【速報】2020年アカデミー賞受賞作一覧!どの作品が栄冠に輝いた?
2020年 第92回アカデミー賞受賞結果一覧
2019年のヴェネツィア国際映画賞で金獅子賞に輝き、当初アカデミー賞大本命といわれた『ジョーカー』。2020年1月13日に発表されたノミネーションでは、最多ノミネートを果たしたものの、どの部門も強豪ばかりで激戦が予想されます。 この記事では、2020年アカデミー賞の受賞結果一覧を紹介します。いったい誰が栄冠に輝いたのでしょうか!?
2020年第92回アカデミー賞受賞一覧!(発表順)
■助演男優賞:ブラッド・ピット(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』) ■短編アニメーション賞:『ヘア・ラブ/Hair Love』 ■長編アニメーション賞:『トイ・ストーリー4』 ■脚本賞『パラサイト 半地下の家族』(ポン・ジュノ、ハン・ジウォン) ■脚色賞:『ジョジョ・ラビット』(タイカ・ワイティティ) ■短編実写映画:『向かいの窓』 ■美術賞:『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』 ■衣装デザイン賞:ジャクリーヌ・デュラン(『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』) ■長編ドキュメンタリー賞:『アメリカン・ファクトリー』 ■短編ドキュメンタリー賞:『ラーニング・トゥ・スケートボード・イン・ア・ウォーゾーン(イフ・ユア・ア・ガール)(原題)』 ■助演女優賞:ローラ・ダーン(『マリッジ・ストーリー』) ■音響編集賞:『フォードvsフェラーリ』 ■録音賞:『1917 命をかけた伝令』 ■撮影賞:ロジャー・ディーキンス(『1917 命をかけた伝令』) ■編集賞:『フォードvsフェラーリ』 ■視覚効果賞:『1917 命をかけた伝令』 ■メイク・ヘアスタイリング賞:カズ・ヒロ(『スキャンダル』) ■国際長編映画賞:『パラサイト 半地下の家族』 ■作曲賞:ヒルドゥル・グーナドッティル(『ジョーカー』) ■歌曲賞:「(アイム・ゴナ)ラヴ・ミー・アゲイン」(『ロケットマン』) ■監督賞:ポン・ジュノ(『パラサイト 半地下の家族』) ■主演男優賞:ホアキン・フェニックス(『ジョーカー』) ■主演女優賞:レネー・ゼルウィガー(『ジュディ 虹の彼方に』) ■作品賞:『パラサイト 半地下の家族』
作品賞受賞&ノミネート一覧
「パラサイト」韓国作品初の快挙
★『パラサイト 半地下の家族』 『アイリッシュマン』 『ジョーカー』 『1917 命をかけた伝令』 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』 『マリッジ・ストーリー』 『ジョジョ・ラビット』 『フォードvsフェラーリ』 『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』
【受賞】『パラサイト 半地下の家族』
2019年、カンヌ国際映画賞で最高賞パルムドールを獲得した韓国映画『パラサイト 半地下の家族』は、経済格差の広がる社会で、異なる社会階層に属する家族が出会ったときに起こる悲喜劇を描いた作品です。 本作は、多くの映画祭で高く評価されており、ゴールデングローブ賞外国語映画賞や全米映画批評家協会賞作品賞をはじめとする数多くの賞を獲得。今回のアカデミー賞でも、驚きの快進撃を見せました。
『アイリッシュマン』
マーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロ&アル・パチーノのW主演で話題となっている『アイリッシュマン』。本作は、2019年11月1日にアメリカの少数の劇場で限定公開された後、同月27日からNetflixで配信が開始されました。日本をはじめ、イギリス、ドイツ、スペイン、韓国などでも同様の公開形態がとられました。 巨匠マーティン・スコセッシと、名優たちの共演で注目を集めている本作はアカデミー賞前哨戦といわれる米国映画批評会議と、ニューヨーク映画批評家協会賞で作品賞を受賞。米映画批評サイトRotten Tomatoesの評価は96%フレッシュを記録しています。
『ジョーカー』
ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した『ジョーカー』。 バットマンの宿敵であるジョーカー誕生譚を描いた本作は、数多くの過去の名作へのオマージュや、現代社会への辛辣なメッセージが盛り込まれた作品で、主演のホアキン・フェニックスの演技が絶賛されました。 本作は2020年アカデミー賞で最多11部門にノミネートされました。
『1917 命をかけた伝令』
『007 スカイフォール』(2012年)で注目を集めてサム・メンデス監督の『1917 命をかけた伝令』。若きイギリス兵2人が重要な命令を一刻も早く届け、最前線にいる1600人の仲間を救うため、危険が待ち受ける敵陣を駆け抜ける姿を描いた本作は、全編ワンカットで撮影され、注目を浴びています。 本作は、アカデミー賞前哨戦のひとつであるゴールデングローブ賞で、『ジョーカー』や『アイリッシュマン』を抑えて映画ドラマ部門作品賞を獲得しました。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットの2大スター共演が話題になりました。 本作では、ピークを過ぎたアクション俳優(ディカプリオ)と彼の親友でありスタントマン(ブラピ)を中心にストーリーが進みます。
『マリッジ・ストーリー』
アダム・ドライバーとスカーレット・ヨハンソンという演技派2人を主演に迎えた『マリッジ・ストーリー』は、「離婚」をテーマに結婚生活や子供の将来、自分自身の望みに向き合う夫婦を繊細に描いています。 ローラ・ダーンが助演女優賞を獲得しました。
『ジョジョ・ラビット』
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)作品『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年)などで知られるタイカ・ワイティティ監督による『ジョジョ・ラビット』。第二次世界大戦下のドイツを舞台に、空想の友達・ヒトラーとともに、一人前の兵士を目指す少年を描いたコメディ映画です。 本作は、脚色賞を獲得しました。
『フォードvsフェラーリ』
『フォードvsフェラーリ』は、1966年のル・マン24時間耐久レースで打倒王者フェラーリに挑んだフォードの男たちを描いたドラマです。クリスチャン・ベール&マット・デイモンをW主演に迎え、『LOGAN/ローガン』(2017年)などのジェームズ・マンゴールドがメガホンを取りました。 本作は音響編集賞と編集賞を受賞しています。
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
ルイザ・メイ・オルコットによる名作小説「若草物語」を新たな視点で映画化した『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』。 『レディ・バード』(2017年)のグレタ・がーウィグ監督とシアーシャ・ローナンが再びタッグを組み、南北戦争下に強く生きる4姉妹を描いています。
監督賞受賞&ノミネート一覧
ポン・ジュノ監督受賞がアジア人2人目の快挙
★ポン・ジュノ(『パラサイト 半地下の家族』) サム・メンデス(『1917 命をかけた伝令』) マーティン・スコセッシ(『アイリッシュマン』) クエンティン・タランティーノ(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』) トッド・フィリップス(『ジョーカー』)
【受賞!】ポン・ジュノ(『パラサイト 半地下の家族』)
世界中で高評価を獲得している『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督。 今回受賞を果たし、アジア人監督として台湾のアン・リー(『ブロークバック・マウンテン』)につづく2人目の快挙となりました!
サム・メンデス(『1917 命をかけた伝令』)
サム・メンデス監督は、『1917 命をかけた伝令』でノミネート。全編ワンカット風で119分の作品を製作したことが評価され、ノミネートとなりました。
マーティン・スコセッシ(『アイリッシュマン』)
Netflixオリジナル映画『アイリッシュマン』でノミネートされた巨匠マーティン・スコセッシ。同作は彼の集大成ともいえる一本でしたが、惜しくも受賞ならず。
クエンティン・タランティーノ(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』)
これまで、アカデミー賞では『パルプ・フィクション』(1995年)と『ジャンゴ 繋がれざる者』(2013年)で脚本賞を獲得しているクエンティン・タランティーノ。
トッド・フィリップス(『ジョーカー』)
『ジョーカー』でヴェネツィア国際映画賞金獅子賞を獲得したトッド・フィリップス。今回、ヴェネツィア国際映画祭での金獅子賞受賞もあって、初ノミネートを果たしました。
主演男優賞受賞&ノミネート一覧
おおかたの予想どおりホアキン・フェニックスが受賞
★ホアキン・フェニックス(『ジョーカー』) アダム・ドライバー(『マリッジ・ストーリー』) レオナルド・ディカプリオ(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』) アントニオ・バンデラス(『ペイン・アンド・グローリー(英題)』) ジョナサン・プライス(『2人のローマ教皇』)
【受賞】ホアキン・フェニックス(『ジョーカー』)
『ジョーカー』で迫真の演技を見せたホアキン・フェニックス。彼は同作のために23kg減量しており、その役作りも選考の大きなポイントになったようです。
アダム・ドライバー(『マリッジ・ストーリー』)
Netflixオリジナル映画『マリッジ・ストーリー』で繊細でエモーショナルな演技を見せたアダム・ドライバー。2019年には『ブラック・クランズマン』で助演男優賞にノミネートされていました。20年連続の俳優部門ノミネートとなり、今後の活躍にもますます注目が集まります。
レオナルド・ディカプリオ(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』)
レオナルド・ディカプリオは、これまでに主演・助演合わせて6回男優賞にノミネートされ、2016年の『レヴェナント:蘇りし者』で主演男優賞を初めて獲得しています。
アントニオ・バンデラス(『ペイン・アンド・グローリー(英題)』)
アントニオ・バンデラスは、今回スペイン映画『ペイン・アンド・グローリー(英題)』でカンヌ国際映画賞男優賞を受賞。アカデミー賞には初ノミネートでしたが、受賞はならず。
ジョナサン・プライス(『2人のローマ教皇』)
Netflixオリジナル映画『2人のローマ教皇』で現ローマ教皇・フランシスを演じたジョナサン・プライス。イギリスを代表する名優ですが、アカデミー賞へのノミネートは今回が初めてです。
主演女優賞受賞&ノミネート一覧
4度目のノミネートにして初受賞!
★レネー・ゼルウィガー(『ジュディ 虹の彼方に』) スカーレット・ヨハンソン(『マリッジ・ストーリー』) シャーリーズ・セロン(『スキャンダル』) シンシア・エリヴォ(『ハリエット』) シアーシャ・ローナン(『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』)
【受賞】レネー・ゼルウィガー(『ジュディ 虹の彼方に』)
『ジュディ 虹の彼方に』で、往年の名女優ジュディ・ガーランドを演じたレネー・ゼルウィガーは、これまでにアカデミー賞に3度ノミネート。そのうち2004年には『コールド・マウンテン』で助演女優賞を受賞。 4度目のノミネートにして、初の主演女優賞受賞となりました。
スカーレット・ヨハンソン(『マリッジ・ストーリー』)
『マリッジ・ストーリー』で、アダム・ドライバーとW主演を務めたスカーレット・ヨハンソンも主演女優賞にノミネート。また、彼女は『ジョジョ・ラビット』で助演女優賞にもノミネートされました。
シャーリーズ・セロン(『スキャンダル』)
2004年に『モンスター』でアカデミー賞主演女優賞を獲得したシャーリーズ・セロンは、今回3度目のノミネートを果たしました。ベテランキャスターが「テレビ界の帝王」を告発した実際の事件を題材とした『スキャンダル』でのノミネートです。
シンシア・エリヴォ(『ハリエット』)
ブロードウェイのミュージカルで活躍するシンシア・エリヴォは、『ハリエット』で初主演にしてアカデミー賞初ノミネート。ブロードウェイでミュージカル女優としても活躍する彼女は、本作の「Stand Up」で主題歌賞にもノミネートされています。
シアーシャ・ローナン(『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』)
『レディ・バード』(2017年)や『ブルックリン』(2015年)などで知られるシアーシャ・ローナンは、『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』でアカデミー賞4度目のノミネート。若手実力派として認められる彼女は、今回は受賞こそ逃したものの、今後の活躍に大注目です。
長編アニメーション映画賞受賞&ノミネート一覧
人気シリーズ完結編が受賞
★『トイ・ストーリー4』 『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』 『失くした体』 『ミッシング・リンク(原題)』 『クロース』
【受賞!】『トイ・ストーリー4』
ピクサー/ディズニーの大人気シリーズ「トイ・ストーリー」の最終章。前作『トイ・ストーリー3』(2011年)につづき、今回も受賞を果たしました。
『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』
こちらも大人気シリーズの最終章となった『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』。これまでの作品すべてがアカデミー賞にノミネートされていますが、今回も惜しくも受賞ならず。
『失くした体』
2019年のカンヌ国際映画祭批評家週間でグランプリを受賞したNetflixオリジナル映画。パリのとある医療施設から逃げ出した切断された左手が、体をさがして街をさまよう様子が描かれます。
『ミッシング・リンク(原題)』
神話やモンスターに関する自称・最先端の研究者ライオネル・フロストが出会ったのは、伝説のモンスター、ミスター・リンク。フロストはミスター・リンクとともに、彼の親戚を探す旅に出ることに。 『コララインとボタンの魔女』(2009年)や『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(2016年)などで知られるアニメーション製作会社・ライカによるストップモーションアニメです。
『クロース』
サンタクロース誕生秘話を描くNetflixオリジナルアニメ『クロース』。近年ではめっきり少なくなった手書き2Dアニメーションによる長編映画です。
国際映画賞受賞&ノミネート一覧
★『パラサイト 半地下の家族』(韓国) 『ペイン・アンド・グローリー(英題)』(スペイン) 『ハニーランド(原題)』(北マケドニア) 『レ・ミゼラブル』(フランス) 『コーパス・クリスティ(英題)』(ポーランド)
『ペイン・アンド・グローリー(英題)』(スペイン)
スペインの名匠、ペドロ・アルモドバル監督による自伝的映画。アントニオ・バンデラスとペネロペ・クルスが再び共演しました。ある映画監督の少年期から夢を追う青年期、そして映画監督として成功しながらも、創作と私生活両方で問題を抱える姿を、過去と現在を行き来しながら描きます。
『ハニーランド(原題)』(北マケドニア)
北マケドニアの年老いた養蜂家を追うドキュメンタリー。廃墟になりつつある町で、自然との共存を目指し、ミツバチを守ろうとするヨーロッパ最後の女性養蜂家の姿に迫ります。
『レ・ミゼラブル』(フランス)
ヴィクトル・ユゴーによる「レ・ミゼラブル」の舞台となった街の現在の姿を描く本作。小説に描かれた時代と変わらず、貧しい人々の集まる地域、弱者に対する暴力あ横行する現状を生々しく描き、カンヌ国際映画賞審査員賞を受賞しました。
『コーパス・クリスティ(英題)』(ポーランド)
ポーランド映画『コーパス・クリスティ(英題)』は、神父になりすました元犯罪者と逃げ込んだ町の住人との間に起こる出来事を描いた、実話をもとにした作品です。
【2020年アカデミー賞総括】アカデミー賞も変わり始めている?
Netflix作品にはやはり厳しい?
近年注目を集めているネット配信作品への評価は、やはり今回も厳しい結果となりました。 今回はNetflix製作の『アイリッシュマン』、『マリッジ・ストーリー』、『ふたりのローマ教皇』、『失くした体』など、多数の作品が様々な部門にノミネートされ、Netflix作品全体では21ノミネート。 しかし、受賞はローラ・ダーン(『マリッジ・ストーリー』)の助演女優賞のみに留まっています。 マーティン・スコセッシやノア・バームバックら、世界有数のクリエイターでもアカデミー賞には手が届かない結果となりました。
Oscar Still White(オスカーはまだ白い)から、まさかの「パラサイト」無双!!
2016年には、俳優部門ノミネートが全て白人だったことから、「Oscar So White(白すぎるオスカー)」と批判されたアカデミー賞。翌年にはその反動か、多くの黒人俳優がノミネート/受賞するなど世論との折り合いをつける形でダイバーシティ化を進めようと努力しているようです。 しかし、今回も俳優部門で有色人種俳優のノミネートは、『ハリエット』のシンシア・エリヴォのみ。“Oscar Still White(オスカーはまだ白い)”との批判が上がりました。 また、監督賞ではノミネート確実とみられていた『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』のグレタ・ガーウィクがノミネートしないなど、女性差別を訴える声も。 そんななか、ビッグサプライズは、なんといっても「パラサイト」の作品賞、監督賞をはじめとする4部門受賞。アジア映画として初の快挙です。 多様性をすすめる第1歩として、このような結果になったのは、とても喜ばしいこと。これが1度きりのパフォーマンスでなく、今後もつづくことを願いたいですね。