2021年3月25日更新

『ハウルの動く城』の謎を徹底考察解説!【ネタバレあり】

ハウルの動く城
© Studio Ghibli/Walt Disney Pictures

ジブリ映画『ハウルの動く城』の謎とは?

ハウルの動く城
© Studio Ghibli/Walt Disney Pictures

2004年公開の映画『ハウルの動く城』は宮﨑駿が原作小説を元に映画化し、数あるジブリ作品の中でも人気の高い作品として挙げられます。 しがない帽子屋のソフィーは、お祭りの日に兵士にナンパされていたところを魔法使いのハウルに助けられます。しかしハウルを追っていた荒地の魔女のとばっちりで、彼女の容姿は90歳のおばあさんになってしまいました。 帽子屋としてとどまることができない、と感じたソフィーはすぐに家を出ててしまいます。1人歩くソフィーが出会ったのはハウルが住む動く城でした。 そこでソフィーはそこの掃除係として住み込むことになります。城を動かす火の悪魔カルシファーやハウルの弟子のマルクル、ソフィーが助けたかかしのカブとの奇妙な毎日が始まるのでした。 この記事では『ハウルの動く城』の謎や疑問を徹底的に考察、解説してみました!『ハウルの動く城』を鑑賞後に記事を読むことをおすすめします。

『ハウルの動く城』あらすじを結末までネタバレ解説

激しくなる戦争と魔法をめぐる駆け引き

自身の魔法を解く方法を探すソフィーは、ハウルと結んだ契約のせいで城から出られないと嘆くカルシファーから、とある契約を持ちかけられます。それはハウルとの契約をソフィーが解けば、彼女の魔法を解いてくれる、というもの。 ソフィーは取引を受け入れ、忙しくも賑やかな日々を送っていました。しかし国は戦争の最中で、ハウルも戦場に出るようにと国王からの通達が……。 ハウルに代わり宮廷へ向かったソフィーは、王室付き魔法使い・サリマンと対峙しました。ソフィーが力強く啖呵を切ると、その姿が一瞬若返ります。迎えに来たハウルと共に宮廷を抜け出し、サリマンから隠れるために城を移動させました。 ハウルの思い出の花畑へと続く扉をプレゼントされ、なぜか懐かしく感じるソフィー。そんな2人の頭上を戦闘機が通過し、戦火は激しさを増していきました。

戦争と呪いを終わらせて平和な日々へ

ソフィーたちが暮らす町も空襲が始まり、守るものために戦場へ向かうハウル。彼を想いソフィーは城を動かそうとしますが、驚きの事実も判明します。 城の動力源であるカルシファーは、ハウルの心臓そのものだったのです。燃え盛るカルシファーを掴んだ荒地の魔女を救うため、2人に水をかけるソフィー。ハウルが死んでしまうと涙したその瞬間、彼に貰った指輪が光り出しました。

指輪に導かれ暗闇を歩いて行くと、あの花畑へとたどり着きます。そこは過去の世界で、ソフィーはハウルとカルシファーの秘密を知ることに。彼女は「未来で待ってて」と叫びながら現実に戻り、ハウルに心臓を返しました。 これにより城の魔法が解け、斜面を転がるソフィーたちをカブが身をていして助けます。ソフィーにお礼のキスを贈られ、隣国の王子としての姿を取り戻したカブ。彼は終戦のために国へ帰り、使い魔を通して全て見ていたサリマンも、戦争を終わらせようと動き出しました。 自由になったカルシファーは新しい城に残り、またみんなで平和に暮らし始めるのでした。

ソフィーに魔法の力があることは描かれていない

『ハウルの動く城』

劇中、ソフィーが老婆になったにもかかわらず突然若返るシーンがいくつか登場します。これについて不思議に思った人もいるのではないでしょうか? ラストシーンでハウルとカルシファーを無理に引き剥がすシーンも、本来なら双方が死んでしまうはずなのですが、共に命を落とすことはありませんでした。 これらに共通するのは、ソフィーには物に命を吹き込む魔法の力があるということです。映画の中でははっきりと描かれてはいないので、観客に伝わることはありませんでした。なお小説版では、この魔法の力について明確な記述があります。

ソフィーの年齢が突然変わるのは心の現れ

『ハウルの動く城』

突然老婆に変わってしまうソフィーですが、これには隠された答えがありました。 劇中のソフィーの発言はややネガティブさが目立ちます。原作ではソフィーが魔法の力を持っているということを自覚していません。しかし映画の中では曖昧に描かれ、観る人に委ねるような形になっているのです。 人生が悪い方へ動いてしまうのは、悪い魔法をかけられたことだけが原因ではなく、思い込みも影響していると示しています。 既出の老婆になったにもかかわらず、突然若返るシーンが登場するのはそのためです。ソフィー自身がリラックスしているときや眠っているときに若返るのは、その自信のない思い込みから解放された状態になっているから。 宮崎駿は『ハウルの動く城』をただの魔法の物語として製作したのではなく、未来は自分で切り開くことができるのだと、訴求しているのかもしれません。

荒地の魔女の魔法を解く力

『ハウルの動く城』

終盤でソフィーは若い姿を取り戻し、荒地の魔女の魔法は解けたようですが、どのタイミングでなぜ解けたのかは謎のままでした。 特に有力な説は、「カルシファーとの取引が成立した時」という説、そして「実は自分の魔法で解いていた」という説の2つ。後者については、早い段階でかけられた魔法は解けていたが、先述の精神の不安定さが外見に現れていた、というものです。 どちらにしても、誰かを愛し愛される中で育った“意思の力”や精神的な成長が、魔女の魔法(呪い)を破ったと言えるかもしれません。

ソフィーが突然年を取るという現象は原作者の実体験から

ソフィーが突然を年を取るという現象は、原作者であるダイアナ・ウィン・ジョーンズ自身の、牛乳アレルギーに関する実体験に由来しています。彼女はある日突然、牛乳アレルギーによって体が衰え髪の色が変わり、シワも増えて老婆のように変貌してしまったのだとか。

「探したよ」と「未来で待ってて」は時を超えた伏線だった

ジブリ公式画像 ハウルの動く城

ソフィーと初めて出会ったハウルのセリフに、疑問を感じた人もいるかもしれません。 彼が「探したよ」と言ったのは、ナンパから助ける方便とも受け取れますが、実は後半の“ある伏線”から繋がっていました。それは指輪を通じて過去へ渡ったソフィーが、少年時代のハウルに「未来で待ってて」と告げ、再会を約束したシーン。 幼いハウルはソフィーを探し続け、冒頭のシーンでようやく彼女を見つけたのです。 この時ハウルの指輪が光るのは、彼も指輪に導かれてソフィーを探し出したことを示す、ロマンチックな目印とされています。装飾品が光る描写に深い意味があるのは、『千と千尋の神隠し』の終盤、千尋の髪飾りが光る演出と似ていますね。

原作には存在しない戦争のシーン

『ハウルの動く城』の舞台として描かれている戦争は、実は原作には存在しないシーンでした。 鈴木プロデューサーは、「宮崎監督は「戦火の恋」をやりたかったそうです。」と語っています。

ハウルはなぜ、カルシファーと契約したのか?

『ハウルの動く城』

ハウルとカルシファーの契約について、映画では詳しくは説明されませんでしたが、原作ではきちんとした理由が描かれています。 ソフィーはカルシファーが流れ星であったことに気付き、そのことについてカルシファーに尋ねました。カルシファーが自らそれを話すことは禁じられているのですが、人に尋ねられた場合は話すことを許されているのです。 流れ星として地上に落ちてきたカルシファーの命を救ったのはハウルでした。当時のハウルは魔術師として開業したばかり。これから大きな力をより必要とする時期です。 星の子を捕らえることで強大な力を手に入れたいハウル、そして落下して命を落としたくないカルシファー。双方の利害が一致したことで契約成立となったわけですが、それに後々に恐ろしいことが待っているとは、当時の2人は気づいていませんでした。 ハウルはカルシファーの命を救うことと引き換えに強い魔法の力を手に入れ、自身の心臓=心をカルシファーに預けるということになりました。

カブ、カルシファーの魔法を解いたのはソフィー

『ハウルの動く城』

ソフィーはカブに対して、「逆さになっているよりましでしょう。元気でね。」、またカルシファーとハウルに対しては「やってみるね。どうか、カルシファーが千年も生き、ハウルが、心をとりもどしますように。」と言っていました。 この言葉が呪文となって、カブやカルシファーにかけられた魔法を解くことになった、という考察があります。

ハウルはなぜ、浮気性なのか?

『ハウルの動く城』

ハウルは多くの恋をし、成就した途端に気持ちが引いていく「恋多き色男」でした。 その理由は、カルシファーとの契約があるためと考えられています。自分の心臓を探し続けるが故に、多くの恋をして心を取り戻したいハウルの気持ちが、浮気性という行動に繋がっていくのです。

サリマンから逃げるためだけじゃない。ハウルが“動く城”にした理由

『ハウルの動く城』

ハウルの城は構造上では移動できるようには作られていません。しかし、この城には動かさなくてはいけない理由が2つあります。 ひとつは、ハウルが荒地の魔女とサリマンから逃げているというものですが、もうひとつとして挙げられる理由がソフィーには言いづらいものなのです。 それは、ハウルによって心を奪われた女性たちが、悲しみにくれてハウルの家に押しかけて来てしまうからなのでした。そして、城のあちこちにドアをつけているのも、このような理由があるからだとわかります。モテる男というのは、どの世界でも大変のようですね。

「ハウルが女性の心臓を食べる」と言う噂はマルクルが流した

ジブリ公式画像 ハウルの動く城

実際に女性の心臓を食べる、という描写はなくデマだったことがわかりますが、実はこれはマルクルが流したものでした。 「心」を奪う、「心臓」を奪う、どちらも英語で「ハート」です。つまり掛詞だったのですね。

ヒンは押井守監督がモデル

『ハウルの動く城』

初期の構想では全く異なるビジュアルだったヒンですが、最終的に宮崎駿と親交の深い押井守監督をモデルにしたと言われています。 確かに比べてみるとよく似ているかも?

『ハウルの動く城』には謎がいっぱい!

『ハウルの動く城』には、実は知られていない事実がたくさんあります。これらの情報を踏まえて作品を鑑賞してみるとさらに面白く感じるかも......?