に影響を与えた小説『君たちはどう生きるか』と『失われたものたちの本』の概要やあらすじを紹介します。 ※この記事は『君たちはどう生きるか』のネタバレを含みます。
ジブリ映画『君たちはどう生きるか』の原作は?

映画『君たちはどう生きるか』の原作は明言されていませんが、影響を受けた小説は2冊あると言われています。 1冊はタイトルにもなっている、1937年に出版された吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』。宮崎駿監督が「主人公・眞人にとって大きな意味を持つ本」と語っており、劇中に何度か登場します。 もう1冊が2006年に発売された海外のファンタジー小説『失われたものたちの本』です。こちらは映画のエンドクレジットでも「影響を受けた本」として紹介されました。
小説『君たちはどう生きるか』の概要
作品名 | 『君たちはどう生きるか』 |
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著者 | 吉野源三郎 |
発売年 | 1937年(2017年に漫画化) |
1937年に発売された小説『君たちはどう生きるか』。2017年には漫画化され、日販調べの総合年間ベストセラー1位にも輝きました。 主人公はコペル君こと15歳の本田潤一。母の弟である「おじさん」からコペルニクスにちなんで、あだ名が付けられました。物語はおじさんのアドバイスをもとに、コペル君が抱いた悩みを1つ1つ解決していく形式で進みます。 コペル君の悩みは「ものの見方」や「人間関係」、「過ち」など、大人になるためには避けて通れないもの。怒りや不安に負けそうになりながらも、コペル君の「心」は大人へと成長していきます。
映画『君たちはどう生きるか』と小説『失われたものたちの本』の関係

映画『君たちはどう生きるか』と小説『失われたものたちの本』は類似設定が多く、同名タイトルの小説よりも原作寄りだといえます。 どちらも戦時中に母を亡くした少年が主人公。父が再婚し、継母が子どもを授かっているのも同じです。また鳥の姿からおじさんに変形するアオサギの原型とも言える「ねじくれ男」が小説に登場します。彼はカササギに変身でき、主人公に対して「母を助けられる」と告げ、異世界へ誘うのです。 さらに親族で行方不明になった人物が、異世界を維持している設定も同じ。このように映画と大筋のストーリーや設定がよく似ています。映画は抽象度が高く、視聴後も不明な点が多いはず。小説は共通点が多く映画の補完にもなるため、映画を見終わってから小説を読むのもおすすめです。
小説『失われたものたちの本』の概要
作品名 | 『失われたものたちの本』 『The Book of Lost Things』(原題) |
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著者 | ジョン・コナリー |
発売年 | 2006年 |
主人公は母を亡くし、孤独を感じる12歳の少年・デイヴィッドです。父は再婚し、新たな弟が生まれます。しかし、デイヴィッドは弟のせいで自分がないがしろにされていると感じていました。 そんなデイヴィッドにとって「本」が心の支えです。しかし、徐々に現実と空想が入り混じっていきます。ある日、庭の壁にある隙間から母の声が聞こえ、進んでみると異世界に迷い込んでしまいました。 現実世界に帰るためには「失われたものたちの書」を読む必要があると教えられます。デイヴィッドは「本」がある王の城を目指す旅に出ますがーー。
映画『君たちはどう生きるか』は小説『失われたものたちの本』が原作に近い!

ジブリ映画『君たちはどう生きるか』の制作にあたり、影響を受けた本として同名小説の『君たちはどう生きるか』と『失われたものたちの本』があります。 小説『失われたものたちの本』はストーリーの原案とも言える作品であり、映画を深く理解したいなら必読の1冊。 また、小説『君たちはどう生きるか』は劇中で眞人が涙を流しながら読んだ本です。眞人がどんな内容を見て「塔の世界」へ向かう決意をしたのか、知りたい方はぜひ読んでみてください。