2016年6月15日更新 53,009view

『風の谷のナウシカ』、王蟲の魅力!ただの気持ち悪い虫じゃない!

1984年の公開から30年以上たってもいまだ不動の人気を誇るジブリアニメの傑作『風の谷のナウシカ』。物語においてきわめて重要な意味を持つ存在、王蟲の魅力に迫ります。

虫じゃなくて蟲!王蟲の生態

玉蟲

物語の陰の主役かとも思われる、実に意味深な存在の蟲が王蟲(オーム)です。

腐海に生息する生物は、昆虫類を指す「虫」と区別され、「蟲」の漢字が用いられています。

そんな中、王蟲は、腐海に住む主的な存在で、蟲最大の大きさを誇ります。見た目はダンゴムシ状で、十数の体節からなる濃い緑色の体にたくさんの脚を備えています。

脱皮を繰り返し、成体は体長80mに達するほど巨大。目立つ14個の眼の色は普段は青色ですが、怒りを覚えると赤くなり、「王蟲の怒りは大地の怒り」として人間から恐れられているほどです。口から出す、たくさんの金色の触手は不思議な力を有しています。

怒らせると怖すぎる!王蟲の性格

蟲

出典: powet.tv

高度な知性を備え、深い精神文化をも持っているとされる王蟲。それゆえ、14個の目の色をルビー色の赤に変え、怒ったときの攻撃性は非常に強力です。大群をなして暴走し、人間の居住地に大変な被害をもたらすこともあります。

原作では、古代エフタル王朝時代、武器商人によって乱獲が行われ、その結果として王蟲の怒りを買い、大海嘯(だいかいしょう)の引き金になったとされています。大海嘯とは、王蟲の群れが腐海を飛び出し、あらゆるものを破壊しながら果てるところまで暴走し続ける現象のことです。

畏怖の念を込めて、宗教的な意味合いから神聖視すらもされている存在です。

腐海とは

腐海

王蟲の統べる腐海。不思議な蟲たちの生息する腐海とは、巨大な菌のような樹木が生い茂った深い森のことです。

過去の文明が滅亡し、汚染された不毛の大地に生まれた、新しい生態系を持つ世界とされ、徐々に面積を拡大しながら人間の生存を脅かす存在にもなっています。

森全体から「瘴気(しょうき)」と呼ばれる猛毒を空気中に放出しているとされ、それを人間が吸い込むと5分で肺が腐り、死に絶えるとされています。そのため、人間が腐海に入る際には、頑丈なマスクを装着する必要があるのです。

腐海の蟲たち

ウシアブ

ウシアブ

出典: prcm.jp

翅蟲(はむし)の一種で、赤紫色のずっしりとした体に2対の翅を持ち、空を飛ぶことができます。顔にある4つの突起が特徴的で、複眼が横一列に並んでいます。危険を感じたウシアブは顎を噛み鳴らし、触角を震わせながら仲間を呼ぶというハチのような性質を持っています。顎の力はセラミック装甲を噛み砕くほど強いとされています。

映画では、風の谷に落下したトルメキア船に潜んでいたウシアブを、ナウシカが蟲笛を使って森に帰しました。

大王ヤンマ

大王ヤンマ

人間くらいの大きさの翅蟲(ハムシ)で、大きな蟻にトンボの羽が生えたような姿と表されています。青緑色の体に大きな4枚の翅を持ち、クチバシ状の口には舌のようなピンク色の器官を持っています。

群れで行動することが多く、腐海に異変があったときには他の蟲を呼び集める性質から、「腐海の見張り番」とも呼ばれています。

ヘビケラ

ヘビケラ

竜のように細長く平らな体に2対〜4対の翅を持つ巨大な羽蟲で、全長数10mに達するとされています。脚はなく、頭部に鋭い大きな牙を備えています。尻尾にはオレンジ色の突起があり、映画ではこれでメーヴェを墜落させました。

優雅に空を飛び、飛行速度は航空機であるバカガラスよりも速いとされています。

ヘビケラの幼生は、ミノネズミと呼ばれ、体毛の生えた地蟲の一種です。

ナウシカと王蟲の奇妙な関係

蟲ナウシカ

ナウシカは、王蟲が決して有害な蟲ではなく、尊ぶべき愛しい存在だと知っています。それだけでなく、密かに腐海の植物を城の地下で育てることによって、生物や植物全体の本当の存在意味に気づいているのです。

映画では、ナウシカが子供のときから小さな王蟲を可愛がっていたことを示す回想シーンがあります。また、お互いが明らかに心が通じているとわかる描写が何度もあり、金色の触手を通じてナウシカと意志疎通するシーンは感動的ですらあります。

原作ではさらに進んで、テレパシーのような「念話」を使って、両者がはっきりと会話するシーンすら存在しています。

ナウシカの剣は王蟲の殻

玉蟲

脱皮を繰り返す王蟲の殻は、超硬質セラミック以上の強度を持ち、とりわけ弾性に優れながら軽量であることから、戦闘機や武具の材料として使用されています。ナウシカの使う剣も殻から作ったものなのです。さらに、透明なドーム状の目の部分はガラスやレンズの代用品として重用されています。

原作において、古代エフタル王朝の武器商人が、王蟲を乱獲したのは、内戦勃発に伴う武器需要の増大に応えるためでした。

人工生物だった!?映画には描かれなかった王蟲の正体

ナウシカ

映画では、詳しく王蟲の正体については描かれていませんが、原作では終盤、実は人工生物であったという衝撃の事実が明らかになっています。

映画におけるナウシカとの交流シーンに留まらず、原作では巨神兵と同等レベルで、相手の表情や言動から人間を理解する言動を見せており、その知能の高さは、人工だという事実を裏付けています。ナウシカと「念話」を駆使して会話するのも、象徴的なシーンです。

王蟲の鳴き声は実はあの人のあれ

布袋寅泰

出典: natalie.mu

2011年2月、ミュージシャンの布袋寅泰が、自身のツィッターで「ナウシカのオームの鳴き声は僕のギターなんですよ!」というツイートを投稿し、話題になりました。ファンから、好きなジブリ映画を聞かれた質問に対する答えでしたが、驚きの新事実に話題騒然になりました。

映画の音楽を担当した久石譲からの依頼だったようです。

「久石譲さんに呼ばれてギターで泣いてくれと頼まれました。ずいぶん昔の話です」

奥の深い王蟲の魅力は、30年以上たっても興味がつきません。

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