2021年3月30日更新

『ハウルの動く城』の原作小説設定【映画では描かれなかった秘密】【ネタバレ注意】

『ハウルの動く城』

名作アニメの1つと言われる『ハウルの動く城』では、原作にはないオリジナルのストーリーがあることが知られています。しかし映画にはない原作のみの物語があることをご存知ですか?今回は、ネタバレありでヴェールに包まれたもう1つの物語をご紹介します。

『ハウルの動く城』原作小説のあらすじ

イギリスの作家ダイアナ・ウィン・ジョーンズの人気児童小説『魔法使いハウルと火の悪魔』(原題;Howl's Moving Castle 1986)を元にジブリで製作されたのが映画『ハウルの動く城』(2004年)。 荒地の魔女によっておばあさんに変えられてしまった帽子屋のソフィーは、呪いを解こうと家を飛び出しました。 そして同じく荒地の魔女に心臓を狙われている女ったらしの魔法使いハウルや、見習いのマイケル(映画ではマルクル)、さらに火の悪魔カルシファーらとともに、空を飛ぶ城に住み込むことになる……というファンタジーストーリーです。

ハウルはとても女好きで、テレビゲームも持っている

『ハウルの動く城』

小説版『ハウルの動く城』では、ハウルが外出するときは戦争のために出かけるのではなく、女の子をナンパするために街に出て行くことがほとんどです。 ソフィーに言い寄って気を引くのも実はハウルで、城で共に暮らすことになっても他の女の子にも恋をします。妹のレティーにまで心を惹かれてしまうのですから、呆れたものです。 またイギリスでは伝統として、ファンタジーの世界を描いても主人公はあくまでも現代人という設定が頑なに守られています。 ハウルも例に漏れず、テレビゲームなどの現代っ子の遊びをすると描かれました。

ソフィーも魔法を使える

『ハウルの動く城』

原作版でのソフィーは、自分では気づかない物に命を吹き込める魔法の力を身につけています。 これによってラストシーンでのハウルが命を落とさずに済むのですが、映画の中でははっきりとこの力については描かれてはいません。 また小説において1度老婆の姿になってしまうとそこから若返ることはなく、物語のほとんどでソフィーは老婆の状態です。 最後に老婆であることは自分の思い込みだということに気づき、その姿から若者本来の姿に戻るという展開になっています。

ソフィーが長女である

『ハウルの動く城』

童話や児童小説などでは三姉妹のうち、末の三女が成功するものが多いことは有名ですよね。本作の主人公であるソフィーもそのことを知っており、自分の失敗を「自分が長女なせいだ!」と嘆くシーンがあります。 原作本は児童小説であり、主人公の「私は長女だから失敗するのよ!」という発言は言うなればメタ発言。 映画では三女のマーサは登場しないばかりか、存在すら不明となっています。そのため長女であることをしきりに嘆くソフィーの姿は描かれていません。

不思議な7リーグ靴

映画には登場しなかった重要なアイテムとして7リーグ靴があります。 これは1歩で7リーグ(38.892km)進むことができる優れものです。ハウルは魔法が使えるので使うことはありませんが、魔法が得意でないマイケル(マルクル)やソフィーは重宝しています。

荒地の魔女はハウルの凶悪な敵である

ジブリ公式画像 ハウルの動く城

映画では、ハウルたちとともに城で暮らすことになる、荒地の魔女。原作では一寸たりとも仲良くなることはなく、終始ハウルと戦い続けます。 小説では「火の悪魔アンゴリアン」に操られている荒地の魔女。美しさの追及のために、ハウルや魔法使いサマリンたちの良い部分をつぎはぎしてパーフェクトな人間を作ろうとする恐ろしい企みを持っています。 また若く長生きできるように流れ星と契約もしているのでした。

サリマンは男性でハウルと同期

ジブリ公式画像 ハウルの動く城

映画の中では、王室付きの魔法使いで強大な力の持ち主の女性として描かれているサリマンですが、原作は男性でありハウルとは同期という設定になっています。 ですが映画のサリマンを思わせるような存在はあちこちに登場しているので、それを映画に引用したとも考えられます。

もうひとつ世界がある

『ハウルの動く城』

原作にはハウルたちが暮らす世界のほかに、もうひとつの世界が存在しています。黒い扉の向こうにあるウェールズという世界は、ハウルの家族が暮らす現実世界になっているのです。 映画では扉の向こうは戦場になっていますが、原作は異なっています。魔法使いやカルシファーが存在する“架空の世界”のみで映画のストーリーは完結し、ウェールズの現実世界やハウルの家族については一切描かれませんでした。

最大の相違は城そのものにある

『ハウルの動く城』

原作の動く城は、あのようなスチームパンク風のデザインではなくキャッスルという感じの城で浮遊しながら移動しているものです。 狭くて汚いというのは、映画でソフィーが掃除婦となって活躍するシーンに活かされました。 この城のデザインがまったく変えられたことについて、作者のダイアナ・ウィン・ジョーンズは絶賛していたとのことです。

結末の違いは?ハウルたちは死ぬのか

「原作小説ではソフィー、ハウルは死ぬ」という噂がインターネットで流れていますが、まったくのデマです。ハウルたちは荒地の魔女、そして黒幕であった悪魔アンゴリアンを打ち砕き、大団円を迎えます。 ソフィーはハウルの城へ住むこととなり、ハッター姉妹の次女レティーはサリマンの弟子に、三女のマーサはマルクルと結ばれるという結末。どういった経緯でこのようになるのか、ここには掲載しきれませんのでぜひ原作小説をご確認ください。

『ハウルの動く城』小説版は続編がある3部作

「ハウルの動く城1 魔法使いハウルと火の悪魔」には「ハウルの動く城2 アブダラと魔法の絨毯」、「ハウルの動く城3 チャーメインと魔法の家」という2冊の姉妹本があります。 それぞれアブダラとチャーメインが主人公ですが、ハウル、ソフィーらも登場するお話。ハウル、ソフィーのその後を知ることができるファン必見の作品です。