『千と千尋の神隠し』カエルの正体とは?従業員がなぜ青蛙なのか&名バイプレイヤーの理由を紐解く
ジブリ映画『千と千尋の神隠し』で主人公・千尋が働くことになる油屋には、カエル男の従業員が登場します。その中でもひときわカエルらしさの強いキャラクターが1人。彼の名前は「青蛙(あおがえる)」です。 この記事ではあの青蛙の特徴的な声を演じた声優や印象に残るセリフを紹介し、彼が一体何者なのかを詳しく考察していきます。実はとっても重要なキャラクターなのかもしれません。
『千と千尋の神隠し』青蛙(あおがえる)の基本情報

| 年齢 | 不明 |
|---|---|
| 職業 | 油屋従業員 |
| 声優 | 我修院達也 |
青蛙は、まさにカエルそのままの見た目をしています。他の従業員のカエル男たちは見た目が人間らしく、うすだいだい色の肌をしているのに対して、青蛙だけはなぜか緑色。見た目には人間らしさは感じられません。身体も小さいため、いつもぴょんぴょんと飛び跳ねているのも特徴的です。 とはいえ青蛙は2本足で立って歩き、青い着物を着ており、そのうえ人間の言葉を話します。そんな青蛙は、実は原画担当スタッフではなく宮崎駿監督が直々に描いたキャラクターなんだそう。
性格
湯屋で下働きをしている青蛙は、他のカエル男たちより下のポジションです。上司であるカエル男たちにへつらい、その一方で人間である千尋には高圧的な態度を取っていました。権力や力関係に弱い性格であることがわかりますね。 また青蛙は、オクサレ様の身体から出た砂金がどこかに落ちていないかとこっそり探していました。そのせいでカオナシに目をつけられてしまうのですが、非常に金銭への執着が強いこともわかります。 とはいえ仕事は真面目に取り組んでいますし、最後には「千のお陰で俺たち助かったんです」と、経営者で強い権力を持つ湯婆婆に対して千を庇う様子も見せています。決して悪いキャラクターではないことは確かです。
青蛙はなぜ千尋が人間だと気づいた?その後の動向も解説
青蛙が人間に気づいたことで大騒ぎに

青蛙の最初の登場シーンは、ハクに魔法をかけられた千尋が連れられて橋を渡ろうとしていた時。青蛙が人間の言葉を話す様を見て、千尋は驚いて思わず息をしてしまいます。そのために魔法が解け、人間である姿を見られるはめに。 人間である千尋の姿を最初に見たのが青蛙であり、「人間だ」と騒ぎ始めたため、ハクに橋の上で魔法をかけられて気絶させられました。そしてその時に見た千尋の記憶を消されたのです。
その後千尋をかばうことに

青蛙は金に目がなく非常にがめつい性格。大湯で砂金探しをしていたところに、カオナシが金を手から出す様子を見て目がくらんで、誰よりも先にカオナシに飲み込まれてしまいます。 その後カオナシは青蛙の声を借りて言葉を発していましたが、千尋のニガダンゴを食べたせいで飲み込んだすべてのものを吐き出します。最後に吐き出されたのが青蛙で、千尋がカオナシを外に誘い出し、騒動は収束。青蛙は父役や兄役とともに千尋のおかげで助かったことを湯婆婆に訴えていました。
【考察①】青蛙の正体とは?なぜカエルの姿のままなのか

ジブリ映画には「あのキャラクターの正体は……」「実は○○の比喩で……」などの都市伝説が多くありますが、青蛙に関しては都市伝説などはなく、「蛙」であることしか判明していません。 一番下っ端の者は蛙という湯屋の仕組みなのか、元々この姿なのか、はたまた悪さをして湯婆婆に姿を変えられてしまったのか……?一体なぜ彼だけがカエルそのものの姿なのか、考えてみると面白そう。例えば、彼が誰よりも先に金に目がくらみ、カオナシに飲み込まれたところから考えてみましょう。 良くも悪くも“純粋に”欲望を隠すことなく行動する青蛙は、他の者たちより動物的に見えます。それが故に彼だけ「まだ」本来の蛙の姿でいるのでしょうか。他の者たちが人間に近い姿になっているのは、それだけ人間的な社会性と自制心を持っているということなのかもしれません。
【考察②】油屋で働く男たちはなぜ蛙の姿なのか

青蛙以外の湯屋の男性従業員はみんなカエル男です。そして女性の従業員はナメクジ女。公式パンフレットのインタビューによるとリンは人間とのことですが、それ以外はカエルとナメクジの化身というわけです。 湯婆婆の手下であるハクは龍ですが、龍の形はヘビにも似ていますよね。これは「三竦み(さんくすみ)」の状態を作っている、という説があります。 三竦みとは、ナメクジはカエルを恐れ、カエルはヘビを恐れ、そしてヘビはナメクジを恐れて三者とも身動きが取れなくなったという故事から生まれた言葉で、“三者互いに牽制しあって身動きが取れないこと”を指します。 三竦みの状態になっていることで、湯屋という社会はバランス良く保たれているのでしょう。ちなみに宮崎駿監督は彼らをナメクジやカエルにした理由を聞かれ、「僕たちだってカエルやナメクジみたいなものじゃないですか」と答えていました。
【考察③】実はキーパーソン!青蛙がいたからこそ物語が動き出す

端役と捉えられがちな青蛙ですが、実は物語のキーパーソンであると言っても過言ではありません!というのも、そもそも気配を消して橋を渡っている千尋を青蛙が驚かしてしまったことによって、人間が入り込んだことが湯屋の者たちに勘付かれ、人間探しの騒ぎが起きてしまいました。 悪く言えば青蛙のせいで千尋がピンチに追い込まれ、良く言えば物語を面白くしてくれたシーンでした。 また青蛙がカオナシに騙されて飲み込まれたことによって、カオナシは言葉を話せるようになり、湯屋で大暴走を起こしてしまったのです。もしも青蛙が浴場で金探しをしていなければ、そしてカオナシが出す金に吊られていなければ、あんな事件は起こらなかったことでしょう。 そう考えてみると、映画『千と千尋の神隠し』の物語の重要なポイントや大きな出来事では、いつも青蛙の行動が起点になっています。最終的にうまく収まったから良いものの、物語をかき回してるのはいつも彼だったのかもしれません……。
青蛙の名言を振り返る!どのセリフも魅力的
「ハクさまーーーーー!」

映画の冒頭で、千尋はハクに連れられて湯屋に入ろうとします。人間であることがバレないように、息を止めて気配を消しながらハクと共に橋を渡る千尋。すると突然目の前に、「ハクさまーー!」と叫ぶ青蛙がジャンプして現れます。 そのせいで驚いた千尋が息をしてしまい、青蛙に「ゲッ、人か?」と気づかれてしまいました。ハクがとっさに青蛙に魔法をかけて千尋を逃しますが、周囲にも感づかれてしまうのでした。
「千をだせっ」

オクサレ様の身体から出た金を探すために浴場に残っていた青蛙。そこへ突然カオナシが現れます。カオナシが手から出す金に吊られた青蛙は、カオナシに飲み込まれてしまいました。 すると、それまで言葉を話せなかったカオナシが青蛙の声を使って話せるようになります。「千をだせっ」は、千尋に会いたいカオナシが青蛙の声で話したセリフです。カオナシのセリフではあるものの、声は青蛙の声優が担当しています。
青蛙のここがいい!見どころシーンを紹介

カオナシに飲み込まれてしまった青蛙。その後千尋がカオナシに苦団子を食べさせると、カオナシは食べていたものを吐き出しはじめ、飲み込んでいた従業員たちも吐き出していきました。 暴れていたカオナシはすっかり大人しくなり、海の電車に乗る千尋について行くことに。そして海の上で、最後に青蛙を吐き出すのです。ぽちゃりと水面に落ちて海に浮かぶ青蛙がとても可愛いシーンです。 よく見てみると、カオナシの身体の中で喉元まで上がってくる青蛙の姿が透けて見えています。
青蛙の声優は我修院達也(がしゅういんたつや)!

青蛙の声優を務めたのは、俳優・歌手・声優など幅広く活躍する我修院達也。6歳から子役として活躍し、80年代には郷ひろみの歌真似でお茶の間の人気者になりました。ドラマ『電車男』(2005年)など、多数の作品に出演しています。 『千と千尋の神隠し』の青蛙役で声優デビューし、2004年には『ハウルの動く城』でカルシファー役の声優も務めました。
あの印象的な声は独自の発声方法によるものだった!
青蛙役のキャスティングはオーディションではなく、直接オファーで決定。インタビューによると、映画『鮫肌男と桃尻女』(1999年)で演じた役の声を宮崎駿監督が聞いたらしく、「あれのキーをもうちょっと高くしてやってもらいたい」と言われたのだそうです。 アフレコの際にはまだ青蛙のイラストすらなかったため、我修院達也は蛙のぬいぐるみを10種類以上も収録に持ち込んで役作りをしたと言います。また、独自の発声技法である「我修院スタッカート」や「我修院テヌート」を監督に提案し、取り入れました。 そうして完成したのが、「うぇっ」「んうぅ゛」「ンァァア」といった、あの独特な青蛙の声でした。それを聞いた監督が思わず吹き出してしまい、NGになったこともあったそうです!
『千と千尋の神隠し』カエルもとい青蛙は名バイプレイヤーだった

公開から20年が過ぎて、今もなお世界中で愛され続けているジブリ映画『千と千尋の神隠し』。この不朽の名作には、もっとたくさんの秘密や名キャラクターが隠れているのかもしれません。 ぜひもう1度、本作に欠かせない名バイプレイヤーの「青蛙」に注目しながら鑑賞してみてはいかがでしょうか?







