2022年12月29日更新

『ハウルの動く城』あらすじをネタバレ考察!伏線や戦争が起こった理由を解説

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『ハウルの動く城』

2004年公開の映画『ハウルの動く城』は宮﨑駿が原作小説を元に映画化し、数あるジブリ作品の中でも人気の高い作品として挙げられます。 この記事では『ハウルの動く城』の謎や疑問を徹底的に考察、解説してみました!『ハウルの動く城』を鑑賞後に記事を読むことをおすすめします。

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『ハウルの動く城』あらすじ

しがない帽子屋のソフィーは、ある日兵士にナンパされていたところを魔法使いのハウルに助けられます。しかしハウルを追っていた荒地の魔女のとばっちりで、彼女の容姿は90歳のおばあさんになってしまいました。 帽子屋としてとどまることができないと感じたソフィーは、すぐに家を出ていきます。不思議なカカシに導かれ、たどり着いたのはハウルが住む動く城でした。 そこでソフィーはそこの掃除係として住み込むことになります。城を動かす火の悪魔カルシファーやハウルの弟子のマルクル、かかしのカブとの奇妙な毎日が始まるのでした。

結末までネタバレ解説

ハウルの動く城

激しくなる戦争と魔法をめぐる駆け引き

自身の魔法を解く方法を探すソフィーは、ハウルと結んだ契約のせいで城から出られないと嘆くカルシファーから、とある契約を持ちかけられます。それはハウルとの契約をソフィーが解けば、彼女の魔法を解いてくれる、というもの。 ソフィーは取引を受け入れ、忙しくも賑やかな日々を送っていました。しかし国は戦争の最中で、ハウルも戦場に出るようにと国王からの通達が……。 ハウルに代わり宮廷へ向かったソフィーは、王室付き魔法使い・サリマンと対峙しました。ソフィーが力強く啖呵を切ると、その姿が一瞬若返ります。迎えに来たハウルと共に宮廷を抜け出し、サリマンから隠れるために城を移動させました。 ハウルの思い出の花畑へと続く扉をプレゼントされ、なぜか懐かしく感じるソフィー。そんな2人の頭上を戦闘機が通過し、戦火は激しさを増していきました。

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戦争と呪いを終わらせて平和な日々へ

ソフィーたちが暮らす町も空襲が始まり、守るものために戦場へ向かうハウル。彼を想いソフィーは城を動かそうとしますが、驚きの事実も判明します。 城の動力源であるカルシファーは、ハウルの心臓そのものだったのです。燃え盛るカルシファーを掴んだ荒地の魔女を救うため、2人に水をかけるソフィー。ハウルが死んでしまうと涙したその瞬間、彼に貰った指輪が光り出しました。

指輪に導かれ暗闇を歩いて行くと、あの花畑へとたどり着きます。そこは過去の世界で、ソフィーはハウルとカルシファーの秘密を知ることに。彼女は「未来で待ってて」と叫びながら現実に戻り、ハウルに心臓を返しました。 これにより城の魔法が解け、斜面を転がるソフィーたちをカブが身をていして助けます。ソフィーにお礼のキスを贈られ、隣国の王子としての姿を取り戻したカブ。彼は終戦のために国へ帰り、使い魔を通して全て見ていたサリマンも、戦争を終わらせようと動き出しました。 自由になったカルシファーは新しい城に残り、またみんなで平和に暮らし始めるのでした。

『ハウルの動く城』の時系列

ハウルの動く城
映画前の出来事 ①ハウルがサリマンの弟子になる ②ハウルとカルシファーが契約  (このときソフィーと会う) ③サリマンと戦って離別 ④サリマンが隣国の王子をカカシにする ⑤王子をめぐって戦争が起こる
映画内の出来事 ①ハウルとソフィーが再会する ②戦争のためハウルが招集される ③ソフィーが交渉へ出向く ④結局ハウルは戦争へ行き死にかける ⑤ハウルとカルシファーの契約をソフィーが解く ⑥隣国の王子にかかったカカシの呪いも解ける ⑦王子が本国へ帰り戦争が終結
映画後の出来事 原作2巻目 ①ハウルが王室付きの魔法使いになる ②ハウルは子をもうけ父親になる 原作3巻目 ③北の国へ出張することになる ④カルシファーが登場し大活躍する

「探したよ」と「未来で待ってて」は時を超えた伏線だった

ジブリ公式画像 ハウルの動く城

ソフィーと初めて出会ったハウルのセリフに、疑問を感じた人もいるかもしれません。 彼が「探したよ」と言ったのは、ナンパから助ける方便とも受け取れますが、実は後半の“ある伏線”から繋がっていました。それは指輪を通じて過去へ渡ったソフィーが、少年時代のハウルに「未来で待ってて」と告げ、再会を約束したシーン。 幼いハウルはソフィーを探し続け、冒頭のシーンでようやく彼女を見つけたのです。 ちなみにこの時ハウルの指輪が光るのは、彼の指輪が“本当に求めているもののところへ導いてくれる”特殊な指輪だからだと言われています。装飾品が光る描写は、『千と千尋の神隠し』の千尋の髪飾りが光る演出と似ていますね。

ハウルとカルシファーとの契約を解説

ハウルとカルシファーの契約について、映画では詳しくは説明されませんでしたが、原作ではきちんとした理由が描かれています。 以下ではカルシファーとハウルの出会いと契約の内容、解除方法について解説していきます。

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①ハウルとカルシファーの出会い

ハウルの動く城

カルシファーはもともと「星の子」と呼ばれる流れ星のような存在として地上に降ってきました。もともと地に落ちた瞬間に命を失う運命だったのです。 そんなカルシファーの命を救ったのは幼い頃のハウル。ちょうどそのときハウルは、大きな力を必要としていました。 ハウルは星の子を救うために自身の心臓をカルシファーに預け、引き換えに強い魔法の力を手に入れたのです。

②契約の内容

契約によってハウルは強大な力を手に入れ、カルシファーは失うはずだった命を得ます。双方の利害が一致したことで契約成立となったわけですが、後々に恐ろしいことが待っているとは当時の2人は気づいていませんでした。 カルシファーとの契約とは「心を支配される(心を預ける)」ことであり、「悪魔に魂を売る行為」と等しくなります。そのリスクと引き換えにハウルの魔術は劇的に強化されることになりました。 しかしこの契約はハウルとカルシファーの心を蝕み、続けていけば互いの心が壊れ、いずれ死に至る呪いのような契約。だからこそハウルたちは、ソフィーの救いを探し求めていたのです。

ハウルが浮気性なのも契約のせい?

『ハウルの動く城』

ハウルは多くの恋をし、成就した途端に気持ちが引いていく「恋多き色男」でしたが、その理由もカルシファーとの契約のためだと考えられています。 自分の心臓、心がないハウルは本当の意味で誰かを深く愛することができないのです。心の穴を埋めてくれるものを探し続けるハウルの習性が、浮気性につながっていったのでした。

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③契約を解くために必要だったこと

『ハウルの動く城』

契約を解くために必要だったのは、「誰かに契約の内容を見抜いてもらうこと」。しかしカルシファーが自らそれを話すことは禁じられていた上に、契約がとけたらカルシファーは死ぬ運命でした。 物語終盤、ソフィーは契約の秘密に気付きます。カルシファーとハウルに対して「やってみるね。どうか、カルシファーが千年も生き、ハウルが、心をとりもどしますように。」と言いました。 結果契約は解除され、カルシファーも生き続けていました。どうやらソフィーは命を救う、魔法使いであったようなのです。

ソフィーの特別な力と呪いの関係

ジブリ公式画像 ハウルの動く城

果たしてソフィーはなぜハウルとカルシファーの契約や、カカシになった王子の呪いを解くことができたのでしょうか。そしてなぜ彼女は老婆の姿に変わってしまったのか。 ここからはソフィーの持つ秘密について詳しく解説していきたいと思います。

ソフィーの魔法の力について

『ハウルの動く城』

ハウルとカルシファー、両方を救うことができたソフィーの正体は実は魔法使いでした。だからカカシのカブの呪いも解くことができたのです。 ソフィーは心や生命を司る魔法使いでした。映画では明確には描かれませんでしたが、原作小説にははっきりと記述があります。 ソフィーはハウルと出会って旅をして、自分を押し殺して生活していたときには気がつけなかった本当の姿になることができたのです。 ちなみに映画のラストシーン、ソフィーの帽子には黒いリボンがついています。これは『魔女の宅急便』で登場した「一人前の魔女の証」なのだそうです。

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ソフィーの年齢が突然変わるのは心の現れ

『ハウルの動く城』

荒地の魔女の魔法で老婆に変わってしまうソフィーですが、彼女はたびたび若返ります。実はこれには隠された答えがありました。 物語序盤とくに、ソフィーはネガティブな発言ばかりしています。ソフィーはそのネガティブさで、自らの力を押さえ込んでしまっているのです。 ところがハウルのために前向きに戦っているときのソフィーは、どんどん若返っていきます。このときソフィーの「心の魔法」が現れているのではないでしょうか。 ソフィーに呪いがきいてしまっているのは、悪い魔法をかけられたことだけが原因ではなく、思い込みも影響しているたのです。 宮崎駿は『ハウルの動く城』を通して、未来は自分の心持ち次第で切り開くことができるのだと訴えているのかもしれません。

荒地の魔女の呪いが解けたのはいつ?

『ハウルの動く城』

終盤でソフィーは若い姿を取り戻していましたが、荒地の魔女の魔法は一体どのタイミングでなぜ解けたのでしょうか。 特に有力な説は、「カルシファーとの取引が成立した時」という説、そして「実は自分の魔法で解いていた」という説の2つ。後者については、ソフィーが自らの本当の力を取り戻していくうちに、呪いが効かなくなったというものです。 どちらにしても、誰かを愛し愛される中で育った“意思の力”や精神的な成長が、魔女の魔法(呪い)を破ったと言えるかもしれません。

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年齢が変わる呪いの元ネタは?

ソフィーが突然を年を取るという現象は、原作者であるダイアナ・ウィン・ジョーンズ自身の、牛乳アレルギーに関する実体験に由来しています。彼女はある日突然、牛乳アレルギーによって体が衰え髪の色が変わり、シワも増えて老婆のように変貌してしまったのだとか。

なぜ戦争が起きているのか?

ジブリ公式画像 ハウルの動く城

作中で描かれる戦争は隣国の王子が行方不明になったことをきっかけに、隣国がハウルらの国を疑ったことが発端と思われます。 そして本編では明言されていませんが、この戦争の裏には王室付き魔法使いであり、ハウルのかつての師でもあるサリマンが関わっているようです。強大な力を持ち一見理知的で穏やかそうな彼女ですが、その裏にはハウルに強い執着心を見せる恐ろしい一面も持っています。 サリマンはハウルを呼び寄せるため、彼を手に入れるためこの戦争を起こしたと噂されているのです。

原作には存在しなかった?

『ハウルの動く城』の舞台として描かれている戦争は、実は原作には存在しないシーンでした。 鈴木プロデューサーは「宮崎監督は「戦火の恋」をやりたかったそうです。」と語っています。

『ハウルの動く城』豆知識

サリマンから逃げるためだけじゃない。ハウルが“動く城”にした理由

『ハウルの動く城』

ハウルの城は構造上では移動できるようには作られていません。しかし、この城には動かさなくてはいけない理由が2つあります。 ひとつは、ハウルが荒地の魔女とサリマンから逃げているというものですが、もうひとつとして挙げられる理由がソフィーには言いづらいものなのです。 それは、ハウルによって心を奪われた女性たちが、悲しみにくれてハウルの家に押しかけて来てしまうからなのでした。そして、城のあちこちにドアをつけているのも、このような理由があるからだとわかります。モテる男というのは、どの世界でも大変のようですね。

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「ハウルが女性の心臓を食べる」と言う噂はマルクルが流した

ジブリ公式画像 ハウルの動く城

実際に女性の心臓を食べる、という描写はなくデマだったことがわかりますが、実はこれはマルクルが流したものでした。 ハウルが威厳ある強い魔法使いに見えるように、世間体を気にしての行動のようです。なんともかわいらしい発想ですね。

ヒンは押井守監督がモデル

『ハウルの動く城』

初期の構想では全く異なるビジュアルだったヒンですが、最終的に宮崎駿と親交の深い押井守監督をモデルにしたと言われています。 確かに比べてみるとよく似ているかも?

考察を深めてもっと『ハウルの動く城』を楽しもう!

『ハウルの動く城』には、実は知られていない事実がたくさんあります。細かい描写や比喩から、作り手のメッセージをより深く読み解けば、さらに面白く感じるかも......? 裏設定やトリビアも踏まえて、今一度ハウルの動く城を見返してみてはいかがでしょうか。