妓夫太郎(ぎゅうたろう)はどんな鬼?かわいそうな過去や泣ける兄妹愛を解説【鬼滅の刃】
『鬼滅の刃』の「遊郭編」に登場した上弦の陸・妓夫太郎。そこでこの記事では妓夫太郎の強さ・血鬼術・知られざる過去・感動の最期について紹介します。 残虐な彼にはいったいどんな結末が待っているのでしょうか?早速見ていきましょう。
※この記事は『鬼滅の刃』のネタバレを含みますので、読み進める際は注意してください。またciatr以外の外部サイトでこの記事を開くと、画像や表などが表示されないことがあります。
『鬼滅の刃』妓夫太郎(ぎゅうたろう)とは
妓夫太郎(ぎゅうたろう)は『鬼滅の刃』の「遊郭編」に登場する十二鬼月の上弦の陸です。竈門炭治郎らにとって、初めて戦った上弦の鬼でもあります。 彼はボサボサの髪にアンバランスな身体、陰気な顔つきをした人物で、膝や肘以外が異常に細い不健康な見た目をしています。顔や身体には複数のシミが点在。 さらに歯はギザギザで鼻も潰れており、以上の特徴は先天性の梅毒患者によくみられる症状です。そのため彼は梅毒患者だったのではと予想されています。ちなみに目の色は黄色で、半月状。闇夜で光る様が不気味さを醸し出しています。 ちなみに彼は第二回人気投票では41位にランクインしており、その凄惨な過去と堕姫との関係性から鬼の中でも高い人気を誇っているようです。
妓夫太郎の性格
性格も美しいものを愛する妹の堕姫とは正反対。醜いものを好み、美しいものには嫉妬と憎悪を向けます。彼はとても陰気な性格で、自分より恵まれている者や幸せそうな者には「いいなぁあ」とねちっこい嫉妬を顕にすることも。 一方で彼にとっては敵である宇髄を賛美するような実直さであったり、おしゃべり好きであったりという人間らしい一面も持ち合わせています。
鬼舞辻無惨と妓夫太郎の関係
基本的には配下の鬼たちを駒としてしか見ておらず信用していない無惨ですが、妓夫太郎のことはその境遇と貪欲な性格を高く評価しており上弦の中でもお気に入りの存在。一方で妓夫太郎自身は、あまり無惨への直接的な忠誠心はないようです。 無惨は彼のことを高く評価している一方で、堕姫との兄妹愛や彼の堕姫に対する思いやりなどの“人間らしさ”には不快感を示しています。実際に彼らが遊郭編で炭治郎たちに敗れた際には、「堕姫が足手纏いで、妓夫太郎は負けると思っていた」と辛辣な言葉を吐き捨てる様子も見られました。
【能力】上弦の陸・妓夫太郎の強さや血鬼術を解説
妓夫太郎の強さは?
彼の階級は「上弦の陸」と上弦の中では弱い方ですが、過去に15人の柱を倒しています。また戦闘時は堕姫と共闘して戦いますが、堕姫よりも優れた戦闘能力を有していると言えるでしょう。遊郭編では炭治郎達に敗れましたが宇髄天元に重傷を追わせ、彼を柱引退にまで追い込みました。 そんな彼の強さを底上げしている能力の1つに、「恐ろしいほど頭の回転が早いところ・並外れた情報処理能力」が挙げられます。恐らくこれは、彼が人間だった頃から持っていた生来の能力なのでしょう。 さらに兄妹双方の頚を斬らないと倒せないところも、彼が上弦の鬼の中でも厄介な理由の1つ。そのほかにも自身の片目を妹の額に移動させて操る事ができることなども、鬼同士の戦いの中でもかなり有効だったのではないかということが予想できます。
血鬼術は「血鎌」
妓夫太郎の使う血鬼術は「血鎌」です。両手にこの血鎌を構え、戦うスタイルで、彼の持ち前の頭の回転の速さや戦術家な部分が加わり、音柱である宇髄天元(うずいてんげん)の急襲を回避しつつ彼に傷を与えています。過去に15人の柱を屠ったと豪語するのにふさわしい実力者です。 彼の血鎌には、毒耐性があっても防御が難しいほど高濃度の毒が含まれています。普通の剣士であれば、掠っただけで即死するほどの猛毒が彼の血鬼術すべてに付与されており、炭治郎たちを苦しめました。
飛び血鎌
「飛び血鎌」は血の斬撃を飛ばす技です。彼の身体を離れた後も、斬撃は妓夫太郎の意のままに軌道を変えることが出来ます。無数に飛ばせる上に、一撃ずつにかなりの威力がある様子。この技を受けた炭治郎が、うまく受け流さないと日輪刀が折れると脅威を感じるほどの威力です。
跋弧跳梁(ばっこちょうりょう)
「跋弧跳梁(ばっこちょうりょう)」は全方位型の防御技です。血鎌を高速で何度も振ることで、自身の周りに斬撃の盾を形成します。短時間で展開可能な技で、至近距離からの咄嗟の攻撃にも対応可能です。作中では雛鶴のクナイを防いでいました。
円斬旋回・飛び血鎌(えんざんせんかい・とびちがま)
「円斬旋回・飛び血鎌(えんざんせんかい・とびちがま)」は広範囲攻撃技。両腕に螺旋状に纏わせた飛び血鎌により、広範囲を斬撃で切り裂くことが可能です。 予備動作が不要で、1度発動すれば周囲一体を更地にするほどの威力があります。
【過去】妓夫太郎のかわいそうな人間時代とは?
名前の由来はかつての仕事?梅毒にかかっていた過去
遊郭の中でも最下層の環境に生まれた妓夫太郎は、望まれずに生まれてきた子供でした。生まれてきてからも何度も殺されかけ、さらに醜い容姿ゆえに親や周りから蔑まれて育ちます。名前も食事も与えられず、ときには虫を取って食べることも。 彼は幼い頃から、先天性梅毒の症状と思われる痣がありました。母親が梅毒を患っていたと思われる描写があることから、母体から感染したのでしょう。 厳しい環境に生きてきた妓夫太郎ですが、自慢の妹が生まれた頃には、剣術の腕前を生かし遊郭の掛け金回収の取り立ての仕事をするようになります。その仕事は「妓夫(ぎゅう)」と呼ばれる役職で、名を持たなかった彼は次第にその名で呼ばれるようになりました。 取り立て屋の仕事をしていた頃の彼の取り立て率は何と120%で、かなり優秀。しかしそのやり方は、熾烈かつ必要以上であったとも言われています。
妓夫太郎(ぎゅうたろう)が鬼になるまでの経緯
自慢の美しい妹・梅がいて、仕事もうまくいき、妓夫太郎に幸せな時間が訪れます。 妓夫太郎は「奪われる前に奪い、取り立てる」を信条とし、妹にもそう教えてきました。ところが教えのせいで梅が客に大怪我を負わせてしまい、彼女は報復として生きたまま焼かれることに。彼は丸焦げになり変わり果てた妹を前に、絶望します。 心の中でプツンと糸が切れた妓夫太郎は関係者を殺し、虫の息となった妹を抱いて逃げ出しました。その道中で当時上弦の陸であった童磨(どうま)に出会い、誘いに乗る形で兄妹は鬼になります。
【兄妹愛】妓夫太郎・堕姫兄妹と竈門兄妹の対比
妓夫太郎と炭治郎の共通点は「妹の幸せを願っていること」
作中では対比的に描かれている妓夫太郎・堕姫兄妹と竈門兄妹ですが、妓夫太郎と炭治郎には意外にもある共通点があります。それは、2人とも1番に「妹の幸せを願っていること」。 妓夫太郎は無惨に忠誠を誓っているようなシーンはなく、常に妹である堕姫を守ることを考えて行動する様子が見られます。彼にとっての「鬼になること」は唯一、むごたらしい殺され方をした妹を救う方法だったのです。 一方で炭治郎も禰豆子が鬼になってしまったあとも変わらず接し、常に彼女のことを気にかけています。境遇は違えど、妹の幸せを願う「兄らしさ」は共通しているのかもしれませんね。
妓夫太郎・堕姫兄妹と竈門兄妹には決定的な違いがあった
形は違うものの兄妹愛に溢れた両兄妹ですが、1つだけ決定的な違いがあります。それは、過去に「親からの愛を受けているかどうか」。炭治郎と禰豆子の兄妹は決して裕福とは言えないながらも家族に愛されながら幸せに育ち、困った時にはいつも家族から導いてもらっていました。 一方で妓夫太郎たちは生まれた瞬間から親や周囲からの祝福を一切受けることなく、むしろ疎まれながら生きながらえていました。堕姫の人間時代である梅は“梅毒”から取られた名前をつけられ、妓夫太郎に至っては名前すら与えられていません。ここまで境遇が対比的に描かれると、少し切ない気持ちになりますね。
【遊郭編】妓夫太郎の活躍シーン
妹・堕姫(だき)の背中から現れる
妓夫太郎はあっさりと天元から頸を斬られた挙句に「上弦じゃない」と言われたことで泣き叫ぶ堕姫の声を聞きつけ、彼女の背中から現れます。登場してすぐに彼は堕姫をあやしつつ、一瞬で天元の背後に回り込む俊敏さを見せるのでした。 彼はそのまま天元との戦闘を開始し、飛び血鎌による攻撃と毒の効果でじわじわと天元を追い詰めました。
怒涛の攻撃で天元たちにダメージを与える
天元が妓夫太郎・堕姫の倒し方を看破すると同時に、本格的な頸の取り合いが幕を開けます。妓夫太郎は天元と炭治郎たちを2人同時に相手するものの、血鎌の威力と毒の効果で圧倒。 一時は天元たちの優位に立っていた妓夫太郎ですが、雛鶴のサポートで動きが鈍ったタイミングで頚を狙われてしまいます。天元と炭治郎が連携技を見せたものの、解毒と再生を同時におこない、さらに血鬼術である円斬旋回・飛び血鎌を使用して周囲一体を吹き飛ばします。
炭治郎により頚を落とされ決着
堕姫と善逸が死闘を繰り広げる一方で、妓夫太郎も炭治郎を始末するために本気の攻撃を仕掛けます。しかし死んだふりをしながら体力を回復させていた天元から妨害された上に、攻撃の律動を完全に読まれてしまうのでした。 完全に五分五分の戦いに持ち込まれた妓夫太郎は、それでも炭治郎との戦いをやめません。妓夫太郎と天元・炭治郎の3人が全力でぶつかり合った末に炭治郎が全身全霊の力を出し切り、ついに彼の頸は斬られてしまうのでした。
【結末】妓夫太郎が妹・堕姫(だき)と迎えた最期
炭治郎たちとの決戦の最中、頸を切られて消滅しかけている兄妹は喧嘩を始めてしまいます。 妓夫太郎は堕姫に対して「お前みたいな奴を今まで庇ってきたことが心底悔やまれるぜ」と発言。しかし、最期には「仲良くしよう」と炭治郎に諭され、妹の本当の名前が梅であることを思い出し消えていきました。 黄泉の世界で妹と再会すると「お前とは兄妹でも何でもない。俺はこっちに行くからお前は明るい方へいけ。」と明るい道に進むよう促します。しかし妹は兄と一緒にいることを選び、2人は共に地獄へと歩んで行きました。
彼の後悔とは
妓夫太郎は鬼になったことは後悔していませんでした。何度生まれ変わっても鬼になると語る彼が、唯一後悔していること。それは梅は自分とは違い、生まれや自分の教育次第では良い人生が歩めたのではないかということです。 生前の後悔を消し去るように、妓夫太郎は黄泉で梅に冷たく当たります。しかし泣きながら彼に抱きつき、「ずっと一緒にいる約束を忘れたのか」と訴える梅。 境遇に関係なく、2人は唯一無二の兄妹なのです。
【名言】兄弟の絆を感じる名セリフを紹介
「俺のかわいい妹が一生懸命やってるのをいじめる奴らは皆殺しだ」
巻・話数 | 10巻86話 , アニメ7話 |
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原作第86話で登場した、このセリフ。妹である堕姫は事態が手に負えなくなると、兄に泣きつきます。妹を溺愛している妓夫太郎は、「みんなが私をいじめる」と彼女が語る無茶苦茶な言動をすべて肯定してあげた上で、「俺のかわいい妹が一生懸命やってるのをいじめる奴らは皆殺しだ」と宣言。 いかに妓夫太郎が妹を可愛がっているか、彼らが歪んだ価値観で生きているかが窺える名言です。
「兄貴だったら妹に守られるんじゃなく、守ってやれよなあ。この手で」
巻・話数 | 11巻92話 , アニメ9話 |
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原作92話にて、妓夫太郎は血から鬼である禰豆子と炭治郎が血縁者であると見抜きます。 深傷を負った炭治郎が妹だと答えると、彼を追い詰めながら妓夫太郎は「兄貴だったら妹に守られるんじゃなく、守ってやれよなあ。この手で」と炭治郎を挑発しました。 これも妹を守りたいという妓夫太郎の想いが感じ取れるセリフですね。
【声優】妓夫太郎の声を演じるのは逢坂良太
『鬼滅の刃』で妓夫太郎を演じるのは、声優の逢坂良太(おおさかりょうた)です。 逢坂良太はイケメンキャラを演じることが多く、ザ・イケボの印象が強い声優。反対に、妓夫太郎は粘着質で卑屈な言い回しをするキャラクターです。そのためファンの間では彼がどのように妓夫太郎を演じるのか期待が集まっていました。 実際に放送されると、一同驚愕。ファンは「いつもの逢坂良太とは違う一面が見れた」とその演技力に驚いていました。
上弦の陸・妓夫太郎!堕姫(だき)との兄妹愛も見逃せない
「刀鍛冶の里編」の続編となる「柱稽古編」の放送も決定しており、劇場版の公開とともにますます注目を集めている『鬼滅の刃』。この記事では、「遊郭編」に登場する強敵のひとり・妓夫太郎について紹介しました。 炭治郎たちを追い詰める彼の強さはもちろんですが、兄弟愛にも注目したいキャラクターです。竈門兄妹とはまた違った兄妹の在り方が描かれており、2組の兄妹を比べてみるのもおすすめ。 すでに原作を読んだというファンも、改めて妓夫太郎を振り返ってみてはどうでしょうか。