2021年7月27日更新

『もののけ姫』アシタカの出身部族やカヤの小刀問題について考察!真のイケメンなのか徹底検証

『もののけ姫』

『もののけ姫』では様々な立場の人物たちが登場します。その間に立たされることになるのが、主人公のアシタカです。本記事ではアシタカの部族の正体、カヤとの関係に焦点を当てつつ、イケメンを象徴するエピソードも紹介します!

目次

アシタカを徹底解説!彼の部族やカヤの小刀問題に迫る【ネタバレ注意】

アシタカは1997年に公開されたジブリ映画『もののけ姫』の主人公。呪いを受けたため故郷の村を後にして、さまざまな出会いを果たす若者です。 そんな彼はジブリファンの間では1、2を争うイケメンとして人気があります。 この記事ではアシタカの基本情報や村を去った理由などを解説。さらにファンなら気になるカヤとの関係や、アシタカのイケメンと言われるエピソードをたっぷり検証します。 ※この記事には『もののけ姫』のネタバレが含まれています。未鑑賞の人は注意してください。

アシタカの基本情報

年齢 17歳
名前の由来 アシタカ=人名の足高から?
ヒコ=古事記登場人物から?
出身 東北の山中に暮らす部族
声優 松田洋治

アシタカは『もののけ姫』の主人公。村のヒイさまからは「アシタカヒコ」と呼ばれています。 一族の長になるべく教育を受けており、振る舞いや言動からは気品を感じさせます。 口数は少ないものの正義感が強く、優しい心の持ち主。タタラ場の女性たちからは「いい男」と言われており、見ての通りのイケメンです。また狩猟で鍛えた弓の腕前や身体能力も兼ね備えています。 まさに文武両道といったアシタカですが、右腕にはタタリ神から受けた呪いの痣が。村を守ろうとし、この呪いを受けてしまいました。

解説①:アシタカの部族はエミシ(蝦夷)一族

『もののけ姫』

アシタカの部族であるエミシ(蝦夷)とは、東と北の間の山中で狩猟、採集、焼畑、工芸を生業とする部族。稲作農耕民である大和政権の支配下に入ることを拒んで、本州北部の山中に隠れ住んでいる原日本人の残党です。 特にアシタカは8世紀末から9世紀初頭にかけて現在の岩手県で活躍したエミシの族長・アテルイの部族の末裔である、と宮崎駿は言っています。 アシタカやエミシの村の人たちの衣装や持ち物は、縄文時代の文化やブータンの高地民の風俗などを参考にしてデザインされました。 アシタカの許嫁・カヤが持っている刀は蕨手刀という東北地方を中心に8世紀ころまで作られていた刀で、実際にエミシが戦うときに使っていたそうです。

解説②:アシタカは村を“追放”されている

『もののけ姫』

アシタカがエミシの村から出ていく経緯は、呪いを解く旅に出るために自発的に村を後にするという風に考えることができます。 ですがアシタカがエミシの村を出ていったのは、実は呪いを受けたため村の呪術師「ヒイ様」の決定によって追放されたからである、という説があります。 その根拠としては、ヒイ様の宣告を受けた瞬間の村の男たちやアシタカの描写に絶望や深刻さが感じられることが、まずあげられます さらに人望のあるアシタカの出発にもかかわらず、時間は夜でカヤしか見送りに来ない、というのも自発的な旅立ちにしては不自然です。 アシタカはもともとヒイ様から「アシタカヒコ」と呼ばれていました。ヒコは日子とも書かれ古事記の登場人物に使われる神性を表す言葉です。 村を出てから彼がアシタカヒコと呼ばれることはないため、アシタカはヒコという言葉を剥奪されて村を追放されたのだ、と解釈することもできます

【気になる】カヤに貰った小刀、サンにあげちゃう問題

『もののけ姫』

作中ではたたら場を救い、大活躍のアシタカですがそんな彼にも残念と言われている部分があります。 アシタカは村を出る時に、少女・カヤから小刀を受け取りました。アシタカを「兄様」と呼んでいましたが、実はカヤはアシタカの許嫁。そして渡した玉(黒曜石)の小刀はエミシ一族に伝わる、乙女が異性に贈る変わらぬ心の証なのです。 これをアシタカは、後々サンに贈ってしまいます。自分を慕っていた女の子から貰ったものを、別の女の子にプレゼントしてしまうなど言語道断。これについて一人二役でサンとカヤの声優を務めた石田ゆり子は宮崎駿に抗議したところ、監督からは「男ってこんなもん」と返ってきたのだとか。 しかし逆に考えれば、アシタカは村に戻らない覚悟を決めており、その決意故に小刀を手放したとも考えられます。また村の慣習に習って異性に小刀を渡したのも、彼なりの思いの表れなのかもしれません。 カヤを悲しませまいとする心意気と、サンを想う彼の真っすぐさが伝わるエピソードと言えるでしょう。 ちなみに米良美一が歌う主題歌「もののけ姫」はアシタカのサンへの気持ちを歌ったもの。アシタカの心の中をイメージした宮崎駿が、1番のみの短い歌詞に思いを込めています。

イケメンポイント①:呪いを受けてまで村を守る男気

『もののけ姫』

まず、1つ目のアシタカイケメンエピソードは、彼が呪いを受けたその経緯と理由について。アシタカの呪いは、タタリ神から村を守ったことで負ったものです。しかし彼はその呪いが原因で村を出て行くこととなるのです。 呪いを受けたものは村にいられないしきたりによるものですが、当然アシタカはそうなることをわかっていました。つまり彼は自分が村を追われるのを承知の上で、タタリ神に命懸けの戦いを挑んだことになります。 誰よりも強いこの自己犠牲の精神が、彼をさらに魅力的にしていると言えるでしょう。

イケメンポイント②:呪いによって得た人知を超えた力

『もののけ姫』

さらにアシタカの呪いは、少しづつ呪いが進みやがては命を奪いますが、同時に強大な力を与えるものでもあります。 デメリットのある強大な力というのは、いつの時代もカッコよく映るもの。呪いによってアシタカは超人的なアクションを見せています。 本来なら10人がかりで開くタタラ場の重たい門を1人で開けたり、山神に育てられたことで人間離れした動きのサンを止めたりといった活躍に加え、卓越した弓矢の腕前も披露しました。

イケメンポイント③:いちいちセリフがカッコいい

生きろ、そなたは美しい

『もののけ姫』

タタラ場でサンを助けたアシタカでしたが、彼女はそんなアシタカに怒りをぶつけます。生命などいらないというサンに、アシタカは「生きろ、そなたは美しい」と告げるのでした。 これはもちろん単純にサンの見た目を褒めたわけではなく、彼女の心を見通してのことだったのではないでしょうか。サンの親代わりのモロの君は、彼女のことを人間にも山犬にもなり切れない、哀れで醜い我が娘と形容していました。 これはサンが人間であるにも関わらず自分を山犬としているという、アイデンティティが曖昧なことを言い表していると考えられます。 だからこそ余計に人間を憎んでいるサンは、自分の命を過小評価しています。アシタカはそんなサンの不安定さを見抜き、彼女のひとりの人間としての価値を伝えたかったのではないでしょうか。 また宮崎駿は、モロの君はサンに対して明け透けに「お前は醜い」と言ったりしているため、アシタカに「美しい」と言われて驚いたとしています。

まだ終わらない。私たちが生きているのだから

『もののけ姫』
© 1997 Studio Ghibli・ND

ジコ坊からシシ神の首を奪い返そうとするアシタカ。サンに協力を頼むも、モロの君が命を落としたことで動揺した彼女に刃を突き立てられてしまいます。 そしてサンを抱きしめたアシタカが言ったのがこのセリフです。「もう終わりだ。なにもかも」と悲嘆にくれる彼女に、アシタカは優しく「まだ終わらない。私たちが生きているのだから。力を貸しておくれ」と言うのでした。 このセリフからはアシタカの諦めない強い心と、サンを励ます優しさが伝わりますね。

共に生きよう。会いに行くよ、ヤックルに乗って

『もののけ姫』

暴走したシシ神に首を返すことで、わずかな痣を残してアシタカの呪いは消えました。 平和が訪れたものの、サンはアシタカは好きでも人間を許すことはできず、森へ帰ることを選びます。そんな彼女に向けてアシタカは言いました。「サンは森で、私はタタラ場で暮らそう。共に生きよう」と。 共に生きようと言いながらも、別々に暮らすことを選んだアシタカ。 監督の宮崎駿が応じたアメリカのインタビューによると、アシタカはサンとタタラ場のために努力し、傷つくことになるそうです。それでも曲げずに生きて行こうとする彼の生き方は、今の時代に通じるとも語りました。 このように苦難の道とわかりながらもアシタカは共生を試みており、ここでも献身的な自己犠牲の精神が表れているといえるでしょう。

イケメンポイント④:唯一無二の自然との関わり方

『もののけ姫』

アシタカは『もののけ姫』の作中で唯一、人間と自然の共存を望んでいるキャラクターです。 サンが自然を大切にしていることはもちろんですが、タタラ場の人々も自然を支配しようとしています。どちらも排他的な考えをしている中で、アシタカだけがその間に立っている状態。しかも本作では根本的な解決には至っていないため、アシタカが奮闘することは目に見えます。 そのストイックなまでに理想を追い求める姿も、意思の強さを感じさせ、彼をカッコよくみせているのではないでしょうか。

アシタカはなんだかんだ言ってもやっぱりイケメンだった

この記事では『もののけ姫』のアシタカの出身やカヤの小刀エピソードを振り返ることで、彼が本当にイケメンなのかを検証しました。一見残念に思えるエピソードもありましたが、それも彼の信念によるもの。 外見について語られることの多いアシタカですが、彼がイケメンとされる所以はむしろ内面にあったのだとわかりましたね。