女子高生探偵・世良真純！『名探偵コナン』のボクっ娘は新一に片思い中？

世良真純(せらますみ)は『名探偵コナン』に登場する女子高生探偵で、赤井秀一の妹です。新一や蘭と同じ帝丹高校に転校してきました。 アメリカからの帰国子女で、ホテルで1人暮らしをしていると話していますが、実際は後退化した実の母親・メアリーとともに、ホテルを転々としながら潜伏中です。 灰原哀や工藤家に住む沖矢昴を偵察したりなど、黒の組織について調査している様子。他の高校生探偵と比べると経験が浅く詰めが甘い部分はあるものの、一般人と比べると非常に高い推理力を有していました。 普段から一人称が「ボク」であったり、荒々しい口調で話したりしています。見た目も、短髪でボーイッシュなため初登場の際には男性に間違われていました。 また、格闘技にも精通し、截拳道(ジークンドー)の使い手でもあるため、敵に果敢に立ち向かっていく強さも、世良真純の魅力の1つとなっています。

世良真純は明朗快活でフレンドリーな性格をしています。やや男勝りで喧嘩っ早いところもあり、強気な言動が目立つ人物です。 一方で、彼女は家族や毛利蘭など仲良くなって心を許した相手にはベタベタするところがあり、終始サバサバしているわけではありません。そういった相手には依存ともとれる態度を取ることもあって、普段の態度とのギャップに驚かされます。反面、大事な人たち以外にはわりと冷淡なのも彼女の特徴です。

世良真純というキャラクター誕生の背景には、「コナン」に登場した架空のTV番組「探偵甲子園」の登場キャラ・越水七槻(こしみずなつき)の存在があります。 越水は南の名探偵代表として番組に正体されたボクっ娘女子高生探偵です。ゲストキャラながら高い人気を得たものの、犯人だったため再登場の機会はありませんでした。 そこで作者の青山剛昌は、「じゃあ究極のボクっ娘を出してやるよ」と世良真純を誕生させたことをインタビューで語っています。

世良真純は10年前に新一・蘭と熱海で出会っており、コナンの正体が新一であることにも気づいている可能性があります。また、彼女の様子を見ると、新一(コナン)を特別意識しているようにも思えます。 彼女自身が女子高生探偵であることから、同じように探偵として活躍していた新一に単に興味があるのでしょう。さらには新一への恋心から、彼の周辺を嗅ぎまわっているのかも……？ 真純の真意はまだはっきりとしませんが、コナンにとっても新一にとっても、キーパーソンになるかもしれません。ここからは、真純と新一、蘭の3人の関係性について深く解説していきます。

作中で真純とコナンは、多くの時間を共にしています。そこで気になるのが、やはり彼女がコナンの正体に気付いているのかでしょう。 確実ではありませんが、真純はコナンが新一であると気付いている可能性が高いです。ある事件の捜査中、真純は事件のことではなくコナンの身辺を嗅ぎ回っていました。そして蘭や園子に、「コナンと新一が同じ場所にいたことはあるか」など、核心を突く質問をする姿も描かれています。 そして「新一くん」と話しかけ、コナンに返事をさせることにも成功しました。また劇場版「緋色の弾丸」では、コナンが新一の携帯電話を使っているのも見ています。コナンを助ける際の必死さからも、彼女が正体に気付いている可能性は相当高いと考えられるでしょう。

コナンの姿として世良真純と知り合う10年前。つまり工藤新一の幼少期に2人は初めて出会っています。お互い家族や知人とともに熱海の海岸に来ていました。世良家の3兄妹も揃っており、このとき、真純は初対面の兄・秀一をなんとか笑わせようと躍起になっていたのです。 しかしあらゆる手を使っても秀一は笑いません。そんなときに現れたのが新一と母・工藤有希子です。新一はしばらく秀一のことを観察してから、幼いながらも自身の推理を展開。未熟ながらも鋭い観察眼を持つ少年に秀一は頬を緩め、笑ったのでした。 真純にとって、シャーロック・ホームズの弟子を自称するこの少年は、絶対に笑わない兄を笑わせた特別な人となったのです。

毛利蘭と世良真純の出会いはバスの中。アニメ646話「幽霊ホテルの推理対決(前編)」で2人の初対面の様子が描かれています。最初、真純はボーイッシュな格好をしていたこともあり、園子に痴漢だと勘違いされていました。 事件後、彼女は蘭のクラスに転入してきます。以降は仲の良いクラスメイトという関係に落ち着きました。しかし真純は、新一に対して憧れのような感情を抱いています。蘭と新一が恋人関係であることを認めながら、真純は蘭に「君は思ったより手強い」と発言していました。 また彼女が初めて登場したのは、蘭が新一への返事を保留にしていたときでした。園子が蘭に「突然強力なライバルが現れちゃうかもよ」と話した直後に、真純が登場したのです。もしかしたら蘭と真純は今後、恋のライバルとなるのかもしれません。

「幽霊ホテルの推理対決」は世良真純が初登場した回です。 蘭と園子、そしてコナンの3人は、ケーキバイキングに行くため杯戸ホテルに向かっていました。そしてバスで痴漢との間に一悶着ありながら、コナン達はホテルに到着します。ケーキバイキングに向かう彼らでしたが、ホテルで殺人事件が起きてしまうのでした。 ホテルに到着する前に乗っていたバスで痴漢されてしまった園子は、1人の青年の手を掴み蘭は蹴りをお見舞いしようとします。しかし彼はそれを交わし、截拳道(ジークンドー)で応戦しました。コナンの助言で犯人ではないと判明したその青年こそ、世良真純だったのです。 目的地は同じホテルで、探偵であると名乗った真純は、殺人事件の解決にも尽力しました。エピソードの最後には帝丹高校に転校してきます。それまでは誰もが青年だと思っていた彼女ですが、転校時にスカートを履いていたため女子であると判明しました。

遺品から発見されたコインロッカーの鍵の詳細を調べて欲しいという依頼が小五郎に舞い込みます。しかし待ち合わせ場所であるレストランに依頼人は現れませんでした。そして戻った事務所のトイレには男性の死体と、縛られた女性の姿がありーー。 毛利探偵事務所で男性の死体が見つかったというニュースを観た世良真純は、蘭に電話をして状況を確認します。そして誘拐されたコナンを救出するため、バイクで犯人をダイナミックに追跡しました。 「探偵たちの夜想曲」ではバーボン候補であった世良真純、安室透(あむろとおる)、沖矢昴が一堂に会しています。

映画に影響を受けた園子に、蘭と真純はガールズバンドをやろうと誘われます。そして安室がギターを弾けると知った蘭達は、コナンを引き連れ安室にギターを教わることにしました。しかし到着した貸しスタジオで、4人組ガールズバンドのメンバーが殺される事件が起こってしまいーー。 「仲の悪いガールズバンド」は真純と安室、赤井秀一の過去が描かれる超重要回。また黒の組織に潜入していたスコッチも初登場を果たしています。

日本に戻ってきた世良真純は、現在ホテル暮らしをしています。学校の友達などの周囲の人物には、1人暮らしをしていると話している彼女。しかし実際は中学生くらいの少女も一緒に暮らしているのです。その中学生とは、世良真純の母親であるメアリー世良。 イギリスに滞在していた際、メアリーはベルモットにAPTX4869を飲まされてしまいます。死亡こそしなかったものの、細胞が後退化してしまった彼女の外見をコナンは「中学生くらい」と評していました。 現在は黒の組織に生存を悟られないよう姿を隠しているメアリーは、テレビで偶然コナンを見て日本にやって来たのです。

メアリー世良と灰原哀は、ともにAPTX4869で細胞が後退化しています。そしてそんな2人が似ていると、読者の間では大きな話題となりました。結論から言うと、2人が似ている理由は灰原の母である宮野エレーナとメアリーが、姉妹であるためです。 イギリスでベルモットと対峙したメアリーは、APTX4869を飲まされてしまいますが、そこでベルモットは「自分の妹が作った薬で死亡する気分はどうだ」と口にしたのです。 APTX4869は宮野エレーナが作った薬だと明らかになっています。そして灰原はエレーナの娘であるため、2人が親戚であると確定したのでした。

FBI捜査官として既に登場している赤井秀一の実の妹こそが世良真純です。2人の苗字が違うのは、真純が事情により、母親の親戚に引き取られ、その後母方の旧姓で名乗ってきたから。 また家族からは、すでに兄の赤井秀一は死んでいると聞かされていたようです。現在は自身が調べた情報から、兄は生きてFBIの捜査官になったことを分かっているようですが、正体を突き止めるまでには至っていません。 そして2021年公開の劇場版「緋色の弾丸」では、ついに真純と赤井秀一扮する沖矢昴が拳を交えています。そこで真純は沖矢が何者かの変装であると知りました。 赤井は彼女と同じ、截拳道の使い手であり、2人は過去に戦ったこともあります。そのため真純が沖矢の戦い方を見て、兄の姿を頭に思い浮かべた可能性は十分あるでしょう。兄についての情報を集める彼女が、真相に近づいているのは間違いありません。

世良真純の兄は2人おり、もう1人はプロ将棋士として活躍しながら推理力にも長けている羽田秀吉。高校卒業とともに、彼の尊敬する棋士・羽田浩二の遺志を継いで羽田家の養子となったため、彼と真純もまた苗字が異なります。 また、コナンの作品中で羽田秀吉は父親似であると世良真純が話しています。長男である赤井秀一と妹の世良真純は見た目が似ていますが、次男の羽田秀吉は1人だけ父親に似たようです。

ジークンドー(截拳道)とはブルース・リーが生み出した武術で、詠春拳(えいしゅんけん)という中国武術をベースにボクシング・サバット・空手など世界各地の武術を組み合わせたものです。 「截拳道」という名には「敵の拳を断つ方法」という意味が込められています。特定の型がない無形武術であり奥義もありません。敵の拳を即座に防ぎながらのカウンターを大きな特徴としています。

世良真純がジークンドーに興味を持ったのは、10年前に幼い工藤新一と赤井一家が海岸で出会う「さざ波の魔法使い」での出来事がきっかけです。 このとき、赤井秀一は浜辺にいたガラの悪い男たちをジークンドーで追い払い、子どもの新一を助けました。幼い真純にとって、この日初めて会ったばかりの兄・秀一が華麗な武術で悪い奴らを蹴散らす姿は、さながらヒーローのようだったはずです。 こうして秀一がきっかけでジークンドーに惹かれた真純は、10年後に新一(コナン)と再会した際には、立派なジークンドーの使い手となっていました。

世良真純の強さは空手の達人の毛利蘭とほぼ互角です。同じくジークンドーの使い手である赤井秀一は、対戦経験のある真純いわく「自分よりも3倍は強かった」そうなので、秀兄は別格といえるでしょう。 真純は京極真とも対戦経験があります。このとき、もはや人間離れしている京極は真純の初手を回避しつつ彼女がジークンドーの使い手だと見抜き、ガードした彼女を蹴りで10mほどふっとばしていました。京極に比べると、やはり彼女のほうが弱いようです。

世良真純の声優を担当するのは、1980年代から現在まで「ロリボイス」で多くの人々の心を掴んできた日髙のり子です。 代表作はアニメ『タッチ』の朝倉南役や、『らんま1/2』の天道あかね役、『ViVid Strike!』のローリー・ベルリネッタ役など、多くのヒロインを演じてきました。 作者も世良真純を出す前に「最強のボクっ子を出してやるよ！」と話すくらい、力を注ぎこんだキャラの一人だった為、超大物の日高のり子がキャスティングされたのかもしれません。今でも変わらないロリボイスが、世良真純の魅力を引き出しています。

「世良真純」という名前の由来は、機動戦士ガンダムのキャラクターであるセイラ・マス。兄の赤井秀一のモデルがシャア・アズナブルのため、シャアの妹であるセイラ・マスから名付けられたそうです。

探偵としてはまだまだ弱点がある世良真純ですが、やはり真相に辿り着く能力は高いようです。コナンの正体や兄の死の真相にも、今や自力で迫りつつあります。 真純はすべての真相を知ることができるのか、母であるメアリーは元の姿に戻れるのか。今後の動向からも、目が離せません！