2024年8月20日更新

「ラピュタ」ロボット兵と巨神兵って何が違う?登場シーンの考察や名前の有無も解説

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『天空の城ラピュタ』

『天空の城ラピュタ』で初登場から強烈な印象を残したキャラクター「ロボット兵」。『風の谷のナウシカ』の巨神兵によく似ていますが、何らかの繋がりがあるのでしょうか。さらには、本作の公開より前に『ルパン三世』に登場していたという噂も……。 この記事では、怖いけど優しい?ロボット兵の基本情報やその後、トリビアを紹介します!

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ロボット兵の基本情報

名前 なし
大きさ 体長約3.5m、体重238kg
年齢(耐久年数) 700年以上(推定)
仕事 戦闘、園丁、看護(設定のみ)/ラピュタ王族の守護

ロボット兵の名前は?

ロボット兵には正式な名前が付いていないため、便宜上、「兵隊型ロボット兵」「園丁型ロボット兵」などと呼ばれています。しかし「ルパン三世」シリーズに登場した際は「ラムダ」や「シグマ」と呼ばれていました。

「ラピュタ」での役割は?

ムスカの台詞に「700年もの間、 王の帰りを待っていたのだ」とあること、シータの飛行石と呪文で起動したことから、ラピュタ帝国と王族を守る番人が役割だと推測できます。 現代の人々からすれば、ロボット兵はいわゆる「オーパーツ」のようなもの。作中の位置付けとしては、ラピュタ帝国の非常に高度に発展していた文明の象徴です。帝国の滅亡後、高度な文明は必要とされなくなりやがて崩壊すると示す存在でもあります。

2種類のロボット兵【怖い?優しい?かわいそう?】

『天空の城ラピュタ』には、空中都市ラピュタとその王族に仕えるロボット兵たちが登場。そして、劇中では2種類のロボット兵が活躍していました。

①兵隊型ロボット兵

『天空の城ラピュタ』

ムスカシータが捕らえられたとき、彼女が唱えた呪文でよみがえった兵隊型ロボット兵。目から出るレーザービームで周囲を焼き野原にしたり、予測不可能な飛び方をしたり、手足が蛇腹で這いつくばった動きをしたりと敵に回すと厄介で怖いロボット兵です。 終盤では、ラピュタ城下のブロック部分からこの兵隊型ロボットがバラバラと出てくるシーンがあり、虫の群れを見るような気持ち悪さが印象的でした。

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四つん這いのロボット兵はもはやホラー。ビジュアルだけでもめちゃくちゃ怖いのに、目からレーザー砲を出す姿に巨神兵が重なってトラウマになりました。いまだにテレビで再放送を観る時もロボット兵のシーンは少し飛ばしてしまう……。

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シータに拒絶されても、どんな状況でも主を守ろうとするロボット兵。ゴリアテの砲撃で破壊されるシーンは、最後までシータを気にかけていて切ない……。他のロボット兵も自壊する運命だし、身勝手な人間のせいで本当にかわいそうだった。

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園丁型ロボット兵

戦闘型とは対照的に、肩に鳥を乗せ、「ポロロンポロロン」となんとも平和な音を鳴らしながら歩くロボット兵も登場します。 兵隊型と園丁型はほぼ同じデザインですが、兵隊型には、飛行できるように腕に突起物があるのに比べ、園丁型はそれがありません。元々、戦闘用ではなくラピュタ城の園内で働くロボットのため、飛ぶようには設計されていないと推測されます。

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仲良しな鳥の卵を保護したり、シータに花をプレゼントしてくれたり……。そういう風に造られた存在だったとしても、個人的には1番の癒やし枠で大好き!ラストはちょっと切なくて、優しいロボット兵の幸せを願わずにいられませんでした。

ロボット兵の登場シーンに込められたメッセージを考察

『天空の城ラピュタ』

続いて解剖したいのは「異なるロボット兵の最後」に込められた意味についてです。映画の後半、シータとパズーが滅びの呪文「バルス」を唱えると、城の下層部は崩壊し、それとともに兵隊型ロボット兵たちも壊れてどんどん落下していきました。 一方で園丁型ロボット兵は、上昇を続けるラピュタ城の庭園で歩いている姿が最後。 「バルス」には「閉じよ」と「平和」の2つの意味があるとされています。そうすると、この結末には「平和な世界の実現のため、戦闘力は放棄する」という意味があるのかもしれません。 ロボット兵はラピュタ帝国の文明の力を象徴するような存在。高い技術を放棄した方が、人々は平和で幸せに生きていけるというメッセージが込められているのかもしれません。

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ロボット兵はその後どうなった?

ラピュタ城が高度を上げ続けると、いずれ空気のない宇宙空間にたどり着くはずです。ロボット兵はともかく、友だちの動物や自然は空気なしでは生きられません。 しかしエンディングでは、城中枢で光る巨大飛行石が周囲に膜を作っているように見えました。 飛行石がラピュタ城を守るのならば、いつか城が完全に崩壊するか、ロボット兵と動物たちの命が尽きる日まで、平和に暮らすのではないでしょうか。切ない運命に翻弄されたロボット兵には幸せに生きてほしいですね。

ルーツに迫る!「ナウシカ」巨神兵との違いは?

初登場は『ルパン三世』

ルパン三世 PART2
原作:モンキー・パンチ ©TMS

2種類のロボット兵の原型とされているのが、宮崎駿監督(「照樹務」名義)が脚本・演出を手掛けた『ルパン三世』のTV第2シリーズの最終回に出てくるロボットです。 名前は「ラムダ」と「シグマ」と言い、こちらでも街を破壊する兵器として猛威を振るっています。

『天空の城ラピュタ』のロボット兵には名前がない?

『天空の城ラピュタ』

ところで、『天空の城ラピュタ』に登場するこのロボット兵、名前がありません。なぜ名前がないのでしょうか。 それを解き明かすヒントとして、宮崎駿監督は、本作のロボット兵は、『ルパン三世』で使用されたロボットとほぼ同じデザインである理由について、「ロボットとわかればいいので、新規にデザインする必要がなかった」という内容の発言をしています。 過去作品のデザインをそのまま使ったとあれば、あえて名前もわざわざ作ることはしなかったともとれますね。

モデルは「スーパーマン」

『ルパン三世』のラムダのモデルは、フライシャー兄弟によるアニメ映画「スパイダーマン」第2話(1941年)で、主人公と対立する殺人ロボットです。 ビジュアルや動きが似ているだけでなく、「まるでスーパーマンですな!」という銭形警部の台詞まであり、オマージュなのは明らかでした。 ちなみに、宮崎駿監督が彼らの作品から影響を受けたのは有名な話で、兄マックスの息子リチャードの著作にコメントも寄せています。

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「ナウシカ」巨神兵との違いは?

『風の谷のナウシカ』巨神兵

『天空の城ラピュタ』のロボット兵とよく間違えられるのが『風の谷のナウシカ』で登場する「巨神兵」です。 人間に仕え、レーザービームで周囲を焼き野原にしてしまうロボット兵器という設定は同じですが、目的・見た目共に実は全く異なる2体なのです。 まず造られた目的が違います。ロボット兵の方は、ラピュタ城とラピュタ王族を守るために造られたロボットであるのに対し、巨神兵は、文明により汚染された世界を一度炎でリセットするために造られました。「守るため」と「滅ぼすため」。そう考えると全く違うコンセプトだとわかります。 次にサイズが違います。圧倒的に巨神兵の方が大きいです。ロボット兵が3.5メートルに対して巨神兵は約75メートル位はあるとされています。 見た目はどちらも人型ではありますが、よく見れば、巨神兵は、ドロドロにとけて歯がむき出しで一層グロテスク。頑丈な甲冑に覆われたロボット兵と全く異なります。

ラピュタの番人・ロボット兵は巨神兵とは別物だった!

ラピュタ帝国と王族の末裔・シータを守り、それぞれの最後を迎えたロボット兵たち。破壊するシーンのインパクトが強いですが、巨神兵とはルーツもあり方も異なる別物です。人間の都合に振り回される存在として、様々なことを観客に問いかけてきます。 知識がある状態で観れば、ただ怖いだけではなく違った角度から楽しめるかもしれません。