『ラピュタ』シータは賢くかわいいヒロイン!本名や名言・年齢も解説
1986年に公開されたジブリ映画『天空の城ラピュタ』。スタジオジブリ初制作の長編アニメ映画にして、宮崎駿の最高傑作です。 物語のヒロインは、空から落ちてきた不思議な少女・シータ。シータと彼女を助けた少年・パズーが出会い、伝説上の空飛ぶ城「ラピュタ」の謎をめぐる冒険が繰り広げられます。 この記事では、ジブリ屈指の人気ヒロインであるシータのプロフィールや名言などを徹底解説していきます。
シータの基本プロフィール
本名 | リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ |
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英語名 | Princess Lusheeta Toel Ur Laputa |
年齢 | 12歳(企画書第1稿) |
家柄 | 村娘/ラピュタ王家の末裔 |
声優 | よこざわけい子 |
シータは赤いカチューシャと、長い黒髪を2本にまとめたおさげ髪がトレードマークの少女で、年齢は10代前半とされています。 首には亡き母から受け継いだ飛行石のネックレスを下げ、はるか北方の地「ゴンドアの谷」にひとりで住んでいました。 ある日ラピュタ探索を担う政府特務機関の飛行船に拉致され、空中海賊「ドーラ一家」の襲撃に乗じて逃げ出したのちにパズーと出会います。ムスカ大佐の暴走を止めるため、パズーらを巻き込むことに悩みながらも、天空の城を目指すのでした。 性格はおしとやかで心優しい一方、意外な行動力とタフさを発揮する場面もあり、そうした言動が海賊であるドーラの心をも掴みました。ドーラには「自分の若い頃にそっくり」と言われ、本当の母親のように接してくれる彼女を、「おば様」と呼んで慕っています。 ドーラの船に乗り込んだ際には、山育ちならではの視力の良さや料理上手な一面も披露し、一家にとってアイドル的存在でした。
本名が示すシータの正体
「ラピュタ帝国」王族の後継者
シータの本名は作中で明かされており、リュシータ・トエル・ウル・ラピュタといいます。ラピュタ語でトエルは「真の」ウルは「王」を現すもの。直訳すると、「ラピュタの真の王リュシータ」となり、シータが正統なる王位継承者であることが分かります。 シータの先祖が築いたラピュタ帝国は、太古に飛行石の高い科学力を使って地上を支配していました。しかしその技術力をもってしても克服できない奇病が蔓延し、ラピュタの民はやむなく地上に降りてきたのです。 天空の城は普段、厚い雲に覆われて地上からは確認できないようになっており、一族にしか受け継がれていない秘密の言葉や飛行石でしか存在を見つけられません。
ムスカとは遠い親戚
劇中シータを追い詰めた政府諜報機関所属のムスカ大佐にも、シータと同様に隠された別の名前が存在していました。 ムスカの本名は「ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ」といいます。「ウル」は王族を示し、「パロ」は従属・模倣を示すラピュタ言語です。王家の分家の血筋、または王族に使える神官や宰相の血筋を示しています。 シータの一族に飛行石が王族の証として伝承されていたのと同様に、ムスカの一族にもラピュタに関する文献や伝承が書き記された古文書が受け継がれていました。 ムスカ本人によると、シータの「トエル」家とムスカの「バロ」家は地上に降りたときに分かれた名(分家)です。2人に血縁関係があるかは分かりませんが、かつてともにラピュタの王族として暮らしていた、親戚ということになります。
シータの元ネタ・モデル
名前の由来は数学の三角関数で角度を示すθ(シータ)。キャラクター像は、宮崎駿が学生時代に作った人形劇のヒロインが原型とされています。言葉の響きが気に入ったことから、ヒロインの名前を本作にも流用したのだとか! 上記は『天空の城ラピュタ GUIDBOOK』の情報ですが、ヒンドゥー教の聖典『ラーマーヤナ』もシータのモデル・元ネタではないか、という噂もあるようです。 同作は古代インドの民族叙事詩であり、コーサラ国のラーマ王子がラークシャサ(羅刹)の王ラーヴァナに誘拐された愛妻シーターを奪還する物語。世界観やストーリーに共通点はありますが、あくまでもファンの考察の域を出ません。
シータの手作りシチュー
シータは家事全般が得意で、ドーラ一家も彼女が振る舞う料理を楽しみにしていました。 「おかわり!」の嵐だった手作りシチューは、ファンの間でジブリ飯として大人気に!ジブリ映画は飯テロがお馴染みなので、本作にも有名なジブリ飯がいくつか登場します。気になる人は下記の記事をチェックしてみてくださいね。
シータの名言・名シーン
①空から落ちてくるシーン
シータが政府の飛行船から逃げ出そうとして落ちてしまい、パズーが受け止めるシーン。台詞なしで運命的な出会いと少女と石の秘密を匂わせる、ドラマチックな演出がたまりません。 『天空の城ラピュタ』で最も有名な名シーンであり、ポスタービジュアルにも採用されました。
②「パズーのカバンって魔法のカバンみたいね。なんでも出てくるもの」
ドーラ一家に追いかけられたパズーとシータ。疲れて休んでいるとき、パズーがなんとカバンから目玉焼きトーストを取り出しシータに分けてくれます。 あまりの準備の良さにシータもびっくり。視聴者も思わず突っ込みたくなるほどのカバンの中身の多さに、シータが言及したこちらのセリフはとても有名な一節です。
②「あら!おばさまも女よ。それにあたし、山育ちで眼はいいの」
【名シーン&名セリフ集】女は度胸
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) September 29, 2017
シータさん「あらっ、おばさまも女よ!それに私、山育ちで目はいいの」シータさん、積極的ですぅーーー????❤️ #シータ #パズー pic.twitter.com/2HktGzKhCp
飛行船「タイガーモス号」でムスカが乗る空中戦艦「ゴリアテ」を追う途中、ドーラが暴風にさらされる見張り台にいたシータを案じたのに対し、茶目っ気たっぷりに返した名言。 自分もドーラと同じように行動できる、戦えるという強い意志を感じるセリフです。ただ守られるだけではなく、今自分にできることをしようとする行動力と度胸、彼女の中に秘められた冒険への憧れなどが現れていました。 ドーラが自分自身を女扱いしていないことへの台詞とも取れ、「あなたも女だ」と返したシータの優しさに、ドーラは心癒されたのかもしれません。
③「これが玉座ですって?ここはお墓よ。あなたとあたしの」
「ここはお墓よ。あなたと私の。国が亡びたのに、王だけ生きてるなんて滑稽だわ」「どんなに恐ろしい武器を持っても、たくさんのかわいそうなロボットを操っても、土から離れては生きられないのよ」#シータ pic.twitter.com/6ioqcVeryg
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) September 29, 2017
物語の終盤、ロボット兵を起動させてラピュタの強大な力に酔うムスカから飛行石を奪い、その争奪戦の末に玉座の間で言い放った名言。 シータは助けに来てくれたパズーに飛行石を捨てて逃げるように伝え、ムスカと、そしてラピュタと心中する覚悟を決めたのです。「国が滅びたのに、王だけ生きてるなんて滑けい」という台詞でムスカの悲願を全否定し、自身の王家の末裔としての答えを示しました。 王族としての風格と、大切な人のために行動できる芯の強さを感じますね。
④「今は、ラピュタがなぜ滅びたのかあたしよく分かる」
ラピュタの再建を拒否した後、理想郷と呼ばれた天空の城が滅びた理由を、ゴンドアの谷の歌とともにムスカに語った際の台詞です。 ゴンドアの谷で農耕生活を営んだシータの一族は、超テクノロジーで繁栄したラピュタでは得られなかった、本当の幸せを感じたのかもしれません。 大切なのは高度な文明・技術ではなく“人が自然とともに在る”ことだと気づけたシータの聡明さはもちろん、豊かな自然が今の心優しい彼女を育んだのだと、そう思える名言でした。
⑤「いいまじないに力を与えるには悪い言葉も知らなければいけないって。でも、決して使うなって」
【名シーン&名セリフ集】シータさんのお母さん「“我を救けよ。光よ甦れ”という意味なの。『リーテ・ラトバリタ・ウルス・アリアロス・バル・ネトリール』」シータさんとお母様の絆を感じさせる名シーンですぅーーーーーー???? #リーテラトバリタウルスアリアロスバルネトリール #シータ pic.twitter.com/lTifRxxGCc
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) September 29, 2017
シータがパズーに恐怖心を打ち明け、幼い頃に教わったたくさんのおまじないの中の、“滅びのまじない”について触れた時の名言。 この後に「教わったとき、怖くて眠れなかった」と続くのですが、絶対に使ってはいけない言葉に恐怖する、ごく普通の少女の姿がありました。 手にしたすごい力を使おうとするのではなく、強い力が必ずしも正しいわけではないと理解しているところも、シータの魅力と言えるのではないでしょうか。
⑥滅びの呪文「バルス!」
『天空の城ラピュタ』と言えばこの名言!クライマックスにて、ムスカに追い詰められたシータとパズーは飛行石を持ち、手を取り合って「バルス!」と唱えました。 戒めとして口伝されつつも、使うことを恐れた呪文を唱えたシータ。伝説と呼ばれた城であり、祖先の故郷でもある地を滅ぼすというのは、簡単な覚悟ではできないはずです。彼女のいざという時の度胸と、決意が感じられる台詞ではないでしょうか。 ムスカによってただの兵器となったラピュタを、悪い言葉「バルス」で滅ぼすという、必要悪の台詞でもあったのかもしれません。
シータが受け継いだ「王族の証」が示すもの
①「飛行石」が示すラピュタ文明の隆盛
洞窟で出会ったポムじいさんを驚かせた飛行石のペンダント。地上に降りたラピュタ王族の証として、子孫の間で代々受け継がれるものです。 飛行石自体は地上にも存在しますが、掘り出して空気に触れた瞬間に変質してしまいます。 ポムじいさん曰く、ラピュタ人だけが知る製法でのみ結晶化させることができ、その結晶を使って彼らは地上を支配していました。飛行石は王族の証であると同時に、ラピュタ帝国が高い技術力を誇っていた証明になるのです。
②「呪文」から読み取れる技術への戒め
シータはラピュタ王族のうちトエル家に代々伝わる呪文を知っていました。呪文は王家の血を引く者が飛行石に触れたり、身に着けたりした状態で唱えることで発動ます。シータも飛行石と一緒に「おまじない」として、さまざまな呪文の口伝を受けたのでした。
バルスの意味
最も有名な呪文「バルス」は古代ラピュタ語で「閉じよ」という意味で、滅びの呪文とされていました。 シータの祖母は“幸福になるには悪い意味の言葉も必要という戒め”の意図がある、とも伝えています。ラピュタ家の王族はおまじないとともに、飛行石の技術の恩恵や技術への戒めも受け継いできたようです。
③「ゴンドアの谷の歌」から読み解くラピュタに込められたメッセージ
紀元前500年頃、突如発生した奇病でラピュタ帝国は滅亡しました。生き延びた人々は地上を終の棲家とし、子孫に「ゴンドアの谷の歌」を遺します。 シータが語った「土に根をおろし、風と共に生きよう。種と共に冬を越え、鳥と共に春を歌おう。」という一節からは、帝国滅亡の過程が見えてきます。高度な科学力ですべてをコントロールしようとした代わりに失っていったもの……。 それは人々の心に自然と育まれる愛や幸せといった感情であり、自然とともに「生きる力」かもしれません。 小説版には「高度に発達しすぎた文明生活の末、生命力を失い、次第に人口を減じ~」とあり、奇病の以前から危機に陥っていたと推測できます。 宮崎駿がラピュタという帝国の歴史に、自然とともに生きることの価値を載せたのかもしれません。
声優:よこざわけい子
シータを演じたのは、よこざわけい子です。彼女は1952年9月2日生まれの声優。新潟県出身で事務所・ゆーりんプロの代表です。 よこざわは藤子不二雄作品に出演することが多いことで知られていましたが、2005年に『ドラえもん』の声優一新でドラミの役を退いてからは声優としてほとんど活動をしていません。以降は自身の経営するよこざわけい子声優・ナレータースクールで講師となり、後進の指導に当たっています。 他の代表作として、『エスパー魔美』の佐倉魔美役、『Theかぼちゃワイン』のエル(朝丘夏美)役などがあげられます。
「ラピュタ」シータはかわいいだけじゃない!芯の強さを秘めたヒロイン
かわいらしく女子力も高いシータですが、思い切った行動や度胸で自ら現状を打開し、周囲を驚かせることもあるヒロインでした。 女はただ守られているだけではない、という芯の強さと誰にでも優しい性格が、今なおファンを魅了し続ける理由の1つなのでしょう。 名言にも現れているように、生まれを自慢するでもおまじないの力に頼るのでもない、地に足をつけて生きる少女とごく普通の少年の物語だったからこそ、人々の心に響くのかもしれません。