『思い出のマーニー』を解説、考察!【マーニーの正体を徹底考察】

2017年7月12日更新

イギリスの作家、ジョーン・G・ロビンソンの児童文学を原作に、スタジオジブリ製作・米林宏昌監督の長編アニメーション映画『思い出のマーニー』。ぜんそくの療養のため、海辺の田舎町に滞在することになった杏奈が出会った、金髪で青い目の少女、マーニー。マーニーと、彼女が住む湿っ地屋敷には不思議なことがいろいろとありました。マーニーの正体とは一体?まとめてみました。

ミステリアスな存在、十一(といち)の正体

映画の最初の頃に杏奈を救った男、十一(といち)。彼は映画の終盤で再び、さやかと杏奈をボートに乗せて登場します。その時、彼女たちがマーニーについて話していると彼は初めて口を開くのでした。 「マーニー……青い窓の向こうに閉じ込められた少女。遠い昔の話しだ」 という十一の発言から、彼もマーニーの事を知っている事が伺えます。恐らく、自分も子供の頃に窓の向こうに閉じ込められているマーニーを見かけ、もう一度見ようと、それから大人になった今でもずっとあの湿地に通っていたのではないのでしょうか。そうならば、最初に杏奈を助けたときも何故湿地にいたのか説明がつきますね。

子供の頃のマーニーが湿っ地屋敷で遊んでいた女の子は誰?

テラスで踊ったり、パーティーに花売り娘として入り込んだり……当時のマーニーは、実際に誰か年の近い女の子と一緒に遊んでいたと考えられます。 劇中でははっきりとは示されませんが、登場人物の中から考えると、久子さんがその女の子に当たりそうです。

杏奈が「空想で」描いたマーニーの絵が、実際の姿と似ていたのは何故?

杏奈は湿地で出会ったマーニーの姿を、スケッチにします。それを見た久子さんは、「私が知っていた女の子に似ている」と話します。 実際には見たことのない、祖母の子供の頃の姿をスケッチを描くことができたのはなぜでしょう?どんな髪型や服だった等は祖母から聞いた話の中に入っていたのかもしれませんし、幼い頃持っていたお人形の姿が少し影響しているのかもしれません。 しかし、そんな小さい頃に夢うつつで聞いた話をもとに、「似てる」ものが描けるのか?……ということで、やはり杏奈は空想だけでなく、実際に過去の祖母マーニーに会ったのかも、という説も完全には捨て去れないのでした。

マーニーが夢の中で残した、杏奈への最後の言葉の意味

「大好きな杏奈、自分はもう、ここからいなくならなきゃならない、あなたにさよならしなければならない、だから許してくれると言って」……これは、サイロに杏奈を置き去りにしてしまった事と、自分はもう湿っ地屋敷から去ることを許して欲しいという意味にとれると同時に、幼い孫を独りぼっちにして先立つしかなかった祖母の、孫娘への許しを請う言葉ととってもそのまま通じます。 また杏奈の、「あなたを許すわ。あなたのことが大好き。」という言葉も、目の前にいるマーニーへの言葉であると同時に、祖母への言葉としても、意味は通じます。 そしてこのシーン以降からエンディングまでの杏奈の行動や表情を見ると、当初「許せない」と語っていた自身の過去のこと(両親、祖母の他界や養母とのこと)を、穏やかに受け入れ始めているように見えます。

考察まとめ:『思い出のマーニー』は傷ついた少女の再生の物語

両親と祖母の死によって傷ついた杏奈はマーニーと出会い、別れを経験することによって過去を受け入れ立ち直ります。そして、マーニーも自身の過去の後悔や過ちを杏奈に許してもらうことによって再生していきます。 『思い出のマーニー』は過去に傷ついた経験や過ちを犯し、後悔を持ち続ける少女たちの再生の物語であり、杏奈やマーニーに似た境遇の人々の心を癒し、希望を与えることでしょう。

『思い出のマーニー』と他のジブリ作品の関係を考察

『思い出のマーニー』には過去のジブリ作品と似ているシーンが存在します。今作を見た人々が過去のジブリ作品を思い出せるよう施しているのかもしれないですね。 久子が絵を描くシーンは『風立ちぬ』の里見菜穂子が絵を描いているシーンを彷彿されます。 千と千尋の神隠しのオープニングシーンもそれとなくにていますね。 再度『思い出のマーニー』を鑑賞して、どこのシーンがどのジブリ作品と似ているかを考えるのも楽しいですね。

『思い出のマーニー』を考察してみました

以上、『思い出のマーニー』の謎・疑問についての解説、考察をまとめてみました。 「マーニーとは一体誰なのか?」という問いは、映画のストーリーを引っ張る重要な要素の一つで、恐らく初見ではその謎解きを中心に見ることになるかと思います。 そして二回目以降、最初から「マーニーは杏奈の祖母なのだ」と分かっている状態で見ると、セリフの一つ一つがまた別の意味を持って、ストーリーが広がって行きます。『思い出のマーニー』は何度も見返したくなる、そんな映画なのです。