2024年5月2日更新

『耳をすませば』天沢聖司のストーカー疑惑を徹底検証!イケメンによって仕組まれた恋愛だった!?

このページにはプロモーションが含まれています
『耳をすませば』天沢聖司

『耳をすませば』は1995年に公開されたジブリ作品で、原作は柊あおいによる『りぼん』連載の同名少女漫画です。その当時、15歳だった高橋一生が天沢聖司の声優を担当していたことも、今では有名な話です。 この物語は読書好きな少女・月島雫(つきしましずく)が、いつも同じ本を借りている“天沢聖司”(あまさわせいじ)という人物のことをしだいに気にし始め、恋に発展していく、という初々しい青春を描いています。しかし、聖司の視点に立って見てみると、なんだか様子が違うような気がしてきます。 実は、この恋愛は聖司がすべて仕組んだものだったのでは?聖司はストーカーだったのでは?という疑惑が持ち上がっているのです。ここではその疑惑について、彼の恋愛テクニックを心理学の分野からも徹底検証して、彼の行動の本当の裏にある真意?を探っていきます。

AD

天沢聖司(あまさわせいじ)ってどんな人?

耳をすませば

天沢聖司(あまさわせいじ)は、天沢家の末っ子で15歳の中学3年生。同級生からはハンサムだけど少しとっつきにくいと言われています。自分には厳しい性格で、中学生ながらに将来の目標をしっかり持っているしっかり者です。 聖司はヴァイオリンを演奏でき、将来はヴァイオリン職人になるという夢を抱いています。聖司の祖父がアンティークショップ「地球屋」の1階でヴァイオリン作り教室を行っているため、そこで修行していたようです。 ヴァイオリン職人になるため、中学卒業後は高校に進学せず、本場イタリアで修行しようと考えています。親に反対されながらも夢に向かってひたむきに努力する彼の姿勢は、雫にも多大なる影響を与えました。 こんな爽やかなイケメンで、しかもヴァイオリン職人を目指してイタリアへ単身渡ろうという努力家なのに、どうしてストーカー疑惑があるのでしょうか?

ジブリ版と原作漫画では天沢聖司の設定に違いが?

原作少女漫画の『耳をすませば』での天沢聖司とジブリ版での天沢聖司にはいくつか違いがあります。その1つが、天沢聖司の夢。原作では「画家になること」ですが、ジブリ版では「バイオリン職人になること」に変更されています。さらに、年齢も原作では中学1年生だったのがジブリ版では中学3年生に。 また、原作漫画では聖司の兄・天沢 航司が登場します。金髪にメガネをかけた優しい雰囲気の青年で、月島雫の姉である汐と付き合っていました。

AD

ストーカー疑惑その1:自分の名前を繰り返し刷り込む

『耳をすませば』月島雫
© 1995 柊あおい/集英社・Studio Ghibli・NH

聖司は雫が借りそうな本を先回りして読んで、図書カードに名前を書き込むということを何度も繰り返してきたことを、自ら告白しています。そう、聖司はずっと以前から雫の存在を知っていたのです! しかも直接話しかけることもせず、図書カードにひたすら自分の名前を書いて記憶を刷り込み、なんと図書館で隣の席に座ったこともあると言っています。ちょっと、ゾッとします……これがストーカーなら。

心理学では「ザイオンス効果(単純接触効果)」という

雫は何度も目にした“天沢聖司”という人物に想いを馳せて、好印象を抱いていました。こういった心理現象は「ザイオンス効果」と呼ばれ、特にビジネス・マーケティングの分野で有名な手法。繰り返し見ているものに好印象を抱くという効果なのです。

疑惑その2:初対面で月島雫に対して嫌味を言う

『耳をすませば』天沢聖司

雫が夕子に「カントリー・ロード」の和訳を見せた後、借りた本に挟んで学校のベンチに置き忘れたシーンがあります。思い出して戻ってみると、知らない学生が勝手に本を読んでいました。これが雫と聖司の「初対面」です。 しかし実は、聖司にとっては初対面ではなかったわけですよね?素知らぬ顔で本を読み、さらに勝手に雫の和訳も読んでおいて「コンクリート・ロードはやめたほうがいい」と嫌味を言っています。気になっている相手なのに、なぜでしょうか。 そもそも、もしかして雫を張っていた?と思えるほど、偶然にしては本を拾うタイミングが良すぎます。 雫が初めて「地球屋」に行って父の弁当を忘れた時、大食いをネタにしてからかっていますが、こちらも確信犯。後で、雫の弁当じゃないことぐらいわかっていたと言うわけですから!

AD

「ゲインロス効果→マイナス」

いわゆる「ギャップ萌え」を狙ったとしか言いようがない、聖司の計算しつくされた行動。これは「ゲインロス効果」と呼ばれるもので、“初対面でマイナスの印象を与えた後に大きくプラスの印象を与えると、かなりの好印象を抱かせることができる”という心理現象です。 初対面では、まずマイナスの印象を与えているということ。これは聖司の作戦かもしれません。

疑惑その3:学校では無視する天沢聖司

『耳をすませば』月島雫、天沢聖司

お互い顔見知りになったというのに、学校では雫を無視する聖司。雫でなくても、気になる〜!われわれ視聴者も、ここですでに聖司の罠にハマっています。

「間歇強化(かんけつきょうか)」

この態度、いわゆる「ツンデレ」ですね。心理学では「間歇強化」という言葉があります。成功報酬がもらえる頻度が低い時ほど、その快感が大きくなるというもの。なんとも思ってないようなツンとした態度の後、デレが来たらどれほど嬉しいか!

疑惑その4:「カントリーロード」のバイオリンは練習済み!

耳をすませば
©Studio Ghibli/BVHE/Photofest

ゲインロス効果のプラス+デレが一気に押し寄せてきたようなシーンが、地球屋での「カントリー・ロード」セッション。雫の感情がマイナスから大きくプラスに変わった瞬間です。ヴァイオリンを作る姿、曲をいとも簡単に弾ける様子、両方を一気にアピール! いくらヴァイオリンが上手だからといって、いきなり「カントリー・ロード」が弾けるとも思えません。やはり、雫の和訳歌詞を見てから練習したのでは? そしてこの場面でようやく、“天沢聖司”が目の前にいるという事実を知った雫。本人は「え?言ってなかったっけ」くらいのテンションですが、明らかにわざと言ってなかった気がします。

AD

「ゲインロス効果→プラス」

これまでの態度はなんだったのか?というほど、地球屋で2度目に出会った時の聖司は話しやすく優しく、しかもカッコいい。これが、今までのマイナスのゲインロス効果を一気にプラスに転じる技だったわけです。

疑惑その5:調べ物に没頭する雫の前で、本を読んで待つ

『耳をすませば』月島雫、天沢聖司

雫の心を掴んだ後、さらなる恋愛テクニックを見せつけます。物語を執筆するために、図書館で調べ物に没頭する雫の前に、またもや偶然聖司が!そして雫が終わるまで、目の前でずっと本を読んで待っていました。

「ミラーリング」

さりげなく目の前に座って、雫と同じように本を読んで静かに待つ。これは「ミラーリング」といって、鏡のように相手と同じ言動をして真似ること。確実に相手に好意や親近感、さらには安心感すら持たせる行動なのです。

疑惑その6:周囲を巻き込んで親しい仲を公認化

『耳をすませば』月島雫、天沢聖司

いよいよ聖司は大胆な行動に出ます。雫に自分のイタリア行きが決まったことを、わざわざ学校で報告に行くのです。 別のクラスの男子が女子をわざわざ呼び出すというのは、周りの生徒たちをざわつかせます。雫に想いを寄せる杉村にも不意打ちパンチ!

「ピア・プレッシャー(同調圧力)」

「空気を読む」という風潮が特に強い日本人。よく職場でも問題になるのが、仲間から受ける「ピア・プレッシャー(同調圧力)」です。 仲間からの“視線”によって受ける心理的圧迫感が、ここで雫に働いていると思われます。つまり、聖司は雫の“彼氏”だと!

AD

疑惑その7:家の前で待ち伏せ?ストーカーと言われても仕方ない

『耳をすませば』月島雫、天沢聖司

イタリアに再出発する日の夜明け前に、雫の自宅前でひたすら待っていた聖司。雫が窓から顔を出すか、一か八かの賭けだったようですが、その「偶然」を「運命」と結び付けています。 よくよく考えれば、これまでにも何度も偶然を装って(?)雫の前に出没しているのですが、この時は寒い夜明け前です。そこで顔を出すかもわからない雫を待てる根性。すごいの一言!

「シンクロニシティ」

“意味のある”偶然の一致が繰り返されると、これは「運命」だと思い込むようになります。この心理は「シンクロニシティ」と呼ばれています。聖司の綿密な計画が、ラストのプロポーズに結実されたわけですね。

天沢聖司に学べ!ジブリ史に残る名プロポーズがかっこよすぎる

耳をすませば

イタリアに旅立つ前に少しの時間を使い雫に会いにきた聖司は、自転車の後ろに雫を乗せ、2人乗りで坂道を登っていきます。 坂が急になると雫は降りようとしますが、ここで聖司の名言が飛び出します。

雫「降りようか?」 聖司「大丈夫だ。お前を乗せて坂道のぼるって、決めたんだ。」

深いですね。人生のことを言っているようにも思えます。 このあと2人は日の出の見える丘まで無事に到達し、雫は初めて来た場所での綺麗な朝焼けに心躍らせます。そんな綺麗な日の出を見ながら聖司はプロポーズをするのです!

聖司「雫、あのさ…」 聖司「俺… 今すぐってわけにはいかないけど。」 聖司「俺と結婚してくれないか?」 雫「えっ。」 聖司「俺。きっと一人前の、バイオリン作りになるから。そしたら…」 雫「うん。」 聖司「ほんとか!?」 雫「うれしい。そうなれたらいいなって思ってた。」 聖司「そうか。ヤッター!」 雫「待って。風、冷たい。」 聖司「雫。大好きだ!」

歴代ジブリの中でも上位に選ばれるほどの名シーンです。女性ならこんなプロポーズに憧れる方も少なくないでしょう。 このシーンはまさに、聖司がこれまで積み上げてきた恋愛テクニックの集大成。相思相愛になれば、ストーカー疑惑なんて関係ないですね。

AD

ジブリ最強の彼氏・天沢聖司は恋愛スペシャリスト【耳をすませば】

耳をすませば

ジブリ作品でヒロインの恋の相手といえば、割と真面目で一途な上、恋愛には疎いタイプが多い中、『耳をすませば』の天沢聖司は最初から恋愛テクニックを駆使しているように思えます。 少女漫画が原作ということもありますが、出会いの前から名前を刷り込むなど画策しているあたり、相当なテクニシャンです。その後の2人が結婚したかどうかは想像に任せるしかないのですが……。 カップル専用アプリ「Pairy」が行った、「カップルが憧れるジブリカップル調査」でも1位に選ばれている聖司と雫。巷のストーカー疑惑にすら動じないような爽やかなイケメン聖司と、自分の道を自分の足で歩こうとする自立した雫は、誰もが憧れるカップルなようです。